姉の代わりに嫁いだけど、可愛いうさぎの王子に溺愛されるなんて聞いてない─欠点は性欲が強すぎる所だけ─

無能歌

文字の大きさ
11 / 41

11話

 正直、物凄くびっくりした。

 アンヌに誘われて、薔薇園へ出向いて……
 確かにキス、をしようと言ったのは俺だったし、呼吸の仕方が分からなかったのは事実だ。
 
 でも、性行為をしない。と宣言していたアンヌから、あんなことをされるなんて……
 あの後散々謝られ、今は城内の自分の部屋にいた。
 
 この後は城の護衛や、ブーケ以外の使いの人にアンヌと一緒に会うらしく、今の興奮を抑える為、少し休憩したい。とアンヌが言ったので、俺も休もうと自分の部屋へ帰ってきたのだ。
 
 帰ってくるやいなや、俺の部屋の前で待ち構えていた、国王や王妃に泣き付かれたり、わちゃわちゃとされたりして、メイクが少し崩れた─というか、元々崩れてたけど─のを、通り掛かったブーケが、それじゃいけない!と、孔雀の美容師を呼び戻して来てくれるらしく、今はその待機をして暇していた。
 
 疲労からか、身体が疲れ、ふわふわのベッドに寝転びたかったのだが、頭のレースを外すわけにも行か無い為、昨日アンヌとお菓子と紅茶を楽しんだ、一人がけの椅子に座り外を眺めていた。
 
 城の中からは、大きな庭に目一杯広がる薔薇園が見え、上から見てもあの迷路はクリア出来そうにないと思う。
 いくつかポツポツと空間が空いており、そのスペースには、お茶会のテーブルや、花壇があるとアンヌは言っていた。
 さっきまでどこにいたか分からないが、あの何処かでアンヌとキスを……
 
 さっきの事を思い出し、身体がぶわ、と熱くなる。
 あの積極的なアンヌは少し……いや、だいぶかっこよかった。口を開けろ、と言われた時何か企んでいると、分かる顔をしていたが……逆らえないと本能が叫び、呼吸がしやすくなるのなら。と、開けてしまったのだ。
 
 その後の行為といえば、今思い出してもジクジクと身体の奥が疼く。
 いくら逃げても、逃げ道の塞がれた口内では、無理矢理引っ張りだされ、好き勝手に扱われ、口の刺激が上から下に降りてくるように、腰から足先へと溜まっていた。
 刺激を逃がそうと必死に目をつむり耐えていたが、そんな俺を面白がっているのか、無意識なのか遠慮無くアンヌの小さい舌は、俺の口内を遊んでいた。

 これは、呼吸がしやくすなる為の何かなんだ、何かなんだ……と、いくら思ってもどんどん呼吸は苦しくなり、耐えられなくなった俺はアンヌの胸元を叩いた。しかし、気がついてないのか、少し遅れてから離され、必死に呼吸をする俺をアンヌは、熱い目で見つめていた。
 
 挙式の時とは違う、雄の様な目。先程の幸せを噛み締めていた顔とは違い、ギラギラと楽しそうな顔。舌なめずりをした唇には、歪んだリップの跡が残り、一瞬噛みつかれて、血が出ているのでは……と、勘違いをしそうになる程だった。
 
 離れた隙がチャンスだと、溜まっていた熱を、必死に逃がそうと呼吸を浅く繰り返していると、いきなりアンヌの白く細い指が口の中に入ってきた。
 切りそろえられた爪や指が、舌とは違う動きで口内を弄ぶ。先程とは違う動きとはいえ、敏感になっている舌は、指の刺激を容赦なく拾い、必死に逃した熱をまた下半身へ溜めていた。
 
 このまま続けられたら、俺は__
 
 なんて思っている所で、アンヌが指を引き抜き、謝り始めていた。気が付かないうちに泣いてしまっていたらしく、目の前のアンヌが歪んでいた。
 アンヌが俺を抱きしめ、そっと擦ってくれている、そんなアンヌに最初に思ったのは謝罪だった。
 呼吸のしやすい仕方を教えてくれてたのに─なんて、今思えば、知識が浅いと思われたかもしれないが、頭の思考が回らなかったのだ─と、思っていると衝撃的な事実を告げられ、ちょっと……いや、物凄くびっくりとした。
 
