Hold on me〜あなたがいれば

紅 華月

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落花ノ章

10 野菜嫌いの極道とチャラ男彫師

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その日、朝から圭介は家にある仕事の書類の整理をしつつ、その全てに目を通して確認していた。

…これまで美優を最優先としていた為に、とうとう退っ引きならない程にそれが溜まってしまったのだ。因みに彼の仕事は会の主要会社でもある金融会社『北斗信用商会』の取り立てである。

契約が上手く履行されず、不良債権となりつつある契約者の元へ直接訪問し支払いを求めるのだが…そのやり方や手段はその相手や担当である圭介次第という、何ともアバウトである種において『極道らしい』と言えた。

この一連で彼は美優と出逢い、意図せず抱いた事で彼女に『落ちた』のだが…それが圭介の常套手段という訳ではもちろんない。

契約者が女ならば“風俗に行け”と迫るのみで、後は嫌がろうが何だろうが無理矢理連れて行くだけ。なので美優に対して取った全ての行動は彼にとっては『初めての事』だったのだ。今考えてみても、どうして『男を知れ』と言ったのかわからない。

先頃どうしても急ぎで行けと言う社長の指示で司と将也を連れて向かった相手の女債権者は、風俗に行けと迫った圭介の言葉に喜んで従った。

話を聞けば、借金は同棲している男の為だったらしいのだが、どうやら浮気しているようで…別れると共に借金もさっさと綺麗にしてしまいたいらしい。

その女の負債額は200万…頑張れば1年も掛からず返済が可能な金額なので、圭介はそんな女にドン引きしながらもそれを説明して会のフロント企業の1つを女に紹介したのだった。

『お兄さん、怖い顔の割には“良い人”ね…ありがと。』などと礼を言われはしたが…正直言って、今の圭介にこの仕事が色々な意味で『キツい』。

「…圭介さん、話しかけてもいいですか?」

「おう。どうした?」

「もしかして…忙しい、です?」

「…んー…まぁ忙しいっちゃあ忙しいけど。」

「あ、わかりました。じゃあ良いです。」

「おいコラ…待て待て待てっ。良くねぇっての、何かあんだろ?」

「……。お買い物…連れて行ってもらおうかと思ったんです。でも忙しいなら大丈夫です、お仕事ですよね?」

普段は物など欲しがらない美優が、この日珍しい事を言い出し圭介に嬉々とした気持ちが湧く。だが…仕事をほっとき過ぎたツケが回って、自分のケツに火が点きかかっている事を自覚しているだけに小さく頭を抱えた。

「あぁ仕事だ…ちょっとほっとき過ぎた。さすがに会長からヤキ入るレベルだ。」

「……ヤキ?」

「んな事より、オレはお前が言った『忙しいなら大丈夫です。』の方が気になるっ。…まさか1人で行こうとか思ってねぇだろうな?」

「思ってますけど。」

「思うな!駄目に決まってんだろ、このスカポンタンが!何回言わせんだよっ。」

圭介の『スカポンタン』が炸裂したその時…やって来たのが司と将也だ。2人は兄貴を迎えに来たのだが、リビングに入るなり小さく言い争う姿を見て目を丸くした。

「今日はちょっと無理だと思うけど明日時間作るっ、だから今日は黙ってココにいろっ。」

「でも…お仕事忙しいなら、圭介さんの邪魔したくないです。私は1人でも大丈夫…」

「大丈夫じゃねぇから言ってんだろがっ。前にも言っただろ…ここはススキノがすぐそこなんだっ。キャバクラのキャッチャーどもがウジャウジャいんだっ。お前なんか速攻で連れてかれるぞ!」

