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「私設の軍隊としては、もっとも巨大な組織であるオニキス商会の傭兵だが、ここはその中でも一番大きな訓練場を兼ね備えているの」
「すごい、とにかく大きいですね」
フレイは、入口の所で制止した。
「危ないから、待っていてね」
それからすぐに、二人の男を引き連れて戻ってきた。
「彼は、ジョージ。昔からの付き合いでよく護衛を頼んでいる」
白髪の老兵だが、すらっとした高身長で、無駄な筋肉が一切ないという風貌だ。
「フレイ様、また呼んで頂けて光栄です。その節は大変お世話になりました」
「ジョージ。相変わらず堅苦しいな」
そう言いながらもフレイの表情はこれまでに無いくらいに緩んでいた。
「もう一人がアンバー。こう見えて腕は一流の隊長だ」
「こう見えてって、どう見えてるんですかぁ」
こちらは小柄で、どちらかという華奢な体型をしている。
口調も間延びしていて、ジョージと比べると確かに戦闘には向かなそうだ。
「フレイ様が、二人も傭兵をつけるなんて、戦争でも起こされるおつもりですか?」
「え、まじですか」
アンバーもフレイとは面識があるようだった。
「いや、今回は単なる子守りだよ。この子に英才教育を施そうと思ってね」
冗談とも本気ともつかない言い回しだ。
「へぇ、じゃあ劇団の?」
「うーん、そのあたりはちょっと、迷っている。素質はありそうだが、生意気で小賢しくて使い勝手が悪い子でね」
随分な言われようだった。
「ははは、随分嬉しそうですね」
ジョージと話すときは気を許しているのだろう。
「お嬢さん、名前はなんていうの?」
アンバーが私に向かって声をかけてきた。
「ヒルダです。よろしくおねがいします」
私は深く礼をする。
「なんだい、いい子そうじゃないか。てっきりいきなり襲ってくる野生児みたいな子かと」
「アンバー、失礼だぞ」
ジョージがたしなめる。
「はーい」
「数々のシ線をくぐり抜けてきた私が保証しましょう。この娘は強くなりますよ」
教育という言葉の意味が違うような気がする。
「まぁ、いい。ジョージはマッチョ担当として、アンバーは戦略、戦術、そして政治を教えてやってくれ」
「げげ、座学ですかぁ」
「不服そうだな」
「やり方は任せる。別に実戦形式でも構わない」
「暗殺術でも仕込むのかと思ってたのになぁ」
「それは、今はいい。寝首をかかれたくないからね」
勝手に話が進んでいく。
「約束どおり、私の投資に見合う人材になってもらおうか」
フレイの目は、本気のようだ。
「わ、わかりました」
私はとんでもない人に、自分の身体を預けてしまったのではないかと、初めて後悔した。
「すごい、とにかく大きいですね」
フレイは、入口の所で制止した。
「危ないから、待っていてね」
それからすぐに、二人の男を引き連れて戻ってきた。
「彼は、ジョージ。昔からの付き合いでよく護衛を頼んでいる」
白髪の老兵だが、すらっとした高身長で、無駄な筋肉が一切ないという風貌だ。
「フレイ様、また呼んで頂けて光栄です。その節は大変お世話になりました」
「ジョージ。相変わらず堅苦しいな」
そう言いながらもフレイの表情はこれまでに無いくらいに緩んでいた。
「もう一人がアンバー。こう見えて腕は一流の隊長だ」
「こう見えてって、どう見えてるんですかぁ」
こちらは小柄で、どちらかという華奢な体型をしている。
口調も間延びしていて、ジョージと比べると確かに戦闘には向かなそうだ。
「フレイ様が、二人も傭兵をつけるなんて、戦争でも起こされるおつもりですか?」
「え、まじですか」
アンバーもフレイとは面識があるようだった。
「いや、今回は単なる子守りだよ。この子に英才教育を施そうと思ってね」
冗談とも本気ともつかない言い回しだ。
「へぇ、じゃあ劇団の?」
「うーん、そのあたりはちょっと、迷っている。素質はありそうだが、生意気で小賢しくて使い勝手が悪い子でね」
随分な言われようだった。
「ははは、随分嬉しそうですね」
ジョージと話すときは気を許しているのだろう。
「お嬢さん、名前はなんていうの?」
アンバーが私に向かって声をかけてきた。
「ヒルダです。よろしくおねがいします」
私は深く礼をする。
「なんだい、いい子そうじゃないか。てっきりいきなり襲ってくる野生児みたいな子かと」
「アンバー、失礼だぞ」
ジョージがたしなめる。
「はーい」
「数々のシ線をくぐり抜けてきた私が保証しましょう。この娘は強くなりますよ」
教育という言葉の意味が違うような気がする。
「まぁ、いい。ジョージはマッチョ担当として、アンバーは戦略、戦術、そして政治を教えてやってくれ」
「げげ、座学ですかぁ」
「不服そうだな」
「やり方は任せる。別に実戦形式でも構わない」
「暗殺術でも仕込むのかと思ってたのになぁ」
「それは、今はいい。寝首をかかれたくないからね」
勝手に話が進んでいく。
「約束どおり、私の投資に見合う人材になってもらおうか」
フレイの目は、本気のようだ。
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私はとんでもない人に、自分の身体を預けてしまったのではないかと、初めて後悔した。
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