ままたよ

Monokawa Shusuke

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風呂上がり、私は休憩室でここについて調べてみることにした。「ぬくもり亭」と打ったところで、サジェストに「ぬくもり亭 幽霊」と出てきた。検索してみると、あるブログが出てきた。

...

震井夜月の百物語 #78

お久しぶりです!震井ふるい夜月よつきです!

皆さん、旅行にはよく行きますか?国内も国外も良い所、いっぱいありますよね!ですが、旅行で重要なのがもう一つあります。それは、「宿泊先」です。私は一度とある場所のホテルに行ったことがあるんですが、安さだけで選んだせいで、そこ結構ボロかったんですよね...。田舎だったのもあって網戸の隙間から蛾が入って来て、その夜はまともに寝れませんでした(苦笑)。それ以来は少し高くてもサービスが充実したホテルや民泊を選ぶようにしています。

閑話休題それはさておき、楽しい旅行も選ぶ宿泊先一つで忘れられないような恐怖体験になってしまうかもしれません。ということで今回は視聴者さんから頂いた、旅行先での心霊体験についてお話したいと思います。連絡下さったササミネコさん、ありがとうございました!

これはササミネコさんが登山に行った時の話です。

登山が趣味のササミネコさんは、朝イチでとある山を制覇しようと、近くの「ぬくもり亭」という民泊に泊まっていたそうです。リフォームしたてだったそうで、安い割に悪くないサービスにササミネコさんはかなり満足していたらしいんですが... 深夜、ふと目が覚めました。

どこからか変な音が聞こえてくるのです。「パキッ...パキッ...」という小さな、乾いた音がずっと続いていたんです。「隣の部屋かな」と思ったそうですが、それにしては音がはっきり聞こえる。ササミネコさんは嫌な予感がして布団から恐る恐る顔を上げると... そこには青白い肌をした虚ろな女が畳に座っていました。女は自分の手の爪を必死に食べていたんです。あのパキッという音は爪を食べる音だったのです。ササミネコさんは思わず悲鳴を上げ、従業員さんにそれを訴えましたが、部屋に戻った時には誰もいなかったそうです。結局、ササミネコさんを信じてくれる人は誰もいませんでした。

いかがでしたでしょうか?トラウマになっちゃいそうな体験でしたね。爪を食べる怪異ってあまり聞いたことありませんよね。ちなみにこれは後日談なのですが、翌朝、山登りの準備をしようと荷物を整理していた時、畳の上に誰かの爪の欠片が落ちていてぞっとしたそうです。あの夜ササミネコさんが見たあの女は何だったのでしょうか?

それでは良きオカルトライフを!

─ 震井夜月

...

これだ。間違いない。このササミネコさんはここに泊まった人だ。しかも部屋にあの女がいたってことは、この人は陸の部屋に泊まってたんだろう。私はリンクを乙瀬に送った。

時間は22:08。そろそろ寝るか。

そう思った時、周防が休憩室に入ってきた。

「あ、やっほ」
「また飲み物?」
「いや、ここの卓球スペース使わせて貰えるらしいから、卓球したいなって思って」

そういえば、卓球台置いてあるな。民泊っぽい。

「いいね」
「そろそろみんなも来ると思うから、はいこれ。ラケット」
「ありがと」

数分後、3人が降りてきた。乙瀬が缶チューハイを片手にやって来たのを見て、さっきまでのシリアスな雰囲気は何だったと思ったが、口には出さなかった。

...

8/6

こうして時間はあっという間に過ぎ、気づけば深夜1時。2時間も卓球をしていたことに驚いたが、今はそれどころではない。

現在時刻、朝4時半。もれなく全員寝不足である。何とかハイキングには行けそうだが、古谷は二日酔いからか頭痛がするらしく、一応落ち着くまで部屋にいるらしい。

ということで、ハイキングは4人で行くことになった。

...

重い目をこすりながら、私達はハイキングコースを歩き始めた。意外にも傾斜の激しいコースは、正直かなりキツかった。

10分くらい経った所で、朝月が言った。

「そういえば、昨日勇耶ゆうやが言ってた行方不明の人って、ハイキングしてたんじゃなかったっけ?」
「ちょっと... 怖いこと言わないでよ」

確かにそうだった。行方不明になった2人は行方不明になっていた。乙瀬が小さい声で話しかけてきた。

「そんな話してたの?」
「うん、確かぬくもり亭に泊まってた旅行客2人が行方不明になった事件があったんだ。5年前だから... 2019年だね。」
「...偶然じゃなさそうだな」
「え?」
「昨日、館内マップ送っただろ?確かあそこが今の間取りになったのも2019年だったんだ」
「チューハイ飲んでたのにちゃんと調べてたんだ」
「それは... 別にいいだろ」
「でも、それはさすがに考えすぎじゃない?偶然被ることもあるでしょ」
「いや、関係あるかもしれない。後で調べてみよう」

...

どれくらい時間が経っただろうか。遂に私達はコースのゴールに到着した。といっても、特にすることはなかったので写真だけ撮って帰ったのだが。

まあでも景色も良かったし、自然に触れる機会もあまりないし、悪くはなかったと思う。物凄く眠かったけど。

さて、行くか。

あくびを押し殺して、私はある場所へ向かうことにした。
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