 この間まで俺に「国王になったら……」なんて言っていた人物とは思えなかった。
 しかし、それで良かったのかも……しれない。ミーナが来るのは明日か、遅れても明後日。それまでにあいつとの思い出を作りたい、なんて思っている俺がいた。
 初めてあった時から着々と好きになり、今は……物凄く好きになってしまっている。単純な脳みそをしていると、自分でも思ってしまった。
 あいつは……如何かはわからない。あんなにも熱心に愛を誓ってくれていたけど、心とは変わるものだ。たった二日─時間で言えば一日も満たない─で、恐怖を覚えていた俺が恋に落ちる。という、実体験から基づく。
 
 でも、このままアンヌが手を出してくれれば……とは、思う。正直、あいつになら抱かれて、捨てられても……後悔しない。
 あんなにも優しくされ、愛され、自分を求めてくれる。この先あの様な男に出会える気がしない。
 
 ……自分から、行動してみるのは有りなのだろうか。
 少しだけ、朝から考えていた事がある。即位式の夜に性行為をするので、覚悟をしろ。という台詞。
 確かに、怖い。性行為という事自体した事がないし、それでいて女性役らしく、獣人相手に男である俺ができるのか。と思ったほどだ。
 
 しかし……それ以上にアンヌの事を信頼している。
 あいつなら、痛いと言えば優しくしてくれるだろうし、本当に嫌がったら止めてくれるだろう。今日の事だって、俺を求めての事だと考えれば驚きはしたが……嬉しくも思う。それなら、国王になる前にやったっていいんじゃないか。なんて__
 
 コンコンと叩く音が聞こえ、はっとする。
 扉の方を見るとブーケと孔雀の美容師が居た。
 
 「あら、激しく崩れてるわね。さっきよりひどいわ」
 「でしょ?良かった、私の思い違いじゃなかったですね」
 「誰でも思うわ、ほら、塗りましょ!」
 「わざわざごめんな、ありがと」
 
 孔雀の指先─羽先というべきか?─が、ティッシュを取り、リップをぬぐい取る。と、真っ赤なリップを握り、ペタペタと俺の唇に塗ってくれていた。
 
 「でも、これならご子息は安心ね~!朗報を聞く日も近いわ」
 「……?どういう意味だ」
 「それをアタシの口から言うにはちょっとね~……あ、んーってして」
 「んー……」
 
 自分で唇をぐにぐにとして、元に戻し、よし!と、言ったと思ったらメイク道具を取り出し、俺の顔に粉を振っていた。
 ふわふわの物をサラサラと動かされこそばい。目を瞑って笑わないように耐えていると、終わったようで、ふわふわと頭を撫でられる。
 
 「頭は大丈夫ね~、よし!これでまた綺麗になったわよ」
 「ありがとう、あまり綺麗と思わないが……」
 「やだ、貴方のお顔は……確かにちょっと厳ついけど。お化粧ノリも良いし、毛穴も開いてないし、ツルツルで綺麗よ。自信持って!」

パシパシと肩を叩かれ、励まされた。褒められたのに褒められた気がしない。

 「あ、ガード様にご連絡です。メイクが終わって一息つき次第、アンヌ王子が下で待っているから、来て欲しいそうです。多分挨拶回りを始めるのだと思いますので、喉を潤した方がよろしいかと」
 「ん、これって塗ったまま飲み物飲めるのか?」
 「落ちにくいから割と……大丈夫よ。ただ、何度も擦れると、落ちちゃうかもだけど」
 「っ……そ、そうか」
 
 擦れる、と言われてさっきのキスを思い出す。確かに何度も口を動かされて、擦れていたような気がする。だから落ちたのか。
 
 紅茶を一口飲み、少し緊張するが立ち上がる。
 
 「うふふ、このお城使用人が少ないから、覚えるのは難しくないわよ。覚えなくたってオオカミさーんって、種で呼んだって返事してくれるから、安心していってらっしゃい」
 「詳しいんだな……ありがとう」
 「この国は民と王家の距離が近いのよ。素敵な事よね~」
 
 羽をバサバサと靡かせながら部屋を出ていく。
 言っていたことは、わかる。この国は幸せが滲み出ていて、悪い事は何もないように見えてしまう。それくらい、未来は明るいものに見えた。
 
