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第13話 美人ヨガインストラクター殺人事件

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 工口こうぐち警部は遊歩道の生垣に遺棄されていた死体に手を合わせていた。
 死体は全裸で、手足を広げた大の字の状態で倒れている。

「……まだ若いのに気の毒にな」

「ガイシャは栗藤くりとう美優みゆ、26歳。ヨガのインストラクターで、死後二日経過しているようですね」
 朝立あさだち巡査が工口に報告する。

「殺害されたのは自宅のマンションの一室です。ガイシャの血痕や兇器きょうき鉄鎚かなづちも見つかりました。ただ問題なのはこのマンション、オートロックで勿論エントランスに防犯カメラが付いているのですが、死体を運んでいる犯人の姿が映っていないのです」

「……なるほど。犯人はどうやって死体を持ち去ったのか? ということか」

「防犯カメラに映っていた容疑者は、栗藤の恋人の古館ふるたち達郎たつろう、ストーカーの茶珍ちゃちん風助ふうすけ、生徒の濡髪ぬれがみらんの三名です」

「わからん、わからん。わかる筈がない。こうなったら奥の手を使おう」

 エロ警部は早漏、否、早々に肉倉ししくらエリカに電話をかけるのだった。

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「犯人、わかったんだけど」

 現場に到着するなり、ギャル探偵は工口にそう言い放った。

「本当かエリカちゃん!?」

「犯人は栗藤の恋人の古館だよ」

「その心は?」

「栗藤美優はヨガのインストラクターだから、当然体が柔らかい。だったら当然セックスも色んな体位を試す筈じゃん」

「……なるほど! つまりガイシャは夜もベッドの上でもヨガりまくっていたということか!」
 エロ警部が鼻息を荒くして嬉しそうに言う。

「恋人に頼まれれば体を折り曲げてボストンバッグに入ることもできた筈。古館はそこを殴り殺した。既にコンパクトにまとまってボストンバッグに入っている状態だから、あとは普通に持ち運べる」

「だったら恋人じゃなくて、生徒の濡髪蘭でもバッグに入れることはできるんじゃないですか?」
 朝立がエリカに言う。

「そうか、栗藤と濡髪はレズカップルってことか!」

「……違いますよ。生徒なら自然にヨガのポーズや技のリクエストもできるでしょう?」

「流石は朝ちん。でも女の力ではボストンバッグに入れた栗藤の死体を運べないから濡髪じゃ無理。同様にストーカーの茶珍では栗藤にポーズをとらせられない。どっちもできるのは古館だけだよ」

「……でも今は死体は折り畳まれていませんけど?」

「犯人は死後硬直が解けるのを待っていたんだ。バッグに入ったままだとどうやって死体を運んだのか、死体が見つかったら一発でバレちゃうからね」

 こうして事件は一件落着。今回も難事件であった。ふぅ。
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