14 / 60
ハムストレム
6 取り扱い説明書
しおりを挟む
得られた情報を整理するのと、今後の予定を建てるために、一度宿に戻ろうということになり、シエルが取っている部屋にヴィルフリートも少し遅れてやってくる。
部屋の明かりは窓から差し込む日差しのみで、いくら昼過ぎとはいえ電気の明かりが普通だった自分には薄暗い。
外に出るときは着込んでいるケープは壁のフックに引っ掛けている。
そして上は黒のノースリーブのハイネックシャツと、下は細身のパンツを履いて、膝上までの高さのニーハイブーツ。
ゲーム時代もよくしていた格好なので、シエルになってもなんとなく部屋着としてこの衣装に落ち着いてしまった。
「どうしたの?入らないの?あ、お昼まだならヴィルも食べる?」
部屋に数歩入って、ヴィルフリートは1点を見つめて凝視し固まっている。テーブルの上には市場で買ってきた数種のパンと果物が置いてある。
一人では正直食べきれない量だが、食べ切れなかった分は手をつけていなければ、アイテムボックスに収納できることに気付いたので、後で食べる携帯食として問題はない。
あとはアイテムボックスに入っている間に、腐ってしまわないことを祈る。
「飯はいい。それよりその剣はどうした?」
ヴィルフリートが指差すのは、パンが置かれたテーブル奥の壁に立てかけられた一本の剣。
騎士や剣闘士が持つオードソックスなタイプで、柄の根元に光属性の魔石が嵌められ、柄から先に向かって刃が尖っていく。
刃の背には魔術文様が描かれ、持ち手の魔力に呼応するのだろうと推察できる。
だが、その剣をヴィルフリートは一度見た記憶があった。というよりもSランク冒険者であるヴィルフリートにどうかとすすめられたのだが、獲物が剣であることとS4ランク武器の高額さで断った。
その武器が何でもないように立てかけられている。
「ん?あれは買った」
「買ったってあれは500万メルは下らないだろうが!?S4ランクの武器だぞ!?」
「売り物かどうか聞いて値段聞いたら、800万メルっていうから買ったんだけど、やっぱりぼった価格だよね、ま、いいけど」
ゲーム時代の感覚で言えば、500万メルで庭付きの個人宅が購入できる。それと比較すれば高い方ではあるが買えない金額ではないし、今は財布の中には1000億以上入っている。
「まさかとは思うが、その場で現金払いか?」
「他に支払い方法でも?」
アイテムボックスから空間に出現させると驚かれるというのはヴィルフリートを見て理解している。
だから一旦店の外へでて、そこで800万メルを出してからもう一度店に入った。
お金は紙幣ではなく白金貨のみ。銅貨が一枚1メル。銀貨が1枚100メル。金貨が1000メル。そして白金貨が1万メルとなるので、800万メルは白金貨800枚。
(プレイヤー同士でお金や物をやり取りするときはトレード機能を使って直接アイテムボックスに収納出来てたから重さなんて関係なかったのに、800枚も白金貨が入った布袋は重過ぎ……)
ファンタジー世界であるアデルクライシスに、カード決済やスマホ決済を初めとした現金払い以外の支払い方法があるのなら是非教えてもらいたい。
だが、急にヴィルフリートは頭を抱え始めた。
「お前は……、あれだけ俺が目立つなって言ったのに……」
「別に大通りにあった武器屋で、剣一本買っただけだよ?お城とかギルドには行ってないし、ちょっと装備して、剣のスペックとか性能見てみたかっただけだよ?」
ぷるぷる震えて怒りのオーラを滲ませ始めたヴィルフリートに、何かマズイことをしただろうかと、つい視線が泳ぐ。
が、ほどなくヴィルフリートの雷が落ちた。
「城に行かなくても、高額な剣とか装備を現金払い一括で買うヤツがいたら十分目立つ!!」
「まさか、どこどこのお店の武器が誰に買われたとか噂になるわけ?」
「そうだ!金持ちの貴族や高ランクの冒険者なら使用目的は分かるし、ちょっと話題になるくらいだが、いきなりやってきた身元不明のやつがポンってS4ランク武器を買ったら十分騒ぎになる!」
「うっわ、なにその個人情報駄々漏れひどい!」
「個人っ!?何を言ってるか分からねぇけど、とにかくそこらへんの店で高い買い物をするな!いいな!?」
びしっと指をさして念押しされて、勢いに負けて不満はあったが渋々頷く。
自分のお金で買ったものに他人から文句をつけられるとは思わなかったが、思い出してみると白金貨800枚が入った袋をテーブルの上にドンと出したときは、店員だけでなく店にいた客全員の注目を浴び、慌てて店員が店の奥に店長を呼びに行った。
それを考えれば、確かに自分も現実世界で、目の前に1億円キャッシュで買い物する現場に居合わせたら、自分も注目するしネットにシェアするかもしれない。
「わかりました。もう軽はずみに高額なお買い物はしません」
「頼むからそうしてくれ……」
一応納得した姿勢を見せたことで、盛大な溜息をついてヴィルフリートもそこで怒りを収めてくれる。
