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第一部 風の魔物と天狗の子
第八話 髑髏ヶ淵の三傑 (破)
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巨大な髑髏に進路を絶たれた最澄は空中で急停止する。腐臭が一気に濃くなった。生臭く酸っぱい饐えた臭いを最澄は呼んだ風で蹴散らした。
『てめえが日本全土の妖怪に喧嘩を売った風魔の末裔かあ!?』
巨大な髑髏は、豪快に笑う。その声はまるで雷鳴の如き咆哮で、至近距離で聞いたせいで最澄は鼓膜が痛む。たまらず地に降り立った。
「……ここが髑髏ヶ淵……」
そこは沼だった。緑と紫が入り混じった靄と、沼には夥しい数の人間と妖怪の骨が転がっている。中には肉がまだ付いているものまである。腐臭はこのせいかと、最澄は辺りを注意深く観察し、分析する。
暗闇に目が慣れてきた頃、巨大な髑髏は三つに分裂し、三人の青年の姿になった。最澄とは対照的に、髪は真っ黒で、襟足がわずかに跳ねている。
そして毒々しい赤の彼岸花が描かれた黒の着流しを着用していた。個性を出しているのか、同じ単衣を着用していても片腕を抜いたり、帯飾りを付けたり、三者三様だ。
同じ顔をした三人は頬に描かれた朱色の隈取の模様も異なっていた。顔色は悪いが、緋色の眼は爛々と光り、鮫の歯に似た白い歯を見せて最澄を見つめてくる。
「風魔族の最澄を確認。戦闘行動に移行する」
並んだ三人のうち、右端に立っていた一人がそう呟いたので、最澄は反射的に身構える。ところが中央の青年――右頬に隈取があり、着物も片袖を抜いた男が両目の下に隈取がある兄弟の肩に手を置いた。
「そう焦るなよ、阿陀。せっかくの風魔――しかも最後の一人だぜ。これはじっくり味わおうってもんだろ」
阿陀と呼ばれた青年は、「華陀がそう言うのならば従おう」と笑んだまま、あっさりと引いた。華陀と呼ばれた男が一歩前に出た。この青年だけは妙に人間臭い。
最澄は緩い風を右手に纏ったまま、華陀の言葉を待った。
「華陀とやら、君がこの三人の統率者か?」
「統率者とは少々言葉の響きが異なるか。その様子だと、俺達が自動排除機構だとは知っているようだな」
「僕の師匠は安倍晴明様だからね」
「へえ、あの天才陰陽師様の弟子ねえ。なあ、殺し合う前にちょいと話そうじゃないか」
「時間が惜しい。押し通る」
華陀の提案を却下した最澄に、阿陀ともう一人が懐から匕首を覗かせる。
「待てって。やれやれ、気が短い連中ばっかりだ。久しぶりに骨のある客なんだ。せめて自己紹介くらいはしようぜ」
「……なにが目的だ? 命乞いなんか聞かない」
「なあに、俺達も風魔には因縁があるのさ。なにしろ、伊邪那美様と俺達の目をすり抜けて黄泉を脱走したのも風魔の女なのでなあ」
最澄は目を瞠る。呼吸すらも一瞬忘れた。
「風魔族の、女……? まさか、あの滝丸が言っていた『あの方』って……君達は覚えているのか、その『女』について!!」
「だから話そうって提案してんだ。あんたなら、あの女の居所について心当たりがあると思ってな」
「……自信はないし、居場所は知らない。けれど、仮説はある。裏付けも、ある……」
「よし、交渉は成立!! まずは自己紹介だ。我らは黄泉津大神に創られ、平将門が娘・滝夜叉姫の遣いである髑髏ヶ淵の三傑。俺は華陀――俺だけは三人の中でも心臓部とも言える『核』の造りが違うせいで、こうしてあんたら生者と意思相通ができる。より機構の精度を上げる目的で大神が自我を与えた。左頬に隈取があるのが飛陀、最初に突っかかったのが阿陀という」
「風魔の最澄だ。肩に乗っている紙人形が稲荷明神の遣いで、式神の双葉」
双葉は紙人形のまま、最澄の肩の上で会釈をする。華陀はにやりと口角を釣り上げた。
「では最澄、情報共有だ。阿陀と飛陀はこいつの仮説と『風魔の女』の情報が正しいか、記憶と照合させていろ」
二人からは笑みが消え、華陀の命令に頷くと飛陀が阿陀を引っ張って近くの髑髏の上に座らせた。飛陀はその横に腕を組んで立つ。
