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作戦までのひと時
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『心臓は大丈夫なんですか?』
タクティアが何気なしに言った事を、俺は家に帰る際少し考えていた
昔は心拍数が上がるような行為、運動はもちろん長時間歩く事自体出来なかったし、緊張したりお風呂に入っただけでも痛みが生じていた。
それがこの世界に来て『防病の契約』をし、それ以降心臓に痛みが走る事は無かった。走る事も出来るようになり、今までの苦痛は一体何だったのだろうか? と思えるほど。
こちらの世界に来て20年以上になるが、その事自体忘れていた。
俺が精密検査をした病院では、『原因不明』と言う診断結果が出ている。心臓自体に特に病気がある訳でもなく欠陥がある訳でもない、つまり医者でも治せない痛みだった。
こちらの世界では『防病の契約』があり、病気などにかかる者も皆無であり、尚且つ怪我なども『癒し』の魔法で全て治せる為、医療のレベルが地球と比べると天と地の差がある。もしかしたら明確な『医療』と言う概念自体が無いに等しい。
その医療が進んだ地球でも、原因不明とされていた心臓の痛みが無くなっているという事は、これはそもそも病気だったのだろうか? 『防病の契約』で治ったのだろうか?。
契約が無くなった事でまた再発する可能性もあるが‥‥
「まあいいや」
考えるのが面倒になって頭の中からそのことを消去した。
本当にいい加減な性格だと自分でも思う
家に着くと、いつもはいるはずのコトンの姿が無く、そしていつもいる召喚獣のデュラ子がいつもの場所でいつも道り寝そべっていた
「戻られましたか旧主よ」
デュラ子の定位置となったソファーは、デュラ子の体の形に合うように変形しており、たまにそのソファーに座ると何となく体が傾いた感じになる。
なのでデュラ子のお尻がいつもある場所に座るか、もしくはデュラ子の胴体がいつもある場所に上手く座る事が重要である。ちなみに胴体がいつもある場所はまだへたっておらず、幾分ふっくら感が残っている
「ただいまー」
デュラ子はあまりコトンと距離を取り過ぎると消えてしまうので、デュラ子がここにいるという事はコトンも近くにいるはずだが
「主なら自分の家で荷物をまとめております」
俺の考えを察したのかデュラ子が教えてくれる
「そっか」
絵本作家になったらコトンと結婚する約束しており、無事にデビューが決まったため、自分の荷物をこっちに運び込む準備をしているようだ。
コトンの両親が引っ越しを自分達でやっていた時、小さなトラックで荷物を運び込み、自分達で引っ越しをしていたのでさほど荷物は無いと思うが
「コトンの家って結構荷物とかあったりする?」
コトンは俺の家に入り浸っているが、俺はコトンの家に行ったことが無い、だからどのくらい荷物があるのか分からない
「それほどある訳では無いですね、こんなもの何の役に立つのだろうという小物が殆どです。旧主のように無駄なものは置かないのとは正反対ですね」
確かに、無駄と呼べる物は俺の家には殆ど無い。それと言うのも家にあまり帰る機会が少なかったせいだろう。色々中に入れることの出来る『収納』魔法があったせいもあるし、ラグナの『収納』魔法は家一軒分の大容量のスペースがあったという事もあるが、荷物と呼べるような物は殆ど無い、あるのは本と本棚位だろうか? あれだって収納に入れとけば問題ないんだし
ただ、実家には結構物があったんだけどな、ゲームとか模型とか‥‥。ポスターだって壁に貼ってたし結構にぎやかだったと思う。
それを考えると今の家は、無駄なものが無いと言うよりも何も無いと言った方がいいかもしれない
デュラ子と話をしていると、そこに箱を抱えたコトンが入ってくる
「あっ、お帰りハヤト」
「ただいま」
だがそれも、コトンが家に来てくれることで少しは賑やかになってゆくだろう
◆◇
それから約2週間が経った
その間にコトンの両親に正式に結婚の挨拶に行ってきた。
コトンの両親は、最初引っ越しの時に初めて会って、その時の印象はとてもいい人達っぽいという印象だったが、実際挨拶に行き会って話をしてみると、本当にいい人達だった。
