1 / 1
新しい生命を殺して女の人生を救った男
しおりを挟む
本文
1945年 日本は戦争に負けポツダム宣言を受諾したころ今でいう北方領土と呼ばれているある小さな島で起こった出来事である。
ポンポンポン 蒸気船が音を鳴らしながら北海道の本土から少し離れた島に石原 貫太郎と言う一人の医者を乗せて走っていた。
1945年にソ連は不可侵条約を破り日本に侵攻しポツダム宣言受諾後にも日本の島々を攻撃していた。
そこにいた日本軍はもうすでに武装解除しており必死の抵抗も空しく撃退していった。
石原はこの戦闘で負傷した人たちを治療するためにこの地に来たのだった。
船から降りたって一番に見たのは海岸に点在する戦車の残骸だったその光景が戦いの壮絶さを物語っていた。
海沿いの村では大型のテントが張っておりそれが臨時の治療所となっていた。
しかし、その治療所では見るに堪えない光景だった、ろくに薬もなくもがき苦しみ体にめり込んだ銃弾を無理やりペンチで麻酔もなく引っこ抜くという荒療治か繰り広げており治療後も包帯が不足しているため傷口からはウジがわく始末だった。
元軍医の石原でも目をそむけるほどの有様だった。
そこでまず、けがの重度で患者を分けて重度なものから治療するとした。
石原は大丈夫だと声をかけていった。
その日の夜
重度な患者の治療が一通り終わり石原の歓迎会というわけでテントから離れたところでたき火を囲い宴会をすることとなった。
ここの村長と思われる人がいった。
「先生、来てくださりありがとうございます、今日の治療所を見ての通りわが島では病院が無く小さな診療所があるだけです、ですからなにとぞおねがいいたします。」
村長の顔は喜びの裏に疲れを感じさせる風体だった。
そしてそれは、もともといた治療員をはじめとする全員がおなじだった。
この日は、住民や戦闘に参加した兵士から戦闘当時の事を多く聞くことができた。
不可侵条約を破ったソ連軍はこの島を含む島々に上陸し攻撃した。
この島にいた第34守備軍の戦車部隊は武装解除した直後だったためろくな装備もせず出撃して一度は善戦したが相手の物量に次第に圧倒され撃退していった。
守備隊がいなくなった村にソ連兵は流れ込み建物は略奪され女は強姦されていった。
この村も被害がでていたが村が完全に荒らされる前にソ連兵に撤退命令がでたのか撤退していった。
石原はその話のたき火を見ながら聞いていた。
石原は火を見るたびにフィリピンの戦場を思い出すのだった、そして今日の治療所での出来事がかぶり
石原の熱意に火がついたのだった。
次の日の早朝から診療所には明かりがともり、昼ごろにはもう重度患者の大半が終ろうとしているところだった。
石原のもとに一人の若い女性が来たのだった。
特にけがもなくかといって病気にもみえない彼女に戸惑いながらもどこが悪いんだときいたが答えをきいたとき石原は聞いた自分を恨んだ。
「私は、、、、中絶を、、おねがいしにきました。」
そう言いことの次第を語った
ソ連がこの島に流れ込んだ時に真っ先に襲われたのは女性だったのだがそのときの被害者が彼女だったのだった。
身寄りもなく一人で生きていくため、燃やす木を探している時に複数のソ連兵に強姦されたのだった。
彼女は力いっぱい抵抗したが厳しい訓練をした兵士たちになすすべもなく妊娠を強いられたのだった。
しかし、この島には産婆はいてもそんな事が出来る医者などいるわけなくあきらめかけていたときに石原があらわれ、希望を持ち来たというのだ。
石原自身はあまり中絶の治療の経験はないが本で読んだことがあった。
「わかった、まず妊娠からどれくらいかわかるか?」
もしかしたら手遅れかもしれないと思いながらきいた。
しかし、聞いた時ほっとすると同時に危機感をおぼえた。
なぜなら、彼女がいったのはもう中絶できるぎりぎりの月日だったからである。
その日は石原の止まっている民家に彼女を安置させた。
夜になり、もう一人の治療員に相談した。
「するべきだろうか?」
聞いた時の治療員は驚いた様子だったが無理もない。
この状態で中絶治療など母体が死ぬ可能性が高過ぎてやらないのが当たり前で普通あきらめるところなのだ。
しかし石原は半分受諾した状態におどろいたのだ。
「なにをいってんだ!やったらどうなるか君の方がわかるだろ!」
そんなことは分かっているといおうとしたとたん。
「きみはそんなことわかっていると思っているだろうが、それならなぜやるんだ。」
理由腐るほどあるが一番は
「俺は、彼女の心の未来を殺したくないのだよ、このまま出産させれば彼女はわけの分からんソ連兵の子供を育てることになる、その彼女の気持ちを考えるともう・・・・、それにもう時間が無いんだ!!」
彼は納得していない様子だったが好きにしろといって離れて行った。
次の日、石原は彼女に明日治療を行うとつたえた。
彼女は安堵したかとみえた。
その日は午前中に他の患者の治療を大方おわらせて午後は中絶治療の準備に追われた。
万が一のために血液型があう自分の血液をビンにためて用意し、治療法をねった。
あの夜彼女の所に行き言った。
「明日は、君は死ぬか生きるかの瀬戸際に立たされるが、がんばってくれ。
