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第3章 校外学習で色々稼ごう

35.一次試験

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 結局試験を受ける順番はじゃんけんで勝ったカリスからとなった。
 そして、そのあとは俺、ティアナ、エンセリア、とダンジョンで魔物を倒すときの順番を使った。

「えー、決まったかな?」

 エリックさんが何となく終わった感じを察したようで確認を取る。

「「はい」」
「私からやります」

「ではよろしく頼む。そこの地面に線が引かれているだろ?そこからでなければなにをしても大丈夫だ」

「分かりました」

 カリスはそういうとダンジョンで魔物を遠距離から倒したときとは違い、目の前に直径10センチくらいのレンズのような透明な膜が形成する。それを覗きこんでいる。
 その間に、前作ったのと同じ一万度ほどのプラズマの球を形成する。今回は50センチくらいだ。

 5秒ほどレンズを覗きこんでいると、ついにカリスのもとから勢いよくプラズマの球がほんの刹那の間に的へと到達し、的は何でできていたかは知らないが融解したようで的を支える棒の先ごと地面に落ちている。

「合格……ですか?」

「合格!今のはどんなスキル使ったのかな?」

「いや、今回は魔法だけでやってみました」

 通りでダンジョンのときと違ったわけだ。でも、このレンズって俺が前に教えた知識だよな。それを試験にまで使ってくれたなんて嬉しいな!

「魔法だけで?!それは凄いな、流石推薦されただけあるな」

 試験官のエリックさんは驚きながらも推薦ということを理由にどこか納得していた様子もあった。予想では多分、スキルと魔法の併用だと思ったのだろう。

「ちょっと的新しく設置してくるから待っててな」

 そういうと的のいちまで瞬間移動か転移魔法かは分からないが瞬時にカリスが破壊した的のもとへ行った。

 流石試験官というべきかその辺りは当たり前なのだろうか。

 ◇

「新しい的を設置して来ましたよ。次に試験を受ける人はこのラインの手前に来てください」

 次に試験を受ける人。つまり、それは俺のことだから試験官に言われた通りに線の手前に行く。

「君か。もう的の準備はできてるから始めて大丈夫ですよ」

「その前に1つ質問をしてもいいですか?」

俺は折角だから訊いてみることにする。

「質問?別に構いませんよ」

「さっき的に行くときにパッと着いたのはなんだったんですか?」

「それはスキルだよ。空間操作系のスキルで、視界に入る場所なら大抵移動出来るね。ただ、連続で使用するには少々時間を置かないといけないから戦闘ではあまり使えないよ」

そんなスキルがあったのか。いい勉強になった。

「ありがとうございます!じゃあ始めますね」

 早速、的を破壊してみることにする。

 カリスのレンズ型の膜という面白いアイデアを参考にして俺はそれの応用みたいなもので的を破壊するとしよう。

 それはどういうものかと言うと太陽(?)の光をレンズを通して的一点に集中させるというものだ。
 この世界のこの光には何故かは分からないが可視光線以外にも赤外線や紫外線等のものも含まれていた。言うなれば、太陽の光そのものだ。だから、光を集約させるとその一点だけとても高温になるわけだ。

 小さい頃に虫眼鏡を使って、庭の雑草を燃やしてたのを思い出すなー。(注:真似をしては火事になる危険性があるのでやめましょう)

 空に1つの30メートル程ある大きなレンズを作る。作った素材は強化を施してある水だ。強化を必要とするとはいえ水の方は形の調整がしやすい。
 まだ、光はレンズの中で乱反射をしているだけである。

 そこで活躍をするのが俺の最近獲得をして使えるようになった【中 イメージ魔法効果補正】というものだ。

 それを使ったことにより、乱反射していた光が的の近くの地面に当たり出してきた。
 これを一撃というのは狡い気もするが的に当たるためにレンズの角度を少しずつ変えていく。それにより、ついに的に当てることができた。

 当たると的はカリスのときのように融けた。威力は劣るが。

「エリックさん、壊しましたよ」

 取り敢えず壊したので報告してみる。もしかしたらやり直すように言われてしまうかもしれない。

「あ、ああ。今回は特別あれで一撃とカウントすることにしましょう。微調整は放出系の魔法でもする場合があるから今回はその延長線上として特別にいいことにしますね。その代わりそういう、ルールの際を攻めるようなのはもうやめようね」

 良かったオッケーになった。
 いや、注意されたんだからよくないか。

 注意すると再び的のもとへ転移して新しい的を設置しに行った。この距離でわざわざ転移魔法(?)を使うのって地味に―――いや、普通にスゴい。俺と同じものだとすると、自身が保有する魔力のみでしか発動出来ないから俺にとってはそんな贅沢な使い方は出来ない。何せ、1回で持ってる魔力の1割以上は消費してしまうからだ。

 ◇

「次の人は準備が出来次第どうぞ」

 確か次はティアナだ。
 まさかとは思うがこんなに離れているのに剣は使わないよな?

