97 / 260
サーナタルエに戻って
しおりを挟む怪我をしてしまいました。
いつもの事ではありますが、私もよく怪我をすると思っています。ですが今回は、武器防具が全て借り物だったせいもあり、修理が一つもないのが救いでしょうか?
しかしその借り物の武器や防具は、とてもでは無いが戦える代物ではありませんでした。
最初にそれを渡された時
「これって儀式用ですか?」
と聞いてしまった位です、少し力を入れたら折れそうな細身の刀と、服、鎧じゃなくて服です防具の意味がありません、防具と言うよりも制服です、こんなのでどうやって何十人の人達を相手にすればいいのでしょうか?
その貧相な武器防具のせいで、左手の手首から先が無くなってしまいました。いつもの癖で『収納』から盾を取り出そうとしてしまったのですが、盾は持って来ていなかったのでそのまま腕を切り取られてしまいました。
盾の事は私が悪いのですが、その時籠手が付いていたら切り飛ばされる事は無かったでしょう、ですが、籠手も付いていない服だったのでどうしようもありません
リテア様をヒェーブスまで無事に守る事が出来てから、お医者さんに左手を見せたところ
「なんでこんないい加減な処置をするんだ!」
怒られてしまいました。
私がした訳ではないのですが、本来なら縛って止血しその口を塞ぐように『氷』魔法で軽く塞ぐように蓋をするのが正解なのです、ですが細い氷が何十と肉に食い込むように深く刺さり、魔力に戻すにも細かすぎて戻しきれないとお医者さんに言われました。
その結果、腕をもう10センチ程切らなくてはならなくなり、『癒し』魔法を掛けながら腕を切断したのですが、痛みは痒いくらいでほとんどありませんでした。
ですが、目の前で自分の腕が切断されるのは、あまり気持ちのいいものではありませんでした。
それでも地球だったらそのまま手が無くなってしまうか、あるいは義手になっていたでしょう、そういった意味ではまだましだと感じます、いえ‥‥十分有難いですね
骨まで無くなったので、今回もまた3週間コースでしょうか? この後、私はまたマシェルモビアの砦を落とす為に前線に戻るのですが
「タクティア、今回私は休暇は必要ないので、そのまま前線に戻りますよ」
「‥‥いつまでその話し方なんですかハヤト隊長」
タクティアが若干不機嫌です
そうでしたね、私はハヤトでした。暫くフェルドとして生活をしていたので、この話し方が中々抜けないんです、この話し方はタクティアを参考にしているので、自分とキャラが被るから嫌なのでしょうか? あまりいい顔はしません
「フェルド生活が長かったです‥‥からな」
「いいんですか? その左手もまだ時間がかかるでしょうし」
「手の事だったらあっちでエクレールに直してもらうよ、最近治すのが上手くなってるし、それよりもあの砦の事なんだけどな、俺が攻略する」
「‥‥え? ええ!!、本気で言っているんですか?」
「ああ、本気も本気、マジ本気だ。もう一度言うぞ、俺が攻略する」
「魔法が一切通用しないんですよ? あっ! 今のが大事な事だから2回言いましたってやつですね?」
「そうだ、それは置いといて‥‥俺が使うのは魔法じゃない、女神の力を使う、実際に試して成功しているし」
試した結果、犠牲が2人程出てしまったが、裏で悪い事をしている人で、館の襲撃にも関わっていたみたいだったから結果オーライだろう、あの時バレるかと思ってドキドキしていたが‥‥‥‥
「ハヤト隊長! 女神の力って何ですか!」
「おっとぉ、予想どうり食いついてきたね、なら今日はこれを「今日のお話」としようか?」
うんうんと高速で頷くタクティア
「絶対に誰にも言うなよ、実はね標高の高い山とかで見かける女神の魔法とされている『雷』はね‥‥‥‥」
◆◇
「かなり大変だったみたいですね、それでもあの子を守ってくれて本当にありがとう」
ハルツール国の主席イディ・アンドリナは深く頭を下げる。
俺は結果の報告を兼ねて主席とお茶を飲んでいた。今回主席は俺の好みを調べてくれて目の前にはトロン茶が入れてある
「自分の不注意で館の人達全てを救えませんでしたが」
「それは仕方のない事だと思いますよ、相手はマシェルモビアにつながるような魔道具を持っていたと報告も受けています、今後あなたが持ち帰った魔道具の調査をすることになるでしょうが、それでどうやってそれを手に入れたか‥‥分かれば今回どうマシェルモビアと繋がっていたか分かるかもしれませんから」
「そう‥‥ですね、自分もリテア様を守れた事で少しだけ、ホッとしています」
今回の護衛の件でよく分からない事がある、俺が気を失い、目が覚めるとリテア様が蹴られそうになっていたり、知らない場所にいたり、俺の部下(?)が助けてくれたりと色々あったらしいが、記録用の魔道具を直ぐに渡してしまった為、俺が倒れている間の事がどうなっていたのか知らないのだ。
館を襲った襲撃者と、俺が目が覚めた時にリテア様に襲い掛かろうとしていた者達の間には、繋がりが薄い気がした。
俺がグースだと分かっていたのなら、もしかしたら追撃を諦めていたのかもしれないが、奴らはリテア様を追って来た。
俺がグースだという事を知らなかったのだろう、もしかしたらわざと知らせなかったのかもしれない
結果としてリテア様を守れたから良かったものの・・・・
「あら、リテア様と呼んでいるのね」
「ええ、中々癖が抜けなくて、本来なら次期代表候補と呼ぶべきなのでしょうが」
「ふふ、それで? あの子はどうだった?」
「そうですね‥‥」
リテア・ネジェンの事を思い出してみると不思議と笑みが浮かんでくる
