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アルバートルートへの入口
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どうしよう、と頭を抱えずにはいられなかった。
攻略対象、全員と繋がってしまった…。
偶然にしては出来すぎている。
俺は無心に、使える初級魔法を邸の庭園にある花達に当てていた。
どうやら俺の家系は水魔法使いらしい。
なので、とりあえず水を狙った的に撃てる…いやただ、花に水やりのついでに使っている。
これくらいなら出来るが、これ以上の魔法なんて使えるんだろうか。
例えば、小規模の洪水を起こしてみる…とか?
「リオはやっぱり器用だな。魔力の残量には気を付けるんだぞ」
「ありがと、レオ兄。大丈夫、これくらいなら庭園全部に水やりしても魔力残るっぽいし」
「普通当てるのは、水じゃなくて氷なんだけどな…氷の方が楽でもあるし…」
「そうなの?」
わしゃ、と頭を撫でくりまわされる。
からの…ハグ。
後ろから抱きつかれるのにも慣れたもんだ。
相手はレオン、兄貴、だから大丈夫。
…、と、毎回自分に言い聞かせてる。
心配事…と言えばもう一つ。
どうやら俺は、アルバートの婚約者だったらしい。
だから堂々と会えるのかと、気付いたのは随分後で…我ながら能天気すぎやしないかと思ったけど、それくらいでいいのかもしれない。
初秋は過ぎ、半ばに差し込んだ。
もし、もし主人公が転生者ならば、そろそろ行動に移してもおかしくない。
だというのに、ユーリもレオンもセシルも…俺にばかり構う!
おかしい!ユーリルートならとっくにカップル成立してるし、レオンルートなら絶賛恋心を育み中、セシルルートも初々しいカップルが出来上がってる頃だ。
…それが無いという事は、主人公はアルバートが狙い…なのかな。
「どうした、リオ。顔色が良くないぞ」
「え…、…ああ、ちょっと考え事」
「…何があっても、俺はリオの味方だからな」
「……ありがとう」
主人公にいつ心奪われるかもしれない兄のその一言が、嬉しくて少しだけ…報われた気がした。
「冬休みに入る前の修了式後にパーティーを開くけれど、もちろんリオも来るよね?」
「…パーティー…」
そういえばそんなイベントもあった気がする。
まだ一ヶ月程先だし、深くは考えてなかったけど。
確かそこでルートに入った攻略対象を選ぶと、好感度がレベルMAXになる。
そして卒業式の後にもある、国王も出席するもっと大きなパーティーでエンディングを迎える、という流れだ。
確かに俺はアルバートと踊りたい。
赤い糸の先は、この人がいい…。
『先輩、赤い糸の契りって知ってますよね?』
『あ…、結ばれた相手と幸せになるってやつだよな』
『はい。運命の相手と無事結ばれると男でも子を成せる事も出来る赤い糸の契り。凄いですよね。…でも、もし相手が運命の人では無かったら、子を成す事も出来ず、その時婚姻した相手とは離れなければいけない。…少し、呪いみたい…ですよね』
赤い糸の契り。
セシルから聞いた事と、俺の知っている情報は殆ど一緒だった。
けれど…運命の人ではなかったら、なんて考えた事もなかった。
俺の赤い糸は、本当にアルバートと繋がってるの?
…可視化出来ないものは、分からない。
「…あれ、リオ?」
セシルとの会話を思い出していたら、自然と歩みが遅くなってたらしい。
気付いたアルバートが声をかけてくれて、その方向に行こうとした時…。
それは本当に、唐突に感じた。
……アルバートルートが、この廊下の角から始まる。
曲がってくる主人公とアルバートがぶつかって、そこから二人の距離は一気に縮まっていく。
そして、ダンスパーティーで踊る、二人。
頭の中に一気に情報が、ゲーム画面越しの記憶が蘇る。
これは、……警告だ。
「…っ、アル…!」
「!」
ぐい、とアルの袖を引っ張り自分の方向へ引き戻す。
「わ、…!」
引き戻す時に無駄に力が入ったのか、足元がぐらりと歪み俺はアルバートを巻き込みながら転びそうになった。
「リオ!」
今度はアルバートに引っ張られ、転ぶことは避けられたが、体勢を崩してしまって…。
「……、っ!?」
唐突に、唇が触れ合った。
重なるという程深くはなく、触れ合う…という表現が正しいくらいの感触。
それでも確かに、俺とアルバートはキスをしていた。
アルバートより背の低い俺は、彼の背で隠れてしまっているけれど、何をしているかくらい分かる。
「…、っ、まって…」
目の前のアルバートの胸元を掴み、引き止める。
コツコツと聞こえる革靴の音。
…曲がってきた!