「……。じゃあ…反対方向に向かって行きます…」

「…そういう問題じゃねぇ…とにかく1人でなんか出歩くな!」

「………。」

「……。…はぁ…わかったよ。後で司か将也を寄越すから…コイツらと一緒に行って来い。…ったく…何を買うってんだよ…」

「…いいんですか?」

「あぁ。その代わりすぐ帰って来いよ?無駄にウロチョロしてないでな…時間出来たら、オレがちゃんと連れてってやるから。…な?」

「…はいっ、ありがとうございますっ。」

結局…美優がふと見せた寂しそうな顔に負け、圭介は司か将也を連れて行く事を『最低条件』にして許してしまう。

こうして圭介は大量の書類をアルミ製のアタッシュケースに放り込んで、2人の舎弟と共に社の事務所へと向かった。

そしてその数時間後、折り返しで美優の元に戻って来たのは…

「…アレ?司さんと将也さん。大丈夫なんですか?お2人とも。」

何と2人揃って戻って来たのだ。てっきりどっちかは圭介の元に残るものと思っていたので、驚きも一入である。

「うす。兄貴がどっちも行けって。」

「兄貴は姉貴が心配でたまんないんすよ。」

「なんだか申し訳ないです…でも、心配してもらえてちょっと嬉しいですね。お2人はご迷惑でしょうけど…」

「んな事ないすよ?」

「そっす。何でも言って欲しいす。」

「ふふっ♪ありがとうございますっ。…あ、あとちょっとだけ待ってもらってていいですか?」

「……姉貴、もしかしてそれって…」

「兄貴の…すか?」

「はい。お洗濯して乾いたので畳んでましたっ。」

「……姉貴…っ、兄貴の為にこんな事までっ…」

「クリーニングに出しゃいいのに姉貴自らのその手で…ってそれ!?兄貴のパンツ?!」

「え、コレですか?そうですよ?お家で洗える物は、私がお洗濯してます。…よしっと…ちょっと置いて来ちゃいますっ。」

ソファーに座って畳んでいた圭介と自分の洋服を抱えて、美優は楽しげに隣室へと一旦引っ込んでいく。そして片付けたらしい彼女が戻って来た時…肩にはバッグが掛けられていた。

「お待たせしてすいません。お願いします。」

「全然待ってねぇすよ。」

「それじゃ行くっす!…って姉貴、どこ行くんすか?」

「えへへ♪実はですねー…」

終始ご機嫌な美優が司の運転する車で将也と3人でやって来たのは…

「うわぁ…初めて来ましたっ。同じ市内でもこっちまで来た事なかったので。…やっぱり良いですねぇ。」

「「………。」」

「…あ、姉貴が来たかった所って…」

「……ス、スーパー…??」

「…アレ?司さん!将也さん!こっちですよ~っ!」

「っ!あ、姉貴?!いつの間にあんなトコにっ!」

「ま、待って欲しいっす!」

市内にある大型スーパーへとやって来た美優は、水を得た魚かのようにイキイキとしてドンドン突き進み中へと入っていってしまう。半ば呆気に取られていた司と将也は、カートをガラゴロと押しながら付いていくのが精一杯だ。

美優はずっと気になっていた…圭介の食生活が外食ばかりである事を。外で働き、年齢も若い男がそんな事で良いはずがない。何より身体に悪いではないか。

西区のアパートを整理した事で、食器や調理器具も揃っている。美優自身も料理は好きで、1人でいた頃から色々な物を作っては楽しんでいた。

…それと同時に、やっぱり好きな人に自分が作ったご飯を一度は食べてみてもらいたい、という思いもある。

「…えっと…まずはサラダ用のレタスっと…」

「………。」

「次はミニトマト…玉ねぎ…」

「…姉貴…楽しそうすね。」

「へっ?こう見えて、お料理は結構好きで作るんですよ。でも…よく友達に心配されちゃいました…包丁とかで怪我しないでよって。よほどドジっ子に見えるみたいですね私。」

「……姉貴が楽しそうで…良かったっす。兄貴もきっと嬉しいはずっす。」

「……。やっぱり…わかっちゃいました?でも!司さんと将也さんの分もちゃんと用意しますからっ、食べてって下さいね?」

「っ、いいんすか?!」

「はいもちろんです!ご飯は大勢の方が楽しいですし、美味しいですから。」

「「あざっす!」」

ふふ♪と満面の笑みを浮かべる美優は尚も食材を吟味していく。だがその手に取る物は未だ野菜が中心だ。

「ブロッコリー…、…人参っと!…圭介さんはお野菜が苦手みたいですけど…でも今日は何としても食べてもらいますっ。」

「「………。」」

人参片手に振り上げ、気合いを入れるかのように呟く“姉貴”に『俺らも苦手す。』とは言えない司と将也は苦笑うのだった。

そして一方の圭介はというと…

「っへっくし!…にゃろ…風邪なんか引いてられるかってんだっ。」

連動するかのようにクシャミをしながらも、自ら車を運転していた。ただそのクシャミがどこぞの江戸っ子の『おっさん』のようで、外面が良いだけに残念極まりない。

あの後、社に顔を出してから怒涛の勢いで債権者を訪ね…男には『極寒の海に沈める』、女には『風俗に売り飛ばす』と怒鳴り散らしまくった。そして今も尚、別の債権者の元へ行ったのだが留守だった為に僅か空いた時間を埋めようと“ある店”のガラス扉を潜る。

「あれぇ~?清水さんじゃーん♪超久し振りって感じ?」

「おう。…相変わらずチャラいな、お前は。」

「うはは!清水さんは相変わらず激シブっすねー♪やっぱカッケー!」

「……。てかお前もいたのか、真次…影薄いぞ。」

「…自分はこれくらいで十分ですよ。」

やって来たのは『true Love』という、同じ市内にあるタトゥーショップ。圭介はオーナーであり彫師のチャラさ全開のこの男と『ある事』をキッカケに妙に懐かれ、知り合いになった。後に真次の友人である事もわかり、今では司達並みに可愛い存在の1人だ。

「しっかし何してたんすか?その辺の生意気な連中、シバきまくってたとか?」

「ンな下らねぇ事してるヒマなんかねぇっての。」

「郁哉。清水さんは男なんかより『女』の相手に必死だったんだよ。」

「お前が言うな真次。」

「あれっ、何すか何すか?そのメチャ楽しそうな話!」

「…おい、チャラ男。」

「清水さぁーん!『チャラ男』って呼ぶの、いい加減止めて欲しいんすけどぉ?てか、俺の質問に答えてっ。」

「クックック…悪かったな。実はよ…お前に頼みがあんだよ。」

「……清水さん?俺…ヤバい橋は渡りたくないすよ?ノーセンキューなんで、ヤバ系は是非とも真次(こっち)に…」

「アホ。ド素人になんか頼まねぇよ。オレが頼みてぇのは、お前の『彫師』としての仕事だ。」

「……へ?」
「…え?!」

2人が驚くのも無理からぬ事で、圭介は根っからの『極道気質』ではあるものの、背中や身体に彫りやタトゥーを入れるのを好ましく思わない人間だ。なのでそれを知る2人としては是が非でもその『理由』を知りたい。

「いやっ…え?でも清水さん…好かねぇって言ってたじゃん?その右腕のヤツ、俺が礼にって言った時だって散々『やめろ、いらねぇ』って…」

「くはは!ンな事もあったな…でも今ではそれなりに気に入ってるぜ。」

ショップのオーナーであり彫師のチャラ男…元い『椎名郁哉』が言うように、圭介の右の二の腕には『昇り龍』のタトゥーがある。

これは郁哉の作品で、街中で喧嘩を売られ袋叩きに遭っている所を助けてくれた圭介への礼として彫ったもの。男気溢れる彼に、この縁起の良い『昇り龍』のようになって欲しい…という願いが込められたものなのだ。

実際、このタトゥーを持ってからの圭介は良運に恵まれている。色々あったが代表して言えるのが『美優との出逢い』だった。

「郁哉の仕事の腕を気に入ってもらえてるのは、友人として俺も嬉しいですけど…コイツに仕事を頼むって事は、新しいタトゥーを入れるって事ですか?」

「あんだけ嫌がってたのに…いったいどんな心境の変化なワケ?」

「まぁ、人間変われるってこったな。…郁哉、新しいヤツはココに入れてくれ。」

そう言って圭介は希望の場所を拳でトントンと叩く。その場所は…

「……え、左胸っすか?…ちょーっと痛いすよ?」

「出来ればもうちょい上がいい。痛えのは全然構わねぇ…」

「…もうちょい上…ったら、鎖骨のすぐ下辺りっすか。…うぅ~ん…ちょっと失礼しまーす…」

左胸に入れて欲しいと希望する圭介に対し、郁哉はすぐさま彫師として計算を始め…服の上からサワサワと場所を触り確かめる。

だがそれでは分かりづらいだろうと思ったのか、彼は着ているシャツのボタンを外し開(はだ)けると直接触らせた。

「…うーん…女はパイオツがあっからやっけぇし、ある意味彫りやすいんだけどぉ…男は筋肉があっからなぁ。しかも清水さんはイイ身体してっし…胸板が厚い…」

「……無理か?」

「いんや、無理って事はないっす。ただ…マジ痛えっすよ?特に清水さんは無駄な脂肪がねえし…場所的にも。」

「だから、痛えのは構わねえっつってんだ。」

「……。そんな思いしてまで、どんなの入れたいんです?清水さん。」

妙に拘りを見せる圭介が気になり、真次が疑問を呈する。

「……オレの本気な想いを、いつでも『アイツ』が自分の目で確認出来るように示してやろうと思って…な。」

「…『アイツ』…って、誰すか?…コレっすか!清水さんっ。」

すぐ目の前にピッ!とかざされた小指に、一瞬イラッとした圭介だが…話さない事には先には進まないだろうし、きっと絵も決まらないだろうと早々に諦めた。

「あぁ、そうだっ。」

「ヒュー!惚れた女の為にタトゥーとか!やっぱ清水さん、激シブっすねー♪マジで27なんすか?」

「トシ誤魔化したって良い事なんかねぇだろ。」

「ちなみに清水さんの『女』は30歳。でもとてもそうは見えない。しかも超可愛い。」

「わお!年上なのに可愛いとか卑怯の極みじゃないっすか!」

「……。何ワケわかんねぇ事言ってんだよ。いいからさっさと絵を考えろっての。」

「うぇ?!時間下さいよぉ~清水さぁーんっ。」

「クック…まぁしゃーないな。急に来たオレが悪りぃもんな。」

意外な場所で男3人が盛り上がる中…圭介のスマホが突然鳴り響いた。
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