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【後日譚】
月も高く昇る時刻。
瞬は自宅のキッチンに立つ由貴の姿を見て、目を丸くしたまま硬直していた。手からはどさりと通勤鞄が、フローリングの廊下に落ちた。
「おかえり。急いでお味噌汁温め直すから……瞬?」
スーツの上から羽織ったコートも、マフラーすら取ろうとしない瞬に、由貴が怪訝な面持ちで近寄り、顔の前でひらひらと手を振ってみる。
すると、やにわに気を取り戻した瞬が絞り出すように由貴を指さした。
「……お前、その服……なんや……?」
瞬が震える指先で指示したのは、由貴が着用しているルームウェアのことらしい。なんとかそれを察した由貴は、ますます首を傾げる。
「これ? 去年、宋が誕生日プレゼントに買ってくれたやつ。もこもこしてて温かい」
「そことちゃうわ! 脚!! なんで真冬にショートパンツやねん!!」
「だって、ショートしか持ってないんだもん。それに家の中ならエアコン効いてるから、これでも充分だし、お風呂上りだったから。……変、かな?」
淡い緑色のパステルカラーが可愛い、フード付きのパーカーとショートパンツのセットである、これは由貴のお気に入りだった。しかし、瞬にはどうにもお気に召さないのか、それとも別の考えがあるのか、あまり反応はよろしくない。それが面白くなくて、由貴は口を尖らせる。
「変やないけど……。あかん、煩悩は駆逐せな……」
なにやら一人でぶつぶつと言って、瞬は着替えるために自室へと消えていった。
室内着に着替えた瞬を待って、二人でいつものように炬燵に入り、由貴の作った夕飯を黙々と食べ進めた。
ちなみに、今日の夕飯は、炊き込みご飯、豆腐ときのこの味噌汁、鰤の照り焼き、ほうれん草のお浸しである。どれも瞬の好物で、味も悪くないと由貴は箸を進める。だが、未だ妙に落ち着かない瞬が、いい加減に鬱陶しくなってきた由貴は疑問を瞬にぶつけた。
「ねえ、さっきから何をそわそわしてんの?」
「べ、別に」
「そんな事無いでしょ。思っている事を吐き出していこうって言ったの、瞬じゃん。何かやましいことでもある訳?」
目が据わっている由貴の様子に、観念したのか、瞬がぼそぼそと口を開いた。
「……脚」
「脚? 私の?」
「せや! 露出激しいから、つい目が行ってまうんじゃい!」
開き直ったのか、瞬は頬を赤らめて由貴に噛みつくように声を荒げる。これに意表を突かれた由貴は、あからさまに肩の力を抜いた。
「なんだ……。私は、またてっきり無意識に瞬の機嫌を損ねる事でもしたのかと思ったのに、心配して損した」
そして、ごちそうさまでしたと手を合わせると、猫のように四つん這いで瞬に近づく。
「な、なんや……?」
「……触る? 触りたい?」
瞬の耳元で囁く小悪魔じみた誘惑に、瞬は料理をかきこんで、急いで食後の挨拶を済ませると、由貴に覆い被さってきた。
これに由貴は声を上げて笑い、二人の夜は更けていく。
翌日、瞬が昨夜の事を宋助に話すと、宋助もけらけらと笑った。
「あれねー、僕が提案したんだよ。姉さんの脚、特別な手入れはしていない割に綺麗だよね」
「諸悪の根源はお前か!!」
「でも、楽しかったでしょ? いやぁ、温泉旅行から帰ってきて、婚約までしたのに、姉さんがまごついてたから『こういう作戦ならどう?』って、アドバイスしたんだ」
危うく、出されたホットコーヒーを吹き出しかけた瞬は怪訝な表情を宋助に向ける。
「なんや、『まごついてる』って? あいつ、俺の前では相変わらずふてぶてしいで」
「そうだね。瞬さんの前でも、僕と話している時の姉さんの姿を拝むには、もう少し時間がかかるかな。気長に待っ
てあげてよ。あれでも、ちゃんと瞬さんの事は大好きなんだから」
「お、おう」
宋助の苦笑に、首を傾げながらも瞬はコーヒーを再び口に運んだ。
きっと彼はまだ知らない。あの気丈な姉が、温泉旅行から帰ってきて以来、挙動不審なのだ。
仕事だけはちゃんとこなすものの、家に帰れば、皿は割るわ、宋助のベッドに夜半に潜り込んできては動物のように唸るわ、と散々だった。いつもなら、尋ねる前に宋助に解決策を求めてくるのに、それをしない。
仕方なく訊きだしたら、湯あたりでも起こしたかのような赤い顔をして、泣きそうな声でぽつぽつと語りだした。
「……旅行、楽しかったんだ。でも、意識しすぎて……今までどんな風に接していたのか解らない。もっと瞬にくっつきたいって思うんだけれど、瞬は積極的な女は嫌いだろ? だからどうしたら良いのかな、って。そんな事で頭の容量がパンクしそう……」