「それじゃあ、これが半年前以降に現れたダンジョンの情報だ。これから向かうダンジョンを含めて5つ。内2つは調査済み。残り3つは未調査でこの3つはまだ冒険者へは公開されていない情報だ」
自分が座っている長いすの前まで来て、コートのポケットから一枚の紙を出す。
それを受け取り、
「頼んだ自分が言うのもアレなんだけど、教えてくれてありがとう」
昼間のチャットは深く考えずに頼んだけれど、これはかなりヴィルフリートにリスクを犯させているのではないかと思えはじめた。
ヴィルフリートがしたことは冒険者ギルドの極秘情報を、部外者へリークしていることに他ならない。
それだけでなく世界中から狙われているらしい自分と一緒に行動することは、必然ヴィルフリートにも危険が及ぶことは、想像に容易い。
「……もうPT抜ける?後悔してない?そのレヴィ・スーンっていうのだって、自分がそうである可能性が高いってだけで、確定じゃない。そんな相手のために、ヴィルがこれ以上危険を犯す必要はないよ」
手渡されたメモ用紙を握りしめ、わざと何でもない風を装い軽い口調で言ったのに、反対にヴィルフリートの眼は鋭くなり、自分の勘が少なからずヴィルフリートの内心を言い当てたのだろうと思う。
啓一郎は探したいが、誰かに必要外の迷惑はかけたくない。
やや時間を置いて、僅かに重い空気が流れる中、
「最初に俺に知る勇気と覚悟を問うたのはお前だ。俺はそれに応じると自分で決めた。後悔なんかするわけねぇ」
「自分がレヴィ・スーンじゃなかったとしても?」
「当然だ」
「せっかくPT解除する機会をあげたのに、あとで解除したくなっても知らないから」
「なめんなよ。誰がするか」
「ならいい」
もしヴィルフリートが望むなら本気でPT解除するつもりだった。新規ダンジョンの情報は得られたのだから、1人でも攻略できないことはないだろう。
ただ、ほんの少し旅が寂しくなるかもしれないだけで。
「3週間前に見つかったダンジョンはいつ向かう?」
「明後日、朝からだ。ハムストレムの大門前で調査メンバー2人と合流してから向かう」
部屋に入ってからずっと立ちっぱなしだったヴィルフリートが、打ち合わせの段階になってようやくテーブル前の椅子に腰掛けた。
立ち話でするには話しが長い。
「明後日?結構早いね」
こういう新規のダンジョン攻略には、事前に装備やアイテムを整えたりする時間が必要な気がするが、そこまで警戒するほどのダンジョンではないということだろうか。
ゲームでぱぱっと準備が揃うのではなく、リアルに準備をするならもっと時間がかかりそうなものだ。そうは言っても、シエル自身はアイテムボックス内に大量のアイテムが入っているので急なダンジョン攻略にも対処できる。
「ダンジョンは監視はついているが、メンバーが決まり次第いつでも調査が出来るように、事前準備のアイテムや装備は入り口で補給される」
「つまり身1つで行っても大丈夫ってこと?」
「そうだ。本来なら冒険者ギルドで事前調査を行うのが普通だ。だから報酬はゼロ。そのかわりアイテムの補給くらいは用意してもらえる。収入はダンジョンで倒した魔物の素材くらいだな」
「報酬ゼロかぁ、でもこっちから情報欲しがって行くって言ったんだから、文句は言えないところだね」
「ああ。あっちも調査前のダンジョンで、何があっても責任が取れないってこともあるだろうよ」
「じゃあダンジョンクリアできたら、お礼に自分から何か報酬をプレゼントするよ」
親しき者にも礼儀あり。
お礼は常に報酬+製作代金。
冒険者ギルドからの報酬がゼロなら、尚更謝礼はしっかりしておくべきだろう。これでもゲーム時代も親しいフレンドに装備やアイテムを貰った際には相応のお返し、またはメルを返礼していた自負がある。
のだが、
「……なんか嫌な予感がしたから、そこは遠慮しておく」
PT解除するか尋ねたときは、悩んでいたくせに、報酬プレゼントになると素で断られてしまった。
心からの謝礼で申し出たのに聞き捨てならない。
「嫌な予感って何?」
「言葉通りだ。俺の長年の経験が、お前がくれるものはヤバイと言ってる。あ、でも一個あるな」
「何?何?何のアイテム?」
パッとシエルの顔が明るくなり、
「アイテムじゃねぇ。暇な時でいいから一回、俺と手合わせしてもらっても、……そのあからさまに嫌な顔は何だ。少しは隠せ」
瞬く間に笑顔が消え失せた。
「だって、また手合わせかと思って……」
冒険者ギルドでも手合わせ手合わせとしつこかったばかりで、そういったのは暫く遠慮したいのだ。
「無理にとは言わない。気紛れに気が向いたときでいい」
「ん~……覚えてはおく……」
覚えてはおくけど、本当にするかどうかは分からない。
(これだけスペック差があるんだもん。どうせ私が圧勝しちゃう未来しか見えないのに)
チートキャラなんて分からないヴィルフリートは、単純に力試しをしたいのだろう。しかし、こちらとしては反則技で勝つようなものだから、フェアじゃない。軽い手合わせであってもめんどくささと申し訳なさが半々だ。
「ヴィル?大丈夫?」
ふと、ヴィルの様子がおかしく思い、声をかけた。
(じっとこちらを見てるけど、どうかしたのかな?)
