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第1部:ゆるふわスローライフの幕開け ~元社畜、もふもふと家族に溺愛される最高の異世界生活、始めました~
第17話:ふかふかお昼寝日和。至高のもふもふタイムと生活魔法の無駄遣い?いえ、最適解です
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その日は、雲一つない、まさに絵に描いたような晴天だった。
窓から差し込む陽光は暖かく、庭の草木は生き生きと輝き、小鳥たちの楽しげなさえずりが屋敷の中まで聞こえてくる。
こんな日は、もう、何もしないに限る。
いや、俺は毎日何もしないのだが、今日は特に『何もしないこと』に全力を注ぐべき日だと、俺の本能が告げていた。
「ねえ、モル。今日はお庭でお昼寝しよっか」
俺がそう声をかけると、足元で丸くなっていたモルが「きゅい!」と嬉しそうに顔を上げた。
俺たちは、マリーに頼んでお気に入りの焼き菓子と、冷たい果実水、そして最近セシル姉様が読んでくれた冒険譚の絵本(もちろん俺は絵を眺めるだけだが)をバスケットに詰めてもらった。
準備万端だ。
モルを先導するように、俺は意気揚々と庭へ向かう。
クライネル家の庭はかなり広く、手入れの行き届いた花壇や、ハーブが植えられた一角、そして小さな果樹園まである。
その中でも、俺とモルのお気に入りの場所は、中庭の隅にある大きなカシワの木の下だった。
そこは、夏でも涼しい木陰が広がり、柔らかな草が絨毯のように生い茂っている、絶好のお昼寝スポットなのだ。
カシワの木の下にバスケットを置くと、俺はまず、持ってきた毛布を広げた。
そして、心の中で念じる。
(『お昼寝最適化』……ふかふか、あったか、虫さんバイバイ……)
すると、指先がほんのりジンとし、毛布はみるみるうちに極上の寝心地へと変化した。
表面はシルクのように滑らかで、中は羽毛のようにふんわりと空気を孕み、周囲には目に見えない『虫除け結界』が張られる。完璧だ。
モルは、その変化を敏感に察知し、我先にとばかりに毛布の上に飛び乗ると、気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らし始めた。
「こら、モル。一番いい場所を取るなよー」
俺もモルの隣に寝転がり、バスケットから焼き菓子を取り出す。
サクサクとしたクッキーの優しい甘さが口の中に広がる。
モルにも少しだけおすそ分けすると、嬉しそうに小さな歯でかじっている。
なんて平和な光景だろうか。
お菓子を食べ終えると、俺は絵本を開いた。
勇者がドラゴンを倒したり、お姫様を助けたりする、派手な挿絵が目に楽しい。
もちろん、物語の内容はほとんど頭に入ってこない。
ただ、ページをめくる音と、木々の葉が風にそよぐ音、そしてモルの寝息だけが、静かに流れていく。
ふと、庭仕事の手を休めた庭師のおじいさんが、俺たちのそばを通りかかった。
彼は、俺とモルが仲良く昼寝(の準備)をしているのを見ると、皺くちゃの顔に優しい笑みを浮かべた。
「坊ちゃまもモル様も、本当に仲がよろしゅうございますな。見ているだけで、心が和みますわい」
そう言って、静かに会釈して去っていく。
俺は「うん」とだけ頷き、再び絵本に視線を落とした。
しばらくすると、今度はマリーがお茶の様子を見に来てくれた。
彼女は、俺たちがすでに半分眠りかけているのを見ると、くすりと笑みをこぼした。
「あらあら、もうお昼寝の時間ですか?本当に、坊ちゃまもモル様も、見ているだけで癒されますわ」
そう言って、彼女はバスケットの中に新しい冷たい果実水を補充し、俺たちの邪魔にならないようにそっと立ち去った。
やがて、心地よい疲労感と共に、強烈な眠気が俺を襲ってきた。
絵本はいつの間にか手から滑り落ち、俺はモルを抱き枕にするようにして、本格的な眠りの世界へと旅立った。
モルの温かさと、柔らかい毛並み。
カシワの葉が奏でる子守唄。
微かに香る花の匂い。
(ああ……これぞ、至福……)
特別なことは何も起こらない。
ただ、大好きなモルと一緒に、気持ちの良い場所で、思う存分お昼寝をする。
それだけで、俺の心は、この上ない幸福感で満たされるのだ。
