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Mission:消えるカジノ
第119話:自腹 ~負けてみるのも悪くない~
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カジノに入ることはゴールではない。既に新たな目標、オーナーの正体を探ること、というのが諏訪の中では成立している。とはいえ、具体的な方策は何もない。せめてもの情報を求め、諏訪は定期的にカジノに通うようにしていた。だが。
「俺、やっぱギャンブルの才能ないと思うんっすよねぇ。才能が全然ないと、面白いものも面白くないっすもん」
諏訪は財布を見ながらぼやく。諏訪は学生時代をスポーツに捧げてきたし、努力量にも自信がある。だが、それはやはり自分に運動神経が備わっているからできたことだと思う。運動が苦手なら、努力しようとすら思わなかっただろう。それを今、諏訪は体感している。カジノヨコハマに行くのが苦痛でしょうがない。
「……ギャンブルに才能ってあるか?」
パチンコ好きの章が首を捻った。ない、と裕が同意する。
「二人はパチンコの何が好きなんですか」
「何って……。特に理由はないな、大学時代に始めてからズルズルやってるだけだしなぁ。当たれば嬉しいけど」
「ソシャゲのガチャに課金する感じじゃない?」
「俺はソシャゲやりません」
諏訪は首を振る。伊勢兄弟はこの時点でお手上げ、話は詰まった。
「だって、頑張っても上手いこといかないんですもん。多分、りさ子ちゃんも笑顔の裏で引いてると思いますよ」
「心が折れてる諏訪なんて初めて見た……」
章の表情が凍っている。本当に驚いているのだろう。
「ギャンブルを頑張るって何だ? テクニックを磨くとかそういう感じ?」
「具体的に、どんぐらい負けてるん?」
諏訪の様子に不安になった春日が、おそるおそるというように尋ねた。
「毎回毎回ばらつきはありますけど、トータルだとマイナス三十万くらいっすかねぇ」
諏訪がそう答えたところで、章と裕が顔を見合わせ、春日が大きい目を見開く。
「びっくりした、一千万くらい負けたのかと思ったわ……」
春日がやっと言葉を捻り出した。
「五回ぐらい通ってるんだろ。それなら許容範囲だと思うけど」
章も春日の言葉に乗って頷く。
「でも、一ヶ月分の給料っすよ」
「あのねぇ、カジノは稼ぐところじゃないの!」
諏訪の反論は、裕の呆れた声が押しつぶす。
「勝てたらいいなぁとは思うけど、頑張って勝てる場所じゃない」
「なんでやねん。お前が払うわけでもないのに」
春日が鋭くツッコミを入れる。
「えっ払わないんすか?」
「えっ払うの?」
話が食い違ってきた。すべての発端はここだったか。
「全部自腹で払おうとしてたんですか……」
多賀にすらポカンとする姿を見て、諏訪は自分の異常性に気づいたらしい。
「そりゃ僕でも落ち込むよ」
「捜査費用の意味考えーや」
以前にも同じやり取りをしたような気もする。
「捜査費用って、いくらまで使えるんですか?」
多賀が章に聞く。
「さあ、でも、一千万円くらいまでなら負けても問題はないんじゃないか? 僕たちの給料に追加して振り込まれる『謎の手当て』が無くなるだろうけど」
情報課に配属されてからついていた謎の手当てはそれだったのか。
「じゃあ、負けてもいいんっすよね?」
「どうぞ。好きなだけ負けてこい。大負けしたっていいぞ。むしろ、大負けした方が連中が金を回収する方法を知れるんだからいいさ」
「大負けって……」
「大切だよ。暴力団が関与しない闇カジノが、客から金を搾り取る方法には僕も興味がある」
「そんなこと言われたら、本当に負けちゃいますよ」
「だから、いいんだよ負けて。負けるプレッシャーがなくなったところで、とりあえずオーナーの正体を探ってこい」
「うすうす」
「本当にわかってるのかコイツ?」
「俺、やっぱギャンブルの才能ないと思うんっすよねぇ。才能が全然ないと、面白いものも面白くないっすもん」
諏訪は財布を見ながらぼやく。諏訪は学生時代をスポーツに捧げてきたし、努力量にも自信がある。だが、それはやはり自分に運動神経が備わっているからできたことだと思う。運動が苦手なら、努力しようとすら思わなかっただろう。それを今、諏訪は体感している。カジノヨコハマに行くのが苦痛でしょうがない。
「……ギャンブルに才能ってあるか?」
パチンコ好きの章が首を捻った。ない、と裕が同意する。
「二人はパチンコの何が好きなんですか」
「何って……。特に理由はないな、大学時代に始めてからズルズルやってるだけだしなぁ。当たれば嬉しいけど」
「ソシャゲのガチャに課金する感じじゃない?」
「俺はソシャゲやりません」
諏訪は首を振る。伊勢兄弟はこの時点でお手上げ、話は詰まった。
「だって、頑張っても上手いこといかないんですもん。多分、りさ子ちゃんも笑顔の裏で引いてると思いますよ」
「心が折れてる諏訪なんて初めて見た……」
章の表情が凍っている。本当に驚いているのだろう。
「ギャンブルを頑張るって何だ? テクニックを磨くとかそういう感じ?」
「具体的に、どんぐらい負けてるん?」
諏訪の様子に不安になった春日が、おそるおそるというように尋ねた。
「毎回毎回ばらつきはありますけど、トータルだとマイナス三十万くらいっすかねぇ」
諏訪がそう答えたところで、章と裕が顔を見合わせ、春日が大きい目を見開く。
「びっくりした、一千万くらい負けたのかと思ったわ……」
春日がやっと言葉を捻り出した。
「五回ぐらい通ってるんだろ。それなら許容範囲だと思うけど」
章も春日の言葉に乗って頷く。
「でも、一ヶ月分の給料っすよ」
「あのねぇ、カジノは稼ぐところじゃないの!」
諏訪の反論は、裕の呆れた声が押しつぶす。
「勝てたらいいなぁとは思うけど、頑張って勝てる場所じゃない」
「なんでやねん。お前が払うわけでもないのに」
春日が鋭くツッコミを入れる。
「えっ払わないんすか?」
「えっ払うの?」
話が食い違ってきた。すべての発端はここだったか。
「全部自腹で払おうとしてたんですか……」
多賀にすらポカンとする姿を見て、諏訪は自分の異常性に気づいたらしい。
「そりゃ僕でも落ち込むよ」
「捜査費用の意味考えーや」
以前にも同じやり取りをしたような気もする。
「捜査費用って、いくらまで使えるんですか?」
多賀が章に聞く。
「さあ、でも、一千万円くらいまでなら負けても問題はないんじゃないか? 僕たちの給料に追加して振り込まれる『謎の手当て』が無くなるだろうけど」
情報課に配属されてからついていた謎の手当てはそれだったのか。
「じゃあ、負けてもいいんっすよね?」
「どうぞ。好きなだけ負けてこい。大負けしたっていいぞ。むしろ、大負けした方が連中が金を回収する方法を知れるんだからいいさ」
「大負けって……」
「大切だよ。暴力団が関与しない闇カジノが、客から金を搾り取る方法には僕も興味がある」
「そんなこと言われたら、本当に負けちゃいますよ」
「だから、いいんだよ負けて。負けるプレッシャーがなくなったところで、とりあえずオーナーの正体を探ってこい」
「うすうす」
「本当にわかってるのかコイツ?」
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