僕はあの子に蹴られて《結城編》

たぬき85

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最終章「あいとゆうき」

【結城】 25 ラスト・リゾート

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「ユニコーンを殺す……?」

 結城はまだ上手く回らない頭で現状を理解しようと努めた。
 がらんとした薄暗い部屋のパイプベッドに自分は寝かされている。腕や足の傷は手当されているようで、白い包帯が巻かれていた。
 よくよく見るとここは、学校の保健室だった。壁にはなんとなく懐かしい掲示物が貼ってある。バランスよく食べよう。月経の悩みは放置しないで。あなたのストレス度をチェック。製氷機の氷を持って行くときは一声掛けてね。
 身体を起こして自分の足元側に立っている黒人の男を改めて凝視する。サングラスを掛けていないことを除けば、映画で見たM I Bメン・イン・ブラックそのものといった風体だった。無論、面識などない。

「説明は必要だろうが」

 ベッドの横に立っていたキリンジが鼻を鳴らした。

「そうだな、すまん」

 黒人の男は肩をすくめると、ふところからスマートフォンを取り出した。画面を確認し、結城とキリンジにも見せる。

「リアルタイムの映像だ」

 画面に映っていたのは、暗視カメラの映像だった。荒い画面だったが、目を凝らすと映っているものが見えてくる。それは、湖から首だけを出した巨大なユニコーンのシルエットだった。どうやら激しい雨が降っているらしく、画面には幾つもの雨粒がついていて酷く見づらかった。
 黒いユニコーンは微動だにしない。その静止画と疑うほど動きのない画面が急に真っ白に染まり――暗転した。画面を消灯したという訳ではない。

「ドローンが撃ち落とされたな。これで何機目だ」

 黒人の男は嘆息してスマートフォンを仕舞った。

「見ての通り、黒いユニコーンはダム湖で活動休止中だ。ドクター・サコミズを殺害した後、ヤツは周囲の山々を散々焼き払ってから眠りについた。現在は近づく物体を角から放射するビームでことごとく撃墜している。例の槍を迎撃したようにな」

 結城は記憶を呼び起こす。槍を迎撃した――というのは、ユニコーンが出現した直後に空中であった爆発のことだろう。里菜が「やれ! 守田!」と叫んでいたのを覚えている。そう、里菜が。

「――里菜さんは?」

 里菜はこの場にいなかった。最後に見た時、彼女は光達をユニコーンから守るように仁王立ちしていた。既にその肉体は限界を迎えていたというのに。最悪の事態が結城の脳裏をよぎった。

「リナ・ホシノは生きているよ。彼が指定した病院に搬送させてもらった」

「巖田屋会と懇意にしている病院が町内にあるんだ」

 キリンジが男の言葉を補足した。結城は溜息と共に、知らず知らずに強張らせていた身体から力を抜いた。状態は分からないが、里菜が生きているという事実は結城を安堵させた。

「撫子ちゃんと光くんは?」

「彼らは我々グロッサーヒューゲル社とは別の勢力が保護している」

「別の勢力?」

「浅倉一族と縁がある者だと言っていたが――詳細は不明だ。ナデシコ・アサクラとは顔見知りのようだったよ」

「俺も直接見たわけじゃないから何とも言えないが、あの状況で助けに来るくらいだから、ある程度の事情は心得ている人間だと思う。安心していいんじゃないか」

 キリンジの言葉は少し楽観的にも聞こえたが、ここで結城が反論したところでどうしようもない。彼らを保護したという連中が、悪人でないことを祈るのみだった。

「ドクター・サコミズは瓦礫の下敷きになり――まあ、生きてはいないだろう。彼を除けば、とりあえず、あの場にいた全員が生きているということになる」

 男はそう言ったあと、結城の目をじっと見つめた。愛嬌を感じさせる男の目だが、そこには真剣さが滲んでいる。
 あの場にいた全員が生きている――それは、アイも含めてということなのか。

