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第一部 V.S.クルセイダーズ篇
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十八、
クライストに拳を構えて左文字は威圧する。ぱちぱちと水分を含んだ木が燃える音が聞こえている。
「籠釣瓶を返せ」
「できません。そして、君の相手は私ではない。今、第六天魔王が再び甦る。同時に悪魔もね」
謎の言葉を残して、また姿を消したクライストを追おうとした左文字だったが、刹那から強烈な殺気を感じ、空に高く跳躍した。
「……なんだよ、これ……」
籠釣瓶を持っていないにも拘わらず、刹那は上段から袈裟掛けに、見えない刀を持ったまま腕を振った。
剣圧だけで森の木々が何本も切り倒される。
「……これが刹那の異能力、か……!?」
確かにこの刀も無しに広範囲を斬られては近づくことすら敵わない、と左文字は地に降りたつ。
「サモンジ!!」
「馬鹿!! デューク、ガードしろ!!」
こちらに駆けてくるアンリ達をめがけて、また不可視の一閃が放たれる。
それをデュークの血の盾とアンリの斧が受け止めるが、弾くこともできず、相討ちとなった。
「……なんという威力だ。刀を持っておらず、これでは為す術がない」
「いや、俺に策がある――リチャード、ルイーズ、協力してくれるか?」
刹那の異能に圧倒されるデューク達に、潜めた声で左文字が最後尾に居た二人に向き直る。
「え、わ、私達の能力じゃあ……」
「なにができる? 教えてくれ」
「リチャード!?」
臆するルイーズを押しのけて前に出たのはリチャードだった。
「なんだ、てめえ。男を見せるようになったじゃねえか」
「セツナには恩がある。……一番弱くてもできることがあるなら、やり遂げたい!!」
リチャードの胸を拳で叩いて、左文字は「頼むぜ」と笑った。
◇
――チャンスは一度きりだ。
左文字はそう言った。それまではただひたすら刹那の攻撃を耐えるしかないのだ、と。
その言葉に従い、アンリとデュークは全力疾走した後のように汗を滴り落としながらも刹那の攻撃を殺し続けている。刹那の攻撃の威力が落ちる気配はない。だが、こちらは防御の二人の呼吸が激しくなりすぎて、限度が見え始めていた。
(まだか……?)
じれったくて、前へ出たくなる左文字らだが、拳を握りしめてじりじりと機会を待っている。
「やれやれ、諦めの悪い方々だ」
クライストが姿を現した。
――今だ。
ルイーズが『神気』を最大出力でクライストに放つ。
「ふん、そよ風に等しい」
クライストが『神気』を破壊する。
同時に左文字は『縮地』で刹那の脇に滑り込んだ。刹那の視線が瞬きの間、左文字へと移った。
「リチャード!!」
左文字の一喝で、疾風の如く一匹の獅子がクライストの正面に躍り出る。
「無駄だと言っている」
触れるだけで獅子も『神気』同様、霧散する。
「はん、そうやって個人の能力しか見ないから、『クルセイダーズ』はお前だけになったんだ。
『連携』って戦法をなめんじゃねえ」
「サモンジ!!」
もう一匹の獅子が銜えていた籠釣瓶が左文字の手に渡った。
「なに!?」
「アンリ、デューク、ありがとよ!! しっかり休んでな」
左文字は刹那の胸に、渾身の力で籠釣瓶を鞘尻で突いた。
よろけた刹那は前のめりになり、ひゅうひゅうと笛のような音を喉から発していた。
「我、この柵にありて退く者を」
「――斬る」
土方の言葉に、刹那と左文字は顔を突き合わせて、二人はにやりと笑った。刹那の目には光が宿る。
「それにしても痛いぞ。お主は自身の怪力を理解せよ、と何度言わせるのだ」
「るせえ。全員に二日連続で迷惑かけやがって、罰としてクライストはお前が請け負えよ」
「承知仕った」
刹那がアンリ達ににこりと笑い、抜き払った刀身をクライストに向けた。
「……おのれ……カサギ・セツナ……何度私の計画を潰せば気が済むのだ……!!」
「何度でも挫いてやるさ。ちなみにマリオネットも透明化も、もう私には効かぬぞ」
「ならば、やってみろ!!」
再び姿を消す激昂したクライスト。
刹那は左文字に「すまぬが、アンリ達のところで全員固まっていてくれ」と言い残し、アンリ達を避けて、縦横無尽に駆けて『縮地』を使いながら辺り一面を斬り払う。
刹那が足を止めると、胸を交差に斬られたクライストが宙から落ちて全身を地面に強かに打った。
「……すごい、セツナは透明化が見えるのか?」
厚かましくも胡坐をかいて戦いの成り行きを見ていた左文字の隣でリチャードが感嘆の声を上げる。
「いや、そうじゃない。奴の透明化は念力の糸であるマリオネットの応用だ。透明化させる糸を自身に巻き付けた、と言えば解りやすいか。加えて、怒りで呼吸が荒れていれば、私には見えているも同然だ」
リチャードは以前、刹那達から特訓を受けていた時に「呼吸を整えよ」と言われたことを思い出した。その意味を今ようやく痛感する。
「さて、ひとつ訊きたい。クライスト、私を使って何をするつもりだったのだ?」
「堕天した魔王ルシファーを甦らせ、マリオネットで操る。十四日に第二次フランス革命を起こし、それをあたかも自分が魔王を鎮圧したかのようにした自作自演で、枢機卿候補から一気に教皇以上の指示を集めようとしたのよ」
「アーヤ」
荒い呼吸と震える両脚で立ちあがったクライストに代わって答えたのは、どこからか現れたアーヤだった。
これまで絶対に戦いの場には出てこなかった彼女が、なぜ今になって出てきたのか、と一同は目を丸くする。
「……アーヤ・イブン・ユースィフ、か」
「クライストの正体が貴方だったとはね。道理で私のカードには映らないはずだわ」
刹那は隣に立ったアーヤに「知り合いか?」と問うた。
「確かこやつの本名はアンドリュー・シモンズだったはずだが」
「全部偽名よ。カードに映らないのも、相当実力者がテロリストの中にいると思っていたけれど、なんのことはない、こいつ自身が術者だもの。どうして念写の顔で解らなかったのかしら? それほどに私も異能を手に入れた貴方も歪んでしまったの?」
アーヤの顔に影が落ちる。白み始めた空とは反対に、アーヤは泣いているのだろうか。
「……君には解るまい……!! 生まれながらに神の国の聖女の『業』を持ち、才能に恵まれた君には生涯解らないさ。どんなに神のしもべたらんと清貧を誓い、心がけたとしても、権力が渦を巻く聖なる代行者を謳った人間の強欲の前での私は、ただの理想を口にするだけの若造でしかないのだと!! ――だから超えることにしたんだ……奴ら以上に民衆の支持を集めようと。所詮、この世は集団が正義!! 大多数が勝つんだ!!」
クライストは怒りと哀しみで拳を握った。刹那は隣に立つアーヤに「私はこやつを斬るぞ」と囁いた。
「集団が正義、大多数が勝つ、か。否定はしまい。我が故国も、大多数による革命で改められ、逆賊として我々は負けた。国の在り方なんぞに孤児である私は興味が無かったが、恩師の大きな背中を守りたかった、愛した女は守りたかった」
刹那の十八番である切っ先を水平にする平突きに構えると、アーヤが光る雫を散らせて顔を上げた。
「――結果、未熟な負け犬であり、最愛すら殺した咎人となった。だが、クライスト、ひとつだけ私はお主を否定する。如何に矜持を傷つけられようと、民衆を上に上がる道具にしか考えていない貴様を、私は断固認めん!!」
地を蹴り、土が舞う。
ざ、っと地平線から顔を出した陽光を浴びたプラタナスの緑葉を一陣の風が揺らした。
刹那の切っ先がクライストに届こうかとした時に、クライストの前に立ったのは泣いているアーヤだった。
「……アーヤ」
「……ごめんなさい……刹那、殺さないで……」
クライストは目を見開いて、また小さく彼女の名を呼んだ。
「君は、本当に……どうして変わらないのだろうね……」
クライストが発する陽だまりのような声に、振り向きかけたアーヤを彼は背後から抱きしめた。
――本当に愚かなのは、どちらだろう?
