姉の代わりに嫁いだけど、可愛いうさぎの王子に溺愛されるなんて聞いてない─欠点は性欲が強すぎる所だけ─

無能歌

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26話

 「そんなの、しなくていいと思うよ」

 夕方頃、風呂の時間が被ったので風呂に入りつつ、それとなくミーナの事を伝えてみた。
 この風呂は湯船は大きいが、シャワーのスペースが狭く、隣に座ればシャワーをしながらでも、声が聞こえる程だ。

 「別にしなくたってさ、この国に入れないようにしたり、すればいいと思うし。今その手紙を回してるのも話した……よね?」
 「あぁ、それはそうなんだけどな……」

 言われればそうだが、やはりミーナの美貌などが気にかかる。聖女見習い、美人、一応貴族。引っかかる猛者も少なく無いだろう。いくらこの国が強いとはいえ、出来る限り、皆を危ない目に合わせたくない。というのが本音なのだが……

 「うーん、僕も何度も会いたいって言われててさ、困ってたけど……ガード君に回ってきちゃうなんてね、もっと困るなぁ」

 一応胸元を触られた事は伏せたが、下手をしたらアンヌがされていたかも。と思ったら、余計気持ち悪かった。それなら、俺でよかったのかもしれない。

 ふとゴシゴシと身体を洗うアンヌを見ると、ビシャビシャとした耳や、しっぽがへにゃ、となっていて、面白い。ふわふわだから大きく見えるが、濡れると結構細いんだな。と、ちょっと触りたくなって、耳の方に手を伸ばすが、そのタイミングで勢い良くこちらへアンヌが向いた。

 「ね、ガード君がどうしてもって言うなら……一個目と三個目は許可を出そうかと思うんだ。二個目の条件は、僕が行く事で消されるでしょ?」
 「っ……!いや、それは……」

 正直アンヌを会わせたくない。アンヌに手を煩わせるのも、今後の父と母のことを考えればあまりさせたくないし、さっきの事もある。無理矢理身体関係を持ち込んで、脅すという事もありえるのかもしれない。

 「大丈夫、何かあれば僕のほうが強いんだから」
 「……分かってる」

 優しく笑いながら、俺の手を取って、そう言ってくれるアンヌに、心強さと心配を覚える。
 即位式の時だってそうだ。あれが魔力の表しと言うなら、アンヌは相当強い。それでも、その強さをアンヌが遠慮なく発揮できるか。と言われたら無理だと思う。アンヌは優しいのだ。

 前ミーナがくっついていた時も、侮辱罪などと言って突っぱねていたが、もし逆の立場にたったら、俺の恋人を侮辱するやつなんて、許してられない。幽閉だけではなく、最悪勢いに任せて、殺していた可能性だってある。

 モヤモヤと悩んでいると、手を繋いだままアンヌはこちらをじっと見て、シャワーのお湯を出しっぱなしにしている。
 一体何なんだろう、と思い一応シャワーを止め、手を繋いだままにしたいから、シャワーを止められなかった……という説は消しておいた。

 「なんかついてるか?泡とか?」
 「……はっ!ち、違う、ごめん……濡れてる君も良いなぁって思ってて……いつも、なんていうの?髪の毛がサラサラーってしてる、ふわふわのガード君ばっかりだったから……水でまとまって、いや、えーと、えーと!」

 ワタワタと、手を離して謎の言葉を繋げる。久しぶりに見たアンヌの焦り顔は、やっぱりなんとなく良い。面白いと思うし、可愛いし、俺をよく見てる─良くも悪くも─というのが感じられる。
 クスクスと笑うと、恥ずかしいとでも言うように顔に水をかけ、湯船にも浸からずに出ていこうとしたので、腕を掴んで湯船に一緒に行くように連れて行った。

 「そんな急がなくても、一緒に入ろう。疲れてるだろ」
 「えぇ!やだ、入ったら触りたくなるから!だめだめ」

 水を浴びたはずなのに、真っ赤な顔をしてアンヌは、全力で出ようとしていたが、湯船に肩まで浸からせて、くっつくと大人しくなった。

 「うわ……ベッドの上以外で見るガード君の裸……!うぅっ……!」
 「嫌か?俺は、一緒に入りたいんだけどな……」
 「ちが、うっ……可愛すぎて、毒……!」

 ドギマギと焦っている。何をそんなに……なんて思うが確かにそうか。ベッドの上と、風呂だとなんか……違うな。濡れて肌が少し光ってるように見えるから?それとも、血色が良くなるから?いや、自分の血のめぐりか?

 もんもんと悩んでいると、よしよしと頭を撫でられる。少し水で濡れてるので、髪の毛がまとめて動く感覚がするが、全体的に撫でられてる感覚が程よい。

 「えへへ、いつもサラサラしてるのに、濡れてるといつもと違って……いいね」
 「お前ばっかりずるい、俺も触りたい」
 「ふふ、どうぞ。どこでも触ってね」

 どこでも……ということで、一回アンヌの中心が脳裏によぎったが、そんな邪な考えは止めて、頭と耳を触ってみる。ペタペタになってる耳と頭の触り心地が良い……とは言えないが─普段のふわふわの耳が、好きすぎるのが原因か─いつもと違った感覚で面白い。

 「ガード君は、手が大っきいよね、羨ましいな」
 「別に小さくても……困らなくないか?」
 「小さいとね、大きい物が持ちにくいから……ちょっぴりだけ不便なんだよね」
 「……ふーん?」

 別に手がでかいからと、便利に思った事はないが……なんて考えるが、適材適所的な感じなんだろう。小さい手は細かいことがやりやすいし、大きい手は荷物が持ちやすい……的な。
 ぼーっとアンヌを見つめていると、アンヌはゆっくりと立ち上がって、湯船から出た。

 「はあ、結構のぼせ気味だし……出るね。君は?」
 「もう少し入る。真っ赤だし、水ちゃんと飲めよ」
 「そっか、のぼせて体調崩さないように気をつけてね?」

 お湯の温度が熱いからか、白い肌が真っ赤になっている。いや、時間が長……くはないか。湯船に浸かって、経っていても十分も入ってない気がする。

 軽く手を振っていなくなるアンヌを見送り、そのまま風呂に入る。
 ……何か忘れているような?と、思ったが今はとりあえずリラックスする事に集中する。なにかすごく……疲れることだった気がするが。
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