なんのことは無い。単なる恋する乙女と化していただけであった。
安心したのやら、呆れるやらで、宋助は姉の頭を撫でて宥めるしかなかった。そして、あの提案を持ち出したのであった。
「好きだから付き合い始めたのに、時間が経つほどにまだまだ好きになっていくなんてあるんだね……知らなかった」
最後にぽつりと呟いた姉は、まるで純真無垢な子供のようだった。
「それで良いんだよ。姉さん、幸せでしょ?」
そう、優しく問うた宋助に由貴は、林檎の顔色で頷いた。
ひとりぼっちだった風魔は幸せの中に居る。
◇
十月某日。大安吉日。
瞬と由貴の結婚式は、晴れ渡る空の下で執り行われた。
長いマリアヴェールを引いて、ロイヤルブルーのヴァージンロードを歩く由貴の表情はステンドグラスの聖母の如く神秘的だった。厳正な空気の中に漂う祝福の百合の香りが胸を擽る。ヴァージンロードで隣を歩く父は、涙と鼻水で鑑賞に堪える物では無かったのが、唯一の汚点だ、と母は披露宴で漏らしていた。
式から一変して、披露宴は瞬の悪友らによる余興や、瞬が“妖怪”と称する姉らにもみくちゃにされて、高砂席の瞬は常に吼え、由貴は涙を流しながら笑っていた。その様子を呆れ混じりに見ていた宋助に由貴は小さなブーケを渡した。
「あれ? ブーケトス用とは違うね」
「うん。これは宋だけに。あとでプリザーブドフラワーにしてくれるように頼んである」
ブーケの花は、ポンポンダリア、マトリカリアを基調にした物だった。ちなみにブーケトスに使用したブーケは、瞬の姉らの壮絶なバトルを生んだ。
「ありがとう。後で花言葉を教えてよ。その意味を込めてくれたんでしょ?」
「ん」
御礼とでも言うのか、宋が姉の頬に軽いキスをすると、場内はまたざわめきが拡がった。当の姉弟の二人は、そんな周囲を余所に頬を寄せ合って、笑うばかりである。
二人の様子に安心したのか、宋助の中の『蓮莉』はこの日を境に微笑みだけを残して消えてしまった。
後日、この事実を瞬と由貴に話すと、二人は由貴の腹を撫でて『蓮莉』と呼んだ。
十月十日後に生まれてきた『蓮莉』は、元気な女の子であった。
――寝かせつける時に、由貴の耳は「良かったね」という言葉が聴こえた。
fin
月も高く昇る時刻。
瞬は自宅のキッチンに立つ由貴の姿を見て、目を丸くしたまま硬直していた。手からはどさりと通勤鞄が、フローリングの廊下に落ちた。
「おかえり。急いでお味噌汁温め直すから……瞬?」
スーツの上から羽織ったコートも、マフラーすら取ろうとしない瞬に、由貴が怪訝な面持ちで近寄り、顔の前でひらひらと手を振ってみる。
すると、やにわに気を取り戻した瞬が絞り出すように由貴を指さした。
「……お前、その服……なんや……?」
瞬が震える指先で指示したのは、由貴が着用しているルームウェアのことらしい。なんとかそれを察した由貴は、ますます首を傾げる。
「これ? 去年、宋が誕生日プレゼントに買ってくれたやつ。もこもこしてて温かい」
「そことちゃうわ! 脚!! なんで真冬にショートパンツやねん!!」
「だって、ショートしか持ってないんだもん。それに家の中ならエアコン効いてるから、これでも充分だし、お風呂上りだったから。……変、かな?」
淡い緑色のパステルカラーが可愛い、フード付きのパーカーとショートパンツのセットである、これは由貴のお気に入りだった。しかし、瞬にはどうにもお気に召さないのか、それとも別の考えがあるのか、あまり反応はよろしくない。それが面白くなくて、由貴は口を尖らせる。
「変やないけど……。あかん、煩悩は駆逐せな……」
なにやら一人でぶつぶつと言って、瞬は着替えるために自室へと消えていった。
室内着に着替えた瞬を待って、二人でいつものように炬燵に入り、由貴の作った夕飯を黙々と食べ進めた。
ちなみに、今日の夕飯は、炊き込みご飯、豆腐ときのこの味噌汁、鰤の照り焼き、ほうれん草のお浸しである。どれも瞬の好物で、味も悪くないと由貴は箸を進める。だが、未だ妙に落ち着かない瞬が、いい加減に鬱陶しくなってきた由貴は疑問を瞬にぶつけた。
「ねえ、さっきから何をそわそわしてんの?」
「べ、別に」
「そんな事無いでしょ。思っている事を吐き出していこうって言ったの、瞬じゃん。何かやましいことでもある訳?」
目が据わっている由貴の様子に、観念したのか、瞬がぼそぼそと口を開いた。
「……脚」
「脚? 私の?」
「せや! 露出激しいから、つい目が行ってまうんじゃい!」
