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Mission:白の慟哭
第171話:心配 ~彼女が多くて損はない~
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「久しぶりやな、多賀」
情報課の扉を開けた多賀に、懐かしさすら感じる声がかかった。
「春日さん……」
久しぶりです、帰ってきたんですか、お元気でしたか、心配したんですよ。言葉に迷っている間に、春日は多賀の肩をぽんぽんと叩いてソファに寝そべった。
「春日くんじゃないですか。帰ってこないんじゃなかったんですか?」
いつものように隙のない笑顔を浮かべながら、三嶋が辛辣な一言を投げかけてくる。久しぶりに会ったのにそれはないだろう、と傍から聞いている多賀はどぎまぎしている。
「こないだ、電話したやないですか。記憶喪失ですか、三嶋さん」
アヤナを潰した日の翌日、春日から三嶋に電話があった。情報課に帰るから何とかしてくれ、と。
何か事情を教えてもらえるわけでもなく、ただただ何とかしてくれという曖昧な願いを投げつけられて困り果てた三嶋は、事件が解決したから春日が帰ってくるという事実だけ面々に伝えて後は放置した。
その結果、多賀に混乱が生じたというわけである。
しかし多賀の混乱など露知らず、当人たちは至って穏やかに軽口を互いに叩き合っていた。
「急だったから驚きましたよ」
「事件、解決したんでねぇ」
「知ってますよ。すでに報道されてますから」
三嶋は言いながらテレビをつけた。やはり昼のニュースでは、人気上昇中のアイドル、SOxのメンバーが全員逮捕されたこと、そしてプロデューサーの澤田行彦も逮捕されたことがトップニュースになっている。
「見て見て! あれ解決したん、俺やねん」
春日はテレビ画面を指しながら多賀ににこやかに話しかける。
「……どうやって解決したんですか?」
正直、もう無理だと思っていた。春日の腕の注射痕はそれだけショックが大きかった。それを、いきなり事件は解決したと言われては。章も裕も諏訪も、顔を見合わせては首をひねっている。
「俺、覚醒剤効かんから」
春日は堂々と答えた。その答えに、多賀はさらに疑問が浮かぶばかりである。浮かびすぎて、どこから突っ込めばいいか分からず、困ったように黙り込むしかなかった。説明が足りなさすぎる。
「覚醒剤打ったのは確かでも、効かんかったらノーカンやろ」
多賀の困惑を察した春日は自ら喋りだした。いや、困惑を察せずとも喋りだしていただろう。今の春日は、自分の手柄を語りたくてしょうがない人間である。
「効かない、ってどういうことですか?」
「俺は確かに覚醒剤を打ったで。でも、俺に覚醒剤は作用せーへん。つまり俺は、中毒にも依存症にもならんねん」
情報課の空気が変わった。春日は不敵に笑う。それは恐らく、自分に驚いている面々の表情を楽しんでいるのに違いなかった。
「春日さんって、特異体質なんですか?」
「ははは、そんな便利な体質やったら、警察官なんかやってへんよ」
ということは、春日はいたって普通の人間ということになる。
「覚醒剤を何度も打って、依存症にならないわけが……」
多賀が首をひねる。その奥で、章がハッと顔を上げた。
「もしかして、精神科の女医か?」
「そう、正解です。さすが章さん!」
春日はウインクして章を指さした。
「……女医って、春日の元ストーカーだった人っすか?」
話を全く追えない諏訪は、過去の記憶をたどり、自信なさげに尋ねた。
情報課の扉を開けた多賀に、懐かしさすら感じる声がかかった。
「春日さん……」
久しぶりです、帰ってきたんですか、お元気でしたか、心配したんですよ。言葉に迷っている間に、春日は多賀の肩をぽんぽんと叩いてソファに寝そべった。
「春日くんじゃないですか。帰ってこないんじゃなかったんですか?」
いつものように隙のない笑顔を浮かべながら、三嶋が辛辣な一言を投げかけてくる。久しぶりに会ったのにそれはないだろう、と傍から聞いている多賀はどぎまぎしている。
「こないだ、電話したやないですか。記憶喪失ですか、三嶋さん」
アヤナを潰した日の翌日、春日から三嶋に電話があった。情報課に帰るから何とかしてくれ、と。
何か事情を教えてもらえるわけでもなく、ただただ何とかしてくれという曖昧な願いを投げつけられて困り果てた三嶋は、事件が解決したから春日が帰ってくるという事実だけ面々に伝えて後は放置した。
その結果、多賀に混乱が生じたというわけである。
しかし多賀の混乱など露知らず、当人たちは至って穏やかに軽口を互いに叩き合っていた。
「急だったから驚きましたよ」
「事件、解決したんでねぇ」
「知ってますよ。すでに報道されてますから」
三嶋は言いながらテレビをつけた。やはり昼のニュースでは、人気上昇中のアイドル、SOxのメンバーが全員逮捕されたこと、そしてプロデューサーの澤田行彦も逮捕されたことがトップニュースになっている。
「見て見て! あれ解決したん、俺やねん」
春日はテレビ画面を指しながら多賀ににこやかに話しかける。
「……どうやって解決したんですか?」
正直、もう無理だと思っていた。春日の腕の注射痕はそれだけショックが大きかった。それを、いきなり事件は解決したと言われては。章も裕も諏訪も、顔を見合わせては首をひねっている。
「俺、覚醒剤効かんから」
春日は堂々と答えた。その答えに、多賀はさらに疑問が浮かぶばかりである。浮かびすぎて、どこから突っ込めばいいか分からず、困ったように黙り込むしかなかった。説明が足りなさすぎる。
「覚醒剤打ったのは確かでも、効かんかったらノーカンやろ」
多賀の困惑を察した春日は自ら喋りだした。いや、困惑を察せずとも喋りだしていただろう。今の春日は、自分の手柄を語りたくてしょうがない人間である。
「効かない、ってどういうことですか?」
「俺は確かに覚醒剤を打ったで。でも、俺に覚醒剤は作用せーへん。つまり俺は、中毒にも依存症にもならんねん」
情報課の空気が変わった。春日は不敵に笑う。それは恐らく、自分に驚いている面々の表情を楽しんでいるのに違いなかった。
「春日さんって、特異体質なんですか?」
「ははは、そんな便利な体質やったら、警察官なんかやってへんよ」
ということは、春日はいたって普通の人間ということになる。
「覚醒剤を何度も打って、依存症にならないわけが……」
多賀が首をひねる。その奥で、章がハッと顔を上げた。
「もしかして、精神科の女医か?」
「そう、正解です。さすが章さん!」
春日はウインクして章を指さした。
「……女医って、春日の元ストーカーだった人っすか?」
話を全く追えない諏訪は、過去の記憶をたどり、自信なさげに尋ねた。
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