「まるで兄と弟だな」と言った最澄に、華陀は「似たようなものだ」とからから笑って、最澄にも適当な髑髏の山の上に座るように促す。最澄は警戒心を解かずに、華陀を睨みつけながらも腰を落ち着ける。華陀はにやりとしたまま、最澄の前の山に胡坐をかいた。
妙な気分だと思いつつも、最澄は姉家族を襲った惨劇、滝丸が話していた内容を、すべて詳らかに話した。迎賓館の話では、少しだけ吐き気を覚えたが、ぐっと堪えて臍を噛む。華陀は時折相槌を打ち、真剣に聞き入っていた。
「なるほど。刻渡りの時計か」
「滝丸は、死の直前に遮那王を復活させると言った。『あの方』なら可能だと。以上を加味して、仮に黄泉の永久牢を逃亡した『風魔の女』が、刻渡りの時計を操って過去に干渉する能力を持っているとした場合、それは風魔の里を追い出された義兄の母親に他ならない――以上が僕の仮説だが、確たる立証が得られていない。君達の情報もまだだから、結論付けるのは時期尚早と言える」
最澄の話に耳を傾けていた華陀も「同感だ」と親指の爪を噛んだ。最澄は「さあ、次は君達の番だ」と言った。
華陀は「了解だ」と飛陀と阿陀へ視線を送る。
「黄泉津大神様が『永久牢に封じていた者が現世へ逃げた。捕らえよ』と命じられたのは半年前だ。名は『鸞心』――特殊能力を持つ風魔族の女だ。どうやって永久牢から脱したのかは分からない。俺達はあくまで機構端末だ。与えられた任務を遂行するだけだ。ところが待てど暮らせど、白い髪の女はやってこなかった」
華陀はここで一度話を切った。深呼吸を一つして、また話を再開させたが、その表情は憎々しいと言わんばかりに歪む。
「一週間後、大神様が激怒した声明文を送ってきた――鸞心は鞍馬山へ逃げたと。お前達は何をしていたのかと叱責の嵐だ。だが、阿陀は五日前に妙な白昼夢を見たという」
「白昼夢?」
「そうだ。長く、白い髪の女が風に乗ってこの淵から天へと高く舞い上がっていくのだと。不思議なことに、阿陀の身体は動かず、俺と飛陀は女に気づかなかった。命令系統は正しく入力されていたのに動けなかったそうだ。女の顔なら阿陀が記憶している。陰陽師なら、鏡だの、紙人形だのを使って、記憶を再現できるだろう」
最澄は「ああ」と短く答えて、近くにあった一本角が生えた頭蓋骨を手に取り、裏返した。それで沼の濁った水を掬い、片手で印を組んで口の中で呪を唱える。
ぽうと瞬きの発光を終えると、濁水はたちまち透明な清水に変化した。最澄は阿陀に頭蓋骨を差し出して「これに手をかざして。頭の中で女の顔を強く思い描きながら」と言った。
阿陀は一度だけ華陀の方を見やって、そろっと尖った爪をした手を水の上にかざす。
水はまたぽうっと光った。
最澄は「もういいよ」と阿陀に告げ、髑髏の中の水を覗いた。
そこには白く長い髪を纏めもせずに風に遊ばせて笑う女が映っていた。
「……これが時間を操る風魔で義兄さんの母親、鸞心か」
義兄にはあまり似ていない。やや垂れ眼がちなところくらいだ。鸞心はこれと言って特徴のない女だった。特筆して美しくもなく、だが醜女でもない。髪を染めて人間の中に埋没されたら捜索は困難を極めるに違いない。
そこで、はたともう一つの問題が最澄の頭に浮かんだ。鸞心は長く黄泉の永久牢に封じられていた。
ならば、義兄の父親は誰だ。
鞍馬山の妖怪であることは明確。しかし、知っている者を最澄は切り捨ててきた。目の前の三傑は知る由もない。
「いや、諦めるのはまだ早い」
黄泉津大神だ。義兄の父親も故人ゆえに黄泉の国に居るはずだ。黄泉津大神を問いただせば或いは、と最澄は立ち上がった。
「華陀、情報共有は終わりだ。僕は黄泉に行かねばならなくなった」
「悪いが、それは聞き入れられねえ願いだな……俺達は隠り世の番人。何人たりとも大神様の許しの無いものは黄泉には入れられない」
飛陀と阿陀が腰を上げて臨戦態勢を取る。
好意的だった華陀も立ち上がって、三人は歩み寄り、溶け合ってひとつになった。またあの巨大な髑髏の上半身が出来上がった。
「俺達は有益な情報を得た。用済みの貴様はここで殺す。風魔の最澄――!!」
最澄は額の龍鱗に手を当て、空へと舞い上がった。たった数分言葉を交わしただけの相手に罪悪感など皆無。
――初めから、この三人は殺すつもりで来たのだから。
続...
『てめえが日本全土の妖怪に喧嘩を売った風魔の末裔かあ!?』
巨大な髑髏は、豪快に笑う。その声はまるで雷鳴の如き咆哮で、至近距離で聞いたせいで最澄は鼓膜が痛む。たまらず地に降り立った。
「……ここが髑髏ヶ淵……」
そこは沼だった。緑と紫が入り混じった靄と、沼には夥しい数の人間と妖怪の骨が転がっている。中には肉がまだ付いているものまである。腐臭はこのせいかと、最澄は辺りを注意深く観察し、分析する。
暗闇に目が慣れてきた頃、巨大な髑髏は三つに分裂し、三人の青年の姿になった。最澄とは対照的に、髪は真っ黒で、襟足がわずかに跳ねている。
そして毒々しい赤の彼岸花が描かれた黒の着流しを着用していた。個性を出しているのか、同じ単衣を着用していても片腕を抜いたり、帯飾りを付けたり、三者三様だ。
同じ顔をした三人は頬に描かれた朱色の隈取の模様も異なっていた。顔色は悪いが、緋色の眼は爛々と光り、鮫の歯に似た白い歯を見せて最澄を見つめてくる。
「風魔族の最澄を確認。戦闘行動に移行する」
並んだ三人のうち、右端に立っていた一人がそう呟いたので、最澄は反射的に身構える。ところが中央の青年――右頬に隈取があり、着物も片袖を抜いた男が両目の下に隈取がある兄弟の肩に手を置いた。
「そう焦るなよ、阿陀。せっかくの風魔――しかも最後の一人だぜ。これはじっくり味わおうってもんだろ」
阿陀と呼ばれた青年は、「華陀がそう言うのならば従おう」と笑んだまま、あっさりと引いた。華陀と呼ばれた男が一歩前に出た。この青年だけは妙に人間臭い。
最澄は緩い風を右手に纏ったまま、華陀の言葉を待った。
「華陀とやら、君がこの三人の統率者か?」
「統率者とは少々言葉の響きが異なるか。その様子だと、俺達が自動排除機構だとは知っているようだな」
「僕の師匠は安倍晴明様だからね」
「へえ、あの天才陰陽師様の弟子ねえ。なあ、殺し合う前にちょいと話そうじゃないか」
「時間が惜しい。押し通る」
華陀の提案を却下した最澄に、阿陀ともう一人が懐から匕首を覗かせる。
「待てって。やれやれ、気が短い連中ばっかりだ。久しぶりに骨のある客なんだ。せめて自己紹介くらいはしようぜ」
「……なにが目的だ? 命乞いなんか聞かない」
「なあに、俺達も風魔には因縁があるのさ。なにしろ、伊邪那美様と俺達の目をすり抜けて黄泉を脱走したのも風魔の女なのでなあ」
最澄は目を瞠る。呼吸すらも一瞬忘れた。
「風魔族の、女……? まさか、あの滝丸が言っていた『あの方』って……君達は覚えているのか、その『女』について!!」
「だから話そうって提案してんだ。あんたなら、あの女の居所について心当たりがあると思ってな」
「……自信はないし、居場所は知らない。けれど、仮説はある。裏付けも、ある……」
「よし、交渉は成立!! まずは自己紹介だ。我らは黄泉津大神に創られ、平将門が娘・滝夜叉姫の遣いである髑髏ヶ淵の三傑。俺は華陀――俺だけは三人の中でも心臓部とも言える『核』の造りが違うせいで、こうしてあんたら生者と意思相通ができる。より機構の精度を上げる目的で大神が自我を与えた。左頬に隈取があるのが飛陀、最初に突っかかったのが阿陀という」
「風魔の最澄だ。肩に乗っている紙人形が稲荷明神の遣いで、式神の双葉」
双葉は紙人形のまま、最澄の肩の上で会釈をする。華陀はにやりと口角を釣り上げた。
「では最澄、情報共有だ。阿陀と飛陀はこいつの仮説と『風魔の女』の情報が正しいか、記憶と照合させていろ」
二人からは笑みが消え、華陀の命令に頷くと飛陀が阿陀を引っ張って近くの髑髏の上に座らせた。飛陀はその横に腕を組んで立つ。
「まるで兄と弟だな」と言った最澄に、華陀は「似たようなものだ」とからから笑って、最澄にも適当な髑髏の山の上に座るように促す。最澄は警戒心を解かずに、華陀を睨みつけながらも腰を落ち着ける。華陀はにやりとしたまま、最澄の前の山に胡坐をかいた。