ぼーっとしているのとも違う。周囲の音がヴィルフリートに何も入っていないような様子に、首をかしげる。途端にヴィルフリートはびくっと身を震わせ、我に戻ったのか口元を手のひらで隠す。
「え、あ…すまん、ちょっとぼーっとしてた……」
「ずっと気分の悪い自分を気にかけてくれてたし、ヴェニカの街でもどっかいっちゃってたりして疲れているんじゃない?そこのベッドで休んでいけばいいよ」
会ったばかりで見ず知らずの自分の世話をしてくれて、ハムストレムまで連れてきてもらったことを考えれば、それくらいなんてことはない。PTリストに見えているヴィルフリートのHPバーは全快しているけれど、数字では見えないところで疲労していることは十分にありえた。
(私だって馬酔いしていたときはHPバーは全快だけど、すっごく気分悪かったし)
明後日にはダンジョンにも向かうのだから、今のうちに休んでおくにこしたことはない。
俯いているヴィルフリートにあゆみより、そっと頬に手を添え、治癒を念じる。
「いや、さすがにそれは……、今、俺になにした?」
「ん、念のため回復魔法かけておいた。気休めでも回復するかなって」
頬から手を放し、驚き見上げるヴィルフリートの顔色をうかがう。やはり回復魔法はHPバーの数字にしか影響がないようで、それほどヴィルフリートの顔色が良くなったという気配は見つけられず、苦笑する。
「……無詠唱でか?」
「そういえば唱えなかったね。はは」
無意識の無詠唱だったけれど、簡単な魔法であれば他の魔法も詠唱することなく使えそうだと深く考えずに思う。
「ところで話変えるけど、明後日まで時間あるし、夜行きたいところあって、南街のフルールベルっていうお店知ってる?」
いつまでも押し問答の会話ではラチがあかないらば、題を昼間の果物屋で聞いた店についてヴィルフリートに尋ねる。
果物屋の主人には悪いけれど、一般的な収入の稼ぎで高級なお店に頻繁に行く余裕はないだろう。
となると、大衆向けのリーズナブルなお店で、あまり期待はできないだろうけれど、と付け足そうとして、ヴィルフリートが目を大きく見開いていることに気付く。
「は?お前、あんなところに何の用事あるんだ!?あそこがどんな店か分かってんのか!?」
「果物買ったお店の店主がすすめてくれたんだよ。お店のおねぇさんたちに、何か情報ないか聞きたくて。で、ヴィルフリート今何を想像したかちょっと教えてほしいな?店の名前聞いただけで、どんなお店か分かったってことは行ったことあるんだよね?」
でなければ、店の名前を聞いただけでそんなに慌てることはない筈だ。
自分の突っ込みに急にヴィルフリートはそわそわし始めた。
「ごほん、つかそれは置いといて、シエル、今後一緒に旅をしていく上で、一個聞いておきたいことがあるんだが、怒るなよ?変な意味はない。確認しておきたいだけだ」
「なに?」
咳払いしてわざとらしくと話題を変えてきたけれど、ヴィルフリートがフルールベルの店を知っていることは分かったので、夜になったら案内させよう。
その上で、旅をしていく上で確認が必要と言われたらスルーするわけにはいかない。
「男?女?どっちなわけ?」
「そんなこと?男でも女でもないけど?」
急に神妙な顔になって尋ねるものだから、実は自分が未調査のダンジョンに入るには、冒険者ギルドに入らないといけないとか、条件を出されたのかと疑ってしまった。
男か女か。
なんだ、そんなことかと肩透かしを食らった気分になった。
「そうか。男でも女でもないのか……、ってなんだそれ!?」
「なんだって言われても、そうなんだから仕方ないじゃない!」
いくら驚かれても自分のステータス覧には<Angelos:中性>と記載され、<Male:男性>でも<Female:女性>でもない。
「じゃあ、ずっと男でも女でもないままなのか?」
「たぶん……いや、ちょっと待って確認するから………」
何か特殊なアイテムを使えば、キャラリメイクという形で性別は変更できた。そのシステムが生きているか不安になる。
ほぼ現実世界となったアデルクライシスで性別を変更出来るアイテムがもしあるのなら、恐らくヴィルフリートは先ほどの質問をきっとしないだろう。
となると、確認できる手段としては、ずっと思い出すまいとしてきた黒の書をイベントアイテムボックスから取り出す。
何も書かれていない真っ黒な表紙の薄いノート。
自分が中学生の頃に書いたキャラ設定集。
「それは?」
「黒の書。シエル・レヴィンソンの取り扱い説明書。見たらコロス」
本気でヴィルフリートを睨みつける。いつものように何もない空間にポンと出現したノートにヴィルフリートの視線が寄せられるが、これだけは絶対に誰にも見られたくない。
