神のマジシャン〜魔法はやはり便利です!〜

重曹ミックス

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第1章 異世界へ、そしてダンジョンへ

7.魔法の指導

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 ◇

 昨日の夕飯のように朝からご飯を作るというのは大変だし何故か食材があまり無い。
 これ減ってないか?気のせい、かな?

  
 取り敢えず朝ごはんを済ませカリスと共にダンジョンまで来ている。

「セシリアちゃん、楽しみだね」

「楽しみでもあるが、常に死と隣り合わせであると考えた方がいいぞ」

「まあまあ、そんな堅いこと言わないの。前にセシリアちゃんが、作ってくれたポーションもあるし、早く行こうよ♪」

「確かにカリスもなかなか才能があるから少し大袈裟だったかもな。だが、油断は禁物ということは覚えておけ。いつ、不測の事態が起きても大丈夫なようにな。じゃ、入るとするか」

 背中に似合わぬ1メートル近くある大剣を背負った、薄く青い銀髪のまだ幼さが残る少女と、腰に着けた鞘が膝辺りまである、太陽に照らされ透き通るような金髪の少女がダンジョンに入っていった。厳つい男が大半のダンジョンに女の子がたった2人で行く光景は傍から見れば異様だった。上層ならば、子供でも倒せるかもしれない。だが、それでも特殊な理由がない限り先ずそれには至らない。

 周囲から視線に気づく訳もなく2人は楽しげに奥へ進んで行った。


 ◇

 5階層までは、カリスだけで倒すように指示した。
 殆どは魔法強化マジック・アップにより強化された剣だったが、時々新しく覚えた火球ファイアーボールで倒していた。

 そのカリスが倒したのを、俺が解体して売れるところは空間収納エアボックスにしまい、残りの部分は燃やして処理している。これは、ゲームのときの癖だ。

 肉を売るというのは、何日間もダンジョンいたはずなのにこんな鮮度の肉が何故っとなるので諦めることにした。

「もう、6階層か。炎以外の放出系魔法を練習するか」

 いつものように感覚を共有して魔法を使った。

 セシリアの手元の空気に乱れが生じたと思うと、瞬く間にそれは大きくなり、何匹かいた魔物たちを抵抗しようがしまいが等しく容赦なく切り裂いていき、紅く染まった魔物を蹂躙する渦と化し、殺戮し終えるとすっと消えた。

