そして俺は〇〇になりました。

ふとん☆まくら〜れん(F.M.)

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そして、とにかく鍛錬です! その1

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 あの夜を境に四人のパーティになった面々は、
 その後、いくつかの冒険を共に乗り越えながらの日々を過ごしている。


 もちろん殆どの場合は最終的にギリアの尻拭いのお陰で何とかなっているのだが…


 そうこうしているうちにアサヒも少しずつでも戦える様になって来てはいる。

 が、この世界で一人前を主張するにはまだまだ足りない。



 この日もダンジョンなどには向かわず、
 兵士達の手の回らない、街の外れの森や農耕地に現れる野犬や小さな魔物の討伐に出ていた。
 アサヒの方も、
 ギリアは最低限の援護以外は手を出さず、
 時折指示を出す程度で無事に事を終える程度には戦いに慣れて来ている。



「アサヒの修行って名目で働かされてるけど…
 変な上昇志向の冒険者とかと張り合わないで済むのは楽ねぇ~。

 良い運動なはなるしぃ、
 こんな感じで良いなら『墓掘り屋』なんて呼ばれ続けるくらいで十分だわぁ♪」


「ぐぬぬぬぅ…
 言い返す言葉が『ありがとうございます』しかありませんよ、
 ノーコン投手様!」


 リア自信は種族特性も有り、魔力は高いのだが…
 個人として、その力の制御に関して難がある。

 やろうと頑張れば色々出来るはずなのだが、
 得意としている事といえば…、
 物を飛ばしてぶつけるという物理魔法であり、
 それについては実際にリア自身の腕力で行った方が破壊力は上である。

 …が、そのコントロールの制御にも同様に難があった。

 アサヒの修行の援護という名目で遠距離からの支援として戦闘に参加はしていたが…

 結果としてアサヒにとっては前方と後方に敵を置く形となっていた。

 
 的を外した投石物は何故かほぼアサヒを狙って飛んでくる…。

 先程も、
 飛ばした石礫の三割は前方のオオカミではなく、
 斜め前方のアサヒに直進していたし、
 数少ない竜種らしい能力でもある
 炎のブレス(想像される程の火力はない。)の飛び火は、
 草木にすら燃え移らないのに、何故かアサヒの衣服には着火した。

 ギリアの見立てでも、ワザとでは無い偶然だと説明されて入るが…。

 彼の傍らで、その度にクスクス…というか、
 爆笑を抑え込みながら苦しそうに息を殺している白いローブの邪悪に、
 ギリアは戦慄を禁じ得ない…。


 何はともあれアサヒ本人が、
 ギリアが言うのであれば、これも修行!
 と前向きに納得して挑んでいるので、とりあえずは放置している。


 要するに、

「援護してやっているのよ!」

 とドヤっているリア自信も修行の当事者で有り、
 気が散漫な所が多い所も事実。

 それはその他は周知の上…彼女のやる気を削がない為に伏せられている。


 今回もお互いに発展途上の中、
 噛み合わないながらも奮闘はしたが、
 最終的にはシュミカとギリアに支えられてのクエスト達成となった。



 その日のクエストを終えた面々は、
 ギルドへの報告を終えて報酬を手にいつもの店に向かう最中である。



「今日も無事に終えられて助かりました…。
 少しでもマシになれる様に、明日も頑張りますよ…。」


「ん…、とおちゃがいてくれる事の安心感、最高です。」


 頼りにしてるぜ!
 …と深く被ったフードの奥からジト目を向けられる筋肉はたじろぎながら、


「…お父様ではないし、ならないよ!?
 あと…程々にね。」


 苦笑いを浮かべながらも、
 こう言ったやり取りにも心地よく応じる事が出来る相手が居て、
 ギリアも嬉しい。


「ただね…、君達も焦る気持ちはわかるが、無理はしちゃダメだよ?

 何人か私も客人と呼ばれる者に話を聞いた事があるが、
 そもそもそれぞれの世界での環境が違うんだから、
 出来ないことは出来る人に任せてしまっても
 誰も文句は言わないさ。

 むしろ君達の向上心に感心してるくらいだよ。」


「他の客人ですか…。そりゃいるんですよね。

 例えば俺と同じ世界とかも?」


「…どうだろうね?
 
 とっくに気づいているだろうが、私達は同じ言葉を使うだろう?
 多分精霊さんたちが何かしてるんだろうけど…パッと見ではなんともねぇ。

 明らかに違う種族であっても、この世界には昔からの客人達で一杯だから…
 斯く言う私自身、この世界の純血種なのかもわからないしね。」

(『何か』ってなに?!なにそれ、怖い!)

「そうよねぇ…機械種なんて絶対に他所から来た種族よねぇ…。」


「機械種!?」


 直前に感じた畏怖の念は一瞬で消し飛び、
 アサヒは突然の魅惑的な単語につい心が踊ってしまう!

 イタズラな顔を浮かべて、
『んん~♪男の子って、こーゆー話…好きだよねぇ~。』
 …っという目を向けながら、
 陰険ローブが煽りを入れてくる。


「ん、わかるでしょ?
 ロボだよ、ロボ~。

 アイツらに物理なんて関係ない…。
 普段は人型で大きさも普通だけど、
 突然自分より何倍も大きな兵器に謎変形したりする…らしい。
 会ったことないけど。」


「機械種か、
 私もさすがに会った事は無いな。
 確か西の大陸に整備の街があって、
 あまり遠くには来れないって話は聞いたことがあるよ。」


「そいえばなんだか以前噂で聞いたわねぇ…
 東の大陸で厄介な魔王が居座った地域でぇ、
 ギルドがゲートを使って派遣させた事が有ったみたいだけど…

 それが海岸部で、
 防水仕様じゃなかったとかで全く役に立たなかったらしいわぁ。
 でも本気の火力はすごいらしいから、
 一度見ては見たいわねぇ♪」  

「そりゃすげぇ…俺がもう少し足手纏いにならなくなって、
 ちゃんと旅に出られる様になったら会ってみたいな!」

「ん~…、アナタが頑張ってるのは認めてやっても良い…。
 問題はアナタの立ち位置…役割、ね。
 パーティの強さは、とおちゃと僕で足りてる…。
 リアも荷車を引いてくれる…。」

(ぐぐぅ…確かに…。)


 と、痛いところを突かれたアサヒは、
 陰険ローブの正論極まりない意見に目を背けるその他二名の気持ちを察して肩を落とす…。

 申し訳なさを感じながらも、
 アサヒは気付かないフリを決め込みながら歩いている。
 それでも、確かにこのまま日々を流し続けていても先には進めない事に対しての葛藤もあった。

(何を求めて何をするか?
 その為に何が必要で…今、何をするか、しているか、出来ているか?)

 アサヒは自分に問う。
 まだ足りない…だが、している。
 出来てはいないが出来始めてはいる、
 先は長いが…一歩ずつ。
 
 あの夜…シュミカが柄にも無く泣きながら望んだ言葉は、
 この旅の向かう先の指針として確かに存在していはいたが…。

(…でもなぁ…、自信も切っ掛けもなぁ…。)

 と、頭の中でこの今の生活から動かない為の言い訳として、
 呪いの言葉の様に繰り返してる。
 

「んん…そう言えば、
 少し迷っているんだが、少し良いかな?」


 少し漂った沈黙を好機と感じたギリアは一つの提案を申し入れる。
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