自分で描いた物だが、自分で見るのも苦痛なノートだ。
「さようで」
黒の書を大事に胸に抱き、脱兎のごとく部屋の端っこに移動し、ヴィルフリートが遠くにいることを確認する。
そして深く深呼吸をし、覚悟を決めてページをパラリと開く。
【性別設定:Angelos】
男でもない女でもない単語 。俗に中性体または天使体と呼ばれる。
特定条件を満たすとで男にも女にもなれる。分性した後は別の性になることも、アンジェロスに戻ることもできない。
「いやあああああああああああ!!!」
「どうした!?」
突然大声を出した自分に、ヴィルフリートは駆け寄ろうとして、すぐに見るなと先に言われていたことを思い出したのか踏みとどまってくれた。
見る前から分かっていたことだが、黒の書の自分へのダメージは計り知れない。
「何でもないけど何でもあるっ……、(厨二全開だった頃の昔の)自分が、恐ろしいよぉ……」
何を考えてそんな設定にしたのか思い出せないが、あの頃の自分に一度会えるのならノートを取り上げて破り捨てて、啓一郎に見られる前に灰にしたい。
「おう、わからねぇけど、とりあえず落ち着け」
「結論から言うと、男か女になろうと思えばなれるっぽい……。でも一度男か女になったらもうその性で固定される、らしい……」
「つまりめんどくせぇ体質してるってことだな。分かったから、その書は片付けておけ」
「うん……」
(ていうか、特定条件って何!?キャラ設定書ってそこが一番大事な事でしょ!?)
イベントクリアならまだしも、特定アイテムの使用だったら気づかないうちに使用して性別が固定されたら、たまったものじゃない。
ヴィルフリートに慰められる形で、再び黒の書をイベントアイテムボックスの中に戻した。
部屋の明かりは窓から差し込む日差しのみで、いくら昼過ぎとはいえ電気の明かりが普通だった自分には薄暗い。
外に出るときは着込んでいるケープは壁のフックに引っ掛けている。
そして上は黒のノースリーブのハイネックシャツと、下は細身のパンツを履いて、膝上までの高さのニーハイブーツ。
ゲーム時代もよくしていた格好なので、シエルになってもなんとなく部屋着としてこの衣装に落ち着いてしまった。
「どうしたの?入らないの?あ、お昼まだならヴィルも食べる?」
部屋に数歩入って、ヴィルフリートは1点を見つめて凝視し固まっている。テーブルの上には市場で買ってきた数種のパンと果物が置いてある。
一人では正直食べきれない量だが、食べ切れなかった分は手をつけていなければ、アイテムボックスに収納できることに気付いたので、後で食べる携帯食として問題はない。
あとはアイテムボックスに入っている間に、腐ってしまわないことを祈る。
「飯はいい。それよりその剣はどうした?」
ヴィルフリートが指差すのは、パンが置かれたテーブル奥の壁に立てかけられた一本の剣。
騎士や剣闘士が持つオードソックスなタイプで、柄の根元に光属性の魔石が嵌められ、柄から先に向かって刃が尖っていく。
刃の背には魔術文様が描かれ、持ち手の魔力に呼応するのだろうと推察できる。
だが、その剣をヴィルフリートは一度見た記憶があった。というよりもSランク冒険者であるヴィルフリートにどうかとすすめられたのだが、獲物が剣であることとS4ランク武器の高額さで断った。
その武器が何でもないように立てかけられている。
「ん?あれは買った」
「買ったってあれは500万メルは下らないだろうが!?S4ランクの武器だぞ!?」
「売り物かどうか聞いて値段聞いたら、800万メルっていうから買ったんだけど、やっぱりぼった価格だよね、ま、いいけど」
ゲーム時代の感覚で言えば、500万メルで庭付きの個人宅が購入できる。それと比較すれば高い方ではあるが買えない金額ではないし、今は財布の中には1000億以上入っている。
「まさかとは思うが、その場で現金払いか?」
「他に支払い方法でも?」
アイテムボックスから空間に出現させると驚かれるというのはヴィルフリートを見て理解している。
だから一旦店の外へでて、そこで800万メルを出してからもう一度店に入った。
お金は紙幣ではなく白金貨のみ。銅貨が一枚1メル。銀貨が1枚100メル。金貨が1000メル。そして白金貨が1万メルとなるので、800万メルは白金貨800枚。
(プレイヤー同士でお金や物をやり取りするときはトレード機能を使って直接アイテムボックスに収納出来てたから重さなんて関係なかったのに、800枚も白金貨が入った布袋は重過ぎ……)
ファンタジー世界であるアデルクライシスに、カード決済やスマホ決済を初めとした現金払い以外の支払い方法があるのなら是非教えてもらいたい。
だが、急にヴィルフリートは頭を抱え始めた。
