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そして、現状に至る。 その1
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すでに深夜である。
例の鉱山へは普通に道に沿って行けば半日程度。
普通の子供の足で有れば途中でリタイヤしているのが当たり前であるが、
その跡を追うギリアは全力疾走であった。
何故なら直線に切り開かれた獣道は普通ではない。
所々に散らばる魔物や野生動物の破片を視野の片隅に確認しながら筋肉は走る。
「これは暴走し過ぎているな…
何処かで疲れていてくれていると良いが…。」
現時点で見通しの良くなった直線の果ては見えない。
「…精霊さん!
あの子の為だ、何とかしてくれないか…⁉︎」
走りながら見ることも出来ない存在に祈りを込めながら走るギリアは、
たまに使う方法を思い出した。
「…試してみるか、
場所は遙か前方!君達が愛するあの子の前へ!
お願いだ、精霊さん!」
暫く走るとギリアは光に包まれていく。
「な…個人でゲートが開くだって⁉︎
…逆にそれ程の状況と言う事か…ありがとう、精霊さん!
しかし…魔力も体力もかなり持っていかれそうだ…。
これは足を止めるだけでも難儀しそうだな…。」
やがて光が晴れてギリアが立っているのはまだ開拓されていない森の中。
体力気力魔力を根こそぎ持っていかれたギリアは何とか体勢を整えて、
木々が薙ぎ倒されて迫ってくる音の方向に神経を集中する。
「…君はどうやってあの子をここまで手名付けたんだろうね…?
妬けるよ、まったく…。
さて!
君の最高の弟子とはいえ、
まだまだ子供に負けてはいられないんだ!
オジサンだって踏ん張ってみせるさ!」
ゆっくりと呼吸を整え、
向かって来る者の先にいるであろう友人に呟いたギリアは…
残りの全身全霊の力を研ぎ澄ませて迫り来る可愛らしい脅威に身構えた。
夜は明けて場所は街へ戻る。
夜通しかけて準備を整えて明け方に一行が向かった先は件のギルドである。
徒歩で飛び出した姫王子と、
それを追ったギリアを待ち受けて地竜退治する為、
鉱山付近の村へのゲートの使用許可を取りに来たのだ。
昨日ギルドの食堂で朝から飲んでいた連中は今日は仕事にありつけたのか、
流石に居ない。
少し寂しげなリアはトボトボと食堂の席に着いてシレッと一杯注文している。
手続きに関してはスチラル一人で問題無いのにわざわざ着いてきたのはその為らしい。
もちろん夜通しの準備に参加した訳でもないアサヒ達は、
しっかり睡眠も取って城での朝食も済ませている。
「ん…、やっぱりこう言うのが安心して落ち着ける…ね。」
散々贅沢を楽しんでおいて何を言うのか…。
ともあれ付いて来たとはいえ、
待つ事しかできない三人は席で時間を潰しながら手続きを眺めるしか無い。
昨日は見なかった受付の女性は淡々と業務をこなす。
「緊急を要する事はわかりました。
国王からの申請では断る事はできませんね。
どの程度の規模の転送でしょうか?
使用魔力の算出と、
それに伴う精霊様の選定、経費の査定を行います。」
竜討伐の主戦力はギリアでありそのサポートであり、
生存者がいた場合の救護班などで数名ほど。
崩落しダンジョンとなった坑道を何とかする為の凄いらしい魔道士達が数名。
それを聞いた受付嬢はすぐに返答する。
「中規模の転送と…
万一の補給隊が追いつくまでの護衛ですね。
見積もりは…」
生々しいやり取りが続く。
当然政治的なやり取りもあるのだろうが、
この世界の情勢に疎いアサヒに何がわかる訳でもなく…
「あ、そういえばシュミカ…
なんで俺が参加しなきゃいけないんだ?
邪魔にしかならんだろう?」
いつの間にかスイーツ的な物を頬張っているシュミカはアサヒを讃える目をして言う。
「ん!
素晴らしい!
アナタにもやっと邪魔者としての自覚が芽生えた…
これはお祝い!
