上 下
54 / 64
第3章 校外学習で色々稼ごう

52.落ち着こう

しおりを挟む
 おいおい、落ち着けって。
 まだ慌てる時間では無いはずだ。

 もしかしたら息子はあるかもしれないのだから。

 俺は恐る恐る下腹部に手を伸ば――やめよう。幾ら自分の身体のように扱えても中身は男なんだぞ?
 この世界へ飛ばされてこの姿になっていたことに気付いた時は割とガッツリ触ってしまったのだ。本当にあれは繰り返してはいけない。
 可能性としては、息子が何も主張をしていない、或いは無いかのどちらかである。

 .........待てよ? 身体洗う時にもう触ってしまっているでは無いか!
 そのときは身体を洗うという正当な理由により触らざるを得なかった。ということは、だ。今回も正当な理由さえあればカウントされないので無いだろうか?

 今日も冴えてますな~。
 では、今回はさっきの魔法によって変化が何かあったか確かめるため、という理由で十分だな。

 では、失礼します。もちろん服の上からだからね?

 ……!

 ある、あるではないか! いつもの俺が女になったと痛感させられるあれが……。

 あれだけ魔力を投じた魔法が……これだけ楽しみに、期待していた魔法が……なぜ、なぜなんだぁ゛ーー!!

 おっと、この俺が冷静さを失うとは。しかし、何故あれだけの魔力を使い魔法を使ったというのに何も変化が無いのだろうか。

 これもゲームからリアルに変わったことによるものなのか?

 ガチャ

 誰かがこちらに向かって歩いてくる音がする。

 俺は慌ててフードを被る。別に被らなくても認識の阻害効果は発揮してくれるのだが。

 すると路地裏の奥の方から、顔に傷が入った大剣を持った厳つい男の姿が見える。

 あれ見つかったら殺されるパターンだな。そんな他人事のように思う俺だが、その大剣は下手したら自分に牙を剥いていたのかもしれないのになんとも軽い感じだ。

「ここら辺だった気がするのになぁ。誰だよ、こんな夜中に暴れてるやつは……」

 そんな風に、とても機嫌が悪そうにブツブツと呟きながら通りの方に歩いていった。


 俺は残った魔力で宿の部屋まで一気に転移魔法で帰ることにした。もしかしたらここ周辺が軽い騒ぎになってしまって見つかったら大変そうだからだ。

 それに魔力を使い過ぎたな。行きに魔力を節約してここまで歩きでわざわざ歩きで来て、転移魔法を諦めたおかげで森でやるのを諦めたのに、帰りに使う羽目になるなら意味が無いじゃないか。でも、結果は分かったから悪くは無かった。


 俺は宿の部屋に転移した。流石に同じ部屋とはいえ、ベッドまでは同じでは無いのでこうやって抜け出せたのだ。今のみんなの様子を見る限り俺がこの部屋を抜け出したのはバレてなさそうだ。


 そんなことを考えながら自分のベッドの中に入る。

 しかし、なぜ魔法が発動したにも関わらず効果が無かったのだろうか。威力が足りてない? いや、あれだけの魔力を使ったんだ。その可能性は低いだろう。
 では、もしかして幻術系の魔法はこの街の中で使えないようになっているとか?
 現に俺はこの目でしっかりこの魔道具が効果を発揮しているのを見た。となると他に何か原因があるということだろう。他は何か? そんなのは分からない。でも、俺のハーレムを実現するには必要なはずだ。
 いずれ原因を突き止めなくてはならないが、今は今日の朝から活動するのだから寝ようか。
しおりを挟む

処理中です...