「お前は……、あれだけ俺が目立つなって言ったのに……」
「別に大通りにあった武器屋で、剣一本買っただけだよ?お城とかギルドには行ってないし、ちょっと装備して、剣のスペックとか性能見てみたかっただけだよ?」
ぷるぷる震えて怒りのオーラを滲ませ始めたヴィルフリートに、何かマズイことをしただろうかと、つい視線が泳ぐ。
が、ほどなくヴィルフリートの雷が落ちた。
「城に行かなくても、高額な剣とか装備を現金払い一括で買うヤツがいたら十分目立つ!!」
「まさか、どこどこのお店の武器が誰に買われたとか噂になるわけ?」
「そうだ!金持ちの貴族や高ランクの冒険者なら使用目的は分かるし、ちょっと話題になるくらいだが、いきなりやってきた身元不明のやつがポンってS4ランク武器を買ったら十分騒ぎになる!」
「うっわ、なにその個人情報駄々漏れひどい!」
「個人っ!?何を言ってるか分からねぇけど、とにかくそこらへんの店で高い買い物をするな!いいな!?」
びしっと指をさして念押しされて、勢いに負けて不満はあったが渋々頷く。
自分のお金で買ったものに他人から文句をつけられるとは思わなかったが、思い出してみると白金貨800枚が入った袋をテーブルの上にドンと出したときは、店員だけでなく店にいた客全員の注目を浴び、慌てて店員が店の奥に店長を呼びに行った。
それを考えれば、確かに自分も現実世界で、目の前に1億円キャッシュで買い物する現場に居合わせたら、自分も注目するしネットにシェアするかもしれない。
「わかりました。もう軽はずみに高額なお買い物はしません」
「頼むからそうしてくれ……」
一応納得した姿勢を見せたことで、盛大な溜息をついてヴィルフリートもそこで怒りを収めてくれる。
「それじゃあ、これが半年前以降に現れたダンジョンの情報だ。これから向かうダンジョンを含めて5つ。内2つは調査済み。残り3つは未調査でこの3つはまだ冒険者へは公開されていない情報だ」
自分が座っている長いすの前まで来て、コートのポケットから一枚の紙を出す。
それを受け取り、
「頼んだ自分が言うのもアレなんだけど、教えてくれてありがとう」
昼間のチャットは深く考えずに頼んだけれど、これはかなりヴィルフリートにリスクを犯させているのではないかと思えはじめた。
ヴィルフリートがしたことは冒険者ギルドの極秘情報を、部外者へリークしていることに他ならない。
それだけでなく世界中から狙われているらしい自分と一緒に行動することは、必然ヴィルフリートにも危険が及ぶことは、想像に容易い。
「……もうPT抜ける?後悔してない?そのレヴィ・スーンっていうのだって、自分がそうである可能性が高いってだけで、確定じゃない。そんな相手のために、ヴィルがこれ以上危険を犯す必要はないよ」
手渡されたメモ用紙を握りしめ、わざと何でもない風を装い軽い口調で言ったのに、反対にヴィルフリートの眼は鋭くなり、自分の勘が少なからずヴィルフリートの内心を言い当てたのだろうと思う。
啓一郎は探したいが、誰かに必要外の迷惑はかけたくない。
やや時間を置いて、僅かに重い空気が流れる中、
「最初に俺に知る勇気と覚悟を問うたのはお前だ。俺はそれに応じると自分で決めた。後悔なんかするわけねぇ」
「自分がレヴィ・スーンじゃなかったとしても?」
「当然だ」
「せっかくPT解除する機会をあげたのに、あとで解除したくなっても知らないから」
「なめんなよ。誰がするか」
「ならいい」
もしヴィルフリートが望むなら本気でPT解除するつもりだった。新規ダンジョンの情報は得られたのだから、1人でも攻略できないことはないだろう。
ただ、ほんの少し旅が寂しくなるかもしれないだけで。
「3週間前に見つかったダンジョンはいつ向かう?」
「明後日、朝からだ。ハムストレムの大門前で調査メンバー2人と合流してから向かう」
部屋に入ってからずっと立ちっぱなしだったヴィルフリートが、打ち合わせの段階になってようやくテーブル前の椅子に腰掛けた。
立ち話でするには話しが長い。
「明後日?結構早いね」
こういう新規のダンジョン攻略には、事前に装備やアイテムを整えたりする時間が必要な気がするが、そこまで警戒するほどのダンジョンではないということだろうか。
ゲームでぱぱっと準備が揃うのではなく、リアルに準備をするならもっと時間がかかりそうなものだ。そうは言っても、シエル自身はアイテムボックス内に大量のアイテムが入っているので急なダンジョン攻略にも対処できる。
「ダンジョンは監視はついているが、メンバーが決まり次第いつでも調査が出来るように、事前準備のアイテムや装備は入り口で補給される」
「つまり身1つで行っても大丈夫ってこと?」