俺は必死に声を押し殺し、アルバートの胸元に顔を埋める。
アルバートは何も言わずただ俺を抱きしめてくれている。…本当に優しい人だ。
こんな時間が長く続けばいいのにと思うけど、それよりも怖いのはアルバートと主人公が出逢ってしまうこと。
お願いだから、早く行って…!!
コツ、と音がアルバートの後ろを通り過ぎていく。
だんだんと遠ざかっていく音に、俺は安心したのか、アルバートに寄り掛かっていた。
…また震えてる、俺の手。
そっか…怖いんだ。
アルバートを取られるかもしれないのが、怖いんだ。
「ごめんアル…、服引っ張っちゃって…」
「構わないよ。…それにしても」
アルバートの指が口元に当てられて擽ったい。
言葉の続きが気になった俺はアルバートを見上げると、意地悪な…見た事のないアルバートの顔があった。
初めて見た…、アルバートってこんな顔するの?
「まさかリオからキスの催促をされるなんて思ってもなかったよ」
「さ、催促!?」
俺そんなつもりじゃ…!でも結局キスしちゃったし…って、違くて!
何度否定してもアルバートは笑いながら俺をからかい続けた。
思わず笑ってしまうのは、絶対アルバートのせい。
視界の端にこちらを見る人物に気付き、流石にイチャつきすぎて怒られるのかも、と、思い振り返ると…。
「……え…」
睨み付けてくる、グラデーションのコスモス。
それはとても、冷たい瞳だった。
攻略対象、全員と繋がってしまった…。
偶然にしては出来すぎている。
俺は無心に、使える初級魔法を邸の庭園にある花達に当てていた。
どうやら俺の家系は水魔法使いらしい。
なので、とりあえず水を狙った的に撃てる…いやただ、花に水やりのついでに使っている。
これくらいなら出来るが、これ以上の魔法なんて使えるんだろうか。
例えば、小規模の洪水を起こしてみる…とか?
「リオはやっぱり器用だな。魔力の残量には気を付けるんだぞ」
「ありがと、レオ兄。大丈夫、これくらいなら庭園全部に水やりしても魔力残るっぽいし」
「普通当てるのは、水じゃなくて氷なんだけどな…氷の方が楽でもあるし…」
「そうなの?」
わしゃ、と頭を撫でくりまわされる。
からの…ハグ。
後ろから抱きつかれるのにも慣れたもんだ。
相手はレオン、兄貴、だから大丈夫。
…、と、毎回自分に言い聞かせてる。
心配事…と言えばもう一つ。
どうやら俺は、アルバートの婚約者だったらしい。
だから堂々と会えるのかと、気付いたのは随分後で…我ながら能天気すぎやしないかと思ったけど、それくらいでいいのかもしれない。
初秋は過ぎ、半ばに差し込んだ。
もし、もし主人公が転生者ならば、そろそろ行動に移してもおかしくない。
だというのに、ユーリもレオンもセシルも…俺にばかり構う!