抱きしめたアーヤに隠し持っていたナイフを向けたクライストを、刹那は通りすがりざまに斬った。
「貴様に決まっておろう」
刹那は籠釣瓶の血糊を払って鞘に納めた。
背後で愛した男の熱が離れていくことに、アーヤは裏切られながらも両手で顔を覆って泣いた。
「アーヤ、私を恨むなら恨め――私は魔王ゆえ、どう抗っても救済者にはなれぬようだ」
刹那の言葉に、アーヤはただ泣きながら、子供のように首を横に振って否定する。
誰もが口を噤む中、アンリがアーヤに手を差し出して「帰ろうよ」と小首を傾げた。
アーヤはたった今息絶えた男と同じ金髪碧眼のアンリの手を取って、立ち上がり、刹那に囁く。
「刹那、ありがとう……」
皆が帰宅の徒に着く中、刹那だけは動こうとしない。それに嘆息した左文字が刹那の首に腕を正面から引っ掛ける。
「うぐっ!!」
「ばーか。礼よりも恨み言言われた方が楽だと思ったんだろ。人生は波乱万丈、上等じゃねえか。斬ることがお前の人生なんだ。十年前に俺にあの信念を教えてなかったら、今のお前はいないんだからな」
ラリアットがどんどんとめり込んで苦しさが増す。だが、それも今の自身にはお似合いか、と刹那は「そういうものか」と答えた。
「ところで左文字……も、限界、ぐるじいぞ……!!」
「あ? 我慢しろよ」
無情な相方に恵まれたものだ、と刹那は木製の十字架の上で手を組むように眠ったクライストに目礼をしてモンマルトルに帰った。
★epilogueへ
クライストに拳を構えて左文字は威圧する。ぱちぱちと水分を含んだ木が燃える音が聞こえている。
「籠釣瓶を返せ」
「できません。そして、君の相手は私ではない。今、第六天魔王が再び甦る。同時に悪魔もね」
謎の言葉を残して、また姿を消したクライストを追おうとした左文字だったが、刹那から強烈な殺気を感じ、空に高く跳躍した。
「……なんだよ、これ……」
籠釣瓶を持っていないにも拘わらず、刹那は上段から袈裟掛けに、見えない刀を持ったまま腕を振った。
剣圧だけで森の木々が何本も切り倒される。
「……これが刹那の異能力、か……!?」
確かにこの刀も無しに広範囲を斬られては近づくことすら敵わない、と左文字は地に降りたつ。
「サモンジ!!」
「馬鹿!! デューク、ガードしろ!!」
こちらに駆けてくるアンリ達をめがけて、また不可視の一閃が放たれる。
それをデュークの血の盾とアンリの斧が受け止めるが、弾くこともできず、相討ちとなった。
「……なんという威力だ。刀を持っておらず、これでは為す術がない」
「いや、俺に策がある――リチャード、ルイーズ、協力してくれるか?」
刹那の異能に圧倒されるデューク達に、潜めた声で左文字が最後尾に居た二人に向き直る。
「え、わ、私達の能力じゃあ……」
「なにができる? 教えてくれ」
「リチャード!?」
臆するルイーズを押しのけて前に出たのはリチャードだった。
「なんだ、てめえ。男を見せるようになったじゃねえか」
「セツナには恩がある。……一番弱くてもできることがあるなら、やり遂げたい!!」
リチャードの胸を拳で叩いて、左文字は「頼むぜ」と笑った。
◇
――チャンスは一度きりだ。
左文字はそう言った。それまではただひたすら刹那の攻撃を耐えるしかないのだ、と。
その言葉に従い、アンリとデュークは全力疾走した後のように汗を滴り落としながらも刹那の攻撃を殺し続けている。刹那の攻撃の威力が落ちる気配はない。だが、こちらは防御の二人の呼吸が激しくなりすぎて、限度が見え始めていた。
(まだか……?)
じれったくて、前へ出たくなる左文字らだが、拳を握りしめてじりじりと機会を待っている。
「やれやれ、諦めの悪い方々だ」
クライストが姿を現した。
――今だ。
ルイーズが『神気』を最大出力でクライストに放つ。
「ふん、そよ風に等しい」
クライストが『神気』を破壊する。
同時に左文字は『縮地』で刹那の脇に滑り込んだ。刹那の視線が瞬きの間、左文字へと移った。
「リチャード!!」
左文字の一喝で、疾風の如く一匹の獅子がクライストの正面に躍り出る。
「無駄だと言っている」
触れるだけで獅子も『神気』同様、霧散する。
「はん、そうやって個人の能力しか見ないから、『クルセイダーズ』はお前だけになったんだ。
『連携』って戦法をなめんじゃねえ」
「サモンジ!!」
もう一匹の獅子が銜えていた籠釣瓶が左文字の手に渡った。
「なに!?」
「アンリ、デューク、ありがとよ!! しっかり休んでな」
左文字は刹那の胸に、渾身の力で籠釣瓶を鞘尻で突いた。
よろけた刹那は前のめりになり、ひゅうひゅうと笛のような音を喉から発していた。
「我、この柵にありて退く者を」
「――斬る」
土方の言葉に、刹那と左文字は顔を突き合わせて、二人はにやりと笑った。刹那の目には光が宿る。
「それにしても痛いぞ。お主は自身の怪力を理解せよ、と何度言わせるのだ」
「るせえ。全員に二日連続で迷惑かけやがって、罰としてクライストはお前が請け負えよ」
「承知仕った」
刹那がアンリ達ににこりと笑い、抜き払った刀身をクライストに向けた。
「……おのれ……カサギ・セツナ……何度私の計画を潰せば気が済むのだ……!!」
「何度でも挫いてやるさ。ちなみにマリオネットも透明化も、もう私には効かぬぞ」
「ならば、やってみろ!!」
再び姿を消す激昂したクライスト。
刹那は左文字に「すまぬが、アンリ達のところで全員固まっていてくれ」と言い残し、アンリ達を避けて、縦横無尽に駆けて『縮地』を使いながら辺り一面を斬り払う。
刹那が足を止めると、胸を交差に斬られたクライストが宙から落ちて全身を地面に強かに打った。
「……すごい、セツナは透明化が見えるのか?」
厚かましくも胡坐をかいて戦いの成り行きを見ていた左文字の隣でリチャードが感嘆の声を上げる。
「いや、そうじゃない。奴の透明化は念力の糸であるマリオネットの応用だ。透明化させる糸を自身に巻き付けた、と言えば解りやすいか。加えて、怒りで呼吸が荒れていれば、私には見えているも同然だ」
リチャードは以前、刹那達から特訓を受けていた時に「呼吸を整えよ」と言われたことを思い出した。その意味を今ようやく痛感する。
「さて、ひとつ訊きたい。クライスト、私を使って何をするつもりだったのだ?」
「堕天した魔王ルシファーを甦らせ、マリオネットで操る。十四日に第二次フランス革命を起こし、それをあたかも自分が魔王を鎮圧したかのようにした自作自演で、枢機卿候補から一気に教皇以上の指示を集めようとしたのよ」
「アーヤ」
荒い呼吸と震える両脚で立ちあがったクライストに代わって答えたのは、どこからか現れたアーヤだった。
これまで絶対に戦いの場には出てこなかった彼女が、なぜ今になって出てきたのか、と一同は目を丸くする。
「……アーヤ・イブン・ユースィフ、か」
「クライストの正体が貴方だったとはね。道理で私のカードには映らないはずだわ」
刹那は隣に立ったアーヤに「知り合いか?」と問うた。
「確かこやつの本名はアンドリュー・シモンズだったはずだが」
「全部偽名よ。カードに映らないのも、相当実力者がテロリストの中にいると思っていたけれど、なんのことはない、こいつ自身が術者だもの。どうして念写の顔で解らなかったのかしら? それほどに私も異能を手に入れた貴方も歪んでしまったの?」