「そうだ。本来なら冒険者ギルドで事前調査を行うのが普通だ。だから報酬はゼロ。そのかわりアイテムの補給くらいは用意してもらえる。収入はダンジョンで倒した魔物の素材くらいだな」
「報酬ゼロかぁ、でもこっちから情報欲しがって行くって言ったんだから、文句は言えないところだね」
「ああ。あっちも調査前のダンジョンで、何があっても責任が取れないってこともあるだろうよ」
「じゃあダンジョンクリアできたら、お礼に自分から何か報酬をプレゼントするよ」
親しき者にも礼儀あり。
お礼は常に報酬+製作代金。
冒険者ギルドからの報酬がゼロなら、尚更謝礼はしっかりしておくべきだろう。これでもゲーム時代も親しいフレンドに装備やアイテムを貰った際には相応のお返し、またはメルを返礼していた自負がある。
のだが、
「……なんか嫌な予感がしたから、そこは遠慮しておく」
PT解除するか尋ねたときは、悩んでいたくせに、報酬プレゼントになると素で断られてしまった。
心からの謝礼で申し出たのに聞き捨てならない。
「嫌な予感って何?」
「言葉通りだ。俺の長年の経験が、お前がくれるものはヤバイと言ってる。あ、でも一個あるな」
「何?何?何のアイテム?」
パッとシエルの顔が明るくなり、
「アイテムじゃねぇ。暇な時でいいから一回、俺と手合わせしてもらっても、……そのあからさまに嫌な顔は何だ。少しは隠せ」
瞬く間に笑顔が消え失せた。
「だって、また手合わせかと思って……」
冒険者ギルドでも手合わせ手合わせとしつこかったばかりで、そういったのは暫く遠慮したいのだ。
「無理にとは言わない。気紛れに気が向いたときでいい」
「ん~……覚えてはおく……」
覚えてはおくけど、本当にするかどうかは分からない。
(これだけスペック差があるんだもん。どうせ私が圧勝しちゃう未来しか見えないのに)
チートキャラなんて分からないヴィルフリートは、単純に力試しをしたいのだろう。しかし、こちらとしては反則技で勝つようなものだから、フェアじゃない。軽い手合わせであってもめんどくささと申し訳なさが半々だ。
「ヴィル?大丈夫?」
ふと、ヴィルの様子がおかしく思い、声をかけた。
(じっとこちらを見てるけど、どうかしたのかな?)
ぼーっとしているのとも違う。周囲の音がヴィルフリートに何も入っていないような様子に、首をかしげる。途端にヴィルフリートはびくっと身を震わせ、我に戻ったのか口元を手のひらで隠す。
「え、あ…すまん、ちょっとぼーっとしてた……」
「ずっと気分の悪い自分を気にかけてくれてたし、ヴェニカの街でもどっかいっちゃってたりして疲れているんじゃない?そこのベッドで休んでいけばいいよ」
会ったばかりで見ず知らずの自分の世話をしてくれて、ハムストレムまで連れてきてもらったことを考えれば、それくらいなんてことはない。PTリストに見えているヴィルフリートのHPバーは全快しているけれど、数字では見えないところで疲労していることは十分にありえた。
(私だって馬酔いしていたときはHPバーは全快だけど、すっごく気分悪かったし)
明後日にはダンジョンにも向かうのだから、今のうちに休んでおくにこしたことはない。
俯いているヴィルフリートにあゆみより、そっと頬に手を添え、治癒を念じる。
「いや、さすがにそれは……、今、俺になにした?」
「ん、念のため回復魔法かけておいた。気休めでも回復するかなって」
頬から手を放し、驚き見上げるヴィルフリートの顔色をうかがう。やはり回復魔法はHPバーの数字にしか影響がないようで、それほどヴィルフリートの顔色が良くなったという気配は見つけられず、苦笑する。
「……無詠唱でか?」
「そういえば唱えなかったね。はは」
無意識の無詠唱だったけれど、簡単な魔法であれば他の魔法も詠唱することなく使えそうだと深く考えずに思う。
「ところで話変えるけど、明後日まで時間あるし、夜行きたいところあって、南街のフルールベルっていうお店知ってる?」
いつまでも押し問答の会話ではラチがあかないらば、題を昼間の果物屋で聞いた店についてヴィルフリートに尋ねる。
果物屋の主人には悪いけれど、一般的な収入の稼ぎで高級なお店に頻繁に行く余裕はないだろう。
となると、大衆向けのリーズナブルなお店で、あまり期待はできないだろうけれど、と付け足そうとして、ヴィルフリートが目を大きく見開いていることに気付く。
「は?お前、あんなところに何の用事あるんだ!?あそこがどんな店か分かってんのか!?」
「果物買ったお店の店主がすすめてくれたんだよ。お店のおねぇさんたちに、何か情報ないか聞きたくて。で、ヴィルフリート今何を想像したかちょっと教えてほしいな?店の名前聞いただけで、どんなお店か分かったってことは行ったことあるんだよね?」