 後に残るのは、細切れに散った肉塊のみだ。

「どうだ?これは風刃の渦 上ハイカッターストームだ。前回のよりも難しいがより強力だ」

「魔物が一瞬で死んだ。ちょっとこれ、トラウマになる人も出てくるよ……」

 カリスには早いようだった。俺としてもゲームのときとは比べ物にならないほど生々しくて少しいろいろと危なかった。

「ちょっと刺激が強すぎたな。じゃあ風の刃 上ハイウィンドスラッシャーはどうだ?」

 今度は遠くにいる魔物に1つの線が放たれた。

 首を落としただけなので、この世界の常識は知らないが、普通の狩り方と同じ見た目だろう。

 先程のとは違い、単体用の魔法を使った。

 殺戮型だと、どれもあんな感じになるため操作で調整がしやすいこれにした。

「さっきのよりかは、いいね。最初からこっちにして欲しかったよ」

 風の魔法は扱いが難しいため何度も練習しないと、難しい。

 流石のカリスもまだ、強い風程度でしかない。これでも十分凄いが、即戦力にはなり得なかった。

 その後は、カリスが全てを狩っていた。俺がやっても意味はあまり無いからだ。

 なのでカリスが危ないときは手を貸す程度の援護しかしていない。

「そろそろ、昼にするか。」

「確かに休憩も兼ねて、丁度いいと思うよ」

 俺はパン、肉、サラダ、水を取り出した。

 加工済みなので楽だ。

「カリスの分だ」 

 カリスに渡すと俺も食べた。

 美味しくも不味くもなかったが、腹を満たしていくには十分だ。
   
 ◇

 さらに奥へ、食べ終わると進んでいった。

 魔物を火球ファイアーボールで対処していたが、たまに風の刃 上ハイウィンドスラッシャーを使い不発で慌てて剣で倒すなど、10階層くらいまで出来た。


 しかし、10階層を境目に1発のみでは対処出来ないものが出てきた。


 16階層の所で俺たちは野宿することにした。

 昼同様にご飯を取り出し、食べ終えると、寝る準備に入った。

「ここで寝るとなると交代で見張りが必要だな、この砂時計の砂が全部落ちきったら交代にしようか」

 この砂時計は、町に買い物に行ったときに買ったものだ。因みに、1回当たり2トソで落ちきる。

「先に私が見張りをするから、セシリアちゃんは疲れをとっておいてね」

「一足先に寝かせてもらう」

 実は信用していないわけではないが、結界を張ってある。

 カリスも疲れて、倒せても嫌だろうからな。

 しかし、意外に人の目を気にしながらなら魔法を使っても騒ぎにならないもんだな。

 考えていた森に行って魔法を練習する件については環境破壊だし良くないだろうという結論に至ったので却下となった。

 1日目は、こんな感じで終わった。




 ◇カリス目線◇

 私は、セシリアちゃんが寝たのを確認すると砂時計を逆さにしてカウントを始めた。

 狩りは今までの剣はほぼ使わなくなっていた。

 セシリアちゃんと出会った私は大分変わったと思う。
 チャレンジや新たなことをする勇気が無かったと思っていたのに、何故か自然と頑張ってみたいと思えるようになっていた。

 正直、魔法は使えるようにはなってきたもののつい、数日前のことでもあり慣れたとは言えない。

 上手くイメージが出来なければ魔物を倒すのに時間が掛かってしまい、そのときに焦ってしまうと余計に精度が低い魔法となってしまうので、扱いが大変。

 しかし、自分は全然と思っていてもセシリアちゃんがいつも隣に居てくれて褒めてくれる。

 そのお陰で、前の生活よりも彩りが増した。

 昔の私では、到底辿り着けないところに向かっている。今居る辺りも、長い月日を掛けて腕が上がったらこれるだろうが、こんなに早くは来れない。

 私は両親を幼い頃に失い、児童保護施設に預けらていた。

 凄くネガティブな考えで友達何ていつか失う、いつまでも一緒に居られるとは思えない。そんな考えの私には、碌に友達もいなかった。

 私は、そんな居心地が悪いところは嫌で10歳を過ぎた頃に施設から出ていった。

 出ていくのに少しのお金と食料。さらに、ダンジョンでお金を稼ぐと言ったら少しお金を増やして剣のお金をくれた。


 そして、そのお金で買った剣でダンジョンの上層の魔物を少し狩ってはお金に変えていた。

 いつしか腕は上がり徐々にお金が貯まるようになった。

 そのお金でたまにレーリヨという近くの長閑な町に出掛けていた。

 レーリヨの町の近くには森がある。

 その森が私は好きだ。
 心地よい何とも言い難い風を肌で感じ、日差しを遮る葉っぱによって絶妙な暖かさとなり、日々の疲れや苦難を忘れさせてくれる。


 そんなとき、いつものように森に来ていた私に一人の少女が近づいてきた。

 それが、セシリアちゃんだ。

 最初は私から勇気を出して声を掛けてみた。にも拘らず、声を掛けた途端に考えごとを始めた不思議な少女だった。

 話しやすい感じで仲良くなれそうな気がする。

 その予感は当たり、その日一緒にダンジョンに行くまでに距離は縮まった。

 そこでは、理解できないことばかりするセシリアちゃんがいて、とても疲れてしまった。

 いろいろあったが、これだけは言える。


≪セシリアちゃんとこれからも一緒に居たい≫っと。


 冷たい様に会ったときは思えたが、結構優しくていつも一緒に居てくれて助けてくれる。

 してもらってばかりの私は、その全てのお返しとまではいかないが少しでも返せるように今日の見張りでセシリアちゃんが安全に寝れるように頑張ろうと思う。
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