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少年剣士は再戦を誓いました
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孤児院の入り口に立ってライオットは少し緊張した面持ちで扉を開いた。
「すみません」
遅い時間なので迷惑にならないようにちいさな声で呼びかける。
室内は完全な暗闇に包まれていた。
「すみませーん」
まだ慣れない高い声で呼びかけると、部屋の一つに明かりがついた。
「こんな時間になんのようですか?」
「ご婦人、夜更けに叩き起こしてしまって申し訳ない。事情があって一晩泊めて頂きたいのだが」
子供の体で神妙な顔をしているライオットを女性は不思議そうにみていた。
「まぁまぁ、お嬢さん、いや坊っちゃんかしら。服装からして高貴な身分のご息女かと思ったけれど何か事情があるみたいだね」
「はい、訳あって住むところと仕事を探しています。小間使いでも何でもしますので此処に置いては頂けませんか」
「そうね、今すぐここで判断はできないけれど、とりあえず今夜は私の寝床でおやすみなさいな」
そういうと明かりのついた個室に案内された。
簡素な造りの部屋で、ベッドと机など必要最低限の家具があるだけだった。
「見ての通り、うちの孤児院は貧しくて、お貴族様からしたら馬小屋みたいなもんでしょうけど」
「いえ、そんな事は」
正直に言うと兵舎と比べても手狭な印象だった。
「さぁ、遠慮せずにいらっしゃい
」
「ありがとうございます。俺、私は床で大丈夫です」
「何言ってるの。小さい子が遠慮しないの。床で寝かしたりしたら私が司祭様に怒られてしまうわ」
「そうですか」
正直、ご婦人の寝床に入るというのは気が引けたがお言葉に甘える事にした。
「こんなに身体を冷やして……とにかく今後の事は明日、相談して決めましょう。うちも余裕がある訳ではないけれど」
「はい、すみません」
「本当、しっかりしてるわ。うちのチビ達に見習わせたいくらい」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
灯りが消えたあともライオットはうまく眠れなかった。
この身体では、働くといっても出来る仕事は限られている。
それに、残してきた家族の事も気にかかった。
一日も早く鍛錬を重ねて、騎士として復帰しなければ、そして例の妖術使いとも対峙しなければならない。
その想いだけを支えにしてなんとか生き抜こうと決意したのだった。
「すみません」
遅い時間なので迷惑にならないようにちいさな声で呼びかける。
室内は完全な暗闇に包まれていた。
「すみませーん」
まだ慣れない高い声で呼びかけると、部屋の一つに明かりがついた。
「こんな時間になんのようですか?」
「ご婦人、夜更けに叩き起こしてしまって申し訳ない。事情があって一晩泊めて頂きたいのだが」
子供の体で神妙な顔をしているライオットを女性は不思議そうにみていた。
「まぁまぁ、お嬢さん、いや坊っちゃんかしら。服装からして高貴な身分のご息女かと思ったけれど何か事情があるみたいだね」
「はい、訳あって住むところと仕事を探しています。小間使いでも何でもしますので此処に置いては頂けませんか」
「そうね、今すぐここで判断はできないけれど、とりあえず今夜は私の寝床でおやすみなさいな」
そういうと明かりのついた個室に案内された。
簡素な造りの部屋で、ベッドと机など必要最低限の家具があるだけだった。
「見ての通り、うちの孤児院は貧しくて、お貴族様からしたら馬小屋みたいなもんでしょうけど」
「いえ、そんな事は」
正直に言うと兵舎と比べても手狭な印象だった。
「さぁ、遠慮せずにいらっしゃい
」
「ありがとうございます。俺、私は床で大丈夫です」
「何言ってるの。小さい子が遠慮しないの。床で寝かしたりしたら私が司祭様に怒られてしまうわ」
「そうですか」
正直、ご婦人の寝床に入るというのは気が引けたがお言葉に甘える事にした。
「こんなに身体を冷やして……とにかく今後の事は明日、相談して決めましょう。うちも余裕がある訳ではないけれど」
「はい、すみません」
「本当、しっかりしてるわ。うちのチビ達に見習わせたいくらい」
「おやすみなさい」
「おやすみ」
灯りが消えたあともライオットはうまく眠れなかった。
この身体では、働くといっても出来る仕事は限られている。
それに、残してきた家族の事も気にかかった。
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その想いだけを支えにしてなんとか生き抜こうと決意したのだった。
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