でなければ、店の名前を聞いただけでそんなに慌てることはない筈だ。
自分の突っ込みに急にヴィルフリートはそわそわし始めた。
「ごほん、つかそれは置いといて、シエル、今後一緒に旅をしていく上で、一個聞いておきたいことがあるんだが、怒るなよ?変な意味はない。確認しておきたいだけだ」
「なに?」
咳払いしてわざとらしくと話題を変えてきたけれど、ヴィルフリートがフルールベルの店を知っていることは分かったので、夜になったら案内させよう。
その上で、旅をしていく上で確認が必要と言われたらスルーするわけにはいかない。
「男?女?どっちなわけ?」
「そんなこと?男でも女でもないけど?」
急に神妙な顔になって尋ねるものだから、実は自分が未調査のダンジョンに入るには、冒険者ギルドに入らないといけないとか、条件を出されたのかと疑ってしまった。
男か女か。
なんだ、そんなことかと肩透かしを食らった気分になった。
「そうか。男でも女でもないのか……、ってなんだそれ!?」
「なんだって言われても、そうなんだから仕方ないじゃない!」
いくら驚かれても自分のステータス覧には<Angelos:中性>と記載され、<Male:男性>でも<Female:女性>でもない。
「じゃあ、ずっと男でも女でもないままなのか?」
「たぶん……いや、ちょっと待って確認するから………」
何か特殊なアイテムを使えば、キャラリメイクという形で性別は変更できた。そのシステムが生きているか不安になる。
ほぼ現実世界となったアデルクライシスで性別を変更出来るアイテムがもしあるのなら、恐らくヴィルフリートは先ほどの質問をきっとしないだろう。
となると、確認できる手段としては、ずっと思い出すまいとしてきた黒の書をイベントアイテムボックスから取り出す。
何も書かれていない真っ黒な表紙の薄いノート。
自分が中学生の頃に書いたキャラ設定集。
「それは?」
「黒の書。シエル・レヴィンソンの取り扱い説明書。見たらコロス」
本気でヴィルフリートを睨みつける。いつものように何もない空間にポンと出現したノートにヴィルフリートの視線が寄せられるが、これだけは絶対に誰にも見られたくない。
自分で描いた物だが、自分で見るのも苦痛なノートだ。
「さようで」
黒の書を大事に胸に抱き、脱兎のごとく部屋の端っこに移動し、ヴィルフリートが遠くにいることを確認する。
そして深く深呼吸をし、覚悟を決めてページをパラリと開く。
【性別設定:Angelos】
男でもない女でもない単語 。俗に中性体または天使体と呼ばれる。
特定条件を満たすとで男にも女にもなれる。分性した後は別の性になることも、アンジェロスに戻ることもできない。
「いやあああああああああああ!!!」
「どうした!?」
突然大声を出した自分に、ヴィルフリートは駆け寄ろうとして、すぐに見るなと先に言われていたことを思い出したのか踏みとどまってくれた。
見る前から分かっていたことだが、黒の書の自分へのダメージは計り知れない。
「何でもないけど何でもあるっ……、(厨二全開だった頃の昔の)自分が、恐ろしいよぉ……」
何を考えてそんな設定にしたのか思い出せないが、あの頃の自分に一度会えるのならノートを取り上げて破り捨てて、啓一郎に見られる前に灰にしたい。
「おう、わからねぇけど、とりあえず落ち着け」
「結論から言うと、男か女になろうと思えばなれるっぽい……。でも一度男か女になったらもうその性で固定される、らしい……」
「つまりめんどくせぇ体質してるってことだな。分かったから、その書は片付けておけ」
「うん……」
(ていうか、特定条件って何!?キャラ設定書ってそこが一番大事な事でしょ!?)
イベントクリアならまだしも、特定アイテムの使用だったら気づかないうちに使用して性別が固定されたら、たまったものじゃない。
ヴィルフリートに慰められる形で、再び黒の書をイベントアイテムボックスの中に戻した。
0
あなたにおすすめの小説
ゲーム内転移ー俺だけログアウト可能!?ゲームと現実がごちゃ混ぜになった世界で成り上がる!ー
びーぜろ
ファンタジー
ブラック企業『アメイジング・コーポレーション㈱』で働く経理部員、高橋翔23歳。
理不尽に会社をクビになってしまった翔だが、慎ましい生活を送れば一年位なら何とかなるかと、以前よりハマっていたフルダイブ型VRMMO『Different World』にダイブした。
今日は待ちに待った大規模イベント情報解禁日。その日から高橋翔の世界が一変する。
ゲーム世界と現実を好きに行き来出来る主人公が織り成す『ハイパーざまぁ!ストーリー。』
計画的に?無自覚に?怒涛の『ざまぁw!』がここに有る!
この物語はフィクションです。
※ノベルピア様にて3話先行配信しておりましたが、昨日、突然ログインできなくなってしまったため、ノベルピア様での配信を中止しております。
『冒険者をやめて田舎で隠居します 〜気づいたら最強の村になってました〜』
チャチャ
ファンタジー
> 世界には4つの大陸がある。東に魔神族、西に人族、北に獣人とドワーフ、南にエルフと妖精族——種族ごとの国が、それぞれの文化と価値観で生きていた。
その世界で唯一のSSランク冒険者・ジーク。英雄と呼ばれ続けることに疲れた彼は、突如冒険者を引退し、田舎へと姿を消した。
「もう戦いたくない、静かに暮らしたいんだ」
そう願ったはずなのに、彼の周りにはドラゴンやフェンリル、魔神族にエルフ、ドワーフ……あらゆる種族が集まり、最強の村が出来上がっていく!?
のんびりしたいだけの元英雄の周囲が、どんどんカオスになっていく異世界ほのぼの(?)ファンタジー。
最低のEランクと追放されたけど、実はEXランクの無限増殖で最強でした。
MP
ファンタジー
高校2年の夏。
高木華音【男】は夏休みに入る前日のホームルーム中にクラスメイトと共に異世界にある帝国【ゼロムス】に魔王討伐の為に集団転移させれた。
地球人が異世界転移すると必ずDランクからAランクの固有スキルという世界に1人しか持てないレアスキルを授かるのだが、華音だけはEランク・【ムゲン】という存在しない最低ランクの固有スキルを授かったと、帝国により死の森へ捨てられる。
しかし、華音の授かった固有スキルはEXランクの無限増殖という最強のスキルだったが、本人は弱いと思い込み、死の森を生き抜く為に無双する。
貧乏冒険者で底辺配信者の生きる希望もないおっさんバズる~庭のFランク(実際はSSSランク)ダンジョンで活動すること15年、最強になりました~
喰寝丸太
ファンタジー
おっさんは経済的に、そして冒険者としても底辺だった。
庭にダンジョンができたが最初のザコがスライムということでFランクダンジョン認定された。
そして18年。
おっさんの実力が白日の下に。
FランクダンジョンはSSSランクだった。
最初のザコ敵はアイアンスライム。
特徴は大量の経験値を持っていて硬い、そして逃げる。
追い詰められると不壊と言われるダンジョンの壁すら溶かす酸を出す。
そんなダンジョンでの15年の月日はおっさんを最強にさせた。
世間から隠されていた最強の化け物がいま世に出る。
出戻り勇者は自重しない ~異世界に行ったら帰って来てからが本番だよね~
TB
ファンタジー
中2の夏休み、異世界召喚に巻き込まれた俺は14年の歳月を費やして魔王を倒した。討伐報酬で元の世界に戻った俺は、異世界召喚をされた瞬間に戻れた。28歳の意識と異世界能力で、失われた青春を取り戻すぜ!
東京五輪応援します!
色々な国やスポーツ、競技会など登場しますが、どんなに似てる感じがしても、あくまでも架空の設定でご都合主義の塊です!だってファンタジーですから!!
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばす 規格外ダンジョンに住んでいるので、無自覚に最強でした
むらくも航
ファンタジー
旧題:ただのFランク探索者さん、うっかりSランク魔物をぶっとばして大バズりしてしまう~今まで住んでいた自宅は、最強種が住む規格外ダンジョンでした~
Fランク探索者の『彦根ホシ』は、幼馴染のダンジョン配信に助っ人として参加する。
配信は順調に進むが、二人はトラップによって誰も討伐したことのないSランク魔物がいる階層へ飛ばされてしまう。
誰もが生還を諦めたその時、Fランク探索者のはずのホシが立ち上がり、撮れ高を気にしながら余裕でSランク魔物をボコボコにしてしまう。
そんなホシは、ぼそっと一言。
「うちのペット達の方が手応えあるかな」
それからホシが配信を始めると、彼の自宅に映る最強の魔物たち・超希少アイテムに世間はひっくり返り、バズりにバズっていく──。
田舎娘、追放後に開いた小さな薬草店が国家レベルで大騒ぎになるほど大繁盛
タマ マコト
ファンタジー
【大好評につき21〜40話執筆決定!!】
田舎娘ミントは、王都の名門ローズ家で地味な使用人薬師として働いていたが、令嬢ローズマリーの嫉妬により濡れ衣を着せられ、理不尽に追放されてしまう。雨の中ひとり王都を去ったミントは、亡き祖母が残した田舎の小屋に戻り、そこで薬草店を開くことを決意。森で倒れていた謎の青年サフランを救ったことで、彼女の薬の“異常な効き目”が静かに広まりはじめ、村の小さな店《グリーンノート》へ、変化の風が吹き込み始める――。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる