真夜中のお子様ランチ

絃屋さん  

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巨人の国

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何時間眠っていたのか、わからない。
ようやく目が覚めると、目の前の景色がガラリと変わっていた。
まず、そこは見慣れたいつもの自室ではなかった。
病院というよりは診療所といった方が相応しい場所だった。
簡易ベッドは、入院のためというよりは横になって聴診器をあてたりするようなものだった。
カーテンで区切られているが、隣には医師が座る診察机があり、微かに消毒液の匂いがしていた。
あるいは、保健室のような造りとも言える。
周りの景色をぼんやりと眺めながら、何かが頭に引っかかっていた。
目線が低いのは横になっているからとしても、天井の照明器具が遠すぎる。
すべての家具や設備が大きい。
自分の目がおかしいのかもしれない。
なぜ、病院にいるのかという疑問よりも目の前の世界のおかしさが気になる。
自身の身体をみると、細く痩せ細ったというよりは若返って縮んでしまったという印象だ。
「これは」
と声を発すれば甲高い子供の声がする。
「わ、若返ってる!」
ゲームや漫画ならともかく、現実の人間が若返るなんて聞いたことがない。
それから、医者の話を聞くうちに子供の頃の嫌な思い出が甦る。
ようやく忘れかけていた。
いや、忘れたことにしていた記憶。
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