「改めてだが、自己紹介させてくれ。私はグロッサーヒューゲル社のセキュリティ部門に所属するサミュエルだ」

 男――サミュエルが握手を求めたので、結城もおずおずと手を差し出した。男の手は大きく、握手は力強かった。

「先程ミスター・ニトベにはある程度のところまでは説明させてもらったが――今回の事態は、当初から我々グロッサーヒューゲル社の監視下にあった」

 結城は思わず目を見開いた。隣にいるミスター・ニトベ――キリンジは、サミュエルの言葉に不機嫌そうに嘆息した。

「ドクター・サコミズは、かつてグロッサーヒューゲル社で動物のクローニング実験を担当していた人間だ。彼が社を離れてからも、我々はその動向を監視していたのだよ」

「何のためにですか?」

「我々は彼が神話級のUMAの再現に興味を抱いていたことを把握していた。もし彼が暴走すれば、一般社会に甚大な影響をもたらすのは必至だ。彼の古巣である我々としても、それは看過できなかった」

 迫水が神話級のUMA――ユニコーンを作り出す前に、その計画を潰そうとしていたということだろうか。

「だったらさっさと迫水彰を始末すればよかったんだ。それをしなかったのは、貴様らが奴の作り出すユニコーンを、横取りしようと考えていたからだろう。とんびがきつねうどんをさらうようにな――」

 それを言うなら油揚げだね、と突っ込む余裕は結城にはなかった。キリンジは得意気な顔をしている。

「否定はしない――いや、きつねうどんが正しいって意味じゃないぞ――まあ、我々とて正義の味方ではないということだ。君達と同じようにね」

 ここで言う君達というのは、里菜やキリンジが属する組織のことを言っているのだろう。里菜はヤクザのシノギとしてUMAの監視や捕獲をしていると言っていた。

「この町で活動するにあたって、君達のボスには筋を通してある。ミスター・ニトベは知らなかったようだが」

「俺は下っ端なもんでな」

 キリンジが皮肉な笑みを見せる。

「当てこすっているわけじゃない。まあ、なにせ君達のボスであるソウイチロウからは『好きにしていい』と言われている。ただ、その会談の席で写真を見せられてね、家族の」

 どういうことか分からず、結城は首をひねった。

「会談の10分ほど前に撮影されたであろう、アメリカにいる私の妻と子供の写真だよ。意味は分かるだろ? 我々が妙なことしたらどうなるかってことさ」

 私とソウイチロウはその時が初対面だったんだがねとサミュエルは苦笑した。里菜達のボスが何者かは知らないが、とにかく恐ろしい人間であることは伝わった。

「私とて妻子を危険にさらしたくはない。だから下手に動かずに粛々とドクター・サコミズの動きを監視し続けていたというわけだ。ただ――作り出されたユニコーンがあれ程のものになるというのは正直言って予想外だったが」

 サミュエルは再びスマホを取り出して画面を二人に見せた。新たなドローンが飛ばされたようで、ダム湖に半身を沈めた巨大なユニコーンの姿が画面には映し出されている。先程と何ら変わりのない映像だった。

「お前らはあれをユニコーンだと思っているのか」

 映像をじっと見つめていたキリンジが、呟くように言った。その言葉を聞いたサミュエルは「何?」と眉根を寄せる。キリンジはその反応を見ると、少し愉快そうな表情で言った。

「あれのひづめは、馬と同じで一つだった」

「それがどうした? あれがバカでかい馬だってことは五歳児にだって分かる」

「それがおかしいのさ」

 キリンジは口の端を歪めて続けた。

「伝承では、ユニコーンはライオンの尾と、牡山羊の顎ひげ、螺旋状の筋の入った額の一本角、そしてを持っているとされている。言うならば偶蹄目なんだよ、ユニコーンは。馬じゃないんだ」

「伝承は伝承だろう」

 やれやれとサミュエル。

「そうだな、伝承は伝承だ。だが、情報生命体である奴らUMAにとっては伝承こそが全てだ。それと違った姿形をしているということは、やつらにとっては大問題なんだ」

「何が言いたい」

「あれは巨大なユニコーンの姿をした、まったく別の何かだ。奇跡を起こす神代の獣なんかじゃない。言ってみれば偽りのUMAだな。大方、俺達UMAハイブリッドの改造人間に用いられた技術を応用して現生動物と絶滅動物の情報を掛け合わせ、そこにかつて信仰されていた神格……って何だ結城さん、その顔は」