妙な気分だと思いつつも、最澄は姉家族を襲った惨劇、滝丸が話していた内容を、すべて詳らかに話した。迎賓館の話では、少しだけ吐き気を覚えたが、ぐっと堪えて臍を噛む。華陀は時折相槌を打ち、真剣に聞き入っていた。
「なるほど。刻渡りの時計か」
「滝丸は、死の直前に遮那王を復活させると言った。『あの方』なら可能だと。以上を加味して、仮に黄泉の永久牢を逃亡した『風魔の女』が、刻渡りの時計を操って過去に干渉する能力を持っているとした場合、それは風魔の里を追い出された義兄の母親に他ならない――以上が僕の仮説だが、確たる立証が得られていない。君達の情報もまだだから、結論付けるのは時期尚早と言える」
最澄の話に耳を傾けていた華陀も「同感だ」と親指の爪を噛んだ。最澄は「さあ、次は君達の番だ」と言った。
華陀は「了解だ」と飛陀と阿陀へ視線を送る。
「黄泉津大神様が『永久牢に封じていた者が現世へ逃げた。捕らえよ』と命じられたのは半年前だ。名は『鸞心』――特殊能力を持つ風魔族の女だ。どうやって永久牢から脱したのかは分からない。俺達はあくまで機構端末だ。与えられた任務を遂行するだけだ。ところが待てど暮らせど、白い髪の女はやってこなかった」
華陀はここで一度話を切った。深呼吸を一つして、また話を再開させたが、その表情は憎々しいと言わんばかりに歪む。
「一週間後、大神様が激怒した声明文を送ってきた――鸞心は鞍馬山へ逃げたと。お前達は何をしていたのかと叱責の嵐だ。だが、阿陀は五日前に妙な白昼夢を見たという」
「白昼夢?」
「そうだ。長く、白い髪の女が風に乗ってこの淵から天へと高く舞い上がっていくのだと。不思議なことに、阿陀の身体は動かず、俺と飛陀は女に気づかなかった。命令系統は正しく入力されていたのに動けなかったそうだ。女の顔なら阿陀が記憶している。陰陽師なら、鏡だの、紙人形だのを使って、記憶を再現できるだろう」
最澄は「ああ」と短く答えて、近くにあった一本角が生えた頭蓋骨を手に取り、裏返した。それで沼の濁った水を掬い、片手で印を組んで口の中で呪を唱える。
ぽうと瞬きの発光を終えると、濁水はたちまち透明な清水に変化した。最澄は阿陀に頭蓋骨を差し出して「これに手をかざして。頭の中で女の顔を強く思い描きながら」と言った。
阿陀は一度だけ華陀の方を見やって、そろっと尖った爪をした手を水の上にかざす。
水はまたぽうっと光った。
最澄は「もういいよ」と阿陀に告げ、髑髏の中の水を覗いた。
そこには白く長い髪を纏めもせずに風に遊ばせて笑う女が映っていた。
「……これが時間を操る風魔で義兄さんの母親、鸞心か」
義兄にはあまり似ていない。やや垂れ眼がちなところくらいだ。鸞心はこれと言って特徴のない女だった。特筆して美しくもなく、だが醜女でもない。髪を染めて人間の中に埋没されたら捜索は困難を極めるに違いない。
そこで、はたともう一つの問題が最澄の頭に浮かんだ。鸞心は長く黄泉の永久牢に封じられていた。
ならば、義兄の父親は誰だ。
鞍馬山の妖怪であることは明確。しかし、知っている者を最澄は切り捨ててきた。目の前の三傑は知る由もない。
「いや、諦めるのはまだ早い」
黄泉津大神だ。義兄の父親も故人ゆえに黄泉の国に居るはずだ。黄泉津大神を問いただせば或いは、と最澄は立ち上がった。
「華陀、情報共有は終わりだ。僕は黄泉に行かねばならなくなった」
「悪いが、それは聞き入れられねえ願いだな……俺達は隠り世の番人。何人たりとも大神様の許しの無いものは黄泉には入れられない」
飛陀と阿陀が腰を上げて臨戦態勢を取る。
好意的だった華陀も立ち上がって、三人は歩み寄り、溶け合ってひとつになった。またあの巨大な髑髏の上半身が出来上がった。
「俺達は有益な情報を得た。用済みの貴様はここで殺す。風魔の最澄――!!」
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