異種族合法ロリ教師の恋

テルミャ

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9.ラブホ初心者とオーク

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 お互い飲み直して早二時間。しっかり酒も回り私も少しテンションが上がってきた。
 秋島先生は酒豪なのかあまり顔に出ないのか、いつもと同じ顔に見える。こうやって見るとやっぱり格好良い。こんな人が私の彼氏だなんて……。うへへ。
 そんな気持ち悪い心の中は面に出さず、お酒も飲んでいることだし普段聞けないことを聞いてみる。

「それで、改めて私達付き合ってるわけですが」
「はい」

 先程の高垣先生の言葉を意識しているわけではない……。しかし、やはり気になってしまう。
 確かに告白してきたのは彼だ。だけどあれから連絡も取っていないし、学校でだってあまり話していない。
 私だってデートとかキスとか色々したい、でも彼が求めない限り、自信がなくて動けない。
 我ながら情けないな……。
 告白されて、相手の気持ちも聞いて、ここまでされてもまだ彼に疑いを持っているなんて。
 自分の性格の悪さが嫌になる。
 そんな私に投げられる質問は、

「したいこととか、ないんですか?」

 こんなぼかしたものしかなかった。
 何でもいい、ハグでもキスでもデートでも、私を求めて欲しい。

「したいこと……いや、あります……けど」

 秋島先生が言いよどむ。しかしその表情は、続きを言うのに抵抗があるようだった。
 一体何がしたいのだろう。秋島先生の頼みなら、大抵のことは聞けると思うのだが。

「なんですか! あるんだったら言ってくださいよ! 私に出来ることなら何でもしようじゃないですか!」

 この歳で夢の国デートだろうが、クリスマスにイルミネーションを見に行くだとか、どんなものでもどんとこいだ。なんだったらこの場でキスしたっていい。

「本当ですか?」
「本当に本当です。ニルヴィアの長に誓います」

 それにしても良かった。秋島先生、私としたいことあったんだ。
 心の底から安堵する。それならばどんなことでもしてあげたい。

「じゃあ言いますね」

 そう言うと秋島先生は息を大きく吸い込み、

「あなたが抱きたいです」

 信じられないことを口にした。
 えっとこれはあれか、私がそういうこと求めすぎて現実と妄想の区別がつかなくなってしまったとかそういうこと?
 抱きたい抱きたい抱きたい……。

「え、あ、えーっと……は、ハグですか!? それならどんとこいです!」

 いや、違う。私も意味くらいは分かるつもりだ。だけど、え、本当に?

「はぁ……、もうはっきりいいます」

 諦めるようにため息を一度つくと、秋島先生が私の手を握り瞳を見つめる。手に伝わる暖かい感触が酔いを覚まし、彼の言葉を確実に届けた。

「あなたとセックスがしたいです」

 動悸が激しくなり自身の心臓の音が鮮明に耳へと届く。自分でも分かる程に顔が赤くなっているのを感じる。
 彼の頬は先程よりも赤くなっており、自身の言ったことを半分後悔しているようにも思えた。
 一方そんな言葉を聞いた私ときたら……

「……」

 思わずあんぐりと口を開けてしまっていた。セックス、つまりは性交。
 抑えていた性欲が愛液として漏れでる。

「リルア先生?」
「ほ、本気ですか……?」

 恐る恐る問いかける。私は確かに成人してるし、なんなら彼よりも年上だ。しかし、見た目は正直人間の幼児と大差がない。
 何でもするとは言ったし確かに私も求めていた。だけどあまりに都合がよすぎて信じきれない。

