389 / 389
『腸』――17日目
199.『夜の時間(10)』
しおりを挟む**
――――AM01:05、応接間
千景 勝平
「……………………」
白百合 美海
「…………まさか、用心棒が」
小田切 冬司
「…………食えないやつだね。
頭は悪くないみたいだよ、用心棒は」
千景 勝平
「…………なあ、小田切」
小田切 冬司
「なに?」
千景 勝平
「このゲーム、……俺たちが不利なんだよな?」
小田切 冬司
「そうだね。
現時点で村人と確定しているのは、
……朔也、直斗、それに竜崎くん。
……直斗は霊媒師だし、朔也は共有者で……もう一人が誰かわかっている。
…………あれだけガチャガチャしちゃったから、朔也は自分が今夜の襲撃対象だったと気付いたかもしれない。
すると…………トラップよりも、もう一人を村人認定する確率が高いかも。
…………自分が死んだら意味ないからね」
白百合 美海
「……………………」
小田切 冬司
「でも、ひとつわかったことがあるよ」
千景 勝平
「…………?」
白百合 美海
「……なに?」
小田切 冬司
「たぶん……独断と偏見だけど、
用心棒は少なくとも竜崎くんではないみたい」
白百合 美海
「なぜ…………?」
小田切 冬司
「彼はそんなに頭が働かない」
千景 勝平
「…………ひでえ言い様だな」
小田切 冬司
「でも、二人よりは俺の方が彼のことを知ってるからね。
…………そして、その論法でいくと、空太も用心棒の可能性は低いかも。
怪しいところは……佐倉さん、七瀬さん、……それに、間宮さん、かな」
白百合 美海
「そんな…………果帆がゲームを進行させた張本人だなんて、
…………アキラを守らなかったなんて、考えたくないわ」
小田切 冬司
「その3人の可能性が高いんじゃないかってことだよ。
どっちにしろ、その3人を襲撃の対象にはできない。
朔也と直斗と竜崎くんには票が集まらないから、襲撃でやるしかないんだ」
白百合 美海
「…………後回しにすると、どうなるの?」
小田切 冬司
「その前に俺たちが処刑される可能性が高い」
白百合 美海
「………………3人で、生き残りたいもんね、ここまで来たら」
小田切 冬司
「…………ありがとう。白百合さん」
(俺の汚い愛情も知らず…………ありがとう)
千景 勝平
「……………………」
(俺は…………死ぬなら死ぬで、構わないのかもしれないな)
小田切 冬司
「…………そろそろ解散しようか。
一時を過ぎたよ」
千景 勝平
「…………そうだな」
白百合 美海
「待って…………明日の投票、どうする?」
小田切 冬司
「…………明日、和歌野さんが嘘を吐いていることがバレる。
たぶん、彼女に票が集まるだろうね。
悪いけど彼女のことは庇えないよ、……分が悪いし、……小日向さんを売ったことは許せない、あれほどの関係でありながら」
白百合 美海
「でも、…………それはあたしたちも同じ、よね」
千景 勝平
「………………」
小田切 冬司
「…………そうだね」
白百合 美海
「あのときはついカッとなってしまったけど、
…………あたしだって朔也や果帆を裏切るんだわ。
サキちゃんのこと、責められる立場にない、全然……」
小田切 冬司
「……白百合さんはそうでも、みんなはそうじゃないよ、たぶん。
これはただの人狼ゲームじゃない、本物の殺人ゲームなんだ。
…………感情で動いてしまうのが、人ってものだよ」
千景 勝平
「その点については同感だな。
……いいだろ、投票に関してはその場の流れもあるわけだしな。
……ただ、和歌野のことは、庇わない方向性で」
小田切 冬司
「そうだね」
白百合 美海
「…………わかったわ」
小田切 冬司
「…………そろそろ休もう」
白百合 美海
「ええ……」
千景 勝平
「行くぞ、白百合…………送ってく」
白百合 美海
「いつもありがとう、勝平くん」
小田切 冬司
「…………それじゃ二人とも……おやすみ」
白百合 美海
「おやすみなさい…………」
**
――――16日目、終了
【残り:11人】
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。
MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
敗戦国の姫は、敵国将軍に掠奪される
clayclay
恋愛
架空の国アルバ国は、ブリタニア国に侵略され、国は壊滅状態となる。
状況を打破するため、アルバ国王は娘のソフィアに、ブリタニア国使者への「接待」を命じたが……。
JKメイドはご主人様のオモチャ 命令ひとつで脱がされて、触られて、好きにされて――
のぞみ
恋愛
「今日から、お前は俺のメイドだ。ベッドの上でもな」
高校二年生の蒼井ひなたは、借金に追われた家族の代わりに、ある大富豪の家で住み込みメイドとして働くことに。
そこは、まるでおとぎ話に出てきそうな大きな洋館。
でも、そこで待っていたのは、同じ高校に通うちょっと有名な男の子――完璧だけど性格が超ドSな御曹司、天城 蓮だった。
昼間は生徒会長、夜は…ご主人様?
しかも、彼の命令はちょっと普通じゃない。
「掃除だけじゃダメだろ? ご主人様の癒しも、メイドの大事な仕事だろ?」
手を握られるたび、耳元で囁かれるたび、心臓がバクバクする。
なのに、ひなたの体はどんどん反応してしまって…。
怒ったり照れたりしながらも、次第に蓮に惹かれていくひなた。
だけど、彼にはまだ知られていない秘密があって――
「…ほんとは、ずっと前から、私…」
ただのメイドなんかじゃ終わりたくない。
恋と欲望が交差する、ちょっぴり危険な主従ラブストーリー。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる