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第1章
第4話
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それからしばらくして、存分に暴れたドラゴンが飛び去った後も、その悲劇の現場を映し出すテレビの画面から、オレ達は目が離せずにいた。
正確には、映像ばかりでなく、各地での被害状況を告げる緊急速報にも、しばしば目を奪われてしまっていたのだが………
中でも、とりわけ衝撃的だったのは……
『仙台市青葉区にモンスター出現 死傷者が多数いる模様』
オレ達の暮らす街。
同じ仙台市内ではあるが、自宅の有る区とは隣接する違う区での出来事。
仙台市でも中心地と言える場所にも被害が及んでいたのを知った時だろうか。
この事態に及んで、初めてテレビ画面は切り替わり、今まで観ていたチャンネルの地方局内を映し出す。
やはり仙台市内にも多数のモンスター出現情報、被害情報が有るようで、繰り返しアナウンサーが、不要不急の外出を控える旨を訴えていた。
こうしてばかりもいられない。
落ち着いて行動……とは、いかないけれど、出来ることはしないといけないだろう。
まずはダンジョンに潜る時に使用している装備品の確認と装着、所持。
食料や水などの備蓄品のチェック。
しないよりはマシ程度かもしれないが、戸締まりも忘れずに行う。
後は……可能ならば近隣の安全の確認と、近くに住む両親、兄夫婦の安否確認をしたいところだ。
ただ、それらを行ううえでの問題が有るとすれば、自宅の中に居れば必ずしも安全であるなどとは、とても考えにくいことだろう。
オレ自身、長年のダンジョン通いで、それなりの心得は有るとはいえ、ソロでは精々がオーク1体と辛うじて渡り合える程度なので、とてもではないが、自宅に籠城すれば良いなどとは言えない。
先ほどテレビの画面で猛威を振るっていたドラゴンは言うに及ばず、オーガやガーゴイルなどのモンスターが出現したら、家族ともども無惨な最期を迎えることすら、覚悟しなければならないだろう。
「ダメ! やっぱり電話自体が、つながんないよ!」
酷く憔悴した様子で妻が告げる。
妻の実家は東京都内、高さ634メートルのタワーの近くと言えば、分かりやすいだろうか。
先ほど飛び去ったお台場のドラゴンの位置から考ると、妻の実家がかなり近いということも有るが、ことこうした状況下に於いては、肉親の安否が気に掛かるのは妻でなくとも当然と言えるだろう。
妻の姉夫妻も、やはり都内に住んでいる。
オレが今、出来ることを考え実行に移していく一方で、妻は方々に電話をする傍ら、器用にオモチャや絵本を駆使して、息子をあやしてくれていた。
もちろん、オレの実家や両親、兄夫妻の携帯にも電話を掛けてくれた様だが、そちらもこちらも回線がパンク気味なのだろう。
出る出ない以前の問題として、繋がることすら無かった様だ。
ダンジョン発見から、ダンジョン産のアイテムが研究されていく中で、そうした分野(電話やインターネット等の回線)においても、かなりの進歩を遂げていたハズなのだが、キャパシティを遥かに上回る需要の前には、充分な成果を発揮し得なかった様で、それは酷く残念なことに思われた。
『ピンポーン♪』
玄関のベルが、場違いな音で鳴る。
正確には、映像ばかりでなく、各地での被害状況を告げる緊急速報にも、しばしば目を奪われてしまっていたのだが………
中でも、とりわけ衝撃的だったのは……
『仙台市青葉区にモンスター出現 死傷者が多数いる模様』
オレ達の暮らす街。
同じ仙台市内ではあるが、自宅の有る区とは隣接する違う区での出来事。
仙台市でも中心地と言える場所にも被害が及んでいたのを知った時だろうか。
この事態に及んで、初めてテレビ画面は切り替わり、今まで観ていたチャンネルの地方局内を映し出す。
やはり仙台市内にも多数のモンスター出現情報、被害情報が有るようで、繰り返しアナウンサーが、不要不急の外出を控える旨を訴えていた。
こうしてばかりもいられない。
落ち着いて行動……とは、いかないけれど、出来ることはしないといけないだろう。
まずはダンジョンに潜る時に使用している装備品の確認と装着、所持。
食料や水などの備蓄品のチェック。
しないよりはマシ程度かもしれないが、戸締まりも忘れずに行う。
後は……可能ならば近隣の安全の確認と、近くに住む両親、兄夫婦の安否確認をしたいところだ。
ただ、それらを行ううえでの問題が有るとすれば、自宅の中に居れば必ずしも安全であるなどとは、とても考えにくいことだろう。
オレ自身、長年のダンジョン通いで、それなりの心得は有るとはいえ、ソロでは精々がオーク1体と辛うじて渡り合える程度なので、とてもではないが、自宅に籠城すれば良いなどとは言えない。
先ほどテレビの画面で猛威を振るっていたドラゴンは言うに及ばず、オーガやガーゴイルなどのモンスターが出現したら、家族ともども無惨な最期を迎えることすら、覚悟しなければならないだろう。
「ダメ! やっぱり電話自体が、つながんないよ!」
酷く憔悴した様子で妻が告げる。
妻の実家は東京都内、高さ634メートルのタワーの近くと言えば、分かりやすいだろうか。
先ほど飛び去ったお台場のドラゴンの位置から考ると、妻の実家がかなり近いということも有るが、ことこうした状況下に於いては、肉親の安否が気に掛かるのは妻でなくとも当然と言えるだろう。
妻の姉夫妻も、やはり都内に住んでいる。
オレが今、出来ることを考え実行に移していく一方で、妻は方々に電話をする傍ら、器用にオモチャや絵本を駆使して、息子をあやしてくれていた。
もちろん、オレの実家や両親、兄夫妻の携帯にも電話を掛けてくれた様だが、そちらもこちらも回線がパンク気味なのだろう。
出る出ない以前の問題として、繋がることすら無かった様だ。
ダンジョン発見から、ダンジョン産のアイテムが研究されていく中で、そうした分野(電話やインターネット等の回線)においても、かなりの進歩を遂げていたハズなのだが、キャパシティを遥かに上回る需要の前には、充分な成果を発揮し得なかった様で、それは酷く残念なことに思われた。
『ピンポーン♪』
玄関のベルが、場違いな音で鳴る。
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