さっき僕がそこにこぼした床のクリームを舐め取る事を…
許可してやってもいい!」
「やかましいわ!
皆様の足を引っ張りたく無いんだよ。
ふざけるのは日常だけにしてくれよ、いくらでも付き合うからさ…。」
少しだけ考え込んだ様なシュミカは、
鼻の先についたクリームをリアに舐め取らせてからドヤ顔で言う。
「ん!
僕はよく知らない!
ガ…精霊さんがそう言っている…の。
…なんか、行けば全部わかるって…?
ひひ…♪」
…絶対に何か知っている顔のシュミカだが、
この状況で口を割らせるだけの技量を持ち合わせていないアサヒは諦めざるを得ない。
何にしても命の危機にまではならないだろう…との、
細やかな信頼感と諦めを込めて溜息と沈黙で降参の意を示す。
「守ってくれよ?」
「ん、天に祈るがいい…。」
そうこうしてる内に手続きは終わったらしく、
わざわざ付いてきたのに、
離れた場所で寛いでいるアサヒ達に溜息と呆れ顔を投げつけるスチラルさん。
「本当に…何でわざわざ付いてきてまで飲んでるんですか…。」
多少は反省したのか、申し訳なさそうなリアは愛想笑いを返しながら…
「こういう静かな所でゆっくりしたかったのよぅ…。」
「貴女そう言ってわざわざ離れの個室を用意したのに、
朝まで新人にお酒運ばせてたでしょう⁉︎
…もう、お陰で私がこんな事までさせられて!」
(多少じゃなくて、もっと反省しろ!)
「…でもぉ、
嬉しそうだったでしょぉ?
あの子達ぃ♪
今夜はあなたが運んでくれるかしらぁ?」
「ん~…、リアったらスケコマシ~♪」
例の流れ込んだ文化の影響力と来たら…。
ボンッと顔を赤らめたスチラルさんは悔しそうに、
先程まで話していた受付のお姉さんに後を譲って出て行った。
「はぁ…貴方がまた来た『客人』ですか?」
マニュアルでも存在するかの様な直角肘手首に顎を乗せて、
アサヒを下目遣いで見下す受付女史はゆっくりと全身を目の動きだけで値踏みしている。
「あ…まぁ、
自分は急に巻き込まれて必死に生きてるだけですけど…。」
「全く…前の客人の方が何億倍もマシだったわね!」
アサヒにとってはとにかく苦手なタイプである。
畏まる以外に身体が動かない。
「…あら?
細身の男性はこんな感じが喜ばれるとレイヤさんに聞いていたのですが…。
貴方は違っていたならスミマセン…。」
(…あの野郎!)
今までのが誠意を持った挨拶だと思わされていた女史は、
コレは違うらしいと思ったのか改めて普通に頭を下げる。
「じゃあ…改めて、
ようこそこちらの世界へ『お客人様』…
私は貴方の事が嫌いです!」
奴の持ち込んだ文化に変に偏った影響を受けたらしい彼女は置いておいて、
『レイヤに会ったら二度と敬語で話してやるものか!』とアサヒは胸に誓う。
「…もし次の人が現れたなら『嫌いです』はやめた方がいいですよ。
で、俺はアサヒ=ハザマです。
何か…御用でも?」
アサヒの反応に釈然としないながらも一呼吸を置いて女史は言う。
「すみません、
最近この街以外の方と接する機会が少なかったもので…。
ハシャいじゃって☆」
もうどこまでが本気なのかもわからない。
「何かお話でも?」
アサヒはどうして良いかも分からず、
取り敢えずそれしか聞く事は無いし出来ない。
「そうですね…珍しい物を見たかっただけなのが本音ですが…
あえて聞くなら、
貴方は元の世界に戻りたいと思っていますか?」
この世界に順応して来ているアサヒは即答を控えてしまう。
もちろん文化的で便利な元の世界に帰ればもっと楽に日々を過ごせるだろう。
…日々を流して平和に過ごせるだろう。
だが…と。
「あ…まぁ、
どうなんでしょうね…。
今まで生き残るので精一杯で考えてなかったけど…」
『元の平和な世界。』
考えてみれば本当にそうだっただろうか?
『未練はあるか?』
無くはない。
『どちらを選ぶのか?』
「…どっちもどっちなんですよね。
あっちにも仲間も家族もいたけど今は…
こっちにも仲間も家族みたいなのもいるからなぁ…」
アサヒはそう言って困って苦笑いするしか出来なかった。
「流されるままですか。
実際に当事者となればそんなものなのかも知れませんね…
気にしないで下さい。」
その後、
別の職員がやって来て女史に諸々の手続きの完了を報告する。
「本当にただの好奇心です。
私は別の世界に行った事が無いので…当事者はどんなものかな?
と、お聞きしたかっただけですので気にしないで下さい。」
軽く会釈をして微笑んだ彼女は業務に戻る。
「転送物に対するゲート使用に必要な魔力の算出と準備は出来た様です。
どうぞこちらへ。」
そう促されたアサヒ達は建物の裏口を出て裏庭へ。
そこには小学校の運動会の入場門程度の大きさの扉が、
不自然な『どこでもなんちゃら』の様に建っている。
「雑でしょう?
でもこんな物ですよ、
いちいち天が割れたり光ったり大地が唸ったりしないんですよ。」
いつの間にか横にいたレイヤはアサヒの肩を叩いて笑っている。
「あ!
アンタねぇ!俺を使って遊んでるでしょう⁉︎」
声を荒げるアサヒを半笑いのシュミカが嗜める。
「ん…精霊さんが怒るから大声出しちゃダメ…
ゲートを通るのには物凄い魔力が必要…。
国がお金を出してギルドの上級魔道士に魔力を使ってもらうの。
邪魔したら賠償金、破産どころじゃすまない…。」
「ぐ…。」
苦々しい顔でレイヤを見ながら屈するアサヒ。
「さあ、行きましょう。
楽しい楽しい冒険の1ページですよ♪」
と、レイヤは笑いながらアサヒの背を押して送り出した。
例の鉱山へは普通に道に沿って行けば半日程度。
普通の子供の足で有れば途中でリタイヤしているのが当たり前であるが、
その跡を追うギリアは全力疾走であった。
何故なら直線に切り開かれた獣道は普通ではない。
所々に散らばる魔物や野生動物の破片を視野の片隅に確認しながら筋肉は走る。
「これは暴走し過ぎているな…
何処かで疲れていてくれていると良いが…。」
現時点で見通しの良くなった直線の果ては見えない。
「…精霊さん!
あの子の為だ、何とかしてくれないか…⁉︎」
走りながら見ることも出来ない存在に祈りを込めながら走るギリアは、
たまに使う方法を思い出した。
「…試してみるか、
場所は遙か前方!君達が愛するあの子の前へ!
お願いだ、精霊さん!」
暫く走るとギリアは光に包まれていく。
「な…個人でゲートが開くだって⁉︎
…逆にそれ程の状況と言う事か…ありがとう、精霊さん!
しかし…魔力も体力もかなり持っていかれそうだ…。
これは足を止めるだけでも難儀しそうだな…。」
やがて光が晴れてギリアが立っているのはまだ開拓されていない森の中。
体力気力魔力を根こそぎ持っていかれたギリアは何とか体勢を整えて、
木々が薙ぎ倒されて迫ってくる音の方向に神経を集中する。
「…君はどうやってあの子をここまで手名付けたんだろうね…?
妬けるよ、まったく…。
さて!
君の最高の弟子とはいえ、
まだまだ子供に負けてはいられないんだ!
