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7話
食事会は、物凄く楽しかった。
初めて見るきらびやかで、美味しそうな食事を、作法も何もわからない俺に「好きに食べてね」と、優しく声をかけ、同じスピードで食べてくれる王妃。
酒を勧めてきてくれ、初めて飲んだワインに眉間のシワを寄せると、笑ってくれた国王。
正直、このようにしてテーブルを囲んで食べること自体初めてで、どきまぎとしてしまって最初は味が全くわからなかった。
しかし、気持ちが解けてくると、名前もわからない料理ばかりだったが、初めてこんなに美味しいものを食べたと、物凄く興奮してしまい、口数も少しだけ多くなってしまった。わいわいとした食事会の中、その中で、唯一気がかりだったのは、考え込んでいるような顔をしたアンヌだった。
先程言ってくれたことを、後悔しているのだろうか?なんて、考えてしまう。やはり、俺よりも姉が恋しいのかも。なんて。
□◇□◇□◇□
食事会が終わり、俺はアンヌに支えられながら、寝室へと目指していた。
意外と度数、という物が高い酒だったらしく「美味しいと感じるには、飲むべきさ!」と、大量に飲まされてしまった為、俺はフラフラと酔っ払ってしまっていて、思考を巡らせることも、まともに歩くことさえも、ままならなかった。
「これ明日二日酔いになっちゃうかなぁ、お風呂は明日入るとしても、頭痛いのは嫌だよね?お水飲める?」
「ん、みう……のめ、う……」
「ふふ、舌足らずでかわいい。けど、しっかり飲もうね」
ベッドの縁に降ろされ、ふかふかの感触に身を委ねながら、アンヌがコップに水を注いでいる、後ろ姿を見る。つい、思った事を口に出してしまう。
「……あした、けっこん……ほ、んとにすう?」
「ん?するよ。……あ、サインを先に書いた関係で、人前でキスもするから、ちょっと恥ずかしいかもね。じっとしてくれれば、僕からしてあげるから、安心してね」
「んー、きいてない……きす、きてない……」
「忘れてたや。あ、リボン外そうか」
「うー……ん」
アンヌの細く、小さい指が俺の髪の毛からリボンを解く。
「せっ、くすも?す……ぅの……」
「明日はしないけど、僕が国王になって、君が王妃になったらね。今、正直ギリギリだから君と寝られるか危ういんだけど……介抱しなきゃだし、我慢するよ」
その覚悟、というのが何なのか、わからない。
抱き潰す、という単語も聞いたとき、不思議だった。ほんとに、ほんとに求められているのだと思うけど、性行為に覚悟する事がある、なんてあんまり聞いたことがない気がした。
「う、ぁ……かくごってなにぃ……ないよっ……」
「性行為、怖くない?獣人との性行為って、未知数だと……思ってるかなって、言っておいたんだけど。君、酔っ払うと分かりやすいね。困った時に飲ませようかな。……ふふ、ウソウソ。ほら、お水飲める?お口開けて……」
そう言いながら、水を持ってきてくれた。グラグラとした視界の中、グラスを受け取れない事を、察してくれていたのか、アンヌが俺の頭を支えられながら水を飲ましてくれる。少しこぼしつつも、コップの中の水を一気に飲み干した。
「ぷは、あ……こわくない、あんぬは、こわくないから……だいじょう……うら……」
「……!!ごめん、今日、一緒に寝るのはやめよう。僕は自分の部屋のベッドで寝るからね、ほら服を脱い……いや、ブーケ!ごめん、ガード君を着替えさせてあげて、僕はちょっと、だめだ。我慢できないからっ……!」
「はいはい、呼ばれると思ってました、お任せください!」
待ってました、と言わんばかりに入ってきたブーケと、入れ替わるように顔を真っ赤にしたアンヌがいなくなってしまった。
「いっしょ、にねない!なんでぇ……?きらいぃ……?」
「ちょっと、ガード様が毒になられたかもしれませんね。アンヌ王子もいいお年頃なので」
「ど、くぅ?にんげん、らのに……?」
「お酒も言うと毒です。今度から国王様には、過剰にお酒飲ませちゃだめって言っておきましょうね、ほら、腕を上げて下さい。お水も、もっと飲まないと……明日の朝のおかゆも必要かなぁ……もー、明日挙式なのに……国王ったら……」
俺の服を引っ張って脱がせてくれる、らしい。ぐるぐるとした頭と視界で、よく分からないが、先程のアンヌを思い出し、悲しい気持ちに駆られる。何が悲しいのか?わからない、わからない、わからな__
「……ん?わ、わわ!ガード様、待って待って、寝ないで~!せめて上着脱いで下さい!!うわ~!」
……可哀想なネズミの叫びは、本人の耳に届かなかった。