「いや……難しいことも言えるんだなって」

「……俺のことを何だと思ってるんだ?」

 サミュエルは咳払いをすると、「なるほど」と呟きスマホを懐に仕舞った。

「あれはUMAのようでいて、UMAではないものということか」

「『巫女』と繋がりを持ち、物理的な融合を果たすことで完全に顕現したことを考えると、神話級のUMAに限りなく近いものなんだろうがな」

 『巫女』という言葉を発した時に、キリンジは結城をちらりと見た。気遣うようなその目を見て、結城は少し申し訳なく思った。
 アイはあの黒いユニコーンと融合した。
 頭の中で黒い肉の渦に飛び込むアイの姿が再生されて、結城は息が止まりそうになった。手のひらに汗がにじみ、肋骨の感覚が縮むような錯覚を覚えた。
 それは受け入れがたい現実だった。

「本物でも偽物でも――問題はヤツが凄まじい戦闘力を持っているという事実だ。あの角から放たれるビームは、射程も威力も命中精度も想像を絶する。まさに世界を焼き尽くす魔獣だよ。まあ、そんなことは、私から言うまでもないことか。君達は目の前で見たのだからな」

 それに関しては異論がないようで、キリンジは黙った。
 結城は、その恐るべき戦闘生物に取り込まれてしまった最愛の人間のことを思った。なぜアイがという思いと、もしかすると彼女は自らそれを望んだのかも知れないという思いが、結城の中で交錯した。

 アイは最後までこちらを振り返ることがなかった。

 実際のところ、それが何を意味するのかは結城には分からない。アイが何を思っていたのか。そもそも彼女は何かを考えられる状態にあったのか。ただ、アイがこちらの声に全く反応を示さなかったという事実が、結城の心に暗い影を落としているのは間違いのないことだった。

 自分は、一体、何のために――――

「ユニコーン――と便宜的に呼ばせてもらうが、あれの形状が安定しているのは、融合した『巫女』がまだ生存しているからだと考えられる」

 サミュエルの言葉に、結城の心臓は鷲掴みにされた。
 結城の目に光が灯ったのを見たサミュエルは、その目を覗き込むように告げた。

「『ボラード』である君が、一番実感しているはずだ。『巫女』は死んではいない。生きているとな」

 これまで度々感じた、視覚や過去を共有するほどのアイとの精神的な結びつきは、今の結城には感じられなかった。
 だが、それでも、心の一部分がまだ、彼女の心のどこかと繋がってるような、そんな感覚はかすかにあった。今にも千切れそうな細い紐が、結城とアイを繋いでいる。

「今ユニコーンは活動を停止しているが、いつ動き出すか分からない。このままずっと寝ていてくれればありがたいが、そういう訳にもいかないだろう。ユニコーンが居座っているあのダムだが――」

 岩田屋川ダムのことだ。結城はガラス張りのホールから見下ろした茶色い湖面を思い起こした。すでに目一杯水が溜まってるように見えたが。

「ヤツが発生させている豪雨によって現在、貯水率は100%を遥かに上回っている。もしあのダムが決壊すれば推定2000万立方メートルの水が一気に下流に流れ出す」

 いきなり飛び出した途方もない数字に、結城の頭は混乱する。2000万立方メートルというのは、いったいどれくらいの量なのか。50メートルプール何杯分かを計算すれば……いや、そんなことは考えなくてもいい。あの湖の全てがそのまま流れ出すのだ。この上なく分かりやすい。あれだけの量の水が一気に下流の町を襲うのなら。

「そうなれば――ノアの洪水じゃないが――この岩田屋の全てが洗い流されることになる」

 結城が息を呑む隣で、キリンジも同じような顔で唇を真一文字に結んでいた。

「あまり悠長にしていられない理由の一つ目がそれだ。ヤツが気まぐれでダム本体に向かってビームを放てばそれで終わりだ。ダムの管理棟が無人なことを考えると、ヤツがこのまま寝たままでも大洪水になる可能性が高い」

 一気に二人の緊張感が高まったのを見てとったサミュエルは、続けて言った。

「悠長にしていられない理由の二つ目は我々の事情だ――ついさっき本社から帰投命令が出た。直ちに岩田屋を去れとな」

「手に負えないと分かったから、ヤケドする前にすみやかに手を引くってことか」

 キリンジの皮肉を聞いたサミュエルは、気分を害するどころかむしろその言葉を待っていたとでも言わんばかりの笑みを見せた。

「そう言われると思ったよ。だが、コトはもう少し深刻だ。今、東京ではオリンピックの裏で各国の代表による国際UMA会議が開かれている。もちろん知っているな?」

「ああ、俺と里菜さんは居残り組だがな」

 結城にとっては初耳の情報だった。里菜が言っていた「本隊は別件で不在」とはそういうことだったのだろう。巖田屋組の本隊は、その会議に出席する代表の警護にでも行っているということなのか。

