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絶体絶命
松島洋介という男
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この日は早朝から天候が悪かった。どす黒い雲に空一面が覆われ、島に生息する動物たちが朝から鳴き喚いていた。その声は刑務所にも届いておりとても不愉快な朝を迎えた。
朝、起床後すぐに着替えや軽い掃除をする。その後、点呼が終わり次第朝食の時間となる。
そして工場着に着替えラジオ体操。それが終わると再度点呼をとり始業となる。
作業を開始して30分ほど経過した頃、急な大雨が降ってきたことがわかるほど力強い雨が次々と建物にぶつかってくる。さらに暴風による影響で外の木々がバッサバッサと豪快に左右に振れる音、さらにその暴風はガタガタガタガタッと窓ガラスを震わせ続け刑務所内に下手くそで不愉快なオーケストラが音を奏で続けた。
この孤島にこの刑務所が出来てからまだ4か月だが、これほど騒がしいのは初めてだった。
胸騒ぎがした刑務官の職務の最高階級である矯正監の指示により受刑者たちは作業を辞め、それぞれの部屋に収容される。非常事態に対してもそうだが、ここは脱獄の懸念も含めて一番頑丈の設計されているため、
こういう場合は一番安全となる場所だという矯正監の判断だ。
こういう事態の異常を利用して隙を見ては逃げ出そうとする阿呆が1人くらい通常はいるものだが、
ここは絶海の孤島。こんな大荒れの天気に逃げ出せたとしても、その後、溺死するのがオチだ。
そのためここは受刑者全員素直に部屋に戻った。次第に刑務所内に響き渡る様々な音が大きさを増してくる。
「おい看守!これ本当に大丈夫なのかよ?」「今状況を確認中だ。大人しく待ってなさい。」
ざわつく受刑者たちに冷静に対応する看守。すると奥の刑務官たちの事務所で怒鳴り声が聞こえてくる。
「またお前か!!バカ野郎!!」「す、すす、すみません!!」怒っているのはベテラン刑務官の黒田克己。
この道一筋32年目、そして怒られているのは刑務官4年目の松島洋介。
常日頃ミスが多く、過去に受刑者が脱獄に成功する1歩手前までの大きなミスをしたこともあり、
クビになる寸前だったがそんな時に無人島に刑務所を造ることが決まり、そこなら、松島の失態で受刑者が脱獄することなど起きないだろうと配属された。クビにするのは簡単だが、職業上なかなか人気の仕事とは言えない。
簡単に人員を補充できるなら松島は即刻解雇だが、勤務内容もきつくて自主退職が多い。
受刑者がきつい生活を送るということはそういうことだ。
それらを管理する刑務官もそれなりに大変な仕事だ。それでも松島は自ら辞めるということは1度もなかった。
もしかしたら気が弱すぎて辞めると言い出すことすらできないのかもしれない。
「お前が今やっていることは刑務官の職でも何でもない雑用だ。そんなこともまともにできんくてどうするんだ!!」「す、すみません!!」ゴンッ!!「イテッ!」土下座の勢い余って豪快に頭を地面にぶつける。
そんな様子に呆れてゲンコツを与える気力もなくす黒田。「やれやれ…。」「すみません。すみません…。」
「もういい。」黒田は頭を抱えながら松島に下がるようジェスチャーをする。
「はい、失礼します。」そういい、松島は黒田に背を向け事務所をあとにしようとその時、ピーピーピーピー…。
事務所にある設備から警報が鳴る。「おい、松島ちょっと待て。」「はっ、はい!」黒田に呼び止められビクッっと体が反応する。すぐさま振り返り黒田の顔を恐る恐る見る。「どうやら、貯水タンクの異常みたいだ。」
「は、はぁ…。」「お前、前職は貯水タンクの製造・設備の会社にいたんだよな?」
「え、えぇまぁ…。」なんとも歯切れの悪い返事しかしない。それも最初は怒られていたが、今ではもう完全にスルーされている。「ちょっと様子を見てきてくれ。」松島の嫌な予感は当たった。
そういう会社にいたとはいえ、そこでも役に立つことはなくあっさりクビになったのだ。
しかし、黒田もたいした期待などしていなかった。業者を呼ぶにもここは孤島、それなりの時間がかかる。
それにこの天候では暫くは本土から人を呼ぶことなどできそうにない。
「なにもお前に完璧に直してこい!なんて言ってねーよ。様子見てきて何かあればそれを報告しろって言ってんだよ。わからないならわからないでいいから。」黒田は松島の思考を読み取り先に全て伝えた。