前世の俺が、どんなに願っても手に入れられなかった、穏やかで、満ち足りた時間。
この瞬間が、永遠に続けばいいのに。
そんなことを思いながら、俺は深い深い、幸せな眠りへと落ちていった。
隣では、モルも同じように、幸せそうな寝息を立てていた。
窓から差し込む陽光は暖かく、庭の草木は生き生きと輝き、小鳥たちの楽しげなさえずりが屋敷の中まで聞こえてくる。
こんな日は、もう、何もしないに限る。
いや、俺は毎日何もしないのだが、今日は特に『何もしないこと』に全力を注ぐべき日だと、俺の本能が告げていた。
「ねえ、モル。今日はお庭でお昼寝しよっか」
俺がそう声をかけると、足元で丸くなっていたモルが「きゅい!」と嬉しそうに顔を上げた。
俺たちは、マリーに頼んでお気に入りの焼き菓子と、冷たい果実水、そして最近セシル姉様が読んでくれた冒険譚の絵本(もちろん俺は絵を眺めるだけだが)をバスケットに詰めてもらった。
準備万端だ。
モルを先導するように、俺は意気揚々と庭へ向かう。
クライネル家の庭はかなり広く、手入れの行き届いた花壇や、ハーブが植えられた一角、そして小さな果樹園まである。
その中でも、俺とモルのお気に入りの場所は、中庭の隅にある大きなカシワの木の下だった。
そこは、夏でも涼しい木陰が広がり、柔らかな草が絨毯のように生い茂っている、絶好のお昼寝スポットなのだ。
カシワの木の下にバスケットを置くと、俺はまず、持ってきた毛布を広げた。
そして、心の中で念じる。
(『お昼寝最適化』……ふかふか、あったか、虫さんバイバイ……)
すると、指先がほんのりジンとし、毛布はみるみるうちに極上の寝心地へと変化した。
表面はシルクのように滑らかで、中は羽毛のようにふんわりと空気を孕み、周囲には目に見えない『虫除け結界』が張られる。完璧だ。
モルは、その変化を敏感に察知し、我先にとばかりに毛布の上に飛び乗ると、気持ちよさそうにゴロゴロと喉を鳴らし始めた。
「こら、モル。一番いい場所を取るなよー」
俺もモルの隣に寝転がり、バスケットから焼き菓子を取り出す。
サクサクとしたクッキーの優しい甘さが口の中に広がる。
モルにも少しだけおすそ分けすると、嬉しそうに小さな歯でかじっている。
なんて平和な光景だろうか。
お菓子を食べ終えると、俺は絵本を開いた。
勇者がドラゴンを倒したり、お姫様を助けたりする、派手な挿絵が目に楽しい。
もちろん、物語の内容はほとんど頭に入ってこない。
ただ、ページをめくる音と、木々の葉が風にそよぐ音、そしてモルの寝息だけが、静かに流れていく。
ふと、庭仕事の手を休めた庭師のおじいさんが、俺たちのそばを通りかかった。
彼は、俺とモルが仲良く昼寝(の準備)をしているのを見ると、皺くちゃの顔に優しい笑みを浮かべた。
「坊ちゃまもモル様も、本当に仲がよろしゅうございますな。見ているだけで、心が和みますわい」
そう言って、静かに会釈して去っていく。
俺は「うん」とだけ頷き、再び絵本に視線を落とした。
しばらくすると、今度はマリーがお茶の様子を見に来てくれた。
彼女は、俺たちがすでに半分眠りかけているのを見ると、くすりと笑みをこぼした。
「あらあら、もうお昼寝の時間ですか?本当に、坊ちゃまもモル様も、見ているだけで癒されますわ」
そう言って、彼女はバスケットの中に新しい冷たい果実水を補充し、俺たちの邪魔にならないようにそっと立ち去った。
やがて、心地よい疲労感と共に、強烈な眠気が俺を襲ってきた。
絵本はいつの間にか手から滑り落ち、俺はモルを抱き枕にするようにして、本格的な眠りの世界へと旅立った。
モルの温かさと、柔らかい毛並み。
カシワの葉が奏でる子守唄。
微かに香る花の匂い。
(ああ……これぞ、至福……)
特別なことは何も起こらない。
ただ、大好きなモルと一緒に、気持ちの良い場所で、思う存分お昼寝をする。
それだけで、俺の心は、この上ない幸福感で満たされるのだ。
前世の俺が、どんなに願っても手に入れられなかった、穏やかで、満ち足りた時間。
この瞬間が、永遠に続けばいいのに。
そんなことを思いながら、俺は深い深い、幸せな眠りへと落ちていった。
隣では、モルも同じように、幸せそうな寝息を立てていた。
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