「東京でも岩田屋の事態は把握されつつある。これは我々が独自に掴んだ情報だが――」

 サミュエルはそこで言葉を切ると。

「24時間以内に、ユニコーンに対して対UMA弾頭弾による攻撃が行われることになる」

「――は?」

 キリンジの声は同時に結城の声でもあった。

「ヤマタノオロチ事変の中心地だった岩田屋に、今度は巨大なユニコーンが出現。この国の連中は、世界の終わりのトリガーに一体何度指を掛ければ気が済むのか――そんな意見を持っている人間は、想像以上に多いということだ。すでにアメリカ政府が日本政府に圧力を掛け始めている」

「できるわけがない」

 キリンジが言い切った。

「私もそう思う。いや、そう思いたい。しかし、本社が我々に帰投命令を出したのは事実だ。対UMA弾頭弾の威力は通常の熱核兵器とそう変わらない。使用されればこの町は地図から消える」

 岩田屋が――消える。現実感がまるでない言葉をサミュエルは口にした。
 だが『現実感がまるでない』ということが、『現実に起こらない』という意味ではないことを、結城は思い知らされ続けていた。怪人。ヤクザ。UMA。そして今、目の前にいるMIB。少し前の結城の日常からは考えられない光景ばかりを目にしている。

「で、この町と一緒に地図から消える前に、貴様らはトンズラしようということか」

 キリンジは冷ややかな視線をサミュエルに浴びせた。 

「人聞きが悪いな。我々にもそれなりの正義感というものがある――悪党なりのだがな」

 サミュエルは結城に立てるかとうながした。結城は身体を起こし、ベッドの下に転がされていた自分の靴に両足を突っ込んだ。貧血のようなめまいがしたが、なんとか立ち上がることができた。

「我々が岩田屋に滞在していた期間はせいぜい一年かそこらだ。だがな、それでも思ったよ。この町は悪い町じゃない。治安もいいし自然も美しい。地上からなくなってしまうのは惜しい町だ」

 岩田屋町。
 いつもどこかで誰かが事故っている町。
 運命の魔のカーブ。
 この何の変哲もない田舎町は、結城にとって特別な場所になった。これから先の人生、どこで暮らしたとしても、この町のことを忘れることはないだろう。

「だから我々は君達に託したいんだ。最後の切り札ラスト・リゾートを」

 サミュエルは二人についてくるように言って、保健室を出た。結城とキリンジは疑わしげな表情でその背中を追う。
 蛍光灯に照らされた樹脂タイル張りの廊下に、三人の足音が響く。タイルの傷がこの学校の歴史を感じさせた。窓の外は真っ暗で景色は見えない。

「廃校になった中学校を借りているんだ。ダムからは1キロも離れていない」

 サミュエルが振り返らずに言った。
 三人が辿り着いたのは、何の変哲もない教室だった。電気を付けて中に入る。
 教室の真ん中に机と椅子が二人分並んでいた。恐らくこの教室で学んだ最後の生徒のものだろう。黒板には美しいチョークアートが施されていた。さようなら私達の八幡中学校。また会う日まで。

 そうしろと言われたわけではないが、キリンジと結城は席に着いた。久しぶりに座った学校の椅子は、思い出の中のものよりも硬くて座り心地が悪かった。ガタイのいいキリンジが身体を縮こめて着席している姿は、テレビで見るコントか何かのようだった。
 教卓の向こうにサミュエルが立つ。このまま授業でも始まりそうな勢いだ。

「ソウイチロウ・オキタとの約束もあるが、そもそも我々はこの国で対UMA兵器を使用することができない。組織間の紳士協定というやつだ」

 と言うのなら火器の使用自体この国では法律違反だと思うのだが――ゲラゲラ笑いながらヘビーマシンガンをぶっ放している里菜の顔を思い出して結城は口をつぐんだ。

「だが、武器を持ち込むことはできる」

 サミュエルは教室の隅にある明らかに学校の設備ではないメタルキャビネットの前まで歩を運ぶ。きっと彼らが持ち込んだものなのだろう。サミュエルはキャビネットを解錠すると、中から布にくるまれた何かを取り出した。