おかしい!ユーリルートならとっくにカップル成立してるし、レオンルートなら絶賛恋心を育み中、セシルルートも初々しいカップルが出来上がってる頃だ。
…それが無いという事は、主人公はアルバートが狙い…なのかな。
「どうした、リオ。顔色が良くないぞ」
「え…、…ああ、ちょっと考え事」
「…何があっても、俺はリオの味方だからな」
「……ありがとう」
主人公にいつ心奪われるかもしれない兄のその一言が、嬉しくて少しだけ…報われた気がした。
「冬休みに入る前の修了式後にパーティーを開くけれど、もちろんリオも来るよね?」
「…パーティー…」
そういえばそんなイベントもあった気がする。
まだ一ヶ月程先だし、深くは考えてなかったけど。
確かそこでルートに入った攻略対象を選ぶと、好感度がレベルMAXになる。
そして卒業式の後にもある、国王も出席するもっと大きなパーティーでエンディングを迎える、という流れだ。
確かに俺はアルバートと踊りたい。
赤い糸の先は、この人がいい…。
『先輩、赤い糸の契りって知ってますよね?』
『あ…、結ばれた相手と幸せになるってやつだよな』
『はい。運命の相手と無事結ばれると男でも子を成せる事も出来る赤い糸の契り。凄いですよね。…でも、もし相手が運命の人では無かったら、子を成す事も出来ず、その時婚姻した相手とは離れなければいけない。…少し、呪いみたい…ですよね』
赤い糸の契り。
セシルから聞いた事と、俺の知っている情報は殆ど一緒だった。
けれど…運命の人ではなかったら、なんて考えた事もなかった。
俺の赤い糸は、本当にアルバートと繋がってるの?
…可視化出来ないものは、分からない。
「…あれ、リオ?」
セシルとの会話を思い出していたら、自然と歩みが遅くなってたらしい。
気付いたアルバートが声をかけてくれて、その方向に行こうとした時…。
それは本当に、唐突に感じた。
……アルバートルートが、この廊下の角から始まる。
曲がってくる主人公とアルバートがぶつかって、そこから二人の距離は一気に縮まっていく。
そして、ダンスパーティーで踊る、二人。
頭の中に一気に情報が、ゲーム画面越しの記憶が蘇る。
これは、……警告だ。
「…っ、アル…!」
「!」
ぐい、とアルの袖を引っ張り自分の方向へ引き戻す。
「わ、…!」
引き戻す時に無駄に力が入ったのか、足元がぐらりと歪み俺はアルバートを巻き込みながら転びそうになった。
「リオ!」
今度はアルバートに引っ張られ、転ぶことは避けられたが、体勢を崩してしまって…。
「……、っ!?」
唐突に、唇が触れ合った。
重なるという程深くはなく、触れ合う…という表現が正しいくらいの感触。
それでも確かに、俺とアルバートはキスをしていた。
アルバートより背の低い俺は、彼の背で隠れてしまっているけれど、何をしているかくらい分かる。
「…、っ、まって…」
目の前のアルバートの胸元を掴み、引き止める。
コツコツと聞こえる革靴の音。
…曲がってきた!
俺は必死に声を押し殺し、アルバートの胸元に顔を埋める。
アルバートは何も言わずただ俺を抱きしめてくれている。…本当に優しい人だ。
こんな時間が長く続けばいいのにと思うけど、それよりも怖いのはアルバートと主人公が出逢ってしまうこと。
お願いだから、早く行って…!!
コツ、と音がアルバートの後ろを通り過ぎていく。
だんだんと遠ざかっていく音に、俺は安心したのか、アルバートに寄り掛かっていた。
…また震えてる、俺の手。
そっか…怖いんだ。
アルバートを取られるかもしれないのが、怖いんだ。
「ごめんアル…、服引っ張っちゃって…」
「構わないよ。…それにしても」
アルバートの指が口元に当てられて擽ったい。
言葉の続きが気になった俺はアルバートを見上げると、意地悪な…見た事のないアルバートの顔があった。
初めて見た…、アルバートってこんな顔するの?
「まさかリオからキスの催促をされるなんて思ってもなかったよ」
「さ、催促!?」
俺そんなつもりじゃ…!でも結局キスしちゃったし…って、違くて!
何度否定してもアルバートは笑いながら俺をからかい続けた。
思わず笑ってしまうのは、絶対アルバートのせい。
視界の端にこちらを見る人物に気付き、流石にイチャつきすぎて怒られるのかも、と、思い振り返ると…。
「……え…」
睨み付けてくる、グラデーションのコスモス。
それはとても、冷たい瞳だった。
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