愛を育てるということ

ユユリン

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愛は美しい

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『__さんっ…一ノ瀬さんっ!!』

掠れる意思のなかで鈴を転がしたようなか細く可愛らしい声が頭の上から聞こえてきた

私は布団に眠っていたらしく枕元のあやめを見上げると風呂上がりのようで、その白い体からはふよふよと少しずつ逃げてゆく湯気が瞳に止まった

どんな綺麗な女でも風呂上がりとくれば、綺麗な手もしわくちゃになり醜いだろう

だが、彼女は風呂に上がって数分ほどたっていたらしく、手も醜く形を崩してはいなかった

白い体によりいっそう磨きがかかったようにも見えてくる

彼女の体に包まれた淡い桜桃色の浴衣は彼女の美しさの前ではただそ飾りにすぎず

彼女はただ、美しいばかりであった
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