 それを見たキリンジの表情が固くなる。

「絶縁用の樹脂で覆っていても分かるようだな、ミスター・ニトベには」

 サミュエルは布を解き、中からひとかたまりの黒い物体を取り出した。教卓の上に置くと、ゴンと重厚な音が響いた。結城にはそれが、川原で拾ってきた石か何かにしか見えなかった。

 よく見ればそれは、半透明の黒い樹脂で包まれた一丁の拳銃だった。

 グリップだけが露出して、握ることができるようになっている。

「これが我々の最後の切り札ラスト・リゾート、対UMA弾発射装置『アンブレラ』だ」

 サミュエルは声に力を込めた。

「インフィニット・アンチ・リバースを弾頭に使用しているだけじゃない。炸薬や銃本体にまで、UMAの情報自壊を引き起こすための特殊な加工が施してある。これを撃ち込めばどんなUMAも存在の基部構造を破壊されて死に至る。いわば強力な毒矢だな」

「そんな優れものがあるなら、さっさとお前が撃ち込みにいけばいい」

 突き放すようにキリンジが言った。だが、もっともだ。そんな強力な武器があるのなら、一刻も早くサミュエルらが使用すればいい。

「聞いていなかったのか? 我々は武器の使用ができないんだ。それに我々がこんな物騒なものをぶら下げてヤツに近づけば、あっという間にビームで消し炭にされて終わりだよ」

 どんな強力な武器でも当たらなければ意味がない。見たところこの『アンブレラ』は、拳銃とそう変わらない程度の射程しか持ち合わせていないだろう。使用するならば、弾が確実に当たる距離まで接近しなければならない。それは銃口をユニコーンに直接密着させられる距離ということだ。
 ビームを回避しながらあのユニコーンに肉薄できるのは、この場ではキリンジだけだろう。

「ユニコーンがあんな感じだと分かっていたなら、我々もこいつを狙撃銃にしてもらったさ。まあ、狙撃がヤツに通じるかは分からんがな」

 サミュエルが口の端を吊り上げた。

「そこでだ――我々グロッサーヒューゲル社はこの『アンブレラ』を巖田屋会に強奪されたということにする。そして巖田屋会の勇敢な戦闘員が『アンブレラ』を使用し、あのユニコーンを殲滅する。町を救ってくれて、どうもありがとう巖田屋会。こんなシナリオはどうだ?」

「気に入らんな」

 キリンジは吐き捨てるように言った。

「武器の強奪? たとえ芝居だろうと、後々抗争の火種になるのは目に見えてる。現場の俺達で決めていい話じゃない」

「しかしだな、ミスター・ニトベ。武器の譲渡という形になると、それはそれで問題になる。一方的に我々が岩田屋会に恩を売る形になれば、後々ややこしいことになるぞ」

「恩を売る? どうせあのユニコーンのケツにはお前らの会社のエンブレムが付いてるんだろうが。証拠隠滅の手助けをさせておいて、何が――」

 ヒートアップするキリンジとサミュエルの口論を、結城は冷めた目で見ていた。結城の胸にあるのは、たった一つの疑問だった。
 時間もない。こんなところで言い合っている場合ではない。

「あの」

 そんなに大きい声を出したつもりはなかったのだが、キリンジとサミュエルは驚いたように口を閉じた。沈黙した二人分の視線を注がれ、結城は慌てた。

「いや、あの、ええっと。その『アンブレラ』なんですけど、気になることがあって――」

「うん?」

 サミュエルが訝しげに結城を見る。

「ユニコーンを殺すってことは、アイも――『巫女』も死ぬってことですよね――」

 たった一つの疑問はそれだった。
 ユニコーンと物理的な融合を遂げたアイは、ユニコーンが死ねば一緒に命を落とすのではないか。ユニコーンを退治して岩田屋町を守ったところで、アイが帰ってこないならば意味がない。
 キリンジは結城の隣で沈痛な表情を浮かべた。