アーヤの顔に影が落ちる。白み始めた空とは反対に、アーヤは泣いているのだろうか。
「……君には解るまい……!! 生まれながらに神の国の聖女の『業』を持ち、才能に恵まれた君には生涯解らないさ。どんなに神のしもべたらんと清貧を誓い、心がけたとしても、権力が渦を巻く聖なる代行者を謳った人間の強欲の前での私は、ただの理想を口にするだけの若造でしかないのだと!! ――だから超えることにしたんだ……奴ら以上に民衆の支持を集めようと。所詮、この世は集団が正義!! 大多数が勝つんだ!!」
クライストは怒りと哀しみで拳を握った。刹那は隣に立つアーヤに「私はこやつを斬るぞ」と囁いた。
「集団が正義、大多数が勝つ、か。否定はしまい。我が故国も、大多数による革命で改められ、逆賊として我々は負けた。国の在り方なんぞに孤児である私は興味が無かったが、恩師の大きな背中を守りたかった、愛した女は守りたかった」
刹那の十八番である切っ先を水平にする平突きに構えると、アーヤが光る雫を散らせて顔を上げた。
「――結果、未熟な負け犬であり、最愛すら殺した咎人となった。だが、クライスト、ひとつだけ私はお主を否定する。如何に矜持を傷つけられようと、民衆を上に上がる道具にしか考えていない貴様を、私は断固認めん!!」
地を蹴り、土が舞う。
ざ、っと地平線から顔を出した陽光を浴びたプラタナスの緑葉を一陣の風が揺らした。
刹那の切っ先がクライストに届こうかとした時に、クライストの前に立ったのは泣いているアーヤだった。
「……アーヤ」
「……ごめんなさい……刹那、殺さないで……」
クライストは目を見開いて、また小さく彼女の名を呼んだ。
「君は、本当に……どうして変わらないのだろうね……」
クライストが発する陽だまりのような声に、振り向きかけたアーヤを彼は背後から抱きしめた。
――本当に愚かなのは、どちらだろう?
抱きしめたアーヤに隠し持っていたナイフを向けたクライストを、刹那は通りすがりざまに斬った。
「貴様に決まっておろう」
刹那は籠釣瓶の血糊を払って鞘に納めた。
背後で愛した男の熱が離れていくことに、アーヤは裏切られながらも両手で顔を覆って泣いた。
「アーヤ、私を恨むなら恨め――私は魔王ゆえ、どう抗っても救済者にはなれぬようだ」
刹那の言葉に、アーヤはただ泣きながら、子供のように首を横に振って否定する。
誰もが口を噤む中、アンリがアーヤに手を差し出して「帰ろうよ」と小首を傾げた。
アーヤはたった今息絶えた男と同じ金髪碧眼のアンリの手を取って、立ち上がり、刹那に囁く。
「刹那、ありがとう……」
皆が帰宅の徒に着く中、刹那だけは動こうとしない。それに嘆息した左文字が刹那の首に腕を正面から引っ掛ける。
「うぐっ!!」
「ばーか。礼よりも恨み言言われた方が楽だと思ったんだろ。人生は波乱万丈、上等じゃねえか。斬ることがお前の人生なんだ。十年前に俺にあの信念を教えてなかったら、今のお前はいないんだからな」
ラリアットがどんどんとめり込んで苦しさが増す。だが、それも今の自身にはお似合いか、と刹那は「そういうものか」と答えた。
「ところで左文字……も、限界、ぐるじいぞ……!!」
「あ? 我慢しろよ」
無情な相方に恵まれたものだ、と刹那は木製の十字架の上で手を組むように眠ったクライストに目礼をしてモンマルトルに帰った。
★epilogueへ
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