オジサンだって踏ん張ってみせるさ!」
ゆっくりと呼吸を整え、
向かって来る者の先にいるであろう友人に呟いたギリアは…
残りの全身全霊の力を研ぎ澄ませて迫り来る可愛らしい脅威に身構えた。
夜は明けて場所は街へ戻る。
夜通しかけて準備を整えて明け方に一行が向かった先は件のギルドである。
徒歩で飛び出した姫王子と、
それを追ったギリアを待ち受けて地竜退治する為、
鉱山付近の村へのゲートの使用許可を取りに来たのだ。
昨日ギルドの食堂で朝から飲んでいた連中は今日は仕事にありつけたのか、
流石に居ない。
少し寂しげなリアはトボトボと食堂の席に着いてシレッと一杯注文している。
手続きに関してはスチラル一人で問題無いのにわざわざ着いてきたのはその為らしい。
もちろん夜通しの準備に参加した訳でもないアサヒ達は、
しっかり睡眠も取って城での朝食も済ませている。
「ん…、やっぱりこう言うのが安心して落ち着ける…ね。」
散々贅沢を楽しんでおいて何を言うのか…。
ともあれ付いて来たとはいえ、
待つ事しかできない三人は席で時間を潰しながら手続きを眺めるしか無い。
昨日は見なかった受付の女性は淡々と業務をこなす。
「緊急を要する事はわかりました。
国王からの申請では断る事はできませんね。
どの程度の規模の転送でしょうか?
使用魔力の算出と、
それに伴う精霊様の選定、経費の査定を行います。」
竜討伐の主戦力はギリアでありそのサポートであり、
生存者がいた場合の救護班などで数名ほど。
崩落しダンジョンとなった坑道を何とかする為の凄いらしい魔道士達が数名。
それを聞いた受付嬢はすぐに返答する。
「中規模の転送と…
万一の補給隊が追いつくまでの護衛ですね。
見積もりは…」
生々しいやり取りが続く。
当然政治的なやり取りもあるのだろうが、
この世界の情勢に疎いアサヒに何がわかる訳でもなく…
「あ、そういえばシュミカ…
なんで俺が参加しなきゃいけないんだ?
邪魔にしかならんだろう?」
いつの間にかスイーツ的な物を頬張っているシュミカはアサヒを讃える目をして言う。
「ん!
素晴らしい!
アナタにもやっと邪魔者としての自覚が芽生えた…
これはお祝い!
さっき僕がそこにこぼした床のクリームを舐め取る事を…
許可してやってもいい!」
「やかましいわ!
皆様の足を引っ張りたく無いんだよ。
ふざけるのは日常だけにしてくれよ、いくらでも付き合うからさ…。」
少しだけ考え込んだ様なシュミカは、
鼻の先についたクリームをリアに舐め取らせてからドヤ顔で言う。
「ん!
僕はよく知らない!
ガ…精霊さんがそう言っている…の。
…なんか、行けば全部わかるって…?
ひひ…♪」
…絶対に何か知っている顔のシュミカだが、
この状況で口を割らせるだけの技量を持ち合わせていないアサヒは諦めざるを得ない。
何にしても命の危機にまではならないだろう…との、
細やかな信頼感と諦めを込めて溜息と沈黙で降参の意を示す。
「守ってくれよ?」
「ん、天に祈るがいい…。」
そうこうしてる内に手続きは終わったらしく、
わざわざ付いてきたのに、
離れた場所で寛いでいるアサヒ達に溜息と呆れ顔を投げつけるスチラルさん。
「本当に…何でわざわざ付いてきてまで飲んでるんですか…。」
多少は反省したのか、申し訳なさそうなリアは愛想笑いを返しながら…
「こういう静かな所でゆっくりしたかったのよぅ…。」
「貴女そう言ってわざわざ離れの個室を用意したのに、
朝まで新人にお酒運ばせてたでしょう⁉︎
…もう、お陰で私がこんな事までさせられて!」
(多少じゃなくて、もっと反省しろ!)
「…でもぉ、
嬉しそうだったでしょぉ?
