31 / 45
そして、その扉を開いて。その2
しおりを挟む
可愛らしく造られた『エイナ♡』と書かれたドアプレートを眺めながら、
セキュリティの重要性を進言したい心を抑え…
アサヒは小声で状況の確認をする。
「で、どうするんです?
結局また窓とかから飛び出して行っちゃうんじゃないですか?
外で待ち受けた方が…。」
騒ぎの前に図書室にこもってしまったシュミカ以外の、
アサヒ、リア、ギリア、ディルの四人は国王に頼まれて、
自室に引き篭もってしまったエイナと話しに来た訳だが…
ドアを叩いて呼び掛けても反応はなかった。
「ははは!
アサヒ君、そんな小声で話さなくて大丈夫だよ!
…精霊がめっちゃ分厚くて頑丈な結界を張ってるんだろうね…。
参ったねぇ…きっと音すら届いてないよ!
ははははは!
ほらほら、
やぁ~いチビ助~!
悔しかったら出ておいで~!」
アンタの方が子供かな⁉︎
…随分と何かを根に持っているらしい。
しかしギリアのストレス発散は成し遂げられない!
「聞こえてるよ!
この臭無駄肉マッチョマン!
ハゲっ!」
超弩級のカウンターを真正面に喰らったギリアは、
膝から崩れ落ちた。
「…く、くさ…?」
「…おやおや、
音声遮断まではしてなかったみたいだねぇ…。」
ディルは薄ら笑いを浮かべながら、
真正面から言葉の暴力を喰らったギリアに憐れみの表情を浮かべる。
「臭くないし…無駄じゃないし…まだフサフサしてるし…。」
(気が置けない友人が傍に居るとギリアさんでもこうなのか…。)
と、アサヒもだが…
リアも好意を寄せる相手を知れて、少し楽しそうに見える。
フッと笑うディルは、
エイナに声が聞こえている事がわかると少し大袈裟にいう。
「まぁ、
抜け出したところでエイナが自力で旅に出るのは不可能だし、
ご機嫌の回復待ちしか無さそうだねぇ…。」
そう、いくら強かろうが…
小さな子供一人での計画的な旅などは無理だ。
宿すら借りれまい。
そこまでは頭が回らないリアは、
取り敢えず『旅に出る』だけに対して率直に言う。
「竜種を一撃よぉ?
あんなガーゴイル…簡単でしょぉ?」
それに対して、何処で仕入れたのか…もちろんレイヤだろうが、
『チチチっ!』と指を振り口を鳴らすという太古の作法でディルは否定する。
「そうは行かないんだよ。
通行手形かガーゴイル討伐。
そのどちらかは絶対に必要な事だけど…
更にギルドと国王、
それにこの国を守護する精霊が認めない限りは、
あのゲートは通れない。
ここが『幻の王国』と呼ばれる所以だね。」
得意げに言うディルは傷心のギリアに肩を貸しながら…
「とりあえず一度戻ろうか。
ミートパイでも食べて作戦を練ろう。」
と第二王子はアサヒ達に目配せしながら親指で(エイナは…)と扉を指し、
その後、
大袈裟に自分の腹を軽く叩いて(空かしている。)と、
にやけながら伝えて撤退を指示する。
アサヒ達は仕方なくそれに従うが、
(一人にして寂しくないかな?)
と心配しているのを察してディルは小声で言う。
「大丈夫。
我々がどれだけあの子を見てきたと思うんだい?
意固地になってるだけだよ。
それより、
もう一人の意固地になってるオジサンをなんとかするべきだと思うよ。」
そう促されて一同は広間へ戻ると…
多少は話題が先程の騒ぎ寄りではありながらも、
概ね何事も無かったかの様に宴は続いている。
王国の広間に良くある階段の上に置かれた王座は空席で、
ストリード王は一応護衛が付いてはいるが…その護衛共々、
今回の功労者や客達に囲まれて楽しんでいる様に見えた。
…心ここに在らずの青白い顔をして。
アサヒは思う。
(心が荒み過ぎて…ここまで平和だと逆にザワザワするな…。)
と、何かのフラグを期待してしまうアサヒ。
そこへ、トンっと肩に柔らかく呼びかける感触が伝わる。
振り返るとそこにはルナナラさんが気恥ずかしそうに立っていた。
「あらぁ!
