そして俺は〇〇になりました。

ふとん☆まくら〜れん(F.M.)

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そして、来訪と再会と。 その1

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 時は夕刻、
 営業が始まったばかりのゴムール、ティルスガル支店に、
 数人の仲間を引き連れた男が来店する。  

「開店直後にすまない。
 もちろん客として金は落とさせて頂くが…
 人の少ない内に聴きたい話があって伺った。
 店主は…貴公か?」

「あら?
 珍しいわね、竜人のお兄さん!
 何かしら?
 答えられる事なら喜んで♪」
  
 竜人と見られた青年は軍服姿ではあるがかなり着崩している為、
 私用である事を印象付けている。

 それでも軍人で有ると認識した支配人であり、ママである
 『パナルマ=ハルロカカ』は、
 従業員を守る為に身構える。
 
「ああ、心配はいらない。
 個人的な人探しの情報を探しているついでだ。
 取り敢えず十人ほどの席を頼む。
 奴らの注文が済んだら話を聞かせてもらいたい。」
 
 やがて一通りの注文が終わり、
 竜人の青年は離れたカウンターでママと乾杯を交わす。

「急な軍人の来訪で驚かせて申し訳ない。
 本当に個人的な用件と、
 部下への労いも兼ねてだ。

 我はカディス。
 後で畏まられても恥ずかしいので名乗るが、
 カディス=レイヴン、
 帝国の末弟だ。」
 
「存じております、閣下。
 大戦では傭兵の身では御座いましたが、
 共に戦わせていただきました。」

 カディスは畏まった表情をやめ、
 顔を合わせる事もなかった戦友との再会に豪胆な笑顔を浮かべる。

「そうであったか!
 その度は見える事はなかった様だが世話になったのだな、
 感謝する!
 だが我自身には何の権力も無いし偉ぶるつもりも無い。

 出来れば貴方自身の言葉で接して頂けると嬉しい!
 我の言葉遣いも堅苦しいと言われるが…これが我なのでな!
 ワハハ!」

 依頼の為に旅立った旧友と同じ空気を感じたママは、
 数枚の壁は排除しての対応をしても良いかと…
 改めて乾杯を交わしてカウンターに肘をつく。

「じゃ、御用は何かしら?
 竜人のお兄さん。」

「ああ、そうだ!
 人を探していてな…
 この大陸のギルドには、
 届く前に取り下げられた依頼なのだが…」

 憂いた表情で言葉を選ぶカディス。

「とにかく、この人物の見覚えはないだろうか?
 片方は酒が大好きなので片っ端から飲み屋に当たっているのだ!」

 と、差し出した二枚の似顔絵は、
 精霊さんが描いた精巧なリアとシュミカの特徴を捉えた物であった。

「ん~…知らないわねぇ…、
 ちょっと借りて店の子に回してみても問題ないかしら?」

「ああ、勿論だ!
 情報を売りたいと言うなら是非とも買わせていただく!」

「店内での商売は許しません!笑」

 似顔絵が店内を回る時間に二人は
 『大戦時』
 の、話で多少盛り上がっていた。

 そのうち似顔絵を回し終えて二人の店員が戻ってくる。

「ママ~、
 何人かは街中で見たかも知れんゆうて。
 ハッキリせんけど…
 ウチは知らんわぁ。」

「自分も店と公園くらいしか行き来しないっすから…
 記憶に無いっすねぇ。」

 パナルマは手渡された似顔絵を再度見直し、
 それでもやはり自分の記憶にも無いことを確認する。

「そう、ありがと。
 じゃあ、
 ニリちゃんは演奏の準備を始めてちょうだい。
 ノイちゃんはこの方に、
 見たかも知れないって子達だけ紹介しておいてもらえるかしら?」

 了解した二人はそれぞれの行動に移るのだが…

 カディスが本人が知らないからと、
 持ち歩かなかったもう一枚の似顔絵さえあれば…
 未来は多少では有るが変わっていたのかも知れない。

 だが、過去を取り戻す事も後悔する事も不可能で有る。
 故に決定された未来は変わらない。


 その頃、遠く離れた場所で、
 それぞれの過去と未来が間接的に交錯する中…

 クルセイトの城内の一室で目を覚ましたアサヒは、
 交錯した記憶を整理整頓すべく考察する。

(…姫のちんちんがパチンてされて、
 シュミカにカチンってなって俺がパタン。
 なんだ?これ。
 そんで何処だココ?)