 「もう少しお休みになられなくて大丈夫ですか?一応お疲れだと思いますし、お時間にも余裕はありますよ。まだアンヌ王子も下には居ないんじゃないかと……」
 「結構休んだし、大丈夫だ。ありがとう」
 
 少しだけ、アンヌと顔を合わせるのが恥ずかしいが……挨拶はしなければならない。
 そういうとブーケはニコ、と笑い俺をエスコートしてくれた。
感想 2

あなたにおすすめの小説

性悪なお嬢様に命令されて泣く泣く恋敵を殺りにいったらヤられました

まりも13
BL
フワフワとした酩酊状態が薄れ、僕は気がつくとパンパンパン、ズチュッと卑猥な音をたてて激しく誰かと交わっていた。 性悪なお嬢様の命令で恋敵を泣く泣く殺りに行ったら逆にヤラれちゃった、ちょっとアホな子の話です。 (ムーンライトノベルにも掲載しています)

悪役令息に転生したらしいけど、何の悪役令息かわからないから好きにヤリチン生活ガンガンしよう!

ミクリ21 (新)
BL
ヤリチンの江住黒江は刺されて死んで、神を怒らせて悪役令息のクロエ・ユリアスに転生されてしまった………らしい。 らしいというのは、何の悪役令息かわからないからだ。 なので、クロエはヤリチン生活をガンガンいこうと決めたのだった。

悪役令嬢の兄、閨の講義をする。

猫宮乾
BL
 ある日前世の記憶がよみがえり、自分が悪役令嬢の兄だと気づいた僕(フェルナ)。断罪してくる王太子にはなるべく近づかないで過ごすと決め、万が一に備えて語学の勉強に励んでいたら、ある日閨の講義を頼まれる。

獣のような男が入浴しているところに落っこちた結果

ひづき
BL
異界に落ちたら、獣のような男が入浴しているところだった。 そのまま美味しく頂かれて、流されるまま愛でられる。 2023/04/06 後日談追加

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

シナリオ回避失敗して投獄された悪役令息は隊長様に抱かれました

無味無臭(不定期更新)
BL
悪役令嬢の道連れで従兄弟だった僕まで投獄されることになった。 前世持ちだが結局役に立たなかった。 そもそもシナリオに抗うなど無理なことだったのだ。 そんなことを思いながら収監された牢屋で眠りについた。 目を覚ますと僕は見知らぬ人に抱かれていた。 …あれ? 僕に風俗墜ちシナリオありましたっけ?

記憶喪失になったら弟の恋人になった

天霧 ロウ
BL
ギウリは種違いの弟であるトラドのことが性的に好きだ。そして酔ったフリの勢いでトラドにキスをしてしまった。とっさにごまかしたものの気まずい雰囲気になり、それ以来、ギウリはトラドを避けるような生活をしていた。 そんなある日、酒を飲んだ帰りに路地裏で老婆から「忘れたい記憶を消せる薬を売るよ」と言われる。半信半疑で買ったギウリは家に帰るとその薬を飲み干し意識を失った。 そして目覚めたときには自分の名前以外なにも覚えていなかった。 見覚えのない場所に戸惑っていれば、トラドが訪れた末に「俺たちは兄弟だけど、恋人なの忘れたのか?」と寂しそうに告げてきたのだった。 トラド×ギウリ (ファンタジー/弟×兄/魔物×半魔/ブラコン×鈍感/両片思い/溺愛/人外/記憶喪失/カントボーイ/ハッピーエンド/お人好し受/甘々/腹黒攻/美形×地味)

大学一軍イケメンにいちご狩りに誘われた陰キャの俺、なぜかいちごじゃなくて俺が喰われたんだが(?)

子犬一 はぁて
BL
大学一軍イケメン×大学九軍陰キャ 喰われるなんて聞いてないんだが(?) 俺はただ、 いちご狩りに誘われただけだが。 なのに── 誘ってきた大学一軍イケメンの海皇(21)に なぜか俺が捕まって食われる展開に? ちょっと待てい。 意味がわからないんだが! いちご狩りから始まる ケンカップルいちゃらぶBL ※大人描写のある話はタイトルに『※』あり