メイド長~♪
…もう、平気なのぉ?」
気づいたリアも最初は驚いて声を上げたが、
流石に空気を読んで気を伺う。
「はい…お気遣いありがとうございます。
今回は、
本当に色々とありがとうございました。
悪霊でも浮遊霊でも…
あの方がまだこの世界を楽しんでくださっているのなら…
大丈夫です!」
(なんて健気な!)
うまく隠してはいるが、
赤くした目を潤ませるメイド長をリアは抱き締める。
「アタシ、レイヤ様のファンだったのぉ!
後で色々教えてちょうだいぃ~♪ 」
アサヒは突っ込もうかと思ったが、
震えるリアの肩を見て彼女を見直す。
(そうだった。
お前は色欲に全振りしてるが…『愛情の権化』だった。)
「…はい。
極上のお酒をガメて行きますので、
飲み明かさせてください。」
とても感動出来る物では無いセリフで、
一瞬だけ何かしらの花が咲いた様に見えたが…
それはそれ、
すぐにパシッ!っと仕切り直すルナナラさん。
「国王の御前です!
皆様、一度お静かに願います!」
感動的な百合劇場を観覧していた周囲はすでに静かであり、
逆にパラパラと遠慮がちな拍手が響く…。
「いいよいいよ、
仲良く皆んなで輪になって話そうよ。
みんな、あの子の笑顔を守りたいんじゃろ?」
と、王は周囲を見渡す。
茶番掛かっているが周囲はパチパチと手を叩き、
この茶番を盛り上げる。
「では国王よ、
何故あの子の望みを退けるのですか?」
まずは形式上に一番位の高いディルが声を上げる。
「じゃってぇ!
あの子が居なくなったら寂しいんじゃもん!」
ど直球であった。
「…『じゃもん!』じゃ無いですよ…まったく。
そもそもエイナはレイヤに預けて世界を勉強させてくる予定でしたでしょう?」
頼もしく、
次期国王と認めた自慢の息子に諭されて本音を垂れ流す国王は、
「それはエイナがもっと大きくなってからのつもりじゃったし!
…レイヤ君はめっちゃ強かったし…
この後、
ギーちゃんはそのパーティとは一緒には着いて行かんのじゃろ?」
ズドン!
と、その場の重力が突然の殺意で重くなる!
「聞いてないわぁ…どお言う事かしらぁ?
アナタぁ…!」
寝耳に水のリアは爪を伸ばして構え、
今までに見せた事のない戦闘体勢を取る。
「い、いやいや!
それについては、ちゃんと話すし!
それに、『アナタ』って…
君達と一度離れないとヤバい危険な任務が入ったんだよ!
ちゃんと話す!
聞けばわかる!
必ず戻って来る!
全部知ってる事は話すから!
取り敢えずは後にしておくれよ!」
その後のリアは疑心暗鬼でギリアの一挙手一投足を監視する鬼となる。
変なスイッチのある相手にはご注意を。
閑話休題、ディルと国王の会話に戻る。
「エイナだって十分過ぎるほどに強いんですから…
ギルドお抱えの『精霊騎士団』の団長とタメ貼れるんですよ?
何が不安なんですか?」
慌ててギリアが割って入る。
「ま、まだまだ負けないけどね!」
(…2回、負けたんですよね?)
「…アサヒ君、
今、何か言ったかい?」
『声に出してないよな?』と、
確認しようと見たリアはプイッとヨソを向いている。
「いえ、何も!」
それはそれとして、
この人そんなに偉い人だったのか!と改めて萎縮する。
そういえば何処かで団長って呼ばれてた気もした。
『やれやれ、どうしようも無いな…』とディルは踏み出す。
「王よ!
あの子をいつまでこの地に閉じ込めて置くつもりですか?
何事にしても、いつか終わりは来るのですよ!
貴方が王である事を…
今、このディルノード=クルセイトが終わらせることも!」
警護の隙を瞬時にサッとすり抜けて国王に飛びかかり…
『ガオ~~!』っと、
殺意なく演技するディル。
その茶番を見て国王は落胆する。
「もう少し面白い事を期待しとったんじゃけどな…。
『ガオ~』は無いじゃろ。
『ガオ~』は…。
そうじゃな…そろそろ先に進めんとな…。
じゃが、あの子にも負けてもらおう。」
改めてゆっくりと王座に着くストリード王。
「せっかくの祝勝会をしらけさせて悪かった!
ひとつゲームをしよう!
エイナを部屋から連れ出して見せよ!
資格はこの場におる全員にある、
最後の余興を楽しんでおくれ!