 ティアナはラインの少し手前に立つと腰にある鞘から剣を抜きフェンシングの攻撃をするときの剣先を前に突き出すようないつもと明らかに違う構え方をする。

 ほんとに何をする気かわからなくなってきた。
 近距離戦中心のことしかなかったティアナは果たしてどのように壊すのだろうか。

 ティアナの剣はだんだん神々しい触ったら回復でもしそうな白い光を帯びていき、徐々によりその光は濃くなってきていた。
 そうなってから分かったのだがどうやら剣先にその光は流れるように集まっていた。

 そして、それはティアナのもとを離れ一筋の光となり的へと到達した。
 するともちろんのこと、的は木っ端微塵となったのが魔法を通して分かった。

「エリックさんどうですか?これは合格となりますか?」

 もう、壊れたのは確定だが、他の理由で不合格となっていないか?そんなことを確かめるかのようにティアナはエリックさんに訊ねる。

「勿論、合格ですよ。見事なものでしたね。剣を媒体としてあのようなことを成すのは初めて見ました。私は少し的を変えてきますね」

 合格だったみたいだ。
 エリックさんもそう感じたようだが何故剣を通して魔法を使ったのかが気になった。

「なあ、ティアナはさっきわざわざ剣を通して魔法を使ったんだ?」

「それは、剣を凄い強化しているので補正や威力の強化がされるなどの効果があってそうしたんですよ。そうでないと、あんな遠くの的を狙うことすらできませんからね」

 成る程、あれも剣技の一部ということでスキル等で強化されるということか。これで理由がわかり納得できた。


「砕けるというような状態ではなかったですが、全体が大きく変形していたから合格ですよ。ついでに新しい的も設置しておいたので次の人は始めてどうぞ。確かこれで全員やったことになりますよね?」

「「はい」」

 エリックさんは的もついでに設置したらしい。
 見た目相応に手際までよいとは……どこまでイケメンなんだ!

「最後はボクかー。〆に相応しい一発できるか少し心配だぞ」

 エンセリアは、〆とかだからと要らぬ心配をしていた。
 というか最後だからを飾ろうとかあるんだ。ほんとに異世界に来ているとは思えないほど考え方までほぼ一致しているというのは、少し怖い。

 早速エンセリアは張り切っており、今まで見たことなかった直径3メートルはあった黄色っぽいSFでみるような見事なレーザーだった。

 しかし、それは的を大きく外れてしまい周りの地面は小さな渓谷のような深さは最大で大凡10メートルくらいで直線状に500メートルは続いているにも関わらず、的には勿論何も変化は無い。

「今、しっかり狙ったか?」

 俺はエンセリアが魔法を調整してから撃ったようには見えなかったので訊いてみる。

 それにその手にしているステッキにはそういう効果はあるのか?でも、今はそれはいいや。

「え?あ、ああそうだった!すっかり威力だけに集中していたぞ」

 エンセリアは再びさっき外してしまった方へ向き直った。


 そして、狙いを定めたようで先程よりも少し小さくなった直径2メートル程の、謂わばさっきの小さいバージョンだ。
 レーザーは光速の8割、つまり亜光速で的へと届いたので、壊すまでの経路はよく分からなかったが小さな渓谷が的の上を通過したようで灰のようなものが残るだけで他のものは、押しのけられるように横に盛り上がっていたり、どこかに飛ばされ消えていた。

「凄まじいですね。わざわざ見に行く必要もありそうに無いです」

 エリックさんはそう感想を述べるが、まだ何か言いたそうな様子だった。
 多分この後の処理だろう。

 そうと仮定した俺は早速入試のときに使った時間逆行タイムリバースでカリスよって作られた試験の跡環境破壊を元どおりにする。勿論俺たちのもあったがカリスほどではなかった。

「……!ジェネレーティさんがやることじゃ無いですよ」

 元どおりになった試験が行われた跡を見て慌てたように言う。

「……しかも、私より早いし技量もーー」

 更にボソッとこんな独り言を呟いていた。
 これは反応はしない方がいいタイプだろう。

「あ、なんでも無いですよ。これで一次試験は終わりです。では、次の試験はあの施設の中でやります」

 次の試験もあるのか。
 でも高校の受験のときみたいに妙な緊張も無くただ楽しいと今は感じている。
 やはり俺は魔法が好きなのだろうか?
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