異世界賢者は世界を弄ぶ

神無ノア

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本編

正義は誰の手に

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「まったく、お前は甘い」
 寝ずの番をしながら、稔憲は隆文に毒づく。
「俺はお前にしてもらったことを、他の子にしているだけ。あいつらの言動をおかしいと思えるようになったら、傀儡の術から逃れやすくなるわけだし」
「どうだろうな。私に『何故魔法を教えてくれない』と聞いてくるところからして、お頭が軽いのかと思っているが」
「……フツーは魔法にあこがれるもんなんです。俺が異常なの」
 隆文の言葉に、思わず驚いてしまった稔憲である。
「そう、なのか?」
「ラノベあるあるって言ったらいいのかな。魔法無双とかもあるし。それがもたらす副次的なものは、気づかない」
「ふむ。読んだことが無いから分からんが。今度貸してくれ」
「なぜにそうなった」
 ぺしん、と隆文が稔憲の頭を叩いた。
「もしかすると、新しい魔法構築が出来るかもしれん」
「……そーゆーやつだよね、お前って」

 そんな話をしながら、夜は更けていく……はずだった。

「どういうことですか!?」
 一人が必死に抑えようとしていたが、もう一人が食らいついてきたのだ。

 ……聞かれているとは思っていたが、ここまで簡単に乗ってくれるとは思いもしなかった。
「『ラノベ』とか……やっぱりあの人たちが言ったように、魔王の手先なんですね!?」
「ちょっ……絵里奈、落ち着こうよ」
「あたしは落ち着いてる!」
 どこが、と稔憲は思ったが口に出すことはなく。
「逆に聞くが、その言葉はどこから?」
「宰相様たちからよ!」
 本当にこいつら大学生か? と疑いたくなってしまった稔憲である。
「……監視されてみられているとは思ったが、まさか女性を憑代よりしろに使うほど、落ちぶれているとは考えもしなかった」

 ぐいっと、絵里奈と呼ばれた女性の頭を抑えた。
「これで満足か?」
 冷たく、稔憲は言い放った。
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