「わかりました。」返事をして松島は貯水タンクを見るため建物の最上階に上がった。
孤島ならではの天候の荒れを考慮し、屋上ではなく屋内に設置したので松島も安心して見に行けた。
朝、起床後すぐに着替えや軽い掃除をする。その後、点呼が終わり次第朝食の時間となる。
そして工場着に着替えラジオ体操。それが終わると再度点呼をとり始業となる。
作業を開始して30分ほど経過した頃、急な大雨が降ってきたことがわかるほど力強い雨が次々と建物にぶつかってくる。さらに暴風による影響で外の木々がバッサバッサと豪快に左右に振れる音、さらにその暴風はガタガタガタガタッと窓ガラスを震わせ続け刑務所内に下手くそで不愉快なオーケストラが音を奏で続けた。
この孤島にこの刑務所が出来てからまだ4か月だが、これほど騒がしいのは初めてだった。
胸騒ぎがした刑務官の職務の最高階級である矯正監の指示により受刑者たちは作業を辞め、それぞれの部屋に収容される。非常事態に対してもそうだが、ここは脱獄の懸念も含めて一番頑丈の設計されているため、
こういう場合は一番安全となる場所だという矯正監の判断だ。
こういう事態の異常を利用して隙を見ては逃げ出そうとする阿呆が1人くらい通常はいるものだが、
ここは絶海の孤島。こんな大荒れの天気に逃げ出せたとしても、その後、溺死するのがオチだ。
そのためここは受刑者全員素直に部屋に戻った。次第に刑務所内に響き渡る様々な音が大きさを増してくる。
「おい看守!これ本当に大丈夫なのかよ?」「今状況を確認中だ。大人しく待ってなさい。」
ざわつく受刑者たちに冷静に対応する看守。すると奥の刑務官たちの事務所で怒鳴り声が聞こえてくる。
「またお前か!!バカ野郎!!」「す、すす、すみません!!」怒っているのはベテラン刑務官の黒田克己。
この道一筋32年目、そして怒られているのは刑務官4年目の松島洋介。
常日頃ミスが多く、過去に受刑者が脱獄に成功する1歩手前までの大きなミスをしたこともあり、
クビになる寸前だったがそんな時に無人島に刑務所を造ることが決まり、そこなら、松島の失態で受刑者が脱獄することなど起きないだろうと配属された。クビにするのは簡単だが、職業上なかなか人気の仕事とは言えない。
簡単に人員を補充できるなら松島は即刻解雇だが、勤務内容もきつくて自主退職が多い。
受刑者がきつい生活を送るということはそういうことだ。
それらを管理する刑務官もそれなりに大変な仕事だ。それでも松島は自ら辞めるということは1度もなかった。
もしかしたら気が弱すぎて辞めると言い出すことすらできないのかもしれない。
「お前が今やっていることは刑務官の職でも何でもない雑用だ。そんなこともまともにできんくてどうするんだ!!」「す、すみません!!」ゴンッ!!「イテッ!」土下座の勢い余って豪快に頭を地面にぶつける。
そんな様子に呆れてゲンコツを与える気力もなくす黒田。「やれやれ…。」「すみません。すみません…。」
「もういい。」黒田は頭を抱えながら松島に下がるようジェスチャーをする。
「はい、失礼します。」そういい、松島は黒田に背を向け事務所をあとにしようとその時、ピーピーピーピー…。
事務所にある設備から警報が鳴る。「おい、松島ちょっと待て。」「はっ、はい!」黒田に呼び止められビクッっと体が反応する。すぐさま振り返り黒田の顔を恐る恐る見る。「どうやら、貯水タンクの異常みたいだ。」
「は、はぁ…。」「お前、前職は貯水タンクの製造・設備の会社にいたんだよな?」
「え、えぇまぁ…。」なんとも歯切れの悪い返事しかしない。それも最初は怒られていたが、今ではもう完全にスルーされている。「ちょっと様子を見てきてくれ。」松島の嫌な予感は当たった。
そういう会社にいたとはいえ、そこでも役に立つことはなくあっさりクビになったのだ。
しかし、黒田もたいした期待などしていなかった。業者を呼ぶにもここは孤島、それなりの時間がかかる。
それにこの天候では暫くは本土から人を呼ぶことなどできそうにない。
「なにもお前に完璧に直してこい!なんて言ってねーよ。様子見てきて何かあればそれを報告しろって言ってんだよ。わからないならわからないでいいから。」黒田は松島の思考を読み取り先に全て伝えた。
「わかりました。」返事をして松島は貯水タンクを見るため建物の最上階に上がった。
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