のんきな男爵令嬢

神無ノア

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夫婦になります(一応)

閑話:宴の裏側

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宴の裏側では、従者たちがこんな話を。

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 客人からの祝福を主たちが受けている頃、従者や侍女たちは裏でせっせと動きながらも、会話は途切れない。
「不思議なもんだなーー」
 主たちはお披露目でせわしない中、従者たちは交代で休憩が取れるという摩訶不思議な状態。思わずウルヤナは呟いてしまった。

 それを聞き逃すことがなかったのはベレッカである。
「グラーマル王国を憎んでたはずなんだけどなーー」
 先を無言で促され、ウルヤナは続けた。
「そりゃ、お嬢様と旦那様の毒気にあれだけあてられれば。ある程度の恨みつらみは消えますよ」
 ベレッカの言い方も酷いが、何となく納得してしまうウルヤナだった。
「当のご本人たちが先頭で頑張っているというのもあるでしょうけど」
 休憩の交代を言いに来たアハトまでもが会話に加わった。

 ちなみに、あの集落に行ってからヴァルッテリの従者は二人増えた。そして結婚するにあたり、また二人増えた。つまり、従者は六人いる。
 ……そのうちの三人は密偵らしい。あっさりとマイヤたちにばれていたが、現在は泳がせている真っ最中だ。
「ウルヤナ、間違ってもアベスカ男爵様の傍に寄るなよ」
 急にアハトが話をかえた。
「どした?」
「絡まれる」
「……懲りてないんですか? 旦那様」
「懲りてないってか、諦めてない」
 交代の時の申し送りがこれというのも如何なものだろうか。

 アベスカ男爵は未だ娘を己の領地に戻すことを諦めていないらしい。

 あとでゾルターンの説教ですね、と笑うベレッカが少しばかり怖いと思うウルヤナとアハトだった。

「まぁ、あれほどの規格外、、、はそうそういらっしゃいませんしね」
「女傑ではなく?」
「……あんたらの『女傑』基準が知りたくなります。因みに帝国基準では王太后陛下、オヤヤルヴィ公爵夫人が基準ですが」
「……」
 自分ひとの主を規格外扱いするな、という意味合いも込めてアハトの言葉を非難したベレッカだったが、あっさりと返された言葉に言い返せなくなってしまった。
 うん。王太后陛下と公爵夫人あのふたりが女傑というのに間違いはない。そして、ベレッカの中ではマイヤも「女傑」として扱っていたが、「女傑」という括りにするには若すぎる気もしてしまうのである。
「いや、あんたも大概だから」
「俺的には規格外というか無鉄砲」
「失礼な従者ばかりですね」
 さらりと言ってきたのはウルヤナだ。まったくもって失礼である。

 否定できないのが痛いところではあるが。

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因みに
女傑……気性・言動などが思い切りがよく、大胆で、すぐれた働きをする女性。女丈夫じよじようふ
規格外……製品や農作物などが、定められた基準に当てはまらないこと。
無鉄砲……〔「むてんぽう(無点法)」の転とも、「むてほう(無手法)」の転ともいう。「無鉄砲」は当て字〕どうなるか先のことをよく考えず強引に事を行う・こと(さま)。むこうみず。

多分マイヤは規格外(ヲイ)
異論は認めます
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