あの子達ぃ♪
今夜はあなたが運んでくれるかしらぁ?」
「ん~…、リアったらスケコマシ~♪」
例の流れ込んだ文化の影響力と来たら…。
ボンッと顔を赤らめたスチラルさんは悔しそうに、
先程まで話していた受付のお姉さんに後を譲って出て行った。
「はぁ…貴方がまた来た『客人』ですか?」
マニュアルでも存在するかの様な直角肘手首に顎を乗せて、
アサヒを下目遣いで見下す受付女史はゆっくりと全身を目の動きだけで値踏みしている。
「あ…まぁ、
自分は急に巻き込まれて必死に生きてるだけですけど…。」
「全く…前の客人の方が何億倍もマシだったわね!」
アサヒにとってはとにかく苦手なタイプである。
畏まる以外に身体が動かない。
「…あら?
細身の男性はこんな感じが喜ばれるとレイヤさんに聞いていたのですが…。
貴方は違っていたならスミマセン…。」
(…あの野郎!)
今までのが誠意を持った挨拶だと思わされていた女史は、
コレは違うらしいと思ったのか改めて普通に頭を下げる。
「じゃあ…改めて、
ようこそこちらの世界へ『お客人様』…
私は貴方の事が嫌いです!」
奴の持ち込んだ文化に変に偏った影響を受けたらしい彼女は置いておいて、
『レイヤに会ったら二度と敬語で話してやるものか!』とアサヒは胸に誓う。
「…もし次の人が現れたなら『嫌いです』はやめた方がいいですよ。
で、俺はアサヒ=ハザマです。
何か…御用でも?」
アサヒの反応に釈然としないながらも一呼吸を置いて女史は言う。
「すみません、
最近この街以外の方と接する機会が少なかったもので…。
ハシャいじゃって☆」
もうどこまでが本気なのかもわからない。
「何かお話でも?」
アサヒはどうして良いかも分からず、
取り敢えずそれしか聞く事は無いし出来ない。
「そうですね…珍しい物を見たかっただけなのが本音ですが…
あえて聞くなら、
貴方は元の世界に戻りたいと思っていますか?」
この世界に順応して来ているアサヒは即答を控えてしまう。
もちろん文化的で便利な元の世界に帰ればもっと楽に日々を過ごせるだろう。
…日々を流して平和に過ごせるだろう。
だが…と。
「あ…まぁ、
どうなんでしょうね…。
今まで生き残るので精一杯で考えてなかったけど…」
『元の平和な世界。』
考えてみれば本当にそうだっただろうか?
『未練はあるか?』
無くはない。
『どちらを選ぶのか?』
「…どっちもどっちなんですよね。
あっちにも仲間も家族もいたけど今は…
こっちにも仲間も家族みたいなのもいるからなぁ…」
アサヒはそう言って困って苦笑いするしか出来なかった。
「流されるままですか。
実際に当事者となればそんなものなのかも知れませんね…
気にしないで下さい。」
その後、
別の職員がやって来て女史に諸々の手続きの完了を報告する。
「本当にただの好奇心です。
私は別の世界に行った事が無いので…当事者はどんなものかな?
と、お聞きしたかっただけですので気にしないで下さい。」
軽く会釈をして微笑んだ彼女は業務に戻る。
「転送物に対するゲート使用に必要な魔力の算出と準備は出来た様です。
どうぞこちらへ。」
そう促されたアサヒ達は建物の裏口を出て裏庭へ。
そこには小学校の運動会の入場門程度の大きさの扉が、
不自然な『どこでもなんちゃら』の様に建っている。
「雑でしょう?
でもこんな物ですよ、
いちいち天が割れたり光ったり大地が唸ったりしないんですよ。」
いつの間にか横にいたレイヤはアサヒの肩を叩いて笑っている。
「あ!
アンタねぇ!俺を使って遊んでるでしょう⁉︎」
声を荒げるアサヒを半笑いのシュミカが嗜める。
「ん…精霊さんが怒るから大声出しちゃダメ…
ゲートを通るのには物凄い魔力が必要…。
国がお金を出してギルドの上級魔道士に魔力を使ってもらうの。
邪魔したら賠償金、破産どころじゃすまない…。」
「ぐ…。」
苦々しい顔でレイヤを見ながら屈するアサヒ。
「さあ、行きましょう。
楽しい楽しい冒険の1ページですよ♪」
と、レイヤは笑いながらアサヒの背を押して送り出した。
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