君が持っているもう一つの命をなくすことで君は・・・君の心と未来は生きてくるんだ。」
そう言い残しその日は寝ることとした。
夜も明けていないころ、治療室の明かりがともりそこに一人の影が映った。
そして、夜が明けたころ手術が始まった。
麻酔をかけ、腹を押した。
この場合もう早産をさせるしかなかった。
麻酔ももう関係ない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてもうすこしと言うところで、大量に出血したのだった。
急いで止血し無いといけないのに全くとまることを知らない、血を供給していった。
止血が終わり、中絶が終了したところで心肺が停止した。
石原は必死で心臓圧迫を行い彼女は息を吹き返した。
そして、これにより石原は彼女の心と未来を守ったのだった。
その後も、石原は島の人々を治療し、未来をまもっていったのだった。
1945年 日本は戦争に負けポツダム宣言を受諾したころ今でいう北方領土と呼ばれているある小さな島で起こった出来事である。
ポンポンポン 蒸気船が音を鳴らしながら北海道の本土から少し離れた島に石原 貫太郎と言う一人の医者を乗せて走っていた。
1945年にソ連は不可侵条約を破り日本に侵攻しポツダム宣言受諾後にも日本の島々を攻撃していた。
そこにいた日本軍はもうすでに武装解除しており必死の抵抗も空しく撃退していった。
石原はこの戦闘で負傷した人たちを治療するためにこの地に来たのだった。
船から降りたって一番に見たのは海岸に点在する戦車の残骸だったその光景が戦いの壮絶さを物語っていた。
海沿いの村では大型のテントが張っておりそれが臨時の治療所となっていた。
しかし、その治療所では見るに堪えない光景だった、ろくに薬もなくもがき苦しみ体にめり込んだ銃弾を無理やりペンチで麻酔もなく引っこ抜くという荒療治か繰り広げており治療後も包帯が不足しているため傷口からはウジがわく始末だった。
元軍医の石原でも目をそむけるほどの有様だった。
そこでまず、けがの重度で患者を分けて重度なものから治療するとした。
石原は大丈夫だと声をかけていった。
その日の夜
重度な患者の治療が一通り終わり石原の歓迎会というわけでテントから離れたところでたき火を囲い宴会をすることとなった。
ここの村長と思われる人がいった。
「先生、来てくださりありがとうございます、今日の治療所を見ての通りわが島では病院が無く小さな診療所があるだけです、ですからなにとぞおねがいいたします。」
村長の顔は喜びの裏に疲れを感じさせる風体だった。
そしてそれは、もともといた治療員をはじめとする全員がおなじだった。
この日は、住民や戦闘に参加した兵士から戦闘当時の事を多く聞くことができた。
不可侵条約を破ったソ連軍はこの島を含む島々に上陸し攻撃した。
この島にいた第34守備軍の戦車部隊は武装解除した直後だったためろくな装備もせず出撃して一度は善戦したが相手の物量に次第に圧倒され撃退していった。
守備隊がいなくなった村にソ連兵は流れ込み建物は略奪され女は強姦されていった。
この村も被害がでていたが村が完全に荒らされる前にソ連兵に撤退命令がでたのか撤退していった。
石原はその話のたき火を見ながら聞いていた。
石原は火を見るたびにフィリピンの戦場を思い出すのだった、そして今日の治療所での出来事がかぶり
石原の熱意に火がついたのだった。
次の日の早朝から診療所には明かりがともり、昼ごろにはもう重度患者の大半が終ろうとしているところだった。
石原のもとに一人の若い女性が来たのだった。
特にけがもなくかといって病気にもみえない彼女に戸惑いながらもどこが悪いんだときいたが答えをきいたとき石原は聞いた自分を恨んだ。
「私は、、、、中絶を、、おねがいしにきました。」
そう言いことの次第を語った
ソ連がこの島に流れ込んだ時に真っ先に襲われたのは女性だったのだがそのときの被害者が彼女だったのだった。
身寄りもなく一人で生きていくため、燃やす木を探している時に複数のソ連兵に強姦されたのだった。
彼女は力いっぱい抵抗したが厳しい訓練をした兵士たちになすすべもなく妊娠を強いられたのだった。
しかし、この島には産婆はいてもそんな事が出来る医者などいるわけなくあきらめかけていたときに石原があらわれ、希望を持ち来たというのだ。
石原自身はあまり中絶の治療の経験はないが本で読んだことがあった。
「わかった、まず妊娠からどれくらいかわかるか?」
もしかしたら手遅れかもしれないと思いながらきいた。
しかし、聞いた時ほっとすると同時に危機感をおぼえた。
なぜなら、彼女がいったのはもう中絶できるぎりぎりの月日だったからである。
その日は石原の止まっている民家に彼女を安置させた。
夜になり、もう一人の治療員に相談した。
「するべきだろうか?」
聞いた時の治療員は驚いた様子だったが無理もない。
この状態で中絶治療など母体が死ぬ可能性が高過ぎてやらないのが当たり前で普通あきらめるところなのだ。
しかし石原は半分受諾した状態におどろいたのだ。
「なにをいってんだ!やったらどうなるか君の方がわかるだろ!」
そんなことは分かっているといおうとしたとたん。