「はい」
「私、こんな見た目ですが……」
「それが良いです」

 はっきりと言い切る彼は凄く真剣な眼差しをしていた。あれが愛と性欲の目線だと思うと素直に濡れてくる。
 ただ、念のためにこれは確認しておかなくてはなるまい。

「えっと、秋島先生ってそういう……」
「いや、特にそういう趣味はなかったはずなのですけど、リルア先生は別です」

 まあそういう趣味であったとしてもお互い好きで合法な以上問題はないし、特に意味のある質問ではなかったのだが。

「…………」

 言葉に詰まってしまう。本当か? そんな目で異性に見られるのなんて初めてだ。いやでも確かに、私が好きってことは多少なりとも私の身体に興味があるということで……。
 嬉しさと恥ずかしさのあまり落ち着かなくなった手が人差し指で髪をくるくると

「わ、わかりました……」

 どちらにしろこれはチャンスだ。私の体質改善と処女卒業。ついでに自信もつくし秋島先生とももっと親密になれる。

「い、いいんですか……?」
「私達くらいの歳だと、こういうのは自然な流れでするのが普通らしいですよ……」

*********************

 とまあそんなこんなでラブホテルにやってきた。当然ながら、場所は学校からかなり遠い場所。万が一にも生徒に見つかることはない……はずだ。

「は、入りますよ……」
「は、はい」

 自動ドアを開き、中へ入る。
 ラブホテルへの道すがら、私達より若いカップルや、中々にお年のいった男性と若い女性の二人組などとすれ違ったが、みんな決まって私達の方を見てはひそひそと何かを話していた。
 その時点で心が折れそうだったが、年下の秋島先生がここまで求めてくれたのだ。私が頑張らなくてはなるまい。

「うわぁ……」
「すごい……」

 二人同時に驚きの声をあげる。ロビーそのものはこじんまりとしているが、雰囲気は普通のビジネスホテルとそこまで変わらなかった。他のラブホテルもこんな感じなのだろうか。
 何か私のイメージではもっとこう部屋のボタンが一杯あって、カウンターは換金所のように手しか見えないとものだと思っていたのだが……。
 そして一番目立つのはカウンターにいるオーク族である。

「いらっしゃい! おぉ、ニルヴィアとは珍しいじゃねぇか!」

 オークは入ってきた私達を見ると同時に大声で話しかけてきた。
 幸いなことに他の客はロビーにいなかったが、あまり目立つことはやめて欲しい。

「あんまり、大きな声で言うのやめてもらえますか……?」
「おぉ、こいつはすまねぇ! 近親種族がくるのは珍しくてな!」

 そういう店主の声はボリュームを落としたと思えないほど大きい。
 彼の言うように、オークはニルヴィアの、というよりエルフの親戚みたいなものだ。仲が特に良いというわけではないが、オークは基本的に人情味が厚い。それ故の対応だろうか。

「えっと、二人なんですけど……」
「おぉ! 相手はどこだい?」
「…………」

 無言で秋島先生を指差すと、彼が頭をかきながら会釈を返す。
 それを見て、オークの店員は口をあんぐりと上げた。

「はぇー初めて見た」
「と、とにかく、部屋空いてるんですか!」
「ん、あぁ空いてるよ。つっても、変なプレイ用の部屋はなくて普通の部屋しか空いてないんだが……」
「普通の部屋で大丈夫です!」
「あいよ、じゃあ202号室ね」

 そう言うと店員はカウンターの下の何かを押すような動作をする。
 こ、これはもう行ってもいいのだろうか。

「えっと……」
「何だあんたら初めてかい? そのまま向かえばいいんだよ」
「え、あ、ありがとうございます。あのお金は……」
「入口の横に精算機があるから、出る時に払ってくれ。あぁ、それとあんたら」

 了承して脇を抜けようとする私達に店員が呼び止める。

「出る時は裏口開けてやるから使いな。その方がいいだろ?」
「…………ありがとうございます」
「ありがとうございます……」

 二人して少し呆気にとられながらも感謝を返す。
 何だかんだ良い人だった。やはり近親種族、色々と理解がある。というか今さらだが、下手すれば人間の店員だったら入口で弾かれる可能性すらあったのでは。
 そう考えるとあの店員さんには本当に感謝しかないな。

「あんな身体に入るのかねぇ……」

 最後の一言が聞こえてなければ。
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