人の味

よっしー

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はちみつ②

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②彼女の味

「いやいや、そんな一刀両断するほど!?」
上げ調子でいたところをバッサリといかれたこともあってか、半ば意地になっていた。
「ええ、名刀虎徹でバッサリいってあげるわ。」
「リアルな名前を出すほどに!? そこまで言うのには何か理由があるのかな?」
困惑する僕の目の前で、これがその理由の証拠とでも言わんばかりに、彼女は腕をまくって見せてきた。
「え、どうして腕まくってんの?」
「ちょっとかじってみて欲しいの。バッサリいく理由がきっと分かるから。」
いやいや、待って、何言ってるんだこの17歳JKは?ちょっと大根丸かじりしてくれないかしら?みたいなノリで来たけど、女子の腕だぞ、女子の!しかも大根よりも程よく細身、しかも大根よりも白く透き通ってて…煩悩煩悩!大根が煩悩を呼んだ。
「えっと、ちょっとそれは…。」
「大丈夫よ、この教室に居るの私とあなただけだし。」
「人に見られるのもあれだけど、絵面がちょっとあれでしょ!」
「心配しないで、セクハラとか言ったりはしないわ。私達幼馴染みなのだし。小学校の頃には一緒にお風呂にも入っていたじゃない。」
どうしてよりによってこの場面でそんな大胆精神発揮するんだ。
「ほら、早くしないと人が来てしまうわ。」
困惑が脳内を覆いつくす。顔面を赤色が覆いつくす。静寂が僕らを覆いつくす。が、僕の羞恥心だけは覆い隠すなと言わんばかりに、彼女の視線はこちらに向けられている。もうなるようになってしまえ、これで彼女の言うことが少しは理解できるというのだし。僕は彼女の右腕を取り、口元へ運んだ。

血は出ない程に、跡が残らないほどに、微弱に歯を立てる。それ故か、彼女も特に苦痛の表情などは見せなかった。いや、むしろ腕に噛りついている真っ赤な僕を見てほくそ笑んでいた。
「お味はいかがかしら。」
現在の僕は口元に腕を咥えた状態をキープしている。当初は心臓の鼓動が鳴りやまず、何が起こっているかも理解できていなかった。が、口内に彼女の味が広がって暫く経って、やっと理性を取り戻した。
「いかがって言われても…。無味だよね、味わい深さとかも全く無く。味の無さを味わっているというか。というか、ぶっちゃけ不味い。」
「…」
状況にテンパったのか、要らない言葉まで出てしまった。いや、しかし仕方のないことだろう、人の味なんてそんなもんだろう。JK効果で美味しくとかならない。
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