タクティアはどちらかというと穏やかな性格だが、その兄であるコトンのお父さんはそれに輪をかけたような穏やかさだった。話をする時は常にニコニコ笑顔でいるし、お母さんも穏やかでおっとりした性格だった
「もう1人息子が出来るなんて嬉しくてね、コトンも小さい時から君の事を想ってたみたいで、いつ一緒になるのかいつ一緒になるのかって━━」
「コトンちゃんよかったわね。ハヤトちゃん、娘の事を━━」
てな感じで結婚の事を歓迎してくれた
定番として『貴様なんかに娘はやらん!』とか言って、水バシャ―と掛けられるのだろうか? なんて事も考えていたが、まったくの杞憂だった
コトンの両親の事はタクティアからの事前情報で。
「あの二人は人の話を聞かないところがあるんですよね、話を聞かないというのは‥‥違うかな?‥‥どこか抜けてると言うか、フワッとした感じですかね」
と聞いていた。
お前も大概話を聞かないぞと思ったが、タクティアの言っている事は二人に会って何となく理解した。確かに二人ともフワッとした性格であった。
どうやらラティウスの家系と言うのは、タクティアとコトンを含め、どちらかというと穏やかな性格の家系らしい。
末っ子が結婚するという事で、コトンの兄や姉も実家に戻ってきており一緒に挨拶をしたが、コトンの兄や姉もどことなく似たような性格だった
コトンの一家に歓迎される形で結婚の挨拶は無事に終える事が出来たが、結婚式と籍を入れる事に関しては、護衛という最後の軍の仕事が終わってからという事になっている。
最後の仕事が終わったら式をあげ、籍を正式に入れるだろう
両親の挨拶の他にも、二人で住む(召喚獣付き)為に必要な家具などを新しく新調したりしたが、前にラグナに言われて家具を購入した時に、コトンが一緒に付いてきてあれこれとアドバイスをしてくれたおかげか、ほとんど新しく買い込むようなことは無く、ほんの少しの必要な物を買うだけで済んだ。
デュラ子も自分の部屋が欲しいのだろうか?と思い聞いてみたが
「私はこのソファーがあれば十分です」
そのソファーに寝ころびながら言われた。完全にそのソファーの主となっており、日によっては食事以外一歩も動かなかったりする。
意外と邪魔になるので一日中占拠するのは止めて欲しいのだが、退く気配は全く無い。ちなみに新しく新調した家具にはソファーがある。一つはもうデュラ子専用になってしまったので買う必要があった
後は俺の処女作となる絵本の発売の事であれこれと打ち合わせしたりとか、忙しくも穏やかな生活を送っていた
でもその穏やかな生活にも一時の終わりが来る。俺の軍人としての最後の仕事だ
・・・・・・
・・・
「本当に大丈夫? もしハヤトに何かあったら‥‥」
俺の手を握ってくるコトンの手を優しく包んであげる
「一番の後方にいる訳だから、戦闘する機会も無いし、ただ護衛として突っ立っていればいいだけだから心配ないよ」
ついに移転門奪還作戦が開始される事になる、ブレドリアを完全に奪還し、そのまま移転門を奪う作戦が‥‥。
これさえ成功すればハルツールという国は守られたも同然だろう。
そして最愛の妻となる人とのしばしの別れを告げていた
「でも‥‥」
コトンは握った手を放してくれない
「大丈夫だってば、ハルツールの勝利は間違いないってタクティアが言ってたし、それにこれさえ終わればずっと一緒にいれるんだからさ」
「うん‥‥」
握った手を少しだけ名残惜しそうに解いてくれる
「旧主よどうかご無事で」
「おう、コトンの事頼むぞデュラ子」
「お任せを」
「うん、じゃ言ってくる!」
二人にしばしの別れを告げると俺は愛車のバギーに乗り込んだ
◆◇◆
ハヤトが最後の任務の為、出立していった
後ろ姿をデュラ子と見送る、小さくなっていくハヤトの後ろには大きな山がそびえてっている。
周辺都市の水瓶ともなっている霊峰ケネイが目に映る。山頂には雲がかかっており、今日も雨が降り続いていた。
私は小さくなってゆくハヤトを見守りながら霊峰に祈る、とある物語の女性の言葉と共に
ケネイ
ケネイ
聖なるケネイ
その頂から見えますか?
その頂からは彼の姿が見えますか?