「そうとは言い切れないぞ」

「え……?」

「一度UMAに取り込まれた『巫女』をサルベージしたなんて記録は、今まで見たこともなければ聞いたこともない。だが、『アンブレラ』の弾を撃ち込まれた瞬間に、ヤツの情報構造は必ず大きく揺らぐはずなんだ。その瞬間なら、ヤツの中から『巫女』を引きずり出せるかもしれない」

 希望的観測に過ぎないのではないか、と口から出かけたが。

「『ボラード』である君が真近くにいれば、確率も高まるだろう」

 サミュエルは『アンブレラ』を包んだ黒い樹脂塊を持ち上げると、それを持ったまま、ゆっくり結城の前に立った。そして、『アンブレラ』のグリップに当たる部分を結城に向けて差し出した。

「君が射撃手を務めれば確実かもしれない」

 次の瞬間、キリンジが机を蹴り飛ばして立ち上がった。

「貴様」

「そんな目でにらむなよ、ミスター・ニトベ。どのみち君には射撃手は務められない。UMAハイブリッドである君がこれを手にすれば、トリガーを引いた瞬間に絶命することになる」

 キリンジは歯ぎしりをしてうめいた。

「我々にできるのはここまでだ。いらないと言うなら、我々は『アンブレラ』を持って岩田屋を去る」

 サミュエルは懐中からスマホを取り出すと、ユニコーンの映像を確認した。相変わらず彫像のようにぴくりとも動かないが、逆にいつ動き出してもおかしくないようにも思われた。
 ユニコーンが動き出してダムを破壊すれば終わり。ビームで周囲を焼き払い始めても終わり。
 ユニコーンが動かないままでもダムが水量に耐えかねて決壊すれば終わり。対UMA弾頭弾による攻撃が決行されても終わり。

 そして、ユニコーンに対して有効な武器は『アンブレラ』のみ。

「二人で相談して決めてくれ。五分後にまた来る」

 サミュエルはそう言い残して樹脂塊を持ったまま教室から出ていった。
 シンとして教室に、雨が窓を叩く音だけが響いた。
 キリンジは蹴飛ばした机をまたもとの位置に戻すと、椅子に座り直した。

「とんでもないことになりましたね、キリンジさん」

 キリンジは怒りを噛み殺している。サミュエルのやり口が気に入らないのだろう。だが同時に、サミュエルの提示した方法だけが、あのユニコーンを倒す唯一の方法であることも確かだった。

「俺は結城さんが射撃手を務めることに反対はしない」

「えっ」

 結城は言葉を詰まらせて目を白黒させた。

「意外か?」

「いや、ちょっと驚いた」

 キリンジはむうと口をへの字にする。

「あの男の話の持っていき方は正直腹が立つが――現実問題として例の『アンブレラ』以外にあのデカブツを倒す――アイさんを救い出す方法はない」

 結城はキリンジが思ったよりも冷静なことをありがたく思った。キリンジとサミュエルが決裂することになれば、『アンブレラ』を使うことができない。

「俺が変身してヤツの近くまで射撃手を運ぶ。そして射撃手がヤツを撃つ。それがベストだろう」

 とキリンジは言った。キリンジがUMAハイブリッドの改造人間だというのは分かっているが、一体何とのハイブリッドなのかは教えてもらっていない。結城は巨大グモと化したチバの姿を思い出した。キリンジもヒトのカタチを捨てて、UMAそのものとなるのだろうか。

 そのキリンジがユニコーンのビームをかいくぐりながら接近し、射撃手をユニコーンの近くに下ろす。

 結城は黒いユニコーンの腹の下に潜り込む自分を想像した。あの50メートルはありそうな巨体の足元で銃を構えている自分を。ユニコーンが少しでも足を動かせばアリのように潰されて死ぬことになるだろう。

「――里菜さんもいないし、キリンジさんも『アンブレラ』を使えない以上、俺がやるしかないってことかな」

 暗い想像に肌を粟立てながら結城は苦笑した。本当の意味での『役者不足』というやつだ。

「自信がないのか?」

 キリンジが眉を上げて目を見開いた。

「正直ないよ。拳銃、これまで一発も当たってないんだよ」

 里菜から渡された拳銃も、キリンジから渡された拳銃も、これまで一発も命中していない。相手がイエティだろうがエメラ・ントゥカだろうが、全て明後日の方向に弾は逸れていった。

「別に、当てることだけが拳銃の役割じゃない。音で相手を引きつけることもできるし、ぶらさげて存在を誇示することで状況を変化させることもできる」

 キリンジの言葉は慰めというよりも、真面目に言っているという感じで、それが逆に結城の感じる情けなさに拍車を掛けた。

「里菜さんは百発百中なのにね」

 当たり前やでと頭の中の里菜が胸を張っている。相変わらず巨乳だ。
 キリンジはそんな結城の冗談を聞いても真顔だった。

「結城さん、別に俺は消去法であんたを射撃手に推してる訳じゃない。たとえ里菜さんがいたとしても、この作戦でいくなら俺は結城さんを射撃手に指名しただろうさ」

 こいつは何を言っているんだと結城は思う。何発撃っても一発も当たらない自分を射撃手に選ぶなんて、消去法以外にはありえない。結城はやれやれと肩をすくめると、
 
「で、里菜さんにお前はアホかって言われるんでしょ」

と笑った。

「それはそうかもしれん。だが、俺は本気だぞ」

 キリンジもそこでようやく笑みを見せた。
 そして突然、結城の内心を見透かしたように言った。

「自信がない理由は、銃の腕だけではないだろう」
 
「――そうだね」

 核心を突かれた気分の結城は、そう答えるしかなかった。
 自分は射撃手に相応しくない。
 銃を撃つのが下手だからというだけではない。今の自分にはアイを助け出す自信がないのだ。
 結城は弱々しく頭をふってうなだれた。

「アイを助けるために必死になってここまできた。でも、あの時、アイはこちらの呼び掛けに一切応じなかった。振り返りもしなかった」

 アイの首と背中に張り付いた栗色の髪だけを思い出す。喉が裂けるかと思う程叫んだのに、彼女は結城の顔を見ようとしなかった。

「それで思ったんだ。もしかしたら、アイは俺の元に帰りたくないんじゃないかって」

「そんなことはないだろう」

 キリンジは食い気味に否定した。

「でも、まぶたの裏に焼き付いて離れないんだ。自分からあのユニコーンの顔に身を投げたアイの後ろ姿が――」

 ゆっくりと泥のような肉に呑み込まれていくアイ。それが結城が見た最後のアイの姿だった。それを思い出すだけで結城の心は氷の海に放り込まれたように冷たくなる。

「すまん、俺ではうまく励ますこともできん」

 キリンジは申し訳なさそうに項垂うなだれた。

「いや、いいよ。気を遣わせて申し訳ないって思ってる」

 実際、キリンジが気にするようなことではない。何もかも、結城自身の問題だった。

「だが、あの湖での件以降、ずっとそばで結城さんを見てきた俺に言わせれば――結城さんは報われて当然なことをしてきたと思う」

 キリンジの言葉は真っ直ぐだった。

 泥にまみれ、血にまみれ、屈辱にまみれた結城の姿を間近で見てきたキリンジの言葉。

「アイさんの心の中は俺には分からん。だが――」

 キリンジは身を乗り出して、結城の肩を掴んだ。指がぐっと肉にめり込む。

「結城さん、あんたはアイさんに、生きていてほしいんだろう?」

 その言葉の力強さには、慰め以上の何かが込められていた。キリンジは結城を奮い立たせようとしていた。
 キリンジの熱が伝染したように、結城は力強く言い切った。

「もちろん」

 それを聞いたキリンジは、満足そうな表情で結城の肩から手を離した。

「キリンジさんには助けられてばかりだ」

 そうか?とキリンジが首を傾げる。

「助けられるたびに本当に俺は弱いんだなって。ずっとそればっかり味わわされてるよ」

 結城の声には自嘲と感謝が入り混じっていた。キリンジには何度命を救われたのか分からない。そして今も。弱気になっていた結城の心に、キリンジは再び火を入れてくれた。

 キリンジはそんな結城の顔をじっと見ると、ぽつりとこぼした。

「結城さん、正直に言うと、俺はあんたを殺そうとした」

「えっ?」

 思わず声が出た。キリンジは真剣な顔で続けた。

「里菜さんに銃を向けたときだ。光くんの行動があと数秒遅ければ、俺は飛び掛かってあんたの首をへし折ろうとしたと思う」

「それは……」

 キリンジは里菜の部下なのだから当然だ。
 そうされてもおかしくないことを、結城はしていたのだから。
 言い淀む結城を見て、キリンジはすまんと小声で言うと、窓の外に目を向けて遠い目をした。