「きみはそんなことわかっていると思っているだろうが、それならなぜやるんだ。」
理由腐るほどあるが一番は
「俺は、彼女の心の未来を殺したくないのだよ、このまま出産させれば彼女はわけの分からんソ連兵の子供を育てることになる、その彼女の気持ちを考えるともう・・・・、それにもう時間が無いんだ!!」
彼は納得していない様子だったが好きにしろといって離れて行った。
次の日、石原は彼女に明日治療を行うとつたえた。
彼女は安堵したかとみえた。
その日は午前中に他の患者の治療を大方おわらせて午後は中絶治療の準備に追われた。
万が一のために血液型があう自分の血液をビンにためて用意し、治療法をねった。
あの夜彼女の所に行き言った。
「明日は、君は死ぬか生きるかの瀬戸際に立たされるが、がんばってくれ。
君が持っているもう一つの命をなくすことで君は・・・君の心と未来は生きてくるんだ。」
そう言い残しその日は寝ることとした。
夜も明けていないころ、治療室の明かりがともりそこに一人の影が映った。
そして、夜が明けたころ手術が始まった。
麻酔をかけ、腹を押した。
この場合もう早産をさせるしかなかった。
麻酔ももう関係ない。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そしてもうすこしと言うところで、大量に出血したのだった。
急いで止血し無いといけないのに全くとまることを知らない、血を供給していった。
止血が終わり、中絶が終了したところで心肺が停止した。
石原は必死で心臓圧迫を行い彼女は息を吹き返した。
そして、これにより石原は彼女の心と未来を守ったのだった。
その後も、石原は島の人々を治療し、未来をまもっていったのだった。
0
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
地味な薬草師だった俺が、実は村の生命線でした
有賀冬馬
ファンタジー
恋人に裏切られ、村を追い出された青年エド。彼の地味な仕事は誰にも評価されず、ただの「役立たず」として切り捨てられた。だが、それは間違いだった。旅の魔術師エリーゼと出会った彼は、自分の能力が秘めていた真の価値を知る。魔術と薬草を組み合わせた彼の秘薬は、やがて王国を救うほどの力となり、エドは英雄として名を馳せていく。そして、彼が去った村は、彼がいた頃には気づかなかった「地味な薬」の恩恵を失い、静かに破滅へと向かっていくのだった。
別れし夫婦の御定書(おさだめがき)
佐倉 蘭
歴史・時代
★第11回歴史・時代小説大賞 奨励賞受賞★
嫡男を産めぬがゆえに、姑の策略で南町奉行所の例繰方与力・進藤 又十蔵と離縁させられた与岐(よき)。
離縁後、生家の父の猛反対を押し切って生まれ育った八丁堀の組屋敷を出ると、小伝馬町の仕舞屋に居を定めて一人暮らしを始めた。
月日は流れ、姑の思惑どおり後妻が嫡男を産み、婚家に置いてきた娘は二人とも無事与力の御家に嫁いだ。
おのれに起こったことは綺麗さっぱり水に流した与岐は、今では女だてらに離縁を望む町家の女房たちの代わりに亭主どもから去り状(三行半)をもぎ取るなどをする「公事師(くじし)」の生業(なりわい)をして生計を立てていた。
されどもある日突然、与岐の仕舞屋にとっくの昔に離縁したはずの元夫・又十蔵が転がり込んできて——
※「今宵は遣らずの雨」「大江戸ロミオ&ジュリエット」「大江戸シンデレラ」「大江戸の番人 〜吉原髪切り捕物帖〜」にうっすらと関連したお話ですが単独でお読みいただけます。
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
恋愛
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
二本のヤツデの求める物
あんど もあ
ファンタジー
夫の父の病が重篤と聞き、領地から王都の伯爵邸にやって来たナタリーと夫と娘のクリスティナ。クリスティナは屋敷の玄関の両脇に植えられた二本の大きなヤツデが気に入ったようだ。
新たな生活を始めようとするナタリーたちだが、次々と不幸が襲いかかり……。
ちゃんと忠告をしましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私フィーナは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢アゼット様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
アゼット様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は最愛の方に護っていただいているので、貴方様に悪意があると気付けるのですよ。
アゼット様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?
※現在体調の影響により、感想欄を一時的に閉じさせていただいております。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる