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7話
しおりを挟む俺が戸惑っていると、藍沢は小声で母にこう言った。
「お母さん 俺ちょっと恥ずかしいんで一人で入っていいですか?」
「そうやでな。ごめんなさいね、先に藍沢くん入っておいで。」
「はい。田中、先に借りるな」
「おぉ」
察しがいい奴だからきっと俺が戸惑っていることにも気付いたんだろう。
どこまでも、気が効くやつで…本当にモテ…
「あの子、モテるやろうな」
「え?!」
母も同じように思っていたからびっくりしてつい、大き声を出してしまった。
「モテるやろ?あの子」
「まぁな」
「彼女とかおんの?」
いるよ。彼女。噂では美人の…って言える事はなく
「おるんちゃん。知らんけど…」
「へぇ~」
「そんな事より、お母さんタオルとか下着出してあげたら!」
「あぁ!ホンマや。ちゃんと床拭いときや!」
「わかってる!」
母が部屋を去った後俺はひたすら床を拭き続け色んなことを考えていた。
「あぁ、勉強に集中なんて出来ねぇーよ」
って独り言を言ってると藍沢がシャワーから上がってきた。
「じゃあ、今日は勉強辞めにする?」
「え?」
聞いてたのか…そりゃあんな大きな声で言うてると聞こえるか…なんて思っていると、藍沢はこう言った。
「田中…もしかしてアニメ好き?」
「え?」
「だって…」
俺の部屋は自分の好きなアニメのフィギュア・雑誌・DVDなど、様々なグッズが置いていた。
そういや、なんも気にせずに部屋に入れたけど…色々出しっぱなしだった。
しかも、俺は今まで友達を部屋に連れて来たことなんてなかったからここまで頭回らなかった…引かれただろうな。って思っていると、藍沢は飾っているフィギュアに指を挿していた。
「お前。これ持ってんの?!」
「…おぉん」
「これ、喜多川海夢ちゃんじゃん!!」
「え…藍沢ビスク見てんの?」
「うん。見てるよ!
俺も、最初学校ではさ、アニメ好きとは言ってなかったんだけど…海夢ちゃんさ好きな事にすげぇー真っ直ぐじゃん。だから、感化されたって言うか…それから、色々好きな事は好きって言えるようになったんだよね。」
「…わかる。海夢ちゃんって真っ直ぐだよな」
「なっ、真っ直ぐだよな。俺達、趣味まで合うなんて相性いいんじゃね?」
「…あははは」
「何笑ってんだよ。」
「別に。なんか、藍沢が…近くに感じれた気がした」
「なんだよ。笑 」
俺も、喜多川海夢ちゃんって言う主人公に惹かれた一人の人間だったから。
「2期早く始まんねーかな」
「ほんまそれな~。
あっ、でも、勉強はちゃんとせなあかんからするで。」
「え~しなきゃダメですか?先生」
「はい。しますよ!」
「わかりました。」
と言い少し口を尖らせている藍沢が可愛いくて口角が緩みっぱなしだった。
「じゃあ、シャワー浴びてくるから、それまでに準備しといて下さい」
「はーい。先生」
俺はシャワーに向かった。
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