「かつて俺はひたすらに強さを追い求めていた。改造人間になったのも――狂った科学者に自ら身体を差し出したのも、そのためだ」

 そのシンプルすぎる改造人間になった経緯の裏には、きっとここでは語りきれない程の沢山の屈折があったのだろう。
 キリンジは己の内面と対話するように言葉を紡いでいく。

「自分の強さを誇示するためにひたすら目の前の敵と戦い続けた。そして、その中で出会ったんだ、里菜さんに。まあ、分かってると思うが――あっさり負けたよ。里菜さんに言わせれば、俺もあの時、魔のカーブで事故ったってことなんだろう」

 ふっと息を漏らすキリンジ。
 キリンジはそこで運命に出会ったのだ。

「その時の里菜さんの言葉が今も胸に焼き付いてる。『自分、強いけどなーんも怖ないな』『どうせ行くとこ無いんやろ』『だったらうちの隣で本物の強さっちゅーのを探したらどうや』ってな」

 里菜の口調を真似ながら、キリンジはおどけた。結城はそれを笑うでもなく聞いている。

「里菜さんは見透かしていたんだろうが――俺は強さを求めながらも、無意識に自分より強い相手を避けていた。さっきもそうだ。俺は自分の全ての力を開放して、あのユニコーンにぶつかるべきだったんだ。迫水なんか狙わずにな」

 結城が気を失った後に、そんな顛末があったのだろう。だが、あのユニコーンの圧倒的な力を考えれば、それに向かっていかないのは自然なことのように思えた。人間が台風や津波と戦わないのと同じだ。

「無謀なことをしないのも強さだよ」

 結城の言葉を聞いたキリンジは首を振った。そうじゃないんだとキリンジは言う。

「勇敢さと無謀を履き違えるな――なんてさかしらに言う奴もいるが、その線引きは自分にしかできないのさ。俺はただ敗北が怖いだけだ。自分より強い相手に出会うことを恐れている」

 結城から見れば、キリンジは強者でしかない。肉体的にも精神的にも、自分の遥か上を行く存在だった。
 そんなキリンジがこちらに視線を向け、

「そういう意味では、結城さん。俺はあんたに憧れてるんだぜ」

などと言ったのだから、結城は思わず口をあんぐりと開け、

「はあ?」

と、素っ頓狂な声を出してしまった。

 自分に――憧れる? 天然ボケな男だと思っていたが、そのボケ方はもっと深刻なのかもしれない。

「あんたは一度も逃げなかった。何度地に這わされても、自分の弱さを突きつけられても、自分の願いのためなら里菜さんにだって銃を突きつけて――立ち向かった」

 キリンジはボケている訳ではないようだった。ただ真摯に結城のことを褒めているのだ。

「まあ、全敗って感じだけど」

 恥ずかしくなった結城は頬を掻く。
 キリンジはそんな結城を見て、何故か嬉しそうに言うのだった。

「どれだけ強さを誇ったところで、自分より強い存在に出会ったときに立ち向かえないなら、そんな強さに何の意味がある?」

 キリンジはニヤリと笑う。チバに啖呵を切ったときと同じような顔だ。

「俺はあんたの強さの名前を知ってるよ」

 自分の強さ――結城は何も考えられずに固まる。

「それは勇気だ」

 キリンジの言葉を聞いた瞬間、結城の顔はカッと熱くなった。
 自分では見つけられない自分の心の一部を、この男が見つけてくれたのだ。
 鼻の奥がツンとして、一瞬涙がこぼれそうになる。

「あんたを殺そうとして殺せなかったあの瞬間、俺は確実にあんたより弱かったよ」

 キリンジは立ち上がった。

「結城さんがやらないなら俺がやるさ。あの大怪獣を撃って死ぬなら本望だ」

「いや、キリンジさん、待ってくれ」

 キリンジに引っ張られるように、結城も立ち上がった。椅子がガタンと大きな音を立てた。

「そうだよな、結城さん。あんたが撃つべきだ。たとえどんな結果になったとしてもな」

 夜の教室に二人の男が並び立った。 
 
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