ままたよ

Monokawa Shusuke

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2.

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ついに夕食の時間だ。私は一階の宴会場に向かった。

襖をスライドさせるともう僕以外のメンバーは揃っていた。

「ごめん、遅れた」
「お、来た来た」
「はやく食べようぜ」

僕は古谷の右に座ると、目の前に置かれた御膳に目を向けた。山菜などの山の幸がふんだんに使われている。
早速、私達は食べ始めた。

昼時間がなく何も食べることができなかったので空腹だった私はがっついた。めっちゃ美味い。一人で感動していると、古谷がスマホの画面を見せてきた。

「なあ、これ知ってるか?」

それは行方不明者の貼り紙の画像だった。

...

捜しています!


前原まえはら秀介しゅうすけさん 米原よねはら美絵みえさん→


舞田まいだ五樹いつきさん 田山たやま浩一こういちさん→


2019年12月19日、旅館「ぬくもり亭」に宿泊していた米原よねはら美玖みくさん(当時22歳)と前原まえはら秀介しゅうすけさん(当時24歳)がハイキング中に行方不明になりました。さらに翌日、2人の捜索を行っていた亜寒村の住民、田山たやま浩一こういちさん(当時45歳)と舞田まいだ五樹いつきさん(当時37歳)の安否も不明になりました。

2019年12月19日以降に上記4名らしき人物を目撃した方がいらっしゃいましたら、以下の電話番号に情報提供にご協力下さいますようお願い申し上げます。

058-■■■-■■■■
岐阜県警 生活安全課

...

「何これ?」

お浸しの小皿を片手に、私は言った。

「5年前にここに来たカップルが行方不明になってるらしくてさ。ほら、名前見てみろよ」
「名前?別に変な所ないと思うけど...」
「ほら、この前原って奴だよ。字は違うけどお前と同じ名前じゃん」
「いや、まあ確かにそうだけどさ」
「お前も迷子になってコイツみたいになんなよ?」
「やめなよ、そんな縁起悪いこと...」
「てかそんな事件あったの?」

朝月と周防が会話に加わる。

一方の乙瀬は食欲がないらしく、ほとんど御膳を食べていない。かなり珍しい。心なしか調子も少し悪そうだ。あわよくば乙瀬の分も食べたいなと思った私は古谷、朝月、周防が話しているのを横目で見、乙瀬に話しかけた。

「なあ、涼?」
「え?」
「どした?調子悪いのか?」
「ああ、いや。別に何でもない。ちょっと苦手な物が多くて...」

違う、私にはその確証があった。

乙瀬が苦手な物は海藻や貝類などの海産物だ。実際、今まで乙瀬が海産物以外を避けているのは見たことがない。気になりはしたが、その時の私は聞かなかった。隠すほどの何かがあったならこの場では聞かれたくないはずだ。

「何かあったのか?」
「...別に」
「後で聞かせてくれよ。この後部屋行くから。ここでは話しづらい内容なんだろ?」
「...分かった。誰にも言うなよ?」
「オッケー」

ちなみに、乙瀬の部屋は客間よんだ。

「あ、それとさ」
「ん?」
「食べないなら食べていい?」
「めっちゃ食うじゃん」

...

凄く美味しかった。メシウマはポイント高い。まだ余韻に浸っている私は乙瀬に連れられて客間肆へ向かった。
階段を登った後、客間陸をちらちらと見ていたのが気になった。

乙瀬はドアを開け、私を招き入れるとそっとドアを閉め、鍵をかけた。

「いや、何で鍵かけた?」
「不安なんだ」
「不安...?何が?」
「...」

乙瀬は気まずそうに視線を逸らす。

「...分かった。それには触れない。それで...涼、何でそんな警戒してるんだ?」
「...さっきも言ったけど、誰にも言うなよ?」
「分かってるって!」

乙瀬は話し始めた。

...

同日 17:23

...暇だなぁ
参った。時間がありすぎる。Wi-Fiがあるから退屈はしないと思っていたが、そんなことは無かった。女子陣もシュウもどっか行っちゃったし...。とりあえず、こういう時は何をするといいか調べよう。Guugleを開き、検索バーに「民泊 暇 何する」と入力。調べてみるがヒットするのは今はできないことばかり。

「ここの散策でもするか...」
そう宙に言い放った時。

パキッ...パキパキッ
微かな音がどこかから聞こえてきた。何とも言えない音だった。

何となく気になった俺は部屋を出、その音源を探し始めた。客間のいちさんと順番にあの音がするか耳を扉に押し当ててみる。そして最後、ろくの扉に耳を当ててみる。
パキッ...パキッ...パキッ...
ここだ。

試しにノックしてみる。コンコン...

数秒待つが応答はない。しかし、絶えず音は聞こえてくる。生唾を飲み、ドアノブを掴み、押す。

...開かない。

手詰まりかと思った俺は、何を思ったかドアノブを引いた。

ガチャッ

ドアは呆気なく開いた。そして、その隙間からある物が見えた。

弱々しく背中を丸めた虚ろな目の女性がベッドの上に座っていた。自分の足の爪を貪っている。十数日間食事をしていなかったかのように、一生懸命。あの音の正体は彼女が爪を食う音だったのだ。

...

戦慄した。乙瀬に言う。


「なあ、その音ってさ...今聞こえてるみたいなやつ?」


数秒の沈黙。しかし、それはすぐに破られた。


パキッ
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