179 / 312
第4章
第177話
『スキル【眷属強化】を再構築しますか?』
……え?
…………じゃあ、はい。
『意思確認を完了。スキル【眷属強化】を解析します……保有者の現状との不適応を確認しました……解析中……解析中……解析中……解析が完了しました……スキル再構築を試行します……再構築中……再構築中……再構築中……再構築が完了しました。スキル【眷属強化】が失われました。スキル【指揮】が失われました。スキル【ロード】を付与します』
か……【解析者】さん、そんなことも出来たのか。
【ロード】とは……人によって、違う連想をするかもしれないが、この場合は『領主』という意味を持つスキルのようだ。
ゲームのように時間を逆行してやり直せたり、道という意味では無いらしい。
スキルレベルは1に戻ってしまっているが、スキルレベルによって影響力を増していくスキルのようだ。
『配下』として設定した者をオレの成長に合わせて強化すると同時に、成長率を引き上げるスキルであり、今のところ効果を及ぼせる人数は7人まで。
『配下』というのは、どことなく引っ掛かるものを感じる言葉だが、その有効性はかなりのものだろう。
こうなると誰を設定するべきか悩むなぁ。
兄、妻、父、マチルダまでは決まり。
柏木兄妹を入れると既に6人だ。
あと1人……となると【鍛冶】スキルの伸びを期待して柏木さんかな?
家族や目上の人を『配下』として扱うのは良心が咎めるが、本人に面と向かって言わない限りは失礼には当たらないだろうし、オレが調子に乗って偉そうにしなければ良いだけの話かもしれない。
残念なことに、本人に直接相対しなければ設定が出来ないらしいが、それはまぁ仕方ないところだ。
遠隔から、いきなり強化されたり、配下設定を打ち切って弱体化されたりしたら、当人達も戸惑ってしまうだろう。
今日の間引き作業を各チームが終えたら、打診することにしようか。
柏木さんには武器や防具の件でも話が有るし、ちょうど良かったかもしれない。
◆
守護者としての居室に入り、マニュアルを『空間庫』から取り出して、意識を集中する。
守護者の権能として行使可能なのは魔素の配分だけではない。
例えば、ダンジョン攻略にあたっている者の有無を知り、その現在地を知ることも可能だ。
今は……当然かもしれないが、兄1人だけみたいだな。
しかも事前に考えていたよりも、かなり攻略ペースが早い。
既に第6層も半ば過ぎまで到達している。
相性的に、フォートレスロブスターには苦戦するかもしれないと思っていたのだが、どうやらオレの取り越し苦労だったようだ。
第6層の階層ボスである劣化人狼は、これは逆の意味で相性的に兄の敵では無いだろうし、もう合流予定地点で待っておくべきだろう。
そう判断したオレは各種の設定を再確認した後【転移魔法】で、マチルダの暮らしていた部屋へと飛んだ。
のんびりとマニュアルを読みながら待つことしばし……部屋のドアがノックされた。
兄だ。
予想通り、劣化人狼は兄の【短転移】で瞬殺されたのだろう。
あれを初見で対応するのは、いかに反射神経に優れたワーウルフと言えど、まず無理な話だ。
兄を部屋に迎え入れ、ダンジョンの感想を聞いてみたが……
「この階層は美味いな。ウェポンスクロールが山ほど落ちる」
……実に兄らしい答えが返ってきた。
モンスターが強いかどうかとかは、どうやら二の次のようだ。
その後も詳しく話を聞いていくが、ミミックやドアイミテーターあたりに驚いたぐらいの話しか出てこない。
フォートレスロブスターとミラークラブの組み合わせすら、思っていた以上に楽勝だったようだ。
わざと弱い魔法でミラークラブを誘き寄せるところまではオレと同じ戦い方だが、反射された魔法を【短転移】で躱しつつミラークラブの目の前に飛び、そのまま一刀両断したという。
あとはワールウインドでバレットバーナクルの排除を【短転移】と組み合わせて極めて短時間で完了し、ウインドライトエッジの連発で一気に要塞エビ討伐……という流れだったようだ。
……オレが思っていた以上に、この兄はチートだった。
◆
その後、再度の間引き作業を行う前にオレと兄はいったん自宅に戻ったが、ド田舎ダンジョンの深層を担当している妻達は、探索を続行しているようだ。
妻達も戻って来ていたなら、まとめて話を出来たのだが、こればかりは仕方ない。
難易度は控えめらしいが広さはかなりのものらしいし、深層のモンスターは手付かずなのだから数も多そうだ。
【転移魔法】が有るわけでも無いし、行って戻って来るだけでも大変だろう。
兄には、新しく得たスキルの概要を話して、スキルの影響下におく承諾を得る。
早速、兄を『配下』として設定したところ、ゴッソリと魔力が抜けていく感覚に襲われた。
体感的には総魔力の10分の1ぐらいは消費しただろうか?
もう少し多い気もするが、取り敢えず間違いないのは全員を1回で『配下』設定しなくて良かったということだ。
兄も何やら驚いている。
力が流れ込んで来ているのが分かるのだろう。
身体能力の伸びまではオレには分からないが、少なくとも何らかの魔法スキルは扱えるぐらいまでには兄の魔力は高まっている筈だ。
【存在強奪】などと同じく【解析者】の派生スキルである【啓蒙促成】……その副産物たる【スキル熟練度解析】で兄のスキル熟練度を見てみることにした。
【刀術】のスキル熟練度がカンストしているため、スキルレベルを引き上げておいたが、その直後に【敏捷強化】もスキル化出来ることが判明。
そして予想通り【風魔法】もスキル化可能だった。
【短転移】は残念ながら熟練度自体が存在しないスキルのため伸ばせないが、オレの予想が間違っていなければ兄の魔力が伸びたことで、より効果を発揮する場面が増えることだろう。
間違いなく増えるのが使用可能回数で、これだけでも恐ろしいほど兄は強くなる。
到達距離が伸びるかどうかは、後ほど兄にテストして貰うしかないが、これも恐らくは伸びている筈だ。
今や総合的にはオレの方が強くなっていると思うのだが、正直なところ実際に兄と戦ったら勝てるイメージが全く湧かない。
それほどにタイムラグ無しで瞬時に飛べる【短転移】は厄介なスキルなのだ。
……つくづく、この兄が味方で良かった。
……え?
…………じゃあ、はい。
『意思確認を完了。スキル【眷属強化】を解析します……保有者の現状との不適応を確認しました……解析中……解析中……解析中……解析が完了しました……スキル再構築を試行します……再構築中……再構築中……再構築中……再構築が完了しました。スキル【眷属強化】が失われました。スキル【指揮】が失われました。スキル【ロード】を付与します』
か……【解析者】さん、そんなことも出来たのか。
【ロード】とは……人によって、違う連想をするかもしれないが、この場合は『領主』という意味を持つスキルのようだ。
ゲームのように時間を逆行してやり直せたり、道という意味では無いらしい。
スキルレベルは1に戻ってしまっているが、スキルレベルによって影響力を増していくスキルのようだ。
『配下』として設定した者をオレの成長に合わせて強化すると同時に、成長率を引き上げるスキルであり、今のところ効果を及ぼせる人数は7人まで。
『配下』というのは、どことなく引っ掛かるものを感じる言葉だが、その有効性はかなりのものだろう。
こうなると誰を設定するべきか悩むなぁ。
兄、妻、父、マチルダまでは決まり。
柏木兄妹を入れると既に6人だ。
あと1人……となると【鍛冶】スキルの伸びを期待して柏木さんかな?
家族や目上の人を『配下』として扱うのは良心が咎めるが、本人に面と向かって言わない限りは失礼には当たらないだろうし、オレが調子に乗って偉そうにしなければ良いだけの話かもしれない。
残念なことに、本人に直接相対しなければ設定が出来ないらしいが、それはまぁ仕方ないところだ。
遠隔から、いきなり強化されたり、配下設定を打ち切って弱体化されたりしたら、当人達も戸惑ってしまうだろう。
今日の間引き作業を各チームが終えたら、打診することにしようか。
柏木さんには武器や防具の件でも話が有るし、ちょうど良かったかもしれない。
◆
守護者としての居室に入り、マニュアルを『空間庫』から取り出して、意識を集中する。
守護者の権能として行使可能なのは魔素の配分だけではない。
例えば、ダンジョン攻略にあたっている者の有無を知り、その現在地を知ることも可能だ。
今は……当然かもしれないが、兄1人だけみたいだな。
しかも事前に考えていたよりも、かなり攻略ペースが早い。
既に第6層も半ば過ぎまで到達している。
相性的に、フォートレスロブスターには苦戦するかもしれないと思っていたのだが、どうやらオレの取り越し苦労だったようだ。
第6層の階層ボスである劣化人狼は、これは逆の意味で相性的に兄の敵では無いだろうし、もう合流予定地点で待っておくべきだろう。
そう判断したオレは各種の設定を再確認した後【転移魔法】で、マチルダの暮らしていた部屋へと飛んだ。
のんびりとマニュアルを読みながら待つことしばし……部屋のドアがノックされた。
兄だ。
予想通り、劣化人狼は兄の【短転移】で瞬殺されたのだろう。
あれを初見で対応するのは、いかに反射神経に優れたワーウルフと言えど、まず無理な話だ。
兄を部屋に迎え入れ、ダンジョンの感想を聞いてみたが……
「この階層は美味いな。ウェポンスクロールが山ほど落ちる」
……実に兄らしい答えが返ってきた。
モンスターが強いかどうかとかは、どうやら二の次のようだ。
その後も詳しく話を聞いていくが、ミミックやドアイミテーターあたりに驚いたぐらいの話しか出てこない。
フォートレスロブスターとミラークラブの組み合わせすら、思っていた以上に楽勝だったようだ。
わざと弱い魔法でミラークラブを誘き寄せるところまではオレと同じ戦い方だが、反射された魔法を【短転移】で躱しつつミラークラブの目の前に飛び、そのまま一刀両断したという。
あとはワールウインドでバレットバーナクルの排除を【短転移】と組み合わせて極めて短時間で完了し、ウインドライトエッジの連発で一気に要塞エビ討伐……という流れだったようだ。
……オレが思っていた以上に、この兄はチートだった。
◆
その後、再度の間引き作業を行う前にオレと兄はいったん自宅に戻ったが、ド田舎ダンジョンの深層を担当している妻達は、探索を続行しているようだ。
妻達も戻って来ていたなら、まとめて話を出来たのだが、こればかりは仕方ない。
難易度は控えめらしいが広さはかなりのものらしいし、深層のモンスターは手付かずなのだから数も多そうだ。
【転移魔法】が有るわけでも無いし、行って戻って来るだけでも大変だろう。
兄には、新しく得たスキルの概要を話して、スキルの影響下におく承諾を得る。
早速、兄を『配下』として設定したところ、ゴッソリと魔力が抜けていく感覚に襲われた。
体感的には総魔力の10分の1ぐらいは消費しただろうか?
もう少し多い気もするが、取り敢えず間違いないのは全員を1回で『配下』設定しなくて良かったということだ。
兄も何やら驚いている。
力が流れ込んで来ているのが分かるのだろう。
身体能力の伸びまではオレには分からないが、少なくとも何らかの魔法スキルは扱えるぐらいまでには兄の魔力は高まっている筈だ。
【存在強奪】などと同じく【解析者】の派生スキルである【啓蒙促成】……その副産物たる【スキル熟練度解析】で兄のスキル熟練度を見てみることにした。
【刀術】のスキル熟練度がカンストしているため、スキルレベルを引き上げておいたが、その直後に【敏捷強化】もスキル化出来ることが判明。
そして予想通り【風魔法】もスキル化可能だった。
【短転移】は残念ながら熟練度自体が存在しないスキルのため伸ばせないが、オレの予想が間違っていなければ兄の魔力が伸びたことで、より効果を発揮する場面が増えることだろう。
間違いなく増えるのが使用可能回数で、これだけでも恐ろしいほど兄は強くなる。
到達距離が伸びるかどうかは、後ほど兄にテストして貰うしかないが、これも恐らくは伸びている筈だ。
今や総合的にはオレの方が強くなっていると思うのだが、正直なところ実際に兄と戦ったら勝てるイメージが全く湧かない。
それほどにタイムラグ無しで瞬時に飛べる【短転移】は厄介なスキルなのだ。
……つくづく、この兄が味方で良かった。
あなたにおすすめの小説
パーティーを追放されるどころか殺されかけたので、俺はあらゆる物をスキルに変える能力でやり返す
名無し
ファンタジー
パーティー内で逆境に立たされていたセクトは、固有能力取得による逆転劇を信じていたが、信頼していた仲間に裏切られた上に崖から突き落とされてしまう。近隣で活動していたパーティーのおかげで奇跡的に一命をとりとめたセクトは、かつての仲間たちへの復讐とともに、助けてくれた者たちへの恩返しを誓うのだった。
巻き込まれ召喚・途中下車~幼女神の加護でチート?
サクラ近衛将監
ファンタジー
商社勤務の社会人一年生リューマが、偶然、勇者候補のヤンキーな連中の近くに居たことから、一緒に巻き込まれて異世界へ強制的に召喚された。万が一そのまま召喚されれば勇者候補ではないために何の力も与えられず悲惨な結末を迎える恐れが多分にあったのだが、その召喚に気づいた被召喚側世界(地球)の神様と召喚側世界(異世界)の神様である幼女神のお陰で助けられて、一旦狭間の世界に留め置かれ、改めて幼女神の加護等を貰ってから、異世界ではあるものの召喚場所とは異なる場所に無事に転移を果たすことができた。リューマは、幼女神の加護と付与された能力のおかげでチートな成長が促され、紆余曲折はありながらも異世界生活を満喫するために生きて行くことになる。
*この作品は「カクヨム」様にも投稿しています。
**週1(土曜日午後9時)の投稿を予定しています。**
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
帰って来た勇者、現代の世界を引っ掻きまわす
黄昏人
ファンタジー
ハヤトは15歳、中学3年生の時に異世界に召喚され、7年の苦労の後、22歳にて魔族と魔王を滅ぼして日本に帰還した。帰還の際には、莫大な財宝を持たされ、さらに身につけた魔法を始めとする能力も保持できたが、マナの濃度の低い地球における能力は限定的なものであった。しかし、それでも圧倒的な体力と戦闘能力、限定的とは言え魔法能力は現代日本を、いや世界を大きく動かすのであった。
4年前に書いたものをリライトして載せてみます。
異世界召喚に条件を付けたのに、女神様に呼ばれた
りゅう
ファンタジー
異世界召喚。サラリーマンだって、そんな空想をする。
いや、さすがに大人なので空想する内容も大人だ。少年の心が残っていても、現実社会でもまれた人間はまた別の空想をするのだ。
その日の神岡龍二も、日々の生活から離れ異世界を想像して遊んでいるだけのハズだった。そこには何の問題もないハズだった。だが、そんなお気楽な日々は、この日が最後となってしまった。
俺だけLVアップするスキルガチャで、まったりダンジョン探索者生活も余裕です ~ガチャ引き楽しくてやめられねぇ~
シンギョウ ガク
ファンタジー
仕事中、寝落ちした明日見碧(あすみ あおい)は、目覚めたら暗い洞窟にいた。
目の前には蛍光ピンクのガチャマシーン(足つき)。
『初心者優遇10連ガチャ開催中』とか『SSRレアスキル確定』の誘惑に負け、金色のコインを投入してしまう。
カプセルを開けると『鑑定』、『ファイア』、『剣術向上』といったスキルが得られ、次々にステータスが向上していく。
ガチャスキルの力に魅了された俺は魔物を倒して『金色コイン』を手に入れて、ガチャ引きまくってたらいつのまにか強くなっていた。
ボスを討伐し、初めてのダンジョンの外に出た俺は、相棒のガチャと途中で助けた異世界人アスターシアとともに、異世界人ヴェルデ・アヴニールとして、生き延びるための自由気ままな異世界の旅がここからはじまった。
神様、ありがとう! 2度目の人生は破滅経験者として
たぬきち25番
ファンタジー
流されるままに生きたノルン伯爵家の領主レオナルドは貢いだ女性に捨てられ、領政に失敗、全てを失い26年の生涯を自らの手で終えたはずだった。
だが――気が付くと時間が巻き戻っていた。
一度目では騙されて振られた。
さらに自分の力不足で全てを失った。
だが過去を知っている今、もうみじめな思いはしたくない。
※他サイト様にも公開しております。
※※皆様、ありがとう! HOTランキング1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
※※皆様、ありがとう! 完結ランキング(ファンタジー・SF部門)1位に!!読んで下さって本当にありがとうございます!!※※
ダンジョンで有名モデルを助けたら公式配信に映っていたようでバズってしまいました。
夜兎ましろ
ファンタジー
高校を卒業したばかりの少年――夜見ユウは今まで鍛えてきた自分がダンジョンでも通用するのかを知るために、はじめてのダンジョンへと向かう。もし、上手くいけば冒険者にもなれるかもしれないと考えたからだ。
ダンジョンに足を踏み入れたユウはとある女性が魔物に襲われそうになっているところに遭遇し、魔法などを使って女性を助けたのだが、偶然にもその瞬間がダンジョンの公式配信に映ってしまっており、ユウはバズってしまうことになる。
バズってしまったならしょうがないと思い、ユウは配信活動をはじめることにするのだが、何故か助けた女性と共に配信を始めることになるのだった。