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VSサイコメトラー
第27話
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「サイコメトリー能力ってご存じありませんか?」
依頼人、丸山ふみえが唐突にそんなことを言い始めたので、俺は思わず眉間に皺を寄せる。
サイコメトリーとは、人や物に触れることで、そこから意識や記憶の断片(残留思念)を読み取るという超能力のことである。
そんなオカルト用語が真面目そうな女子大生の口からいきなり飛び出せば、誰だって俺と同じようなリアクションになるだろう。
「あ、誤解しないでください。私自身はそういうことに詳しいわけじゃなくて、今回相談したいのは、私の友達のことなんです」
ソファに座る依頼人はそう言って、慌てたように両手を振った。
就活の帰りなのだろう、丸山ふみえはシックなリクルートスーツで身を固めている。その所為で身体のラインがはっきり出ているのが妙に艶めかしかった。
「……伺いましょう」
俺はコーヒーを一口啜る。
「私の友達、柳沢六花っていうんですけど、最近変な宗教みたいなのに嵌まってまして」
「変な宗教?」
「一種の霊感商法って言うんでしょうか。相手の過去やら何やらを言い当てた上で、不安を煽るようなことを言ってただの水を高値で売りつけるような集まりに参加してるみたいなんです」
「相手に取り入り、信用させてから不安を煽る。詐欺師の常套手段です」
俺は当り障りのないことを言って、適当に相槌を打つ。
「その所為で六花、最近どんどん様子がおかしくなってしまって、今じゃろくに家にも帰ってないみたいなんです」
「……なるほど」
「鏑木さん、何とかペテン師のインチキを白日の下に晒して六花の目を覚ますことはできないでしょうか?」
丸山ふみえは涙目になりながら、俺の手を強く握ってくる。
「……お任せください。この鏑木、どんな手段を使ってでもペテン師の計略を見破ってみせましょう!」
〇 〇 〇
「……それで引き受けたのか?」
事務所の机に脚を乗せて座る小林声は軽蔑するような目で俺を睨んでいた。
「仕方ないだろう。あの状況でうら若き乙女の頼みを無下にできる男は存在しない。否、そんな奴は男じゃない」
「……発言の端々からキモさが伝わってくるな」
「千思会の次の集会は明日の19時だ。そこで小林、お前にその場でサイコメトリー能力のトリックを暴いて欲しいのだ」
肝心の謎解きを小林に頼り切っている点に関しては、我ながら情けないと思っている。しかし、小林はこれまでに何度も難事件を解決した実績のある名探偵だ。それに以前、達磨軒での食事代を賭けた勝負では、見事相手のイカサマを見抜いて勝利した。
こいつなら霊感商法のペテンを見破るくらい朝飯前だろう。
「……サイコメトリーって、そのペテン師は具体的には何をするのだ?」
「丸山ふみえの話では、折り畳まれた紙に書かれた文字を手で触れただけでピタリと言い当ててしまうらしい」
「……それだけではまるで情報が足りないな。対策の立てようがない」
小林は小さく肩を竦める。
「今回はやけに弱気じゃないかよ、小林。何時もの自信はどうした?」
「別に弱気なのではない。勝てる確証のない勝負を安請け合いするお前の軽率さに呆れかえっているだけだ」
「だったら尻尾を巻いて逃げるか?」
「まさか」
小林は邪悪に微笑んだ。
依頼人、丸山ふみえが唐突にそんなことを言い始めたので、俺は思わず眉間に皺を寄せる。
サイコメトリーとは、人や物に触れることで、そこから意識や記憶の断片(残留思念)を読み取るという超能力のことである。
そんなオカルト用語が真面目そうな女子大生の口からいきなり飛び出せば、誰だって俺と同じようなリアクションになるだろう。
「あ、誤解しないでください。私自身はそういうことに詳しいわけじゃなくて、今回相談したいのは、私の友達のことなんです」
ソファに座る依頼人はそう言って、慌てたように両手を振った。
就活の帰りなのだろう、丸山ふみえはシックなリクルートスーツで身を固めている。その所為で身体のラインがはっきり出ているのが妙に艶めかしかった。
「……伺いましょう」
俺はコーヒーを一口啜る。
「私の友達、柳沢六花っていうんですけど、最近変な宗教みたいなのに嵌まってまして」
「変な宗教?」
「一種の霊感商法って言うんでしょうか。相手の過去やら何やらを言い当てた上で、不安を煽るようなことを言ってただの水を高値で売りつけるような集まりに参加してるみたいなんです」
「相手に取り入り、信用させてから不安を煽る。詐欺師の常套手段です」
俺は当り障りのないことを言って、適当に相槌を打つ。
「その所為で六花、最近どんどん様子がおかしくなってしまって、今じゃろくに家にも帰ってないみたいなんです」
「……なるほど」
「鏑木さん、何とかペテン師のインチキを白日の下に晒して六花の目を覚ますことはできないでしょうか?」
丸山ふみえは涙目になりながら、俺の手を強く握ってくる。
「……お任せください。この鏑木、どんな手段を使ってでもペテン師の計略を見破ってみせましょう!」
〇 〇 〇
「……それで引き受けたのか?」
事務所の机に脚を乗せて座る小林声は軽蔑するような目で俺を睨んでいた。
「仕方ないだろう。あの状況でうら若き乙女の頼みを無下にできる男は存在しない。否、そんな奴は男じゃない」
「……発言の端々からキモさが伝わってくるな」
「千思会の次の集会は明日の19時だ。そこで小林、お前にその場でサイコメトリー能力のトリックを暴いて欲しいのだ」
肝心の謎解きを小林に頼り切っている点に関しては、我ながら情けないと思っている。しかし、小林はこれまでに何度も難事件を解決した実績のある名探偵だ。それに以前、達磨軒での食事代を賭けた勝負では、見事相手のイカサマを見抜いて勝利した。
こいつなら霊感商法のペテンを見破るくらい朝飯前だろう。
「……サイコメトリーって、そのペテン師は具体的には何をするのだ?」
「丸山ふみえの話では、折り畳まれた紙に書かれた文字を手で触れただけでピタリと言い当ててしまうらしい」
「……それだけではまるで情報が足りないな。対策の立てようがない」
小林は小さく肩を竦める。
「今回はやけに弱気じゃないかよ、小林。何時もの自信はどうした?」
「別に弱気なのではない。勝てる確証のない勝負を安請け合いするお前の軽率さに呆れかえっているだけだ」
「だったら尻尾を巻いて逃げるか?」
「まさか」
小林は邪悪に微笑んだ。
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