開き直ったのか、瞬は頬を赤らめて由貴に噛みつくように声を荒げる。これに意表を突かれた由貴は、あからさまに肩の力を抜いた。
「なんだ……。私は、またてっきり無意識に瞬の機嫌を損ねる事でもしたのかと思ったのに、心配して損した」
そして、ごちそうさまでしたと手を合わせると、猫のように四つん這いで瞬に近づく。
「な、なんや……?」
「……触る? 触りたい?」
瞬の耳元で囁く小悪魔じみた誘惑に、瞬は料理をかきこんで、急いで食後の挨拶を済ませると、由貴に覆い被さってきた。
これに由貴は声を上げて笑い、二人の夜は更けていく。
翌日、瞬が昨夜の事を宋助に話すと、宋助もけらけらと笑った。
「あれねー、僕が提案したんだよ。姉さんの脚、特別な手入れはしていない割に綺麗だよね」
「諸悪の根源はお前か!!」
「でも、楽しかったでしょ? いやぁ、温泉旅行から帰ってきて、婚約までしたのに、姉さんがまごついてたから『こういう作戦ならどう?』って、アドバイスしたんだ」
危うく、出されたホットコーヒーを吹き出しかけた瞬は怪訝な表情を宋助に向ける。
「なんや、『まごついてる』って? あいつ、俺の前では相変わらずふてぶてしいで」
「そうだね。瞬さんの前でも、僕と話している時の姉さんの姿を拝むには、もう少し時間がかかるかな。気長に待っ
てあげてよ。あれでも、ちゃんと瞬さんの事は大好きなんだから」
「お、おう」
宋助の苦笑に、首を傾げながらも瞬はコーヒーを再び口に運んだ。
きっと彼はまだ知らない。あの気丈な姉が、温泉旅行から帰ってきて以来、挙動不審なのだ。
仕事だけはちゃんとこなすものの、家に帰れば、皿は割るわ、宋助のベッドに夜半に潜り込んできては動物のように唸るわ、と散々だった。いつもなら、尋ねる前に宋助に解決策を求めてくるのに、それをしない。
仕方なく訊きだしたら、湯あたりでも起こしたかのような赤い顔をして、泣きそうな声でぽつぽつと語りだした。
「……旅行、楽しかったんだ。でも、意識しすぎて……今までどんな風に接していたのか解らない。もっと瞬にくっつきたいって思うんだけれど、瞬は積極的な女は嫌いだろ? だからどうしたら良いのかな、って。そんな事で頭の容量がパンクしそう……」
なんのことは無い。単なる恋する乙女と化していただけであった。
安心したのやら、呆れるやらで、宋助は姉の頭を撫でて宥めるしかなかった。そして、あの提案を持ち出したのであった。
「好きだから付き合い始めたのに、時間が経つほどにまだまだ好きになっていくなんてあるんだね……知らなかった」
最後にぽつりと呟いた姉は、まるで純真無垢な子供のようだった。
「それで良いんだよ。姉さん、幸せでしょ?」
そう、優しく問うた宋助に由貴は、林檎の顔色で頷いた。
ひとりぼっちだった風魔は幸せの中に居る。
◇
十月某日。大安吉日。
瞬と由貴の結婚式は、晴れ渡る空の下で執り行われた。
長いマリアヴェールを引いて、ロイヤルブルーのヴァージンロードを歩く由貴の表情はステンドグラスの聖母の如く神秘的だった。厳正な空気の中に漂う祝福の百合の香りが胸を擽る。ヴァージンロードで隣を歩く父は、涙と鼻水で鑑賞に堪える物では無かったのが、唯一の汚点だ、と母は披露宴で漏らしていた。
式から一変して、披露宴は瞬の悪友らによる余興や、瞬が“妖怪”と称する姉らにもみくちゃにされて、高砂席の瞬は常に吼え、由貴は涙を流しながら笑っていた。その様子を呆れ混じりに見ていた宋助に由貴は小さなブーケを渡した。
「あれ? ブーケトス用とは違うね」
「うん。これは宋だけに。あとでプリザーブドフラワーにしてくれるように頼んである」
ブーケの花は、ポンポンダリア、マトリカリアを基調にした物だった。ちなみにブーケトスに使用したブーケは、瞬の姉らの壮絶なバトルを生んだ。
「ありがとう。後で花言葉を教えてよ。その意味を込めてくれたんでしょ?」
「ん」
御礼とでも言うのか、宋が姉の頬に軽いキスをすると、場内はまたざわめきが拡がった。当の姉弟の二人は、そんな周囲を余所に頬を寄せ合って、笑うばかりである。
二人の様子に安心したのか、宋助の中の『蓮莉』はこの日を境に微笑みだけを残して消えてしまった。
後日、この事実を瞬と由貴に話すと、二人は由貴の腹を撫でて『蓮莉』と呼んだ。
十月十日後に生まれてきた『蓮莉』は、元気な女の子であった。
――寝かせつける時に、由貴の耳は「良かったね」という言葉が聴こえた。
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