初めて見るきらびやかで、美味しそうな食事を、作法も何もわからない俺に「好きに食べてね」と、優しく声をかけ、同じスピードで食べてくれる王妃。
酒を勧めてきてくれ、初めて飲んだワインに眉間のシワを寄せると、笑ってくれた国王。
正直、このようにしてテーブルを囲んで食べること自体初めてで、どきまぎとしてしまって最初は味が全くわからなかった。
しかし、気持ちが解けてくると、名前もわからない料理ばかりだったが、初めてこんなに美味しいものを食べたと、物凄く興奮してしまい、口数も少しだけ多くなってしまった。わいわいとした食事会の中、その中で、唯一気がかりだったのは、考え込んでいるような顔をしたアンヌだった。
先程言ってくれたことを、後悔しているのだろうか?なんて、考えてしまう。やはり、俺よりも姉が恋しいのかも。なんて。
□◇□◇□◇□
食事会が終わり、俺はアンヌに支えられながら、寝室へと目指していた。
意外と度数、という物が高い酒だったらしく「美味しいと感じるには、飲むべきさ!」と、大量に飲まされてしまった為、俺はフラフラと酔っ払ってしまっていて、思考を巡らせることも、まともに歩くことさえも、ままならなかった。
「これ明日二日酔いになっちゃうかなぁ、お風呂は明日入るとしても、頭痛いのは嫌だよね?お水飲める?」
「ん、みう……のめ、う……」
「ふふ、舌足らずでかわいい。けど、しっかり飲もうね」
ベッドの縁に降ろされ、ふかふかの感触に身を委ねながら、アンヌがコップに水を注いでいる、後ろ姿を見る。つい、思った事を口に出してしまう。
「……あした、けっこん……ほ、んとにすう?」
「ん?するよ。……あ、サインを先に書いた関係で、人前でキスもするから、ちょっと恥ずかしいかもね。じっとしてくれれば、僕からしてあげるから、安心してね」
「んー、きいてない……きす、きてない……」
「忘れてたや。あ、リボン外そうか」
「うー……ん」
アンヌの細く、小さい指が俺の髪の毛からリボンを解く。
「せっ、くすも?す……ぅの……」
「明日はしないけど、僕が国王になって、君が王妃になったらね。今、正直ギリギリだから君と寝られるか危ういんだけど……介抱しなきゃだし、我慢するよ」
その覚悟、というのが何なのか、わからない。
抱き潰す、という単語も聞いたとき、不思議だった。ほんとに、ほんとに求められているのだと思うけど、性行為に覚悟する事がある、なんてあんまり聞いたことがない気がした。
「う、ぁ……かくごってなにぃ……ないよっ……」
「性行為、怖くない?獣人との性行為って、未知数だと……思ってるかなって、言っておいたんだけど。君、酔っ払うと分かりやすいね。困った時に飲ませようかな。……ふふ、ウソウソ。ほら、お水飲める?お口開けて……」
そう言いながら、水を持ってきてくれた。グラグラとした視界の中、グラスを受け取れない事を、察してくれていたのか、アンヌが俺の頭を支えられながら水を飲ましてくれる。少しこぼしつつも、コップの中の水を一気に飲み干した。
「ぷは、あ……こわくない、あんぬは、こわくないから……だいじょう……うら……」
「……!!ごめん、今日、一緒に寝るのはやめよう。僕は自分の部屋のベッドで寝るからね、ほら服を脱い……いや、ブーケ!ごめん、ガード君を着替えさせてあげて、僕はちょっと、だめだ。我慢できないからっ……!」
「はいはい、呼ばれると思ってました、お任せください!」
待ってました、と言わんばかりに入ってきたブーケと、入れ替わるように顔を真っ赤にしたアンヌがいなくなってしまった。
「いっしょ、にねない!なんでぇ……?きらいぃ……?」
「ちょっと、ガード様が毒になられたかもしれませんね。アンヌ王子もいいお年頃なので」
「ど、くぅ?にんげん、らのに……?」
「お酒も言うと毒です。今度から国王様には、過剰にお酒飲ませちゃだめって言っておきましょうね、ほら、腕を上げて下さい。お水も、もっと飲まないと……明日の朝のおかゆも必要かなぁ……もー、明日挙式なのに……国王ったら……」
俺の服を引っ張って脱がせてくれる、らしい。ぐるぐるとした頭と視界で、よく分からないが、先程のアンヌを思い出し、悲しい気持ちに駆られる。何が悲しいのか?わからない、わからない、わからな__
「……ん?わ、わわ!ガード様、待って待って、寝ないで~!せめて上着脱いで下さい!!うわ~!」
……可哀想なネズミの叫びは、本人の耳に届かなかった。
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