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第5章
第244話
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妻の家族を迎えに行った翌日。
ついにオレ達は、仙台市内随一の規模を誇る青葉城(仙台城)址のダンジョンへと向かっている。
メンバーは……オレ、カタリナ、トリア、トム。
妻は絶対に同行するのだと言ってなかなか引き下がらなかったが、万が一のことを考えると今回はさすがに連れて来れなかった。
それに……今日はまだ様子見がてら間引きをしに来たに過ぎない。
レッサードラゴンとは段違いの強さを誇るという本物のドラゴンや、あのサイクロプスさえ赤子に見える程に大きな巨人達。
先日おおいに手を焼いたグレーターデーモンや、対極にありながら並び立つ存在であるアークエンジェル。
他にも土蜘蛛だとか、デュラハンだとか、バジリスクだとか、油断したら即命取りになりかねない程のモンスターが大量に待ち受ける魔境に挑むわけだが、オレはいまだに変わっていないらしい『ルール』を最大限に悪用するつもりでいる。
そう……初めてレッサードラゴンを倒した時と同様、まずは狙撃に徹するつもりなのだ。
今日の間引きが成功したら、明日からは妻と兄も同行する予定にはなっている。
オレの力がドラゴンをはじめ、最高峰に位置するモンスター達に通用するかどうかが不明瞭なうちから全力で賭けに出ることは愚の骨頂というべきだろうが……もし今日の試みが上手くいくようなら安全策ばかり採っていても仕方がない。
スタンピードのルールが変わり実際にドラゴンなどが群れを成して攻め寄せて来た時に、いきなり兄や妻を矢面に立たせるよりはオレが護衛に回りながら落ち着いて対峙する機会を設ける方が、まだいくらかマシというものだ。
『主様、どうやら来ましたニャ』
トムに言われるまでも無く、オレにもハッキリと見えていた。
雄大な姿……ある種の機能美さえ感じさせる。
巨大な翼をはためかせながら優雅に……それでいて恐ろしく速くこちらに向かって飛来しつつあるモンスター。
あぁ、まさに怪物だ。
鱗の色は鮮やかな緑。
つまりはグリーンドラゴンだった。
「しょっぱなから厄介なのが来たな。トム、後退しつつコントロールウィンド。逆風でブレスの被害を最小限に。カタリナは無属性砲の準備。トリアは自由に援護で」
『了解ですニャ!』
「分かった!」
「任せて」
幾つかのパターンは想定していたが、中でも面倒なタイプのドラゴンが真っ先に向かって来ている。
逆に言えばコイツを無事に葬ることが出来たなら、オレ達の力は充分に通用することの証明になるだろう。
それにしても……速い!
あっという間にダンジョンの領域と安全地帯との境界線上にまで到達したグリーンドラゴンは、そこに有るらしい不可視の壁にも何ら戸惑うことなくブレスを放って来た。
グリーンドラゴンのブレスは超高濃度の猛毒ガス。
ドラゴンとオレ達の間に立っていた樹木はあっという間に枯れ果ててしまっていた。
トムの起こした強風も精々が気休め程度。
ブレスが拡散していくのをいくらか押し留めるぐらいが関の山だが、オレ達にはそれで充分だった。
トリアが風の壁を幾重にも張り巡らしてブレスの軌道を僅かにズラし、その隙にオレの魔法とカタリナの無属性砲とが、ブレスを放った後も滞空しているグリーンドラゴンを狙い撃つ。
カタリナの無属性砲は今回のための特別仕様。
レッサードラゴンやサイクロプスのような、それなりの大物から得た特大の魔石を惜し気も無くたった一撃で使い果たすうえ、使用者本人の魔力をも増幅して威力に乗せるのだ。
さらには連射性能もピカイチ。
非の打ち所の無い逸品。
柏木さんの大作だ。
柏木さんがオレの所有する『スキル・アンプリファイアー』にヒントを得て試作した代物で、特筆すべきはやはり魔力増幅のギミック。
魔石から得られる魔力も、使用者本人の魔力も、発射時にしっかりと増幅してのける。
試作品ながら既に実用に至っているのが何よりも凄いところかもしれないが、今はそれは良いだろう。
カタリナの放った魔力弾は、グリーンドラゴンの開いたままだった下顎を正確に撃ち抜き……弾き飛ばした。
勢いそのままドラゴンの首にまで大穴を穿ったが、残念ながらそれで致命傷とまではいかなかったようだ。
大音量の落下音とともに地面に墜落したグリーンドラゴンは、再び飛び立とうとしてジタバタともがいている。
……飛べないだろうな。
お前の翼は既に無い。
いくら飛翔原理の大半を風の属性魔法に頼っていようとも、飛び立つ際、加速する際、止まる際……貴様らが翼の力に頼っているのは既に把握済みだ。
オレはオレで、グリフォンやリッチとの戦いを経て、本来なら有り得ない筈のモノを既に得ていた。
スキル【無属性魔法】。
魔法の研究に(文字通り)人生を捧げたカタリナをして『絶対に有り得ない』とまで言わしめた新たなる魔法。
それこそが【無属性魔法】だ。
オレはコレをリッチ戦の直後に習得していたのだが、その時は別に気にも留めずにいた。
あれだけ使っていたらそりゃスキルも得るだろう……その程度の感慨だったわけだが、後にこの事実を知ったカタリナには、半ば本気で首を絞められたものだ。
すぐにマチルダや妻が止めに入ってくれたから良かったようなもので、すっかり油断していたオレの意識が一瞬飛びそうになる程の力だった。
話が逸れたが【無属性魔法】は単に稀少なだけの代物では無かった。
オレが得るまで存在すらしていなかったスキルなだけのことはあって、そもそも耐性スキルが存在しない。
耐性スキルが無いということは、後は単純なパワーゲームになるということでもある。
すなわち対象の魔法への抵抗力が上回るか、オレの魔力が上回るか……それだけの話になるのだ。
そしてオレの保有魔力は、既にドラゴンすら軽く上回る。
総合的な戦闘能力ではオレはまだまだドラゴンに劣るだろうが、魔力だけなら話は別。
視認すら困難な無色の刃は驚くほどアッサリとドラゴンの巨大な翼を全て斬り落とし、しかもそれをドラゴン自体もハッキリとは認識出来ないほどの切れ味を見せた。
その結果がコレだ。
ブレスはもはや放てまい。
少なくとも狙った方向に飛ばすことは出来ない筈だ。
何しろ下顎が丸ごと無いのだし、そもそも首に穴が開いてしまっている。
噂の竜言語魔法とやらも、恐らく舌が無いなら放てないだろう。
ドラゴンほどのモンスターだ。
馬鹿正直に狩られるのを待つほど愚かでは無い筈だが、逃げたくとも既にヤツには翼が無い。
こうなると巨体は足枷にしかならないだろう。
障害物になる建物も多い。
踏み潰しながら逃げるにしても、それを黙って見ているほどオレ達も無能では無いつもりだ。
わざわざ近付いて瀕死の竜の爪牙にかけられてやる必要も無い。
結果としてオレ、カタリナ、トリア、さらにはトムにまで一斉に魔法で攻撃されたグリーンドラゴンは地面を這いつくばっての逃走を試みるも、結局はそれすら果たせず虚しく骸を晒すことしか出来なかった。
まぁ、すぐに白い光に包まれて消えてしまったわけだが……。
ついにオレ達は、仙台市内随一の規模を誇る青葉城(仙台城)址のダンジョンへと向かっている。
メンバーは……オレ、カタリナ、トリア、トム。
妻は絶対に同行するのだと言ってなかなか引き下がらなかったが、万が一のことを考えると今回はさすがに連れて来れなかった。
それに……今日はまだ様子見がてら間引きをしに来たに過ぎない。
レッサードラゴンとは段違いの強さを誇るという本物のドラゴンや、あのサイクロプスさえ赤子に見える程に大きな巨人達。
先日おおいに手を焼いたグレーターデーモンや、対極にありながら並び立つ存在であるアークエンジェル。
他にも土蜘蛛だとか、デュラハンだとか、バジリスクだとか、油断したら即命取りになりかねない程のモンスターが大量に待ち受ける魔境に挑むわけだが、オレはいまだに変わっていないらしい『ルール』を最大限に悪用するつもりでいる。
そう……初めてレッサードラゴンを倒した時と同様、まずは狙撃に徹するつもりなのだ。
今日の間引きが成功したら、明日からは妻と兄も同行する予定にはなっている。
オレの力がドラゴンをはじめ、最高峰に位置するモンスター達に通用するかどうかが不明瞭なうちから全力で賭けに出ることは愚の骨頂というべきだろうが……もし今日の試みが上手くいくようなら安全策ばかり採っていても仕方がない。
スタンピードのルールが変わり実際にドラゴンなどが群れを成して攻め寄せて来た時に、いきなり兄や妻を矢面に立たせるよりはオレが護衛に回りながら落ち着いて対峙する機会を設ける方が、まだいくらかマシというものだ。
『主様、どうやら来ましたニャ』
トムに言われるまでも無く、オレにもハッキリと見えていた。
雄大な姿……ある種の機能美さえ感じさせる。
巨大な翼をはためかせながら優雅に……それでいて恐ろしく速くこちらに向かって飛来しつつあるモンスター。
あぁ、まさに怪物だ。
鱗の色は鮮やかな緑。
つまりはグリーンドラゴンだった。
「しょっぱなから厄介なのが来たな。トム、後退しつつコントロールウィンド。逆風でブレスの被害を最小限に。カタリナは無属性砲の準備。トリアは自由に援護で」
『了解ですニャ!』
「分かった!」
「任せて」
幾つかのパターンは想定していたが、中でも面倒なタイプのドラゴンが真っ先に向かって来ている。
逆に言えばコイツを無事に葬ることが出来たなら、オレ達の力は充分に通用することの証明になるだろう。
それにしても……速い!
あっという間にダンジョンの領域と安全地帯との境界線上にまで到達したグリーンドラゴンは、そこに有るらしい不可視の壁にも何ら戸惑うことなくブレスを放って来た。
グリーンドラゴンのブレスは超高濃度の猛毒ガス。
ドラゴンとオレ達の間に立っていた樹木はあっという間に枯れ果ててしまっていた。
トムの起こした強風も精々が気休め程度。
ブレスが拡散していくのをいくらか押し留めるぐらいが関の山だが、オレ達にはそれで充分だった。
トリアが風の壁を幾重にも張り巡らしてブレスの軌道を僅かにズラし、その隙にオレの魔法とカタリナの無属性砲とが、ブレスを放った後も滞空しているグリーンドラゴンを狙い撃つ。
カタリナの無属性砲は今回のための特別仕様。
レッサードラゴンやサイクロプスのような、それなりの大物から得た特大の魔石を惜し気も無くたった一撃で使い果たすうえ、使用者本人の魔力をも増幅して威力に乗せるのだ。
さらには連射性能もピカイチ。
非の打ち所の無い逸品。
柏木さんの大作だ。
柏木さんがオレの所有する『スキル・アンプリファイアー』にヒントを得て試作した代物で、特筆すべきはやはり魔力増幅のギミック。
魔石から得られる魔力も、使用者本人の魔力も、発射時にしっかりと増幅してのける。
試作品ながら既に実用に至っているのが何よりも凄いところかもしれないが、今はそれは良いだろう。
カタリナの放った魔力弾は、グリーンドラゴンの開いたままだった下顎を正確に撃ち抜き……弾き飛ばした。
勢いそのままドラゴンの首にまで大穴を穿ったが、残念ながらそれで致命傷とまではいかなかったようだ。
大音量の落下音とともに地面に墜落したグリーンドラゴンは、再び飛び立とうとしてジタバタともがいている。
……飛べないだろうな。
お前の翼は既に無い。
いくら飛翔原理の大半を風の属性魔法に頼っていようとも、飛び立つ際、加速する際、止まる際……貴様らが翼の力に頼っているのは既に把握済みだ。
オレはオレで、グリフォンやリッチとの戦いを経て、本来なら有り得ない筈のモノを既に得ていた。
スキル【無属性魔法】。
魔法の研究に(文字通り)人生を捧げたカタリナをして『絶対に有り得ない』とまで言わしめた新たなる魔法。
それこそが【無属性魔法】だ。
オレはコレをリッチ戦の直後に習得していたのだが、その時は別に気にも留めずにいた。
あれだけ使っていたらそりゃスキルも得るだろう……その程度の感慨だったわけだが、後にこの事実を知ったカタリナには、半ば本気で首を絞められたものだ。
すぐにマチルダや妻が止めに入ってくれたから良かったようなもので、すっかり油断していたオレの意識が一瞬飛びそうになる程の力だった。
話が逸れたが【無属性魔法】は単に稀少なだけの代物では無かった。
オレが得るまで存在すらしていなかったスキルなだけのことはあって、そもそも耐性スキルが存在しない。
耐性スキルが無いということは、後は単純なパワーゲームになるということでもある。
すなわち対象の魔法への抵抗力が上回るか、オレの魔力が上回るか……それだけの話になるのだ。
そしてオレの保有魔力は、既にドラゴンすら軽く上回る。
総合的な戦闘能力ではオレはまだまだドラゴンに劣るだろうが、魔力だけなら話は別。
視認すら困難な無色の刃は驚くほどアッサリとドラゴンの巨大な翼を全て斬り落とし、しかもそれをドラゴン自体もハッキリとは認識出来ないほどの切れ味を見せた。
その結果がコレだ。
ブレスはもはや放てまい。
少なくとも狙った方向に飛ばすことは出来ない筈だ。
何しろ下顎が丸ごと無いのだし、そもそも首に穴が開いてしまっている。
噂の竜言語魔法とやらも、恐らく舌が無いなら放てないだろう。
ドラゴンほどのモンスターだ。
馬鹿正直に狩られるのを待つほど愚かでは無い筈だが、逃げたくとも既にヤツには翼が無い。
こうなると巨体は足枷にしかならないだろう。
障害物になる建物も多い。
踏み潰しながら逃げるにしても、それを黙って見ているほどオレ達も無能では無いつもりだ。
わざわざ近付いて瀕死の竜の爪牙にかけられてやる必要も無い。
結果としてオレ、カタリナ、トリア、さらにはトムにまで一斉に魔法で攻撃されたグリーンドラゴンは地面を這いつくばっての逃走を試みるも、結局はそれすら果たせず虚しく骸を晒すことしか出来なかった。
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