「年上の女性のこう例えるのは失礼に当たると思うのですが、一言でいうと、お転婆でしょうか?」
「そう、それで? どういった所がかしら?」
主席は何かを期待するように、キラキラした目をしている
「そうですね、あれは雨が降った次の日の事でしたが、庭に溜まった水が泥のようになっていたのです、それをじっと見ているんです、多分泥遊びをしたかったんでしょうが、私がいる事でそれも出来なくて少し悔しそうでした」
「ぷっ! ふふふふ、あはは‥‥‥‥」
どうやら主席の笑いのツボに入ったようだ、この人は一旦ツボに入ると暫くは笑っている、笑い終えるまで大人しく待とう
・・・・
・・・・
結構長い事笑ってられましたよ、途中でお腹が痛くなったのか、急に真顔になられましたけど、これ以上笑いを取ろうとしたら
「マジでもうやめて」
とか言いそうなので、もうやめておく、その代わりに‥‥
「主席、よろしかったらコレをどうぞ」
椅子の横に置いておいた包みを渡す、さっきからチラチラと主席は見ていたから気にはなっていたようだ。
「コレはなにかしら?」
「中身はチョコレートという物です」
チョコレートという言葉に主席は反応した。知っていたみたい
チョコレートは未だに生産が追い付いておらず、出回っている数が少ない、以前工場に行った際
「工場の規模からしてこの数が限界です」
オヤスの長男で工場長のモランが言っていた。従業員の負担も製造ラインの回転具合も限界らしい。
そして迷惑だとは思ったけど、新しいチョコレートの考えをオヤスにこっそりと教え、それをオヤスに手作業で開発してもらい、完成した物がここにある
昨日、工場の方に少し顔を出したところ
「親父が新しいチョコレートを作るから、ラインを空けろと言って来たんですが‥‥‥」
憔悴しきった顔で、俺の事を死んだ目で見ていた
「へ、へぇーそうなんだ」
としか返せなかった。余計な事をしたと思うけれど、思いついてしまった物は仕方ない、一応顧問として働かないといけないと思ったんです
「まだ市場に出回っていない新作で、中にお酒が入っているんです、よろしかったら‥‥」
主席の方に包みを移動させる
「ありがとう、このチョコレートは中々手に入らないのよね、でもあなたはまだ出てない商品を何故持っているの?」
「私、この商品を出している会社の顧問をしていますから」
「あら! あらあら、そうなの?」
「それとこちらも‥‥こっちは普通のチョコレートです、天使ネクターが好きな方です」
普通のチョコレートも主席に渡した。
元々機嫌がよかった主席だったが、2つもお土産を貰い嬉しそうな顔をしていた。その後も主席とは楽しく話をした。
主席との話も終わった後、ついでにゴルジア首相にも会いに行った。
首相にも酒の入った新作を渡したうえで
「普通のチョコレートもありまして、こっちがネクターが宣伝していた奴で、こっちが俺が宣伝していた奴です、どちらかお好きな方を‥‥‥‥」
「そうか何やら済まないな、ワシも結構気に入っているんじゃが、手に入りずらくてのぉ」
そう言ってネクターが宣伝している方に手を伸ばし‥‥‥た腕を、ガッ! と抑える
「ん、んん!?」
「首相、もう一度言いますよ? こっちがネクターで、こっちが俺です」
「お、おお‥‥‥分かっとる」
一度引っ込めた手をまたネクターの方に伸ばし‥‥‥また、ガッ! と伸ばした手を俺に掴まれる
「首相もう一度言いますよ? こっちがネクターで、こっちが俺です、こっちが俺です、俺が宣伝しているのはこっちです」
暫く首相の目を見つめていると
「そう‥‥‥じゃったな、こっちだった‥‥‥‥」
残念そうに俺が宣伝している方に手を伸ばした。
ベルフ達へのお土産の分もあるので、ネクターが宣伝した方は取って置きたかったんです。
じゃあ何で出したって? 何となくやって見たかったから
その後も少しだけしょんぼりした首相と、色々と話をした。首相は今回俺がタスブランカに行って来たを知らされておらず、ほんの少しだけ主席と軍に対し怒っていた。
散々愚痴を言ってきた後
「やっぱり軍に籍を置いておくと、危険な事ばかりやらされる様じゃな」
「それが仕事ですから」
「ふむ‥‥どうじゃハヤト、儂の元に帰ってこないか?」
首相にそう誘われたが、俺も自分の名の付いた部隊を持ち、それに伴い部下も持ち、それに色々と思う所があるので首相の誘いは丁重に断った。
用事も全て済ませ家に帰ると、そこには現タスブランカ代表の印が押された封筒があった。
中に入っていたのは、召喚獣契約のための許可証
『ご当地召喚獣』というのがある、勝手に俺がそう呼んでいるだけだけれど、ハルツールにしかない魔法『耐壁』があるように、マシェルモビアにしかない魔法『潜伏・隠蔽』もある。
これは魔法だけに限った事では無く、召喚獣もその地にしかない召喚獣がある。その中でもタスブランカは召喚獣の魔法陣を2つ所有していて、俺はずっとそれを申請していたのだけど、中々許可が下りなかった。
理由としては俺がハルツールの生まれではないから、そのせいで今まで許可されなかったのが、タスブランカにいる時、リテア様に泣きついて口添えしてもらい、そしてようやく許可が下りたのだ
意外と早かったな
「ありがとうございますリテア様!」
タスブランカの方角に向かい、パンパンと手を叩き合掌する
契約は敵の砦を落とした後になるだろうけど、今から楽しみで仕方がない
0
あなたにおすすめの小説
転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました
桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。
言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。
しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。
──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。
その一行が、彼の目に留まった。
「この文字を書いたのは、あなたですか?」
美しく、完璧で、どこか現実離れした男。
日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。
最初はただの好奇心だと思っていた。
けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。
彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。
毎日19時に更新予定です。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
最愛の番に殺された獣王妃
望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。
彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。
手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。
聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。
哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて――
突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……?
「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」
謎の人物の言葉に、私が選択したのは――
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
12/23 HOT男性向け1位
99歳で亡くなり異世界に転生した老人は7歳の子供に生まれ変わり、召喚魔法でドラゴンや前世の世界の物を召喚して世界を変える
ハーフのクロエ
ファンタジー
夫が病気で長期入院したので夫が途中まで書いていた小説を私なりに書き直して完結まで投稿しますので応援よろしくお願いいたします。
主人公は建築会社を55歳で取り締まり役常務をしていたが惜しげもなく早期退職し田舎で大好きな農業をしていた。99歳で亡くなった老人は前世の記憶を持ったまま7歳の少年マリュウスとして異世界の僻地の男爵家に生まれ変わる。10歳の鑑定の儀で、火、水、風、土、木の5大魔法ではなく、この世界で初めての召喚魔法を授かる。最初に召喚出来たのは弱いスライム、モグラ魔獣でマリウスはガッカリしたが優しい家族に見守られ次第に色んな魔獣や地球の、物などを召喚出来るようになり、僻地の男爵家を発展させ気が付けば大陸一豊かで最強の小さい王国を起こしていた。
男爵家の厄介者は賢者と呼ばれる
暇野無学
ファンタジー
魔法もスキルも授からなかったが、他人の魔法は俺のもの。な~んちゃって。
授けの儀で授かったのは魔法やスキルじゃなかった。神父様には読めなかったが、俺には馴染みの文字だが魔法とは違う。転移した世界は優しくない世界、殺される前に授かったものを利用して逃げ出す算段をする。魔法でないものを利用して魔法を使い熟し、やがては無敵の魔法使いになる。
異世界で目覚めたら、もふもふ騎士団に保護されてました ~ちびっ子だけど、獣人たちの平穏のためお世話係がんばります!!~
ありぽん
ファンタジー
神のミスで命を落とした芽依は、お詫びとして大好きな異世界へ転生させてもらえることに。だが転生の際、またしても神のミスで、森の奥地に幼女の姿で送られてしまい。転生の反動で眠っていた瞳は、気づかないうちに魔獣たちに囲まれてしまう。
しかしそんな危機的状況の中、森を巡回していた、獣人だけで構成された獣騎士団が駆け付けてくれ、芽依はどうにかこの窮地を切り抜けることができたのだった。
やがて目を覚ました芽依は、初めは混乱したものの、すぐに現状を受け入れ。またその後、同じ種族の人間側で保護する案も出たが、ある事情により、芽依はそのまま獣騎士団の宿舎で暮らすことに。
そこで芽依は、助けてくれた獣騎士たちに恩を返すため、そして日々厳しい任務に向かう獣人たちが少しでも平穏に過ごせるようにと、お世話係を買って出る。
そんな芽依に、当初は不安だった獣人たちだったが、元気で明るい瞳の存在は、次第に獣人たちの力となっていくのだった。
これはちびっ子転生者の芽依が、獣人や魔獣たちのために奮闘し、癒しとなっていく。そんな、ほっこりまったり? な物語。
虚弱体質?の脇役令嬢に転生したので、食事療法を始めました
たくわん
恋愛
「跡継ぎを産めない貴女とは結婚できない」婚約者である公爵嫡男アレクシスから、冷酷に告げられた婚約破棄。その場で新しい婚約者まで紹介される屈辱。病弱な侯爵令嬢セラフィーナは、社交界の哀れみと嘲笑の的となった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる