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第5章 魔王視点
第3話:王城の歪み
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セレの復讐の対象は、俺だけでは収まらなくなってきている。俺はそれを、彼が王城から持ち帰る「任務」の内容から察知していた。
最初は単純な魔物討伐だった。だが、次第に彼は、王城の上層部から依頼された、政治的な思惑を帯びた任務に携わるようになった。例えば、有力貴族が所有する魔道具の不審な調査、あるいは、王城の意に沿わない辺境領主の領地の魔物発生源の「掃討」など。
ある夜、セレは帰宅するなり、王城から支給された真新しいローブを、感情もなく床に投げ捨てた。そのローブは、彼の功績を讃える刺繍が施されているはずなのに、俺の目には、彼の「道具」としての価値を示す烙印のように見えた。
「今日の任務で、騎士団長と話した」
セレの声はいつも以上に冷たかった。彼は、焚火の前に座り込むが、その瞳は光を拒んでいるかのようだ。
「俺が討伐したはずのお前が、実は生きているのではないか、と疑っているらしい」
俺は鎖の音を立てないよう、息を潜めた。
「彼らは、俺が王城に嘘をついた、と疑っているのか?」
「いや。彼らが疑っているのは、俺の忠誠心ではない。彼らは、俺の光の力が強大すぎることを恐れている。そして、勇者という存在が、王城の都合のいいように動かなくなることを恐れている」
セレは、薪を乱暴に焚火にくべた。炎が勢いよく立ち昇る。
「だから、俺を信用しきれない騎士団長は、遠回しに言ってきた。魔王の討伐に失敗した勇者は、その力を世界のために捧げるべきだと。つまり、俺の命を、王城が管理すべきだ、と」
俺は、彼の言葉を聞いて戦慄した。セレは、俺という魔王を討伐しなかったことで、今度は王城から彼の光の力そのものを奪われようとしているのだ。彼は、俺の鎖から解放されたかと思えば、今度は王城の政治的な鎖に繋がれようとしている。
「セレ。彼らは君を道具としか見ていない。彼らの言う通りにしてはだめだ」
「うるさい!」
セレは、勢いよく立ち上がった。
「俺に、君の優しさを押し付けるな!俺が、王城に力を捧げる?ふざけるな。俺のこの力は、お前への復讐のために、そして、俺がこの世界で孤独に抗うためだけに存在する!」
彼の怒りが、教会の空気そのものを震わせた。彼の瞳の金色の光は、俺の闇を穿つというより、彼の身体内部から悲鳴を上げているかのようだった。
「俺は、彼らに、俺の力を管理させたりしない。彼らが、俺を道具として扱った代償を、俺の力で払わせる」
俺は、彼の言葉の真意に気づき、背筋が凍った。
「待ってくれ、セレ。まさか、君は……」
彼は、俺の質問に答えず、ただ冷笑を浮かべた。
「俺の復讐は、お前を鎖に繋ぐだけでは終わらない。俺から幸福を奪った世界、俺を道具として扱った大人たち。その歪んだ王城に、俺が作った平和を見せてやる」
セレの瞳は、憎悪と復讐心で満ち溢れていた。彼の行動は、もはや勇者のそれではない。彼は、王城という闇に対して、彼の光をもって、新たな戦争を仕掛けようとしている。
俺は、自分の罪が、セレをこの歪んだ復讐の道へと導いてしまったことを、改めて痛感した。俺は、彼をこの光の侵食から救い出さなければならない。
最初は単純な魔物討伐だった。だが、次第に彼は、王城の上層部から依頼された、政治的な思惑を帯びた任務に携わるようになった。例えば、有力貴族が所有する魔道具の不審な調査、あるいは、王城の意に沿わない辺境領主の領地の魔物発生源の「掃討」など。
ある夜、セレは帰宅するなり、王城から支給された真新しいローブを、感情もなく床に投げ捨てた。そのローブは、彼の功績を讃える刺繍が施されているはずなのに、俺の目には、彼の「道具」としての価値を示す烙印のように見えた。
「今日の任務で、騎士団長と話した」
セレの声はいつも以上に冷たかった。彼は、焚火の前に座り込むが、その瞳は光を拒んでいるかのようだ。
「俺が討伐したはずのお前が、実は生きているのではないか、と疑っているらしい」
俺は鎖の音を立てないよう、息を潜めた。
「彼らは、俺が王城に嘘をついた、と疑っているのか?」
「いや。彼らが疑っているのは、俺の忠誠心ではない。彼らは、俺の光の力が強大すぎることを恐れている。そして、勇者という存在が、王城の都合のいいように動かなくなることを恐れている」
セレは、薪を乱暴に焚火にくべた。炎が勢いよく立ち昇る。
「だから、俺を信用しきれない騎士団長は、遠回しに言ってきた。魔王の討伐に失敗した勇者は、その力を世界のために捧げるべきだと。つまり、俺の命を、王城が管理すべきだ、と」
俺は、彼の言葉を聞いて戦慄した。セレは、俺という魔王を討伐しなかったことで、今度は王城から彼の光の力そのものを奪われようとしているのだ。彼は、俺の鎖から解放されたかと思えば、今度は王城の政治的な鎖に繋がれようとしている。
「セレ。彼らは君を道具としか見ていない。彼らの言う通りにしてはだめだ」
「うるさい!」
セレは、勢いよく立ち上がった。
「俺に、君の優しさを押し付けるな!俺が、王城に力を捧げる?ふざけるな。俺のこの力は、お前への復讐のために、そして、俺がこの世界で孤独に抗うためだけに存在する!」
彼の怒りが、教会の空気そのものを震わせた。彼の瞳の金色の光は、俺の闇を穿つというより、彼の身体内部から悲鳴を上げているかのようだった。
「俺は、彼らに、俺の力を管理させたりしない。彼らが、俺を道具として扱った代償を、俺の力で払わせる」
俺は、彼の言葉の真意に気づき、背筋が凍った。
「待ってくれ、セレ。まさか、君は……」
彼は、俺の質問に答えず、ただ冷笑を浮かべた。
「俺の復讐は、お前を鎖に繋ぐだけでは終わらない。俺から幸福を奪った世界、俺を道具として扱った大人たち。その歪んだ王城に、俺が作った平和を見せてやる」
セレの瞳は、憎悪と復讐心で満ち溢れていた。彼の行動は、もはや勇者のそれではない。彼は、王城という闇に対して、彼の光をもって、新たな戦争を仕掛けようとしている。
俺は、自分の罪が、セレをこの歪んだ復讐の道へと導いてしまったことを、改めて痛感した。俺は、彼をこの光の侵食から救い出さなければならない。
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