教えてください
知らせてください
誰よりも先に
私に伝えてください
伝えてください
私がここにいると伝えてください
いつまでもここで待っていると
どうか
無事に帰って来て‥‥
タクティアが何気なしに言った事を、俺は家に帰る際少し考えていた
昔は心拍数が上がるような行為、運動はもちろん長時間歩く事自体出来なかったし、緊張したりお風呂に入っただけでも痛みが生じていた。
それがこの世界に来て『防病の契約』をし、それ以降心臓に痛みが走る事は無かった。走る事も出来るようになり、今までの苦痛は一体何だったのだろうか? と思えるほど。
こちらの世界に来て20年以上になるが、その事自体忘れていた。
俺が精密検査をした病院では、『原因不明』と言う診断結果が出ている。心臓自体に特に病気がある訳でもなく欠陥がある訳でもない、つまり医者でも治せない痛みだった。
こちらの世界では『防病の契約』があり、病気などにかかる者も皆無であり、尚且つ怪我なども『癒し』の魔法で全て治せる為、医療のレベルが地球と比べると天と地の差がある。もしかしたら明確な『医療』と言う概念自体が無いに等しい。
その医療が進んだ地球でも、原因不明とされていた心臓の痛みが無くなっているという事は、これはそもそも病気だったのだろうか? 『防病の契約』で治ったのだろうか?。
契約が無くなった事でまた再発する可能性もあるが‥‥
「まあいいや」
考えるのが面倒になって頭の中からそのことを消去した。
本当にいい加減な性格だと自分でも思う
家に着くと、いつもはいるはずのコトンの姿が無く、そしていつもいる召喚獣のデュラ子がいつもの場所でいつも道り寝そべっていた
「戻られましたか旧主よ」
デュラ子の定位置となったソファーは、デュラ子の体の形に合うように変形しており、たまにそのソファーに座ると何となく体が傾いた感じになる。
なのでデュラ子のお尻がいつもある場所に座るか、もしくはデュラ子の胴体がいつもある場所に上手く座る事が重要である。ちなみに胴体がいつもある場所はまだへたっておらず、幾分ふっくら感が残っている
「ただいまー」
デュラ子はあまりコトンと距離を取り過ぎると消えてしまうので、デュラ子がここにいるという事はコトンも近くにいるはずだが
「主なら自分の家で荷物をまとめております」
俺の考えを察したのかデュラ子が教えてくれる
「そっか」
絵本作家になったらコトンと結婚する約束しており、無事にデビューが決まったため、自分の荷物をこっちに運び込む準備をしているようだ。
コトンの両親が引っ越しを自分達でやっていた時、小さなトラックで荷物を運び込み、自分達で引っ越しをしていたのでさほど荷物は無いと思うが
「コトンの家って結構荷物とかあったりする?」
コトンは俺の家に入り浸っているが、俺はコトンの家に行ったことが無い、だからどのくらい荷物があるのか分からない
「それほどある訳では無いですね、こんなもの何の役に立つのだろうという小物が殆どです。旧主のように無駄なものは置かないのとは正反対ですね」
確かに、無駄と呼べる物は俺の家には殆ど無い。それと言うのも家にあまり帰る機会が少なかったせいだろう。色々中に入れることの出来る『収納』魔法があったせいもあるし、ラグナの『収納』魔法は家一軒分の大容量のスペースがあったという事もあるが、荷物と呼べるような物は殆ど無い、あるのは本と本棚位だろうか? あれだって収納に入れとけば問題ないんだし
ただ、実家には結構物があったんだけどな、ゲームとか模型とか‥‥。ポスターだって壁に貼ってたし結構にぎやかだったと思う。
それを考えると今の家は、無駄なものが無いと言うよりも何も無いと言った方がいいかもしれない
デュラ子と話をしていると、そこに箱を抱えたコトンが入ってくる
「あっ、お帰りハヤト」
「ただいま」
だがそれも、コトンが家に来てくれることで少しは賑やかになってゆくだろう
◆◇
それから約2週間が経った
その間にコトンの両親に正式に結婚の挨拶に行ってきた。
コトンの両親は、最初引っ越しの時に初めて会って、その時の印象はとてもいい人達っぽいという印象だったが、実際挨拶に行き会って話をしてみると、本当にいい人達だった。
タクティアはどちらかというと穏やかな性格だが、その兄であるコトンのお父さんはそれに輪をかけたような穏やかさだった。話をする時は常にニコニコ笑顔でいるし、お母さんも穏やかでおっとりした性格だった
「もう1人息子が出来るなんて嬉しくてね、コトンも小さい時から君の事を想ってたみたいで、いつ一緒になるのかいつ一緒になるのかって━━」
「コトンちゃんよかったわね。ハヤトちゃん、娘の事を━━」
てな感じで結婚の事を歓迎してくれた
定番として『貴様なんかに娘はやらん!』とか言って、水バシャ―と掛けられるのだろうか? なんて事も考えていたが、まったくの杞憂だった
コトンの両親の事はタクティアからの事前情報で。
「あの二人は人の話を聞かないところがあるんですよね、話を聞かないというのは‥‥違うかな?‥‥どこか抜けてると言うか、フワッとした感じですかね」
と聞いていた。
お前も大概話を聞かないぞと思ったが、タクティアの言っている事は二人に会って何となく理解した。確かに二人ともフワッとした性格であった。
どうやらラティウスの家系と言うのは、タクティアとコトンを含め、どちらかというと穏やかな性格の家系らしい。
末っ子が結婚するという事で、コトンの兄や姉も実家に戻ってきており一緒に挨拶をしたが、コトンの兄や姉もどことなく似たような性格だった
コトンの一家に歓迎される形で結婚の挨拶は無事に終える事が出来たが、結婚式と籍を入れる事に関しては、護衛という最後の軍の仕事が終わってからという事になっている。
最後の仕事が終わったら式をあげ、籍を正式に入れるだろう
両親の挨拶の他にも、二人で住む(召喚獣付き)為に必要な家具などを新しく新調したりしたが、前にラグナに言われて家具を購入した時に、コトンが一緒に付いてきてあれこれとアドバイスをしてくれたおかげか、ほとんど新しく買い込むようなことは無く、ほんの少しの必要な物を買うだけで済んだ。
デュラ子も自分の部屋が欲しいのだろうか?と思い聞いてみたが
「私はこのソファーがあれば十分です」
そのソファーに寝ころびながら言われた。完全にそのソファーの主となっており、日によっては食事以外一歩も動かなかったりする。
意外と邪魔になるので一日中占拠するのは止めて欲しいのだが、退く気配は全く無い。ちなみに新しく新調した家具にはソファーがある。一つはもうデュラ子専用になってしまったので買う必要があった
後は俺の処女作となる絵本の発売の事であれこれと打ち合わせしたりとか、忙しくも穏やかな生活を送っていた
でもその穏やかな生活にも一時の終わりが来る。俺の軍人としての最後の仕事だ
・・・・・・
・・・
「本当に大丈夫? もしハヤトに何かあったら‥‥」
俺の手を握ってくるコトンの手を優しく包んであげる
「一番の後方にいる訳だから、戦闘する機会も無いし、ただ護衛として突っ立っていればいいだけだから心配ないよ」
ついに移転門奪還作戦が開始される事になる、ブレドリアを完全に奪還し、そのまま移転門を奪う作戦が‥‥。
これさえ成功すればハルツールという国は守られたも同然だろう。
そして最愛の妻となる人とのしばしの別れを告げていた
「でも‥‥」
コトンは握った手を放してくれない
「大丈夫だってば、ハルツールの勝利は間違いないってタクティアが言ってたし、それにこれさえ終わればずっと一緒にいれるんだからさ」
「うん‥‥」
握った手を少しだけ名残惜しそうに解いてくれる
「旧主よどうかご無事で」
「おう、コトンの事頼むぞデュラ子」
「お任せを」
「うん、じゃ言ってくる!」
二人にしばしの別れを告げると俺は愛車のバギーに乗り込んだ
◆◇◆
ハヤトが最後の任務の為、出立していった
後ろ姿をデュラ子と見送る、小さくなっていくハヤトの後ろには大きな山がそびえてっている。
周辺都市の水瓶ともなっている霊峰ケネイが目に映る。山頂には雲がかかっており、今日も雨が降り続いていた。
私は小さくなってゆくハヤトを見守りながら霊峰に祈る、とある物語の女性の言葉と共に
ケネイ
ケネイ
聖なるケネイ
その頂から見えますか?
その頂からは彼の姿が見えますか?
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誰よりも先に
私に伝えてください
伝えてください
私がここにいると伝えてください
いつまでもここで待っていると
どうか
無事に帰って来て‥‥
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