 流れ的には城内だろうな…とは思うが、
 あの医務室ではない。
 客間の一室だろうか…。

「お目覚めですか?
 王子様。」

 気付くとベッドのそばに一人の男が立っている。

「顔を合わせるのは二度目ですが…わかりますか?
 立神零也です。」

 人懐こそうな笑顔を間近まで寄せて、
 再会の喜びをアピールして来る彼は間違いなくあの夜にあった本人であった。

「あ…あぁ、
 え、あの…お久しぶりです…。」

 寝起きでの情報量である。

「いやぁ、混乱しますよね!
 私は貴方が起きるのを待っていたので準備が出来てましたから…
 ちょっとハシャいじゃいました!」

 そもそも初対面の日、
 酒の力で盛り上がって楽しく過ごした記憶はあるが…
 正直どの様な距離感で接したのかは全く覚えていない。

「そうだ、
 レイヤさんもこの国に居るって聞いてて…
 もしかして、
 あの付近に居た人達がこっちに?」

「落ち着いてください。
 私も貴方と同じ立場ですが…
 今の所、他の同郷の方とは会っていません。

 はてさて…何がどうしてこうなったのか…?
 ともあれ一夜限りの関係でしたが、
 見知った方と再会できたのは喜ばしい事です♪」

「…言葉を選んでくださいよ!

 まあ、そうですね…
 俺としても心強いです。
 改めてよろしくお願いします!」

「ええ、こちらこそ♪」

 と、立神零也は目の前まで距離を詰めてくる。

(ド近眼なのかな⁉︎)

 その時バタン!と、
 勢いよく開け放たれた扉から現れたのはシュミカだった。

「ん~♪
 今際の際のアナタにトドメが欲しいか聞きにきた!
 レアorウェルダン…どっち?

 …ん⁉︎」

「どちらもお断りだ!
 …急に何だよ、もう。」

 一瞬驚いた表情をしたシュミカは、
 その目に映る光景をゆっくりと目に焼き付けた後薄気味悪い笑みを浮かべ、

「ん、眼福である!
 どうぞごゆっくり…。」

 と、珍しくあっさりと身を引く。

「おい!いろいろ間違えているぞ!
 あと扉くらい閉めていけ!」

「ん~~、
 男臭いから換気~…」

 そう言い残して一陣の嵐は去っていった。

「…もしかして、
 彼女は神職とか?」

 呆気に取られたレイヤの質問に軽いため息を吐きながらアサヒは答える。

「まぁ、はい。
 ウチの神職は頭に『邪』が付きますけどね。」

 クスッと笑うレイヤ。

「色々と手伝って頂けそうですね。
 とりあえず…お互いの状況を交換しませんか?」

 変な来客のお陰で頭がハッキリしてきたアサヒにとって、
 今一番重要な話題であった。

 アサヒ側の状況を説明し、次はレイヤの番である。
 
「私は運良くこの国スタートでしたので、
 手厚く保護されて執筆活動もできて楽しんでいます。
 …苦労された貴方には申し訳ないですけどね。
 良い物を描けば、
 『次を次を』と精霊さんも紙を出してくれて本まで複製してくれる…
 なので外に出ようとは思いませんでしたが、
 貴方の話を聞くと…
 冒険してみるのも楽しそうですね!
 いつか一緒に旅が出来ると嬉しいです。
 ネタにもなりますし!」

「恵まれすぎでしょ!
 天の加護でも授かって産まれたんですか?
 本当に…。」

「そういう貴方だってこんな機会に恵まれたんですから、
 楽しみましょうよ、お互いに♪」

「俺は望んでいませんでしたけどね!」

 そうだ、
 このテンポ感での会話が楽しくて仲良くなったのだった。
 本当にいつか彼と旅を共に出来たなら楽しいだろう。

「さてさて、本題ですね。
 まず、ギリアさんがこの国に呼ばれた依頼についてです。」

(完全に忘れてた!
 本当に今、何がどうなっているのか?
 リアやシュミカや姫…王子?は楽しく会食とか楽しんでやがるのか?
 …ああ、なんかお腹減ってきた…)

 パン!

 っと手を鳴らしてアサヒを現実に引き戻してレイヤは語り出す。
 何度も何度もスチラルが語ろうとして語れなかった今回の経緯を。
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