ワシが何でも言う事を訊いてやろう!」
何かしらの確信を持ってテンションが上がったらしい国王の宣言に、
その場は一瞬の戸惑いを振り払い大いに盛り上がる!
あれやこれやと有りはしたが、宴もたけなわ。
大いに滑り散らかした大衆の後に天岩戸を開いたのは…
ディルが前もって用意させていた秘策であった。
「お待たせぇ~~!
姫様の大好物~、
メニのチャイル家秘伝のミートパイだよ~♪」
颯爽と現れたメニクトが手の上のクローシュを持ち上げると、
そのミートパイの香りに釣られたエイナは、
あっさりと扉を開いて飛びついてきた。
「メニ~!
今日ミートパイの日だったっけ⁉︎
わぁ~~い♪」
…ハッ!と我に返って周囲を見渡して赤面するエイナ。
『ふふん♪』と、得意げなディルと、
『シュン…』と、項垂れる国王。
「で?ディルよ、ワシに何を願う?」
「もちろん、
エイナの『外出許可』でしょう♪」
国王も腹を決めた様だ。
「エイナ、
この世界を隅から隅まで見て楽しんでおいで。」
パァ…と顔を赤らめて喜びを露わにするエイナ。
「本当に?
ありがとう!父様だぁ~い好き♪」
その笑顔を見て、
「もし本当にレイヤ君に会えたなら…
『話が違うじゃろ!』…と伝えといてくれよ。」
そう言うと古き王ストリードは寂しそうに去っていった。
…これまでの時間に様々な思いが膨れ上がっていた。
『当然勝つのはディルである。』
『エイナは旅立つ。』
『結果は出た。』
ルナナラやスチラルも潤んだ瞳でエイナにミートパイをア~ンし、
よく理解してないエイナはパクパクとそれを頬張る。
アサヒは『ディルノード=クルセイト』をお兄ちゃんの鏡だと思った。
そして、やっと今回最大の功労者であるメニクト=チャイルは知る。
「え~~?
姫様どっか行っちゃうの~?」と。
セキュリティの重要性を進言したい心を抑え…
アサヒは小声で状況の確認をする。
「で、どうするんです?
結局また窓とかから飛び出して行っちゃうんじゃないですか?
外で待ち受けた方が…。」
騒ぎの前に図書室にこもってしまったシュミカ以外の、
アサヒ、リア、ギリア、ディルの四人は国王に頼まれて、
自室に引き篭もってしまったエイナと話しに来た訳だが…
ドアを叩いて呼び掛けても反応はなかった。
「ははは!
アサヒ君、そんな小声で話さなくて大丈夫だよ!
…精霊がめっちゃ分厚くて頑丈な結界を張ってるんだろうね…。
参ったねぇ…きっと音すら届いてないよ!
ははははは!
ほらほら、
やぁ~いチビ助~!
悔しかったら出ておいで~!」
アンタの方が子供かな⁉︎
…随分と何かを根に持っているらしい。
しかしギリアのストレス発散は成し遂げられない!
「聞こえてるよ!
この臭無駄肉マッチョマン!
ハゲっ!」
超弩級のカウンターを真正面に喰らったギリアは、
膝から崩れ落ちた。
「…く、くさ…?」
「…おやおや、
音声遮断まではしてなかったみたいだねぇ…。」
ディルは薄ら笑いを浮かべながら、
真正面から言葉の暴力を喰らったギリアに憐れみの表情を浮かべる。
「臭くないし…無駄じゃないし…まだフサフサしてるし…。」
(気が置けない友人が傍に居るとギリアさんでもこうなのか…。)
と、アサヒもだが…
リアも好意を寄せる相手を知れて、少し楽しそうに見える。
フッと笑うディルは、
エイナに声が聞こえている事がわかると少し大袈裟にいう。
「まぁ、
抜け出したところでエイナが自力で旅に出るのは不可能だし、
ご機嫌の回復待ちしか無さそうだねぇ…。」
そう、いくら強かろうが…
小さな子供一人での計画的な旅などは無理だ。
宿すら借りれまい。
そこまでは頭が回らないリアは、
取り敢えず『旅に出る』だけに対して率直に言う。
「竜種を一撃よぉ?
あんなガーゴイル…簡単でしょぉ?」
それに対して、何処で仕入れたのか…もちろんレイヤだろうが、
『チチチっ!』と指を振り口を鳴らすという太古の作法でディルは否定する。
「そうは行かないんだよ。
通行手形かガーゴイル討伐。
そのどちらかは絶対に必要な事だけど…
更にギルドと国王、
それにこの国を守護する精霊が認めない限りは、
あのゲートは通れない。
ここが『幻の王国』と呼ばれる所以だね。」
得意げに言うディルは傷心のギリアに肩を貸しながら…
「とりあえず一度戻ろうか。
ミートパイでも食べて作戦を練ろう。」
と第二王子はアサヒ達に目配せしながら親指で(エイナは…)と扉を指し、
その後、
大袈裟に自分の腹を軽く叩いて(空かしている。)と、
にやけながら伝えて撤退を指示する。
アサヒ達は仕方なくそれに従うが、
(一人にして寂しくないかな?)
と心配しているのを察してディルは小声で言う。
「大丈夫。
我々がどれだけあの子を見てきたと思うんだい?
意固地になってるだけだよ。
それより、
もう一人の意固地になってるオジサンをなんとかするべきだと思うよ。」
そう促されて一同は広間へ戻ると…
多少は話題が先程の騒ぎ寄りではありながらも、
概ね何事も無かったかの様に宴は続いている。
王国の広間に良くある階段の上に置かれた王座は空席で、
ストリード王は一応護衛が付いてはいるが…その護衛共々、
今回の功労者や客達に囲まれて楽しんでいる様に見えた。
…心ここに在らずの青白い顔をして。
アサヒは思う。
(心が荒み過ぎて…ここまで平和だと逆にザワザワするな…。)
と、何かのフラグを期待してしまうアサヒ。
そこへ、トンっと肩に柔らかく呼びかける感触が伝わる。
振り返るとそこにはルナナラさんが気恥ずかしそうに立っていた。
「あらぁ!
メイド長~♪
…もう、平気なのぉ?」
気づいたリアも最初は驚いて声を上げたが、
流石に空気を読んで気を伺う。
「はい…お気遣いありがとうございます。
今回は、
本当に色々とありがとうございました。
悪霊でも浮遊霊でも…
あの方がまだこの世界を楽しんでくださっているのなら…
大丈夫です!」
(なんて健気な!)
うまく隠してはいるが、
赤くした目を潤ませるメイド長をリアは抱き締める。
「アタシ、レイヤ様のファンだったのぉ!
後で色々教えてちょうだいぃ~♪ 」
アサヒは突っ込もうかと思ったが、
震えるリアの肩を見て彼女を見直す。
(そうだった。
お前は色欲に全振りしてるが…『愛情の権化』だった。)
「…はい。
極上のお酒をガメて行きますので、
飲み明かさせてください。」
とても感動出来る物では無いセリフで、
一瞬だけ何かしらの花が咲いた様に見えたが…
それはそれ、
すぐにパシッ!っと仕切り直すルナナラさん。
「国王の御前です!
皆様、一度お静かに願います!」
感動的な百合劇場を観覧していた周囲はすでに静かであり、
逆にパラパラと遠慮がちな拍手が響く…。
「いいよいいよ、
仲良く皆んなで輪になって話そうよ。
みんな、あの子の笑顔を守りたいんじゃろ?」
と、王は周囲を見渡す。
茶番掛かっているが周囲はパチパチと手を叩き、
この茶番を盛り上げる。
「では国王よ、
何故あの子の望みを退けるのですか?」
まずは形式上に一番位の高いディルが声を上げる。
「じゃってぇ!
あの子が居なくなったら寂しいんじゃもん!」
ど直球であった。
「…『じゃもん!』じゃ無いですよ…まったく。
そもそもエイナはレイヤに預けて世界を勉強させてくる予定でしたでしょう?」
頼もしく、
次期国王と認めた自慢の息子に諭されて本音を垂れ流す国王は、
「それはエイナがもっと大きくなってからのつもりじゃったし!
…レイヤ君はめっちゃ強かったし…
この後、
ギーちゃんはそのパーティとは一緒には着いて行かんのじゃろ?」
ズドン!
と、その場の重力が突然の殺意で重くなる!
「聞いてないわぁ…どお言う事かしらぁ?
アナタぁ…!」
寝耳に水のリアは爪を伸ばして構え、
今までに見せた事のない戦闘体勢を取る。
「い、いやいや!
それについては、ちゃんと話すし!
それに、『アナタ』って…
君達と一度離れないとヤバい危険な任務が入ったんだよ!
ちゃんと話す!
聞けばわかる!
必ず戻って来る!
全部知ってる事は話すから!
取り敢えずは後にしておくれよ!」
その後のリアは疑心暗鬼でギリアの一挙手一投足を監視する鬼となる。
変なスイッチのある相手にはご注意を。
閑話休題、ディルと国王の会話に戻る。
「エイナだって十分過ぎるほどに強いんですから…
ギルドお抱えの『精霊騎士団』の団長とタメ貼れるんですよ?
何が不安なんですか?」
慌ててギリアが割って入る。
「ま、まだまだ負けないけどね!」
(…2回、負けたんですよね?)
「…アサヒ君、
今、何か言ったかい?」
『声に出してないよな?』と、
確認しようと見たリアはプイッとヨソを向いている。
「いえ、何も!」
それはそれとして、
この人そんなに偉い人だったのか!と改めて萎縮する。
そういえば何処かで団長って呼ばれてた気もした。
『やれやれ、どうしようも無いな…』とディルは踏み出す。
「王よ!
あの子をいつまでこの地に閉じ込めて置くつもりですか?
何事にしても、いつか終わりは来るのですよ!
貴方が王である事を…
今、このディルノード=クルセイトが終わらせることも!」
警護の隙を瞬時にサッとすり抜けて国王に飛びかかり…
『ガオ~~!』っと、
殺意なく演技するディル。
その茶番を見て国王は落胆する。
「もう少し面白い事を期待しとったんじゃけどな…。
『ガオ~』は無いじゃろ。
『ガオ~』は…。
そうじゃな…そろそろ先に進めんとな…。
じゃが、あの子にも負けてもらおう。」
改めてゆっくりと王座に着くストリード王。
「せっかくの祝勝会をしらけさせて悪かった!
ひとつゲームをしよう!
エイナを部屋から連れ出して見せよ!
資格はこの場におる全員にある、
最後の余興を楽しんでおくれ!
ワシが何でも言う事を訊いてやろう!」
何かしらの確信を持ってテンションが上がったらしい国王の宣言に、
その場は一瞬の戸惑いを振り払い大いに盛り上がる!
あれやこれやと有りはしたが、宴もたけなわ。
大いに滑り散らかした大衆の後に天岩戸を開いたのは…
ディルが前もって用意させていた秘策であった。
「お待たせぇ~~!
姫様の大好物~、
メニのチャイル家秘伝のミートパイだよ~♪」
颯爽と現れたメニクトが手の上のクローシュを持ち上げると、
そのミートパイの香りに釣られたエイナは、
あっさりと扉を開いて飛びついてきた。
「メニ~!
今日ミートパイの日だったっけ⁉︎
わぁ~~い♪」
…ハッ!と我に返って周囲を見渡して赤面するエイナ。
『ふふん♪』と、得意げなディルと、
『シュン…』と、項垂れる国王。
「で?ディルよ、ワシに何を願う?」
「もちろん、
エイナの『外出許可』でしょう♪」
国王も腹を決めた様だ。
「エイナ、
この世界を隅から隅まで見て楽しんでおいで。」
パァ…と顔を赤らめて喜びを露わにするエイナ。
「本当に?
ありがとう!父様だぁ~い好き♪」
その笑顔を見て、
「もし本当にレイヤ君に会えたなら…
『話が違うじゃろ!』…と伝えといてくれよ。」
そう言うと古き王ストリードは寂しそうに去っていった。
…これまでの時間に様々な思いが膨れ上がっていた。
『当然勝つのはディルである。』
『エイナは旅立つ。』
『結果は出た。』
ルナナラやスチラルも潤んだ瞳でエイナにミートパイをア~ンし、
よく理解してないエイナはパクパクとそれを頬張る。
アサヒは『ディルノード=クルセイト』をお兄ちゃんの鏡だと思った。
そして、やっと今回最大の功労者であるメニクト=チャイルは知る。
「え~~?
姫様どっか行っちゃうの~?」と。
0
あなたにおすすめの小説
転生したら世界一の御曹司だった〜巨乳エルフメイド10人と美少女騎士に溺愛されています〜
まさき
青春
異世界転生した最強の金持ち嫡男、
専属エルフメイドと美少女騎士に囲まれて至福のハーレム生活
現代日本で「地味だが実は超大富豪」という特殊な人生を送っていた青年は、ある日事故で命を落とす。
しかし目を覚ますと、そこは魔法と様々な種族が存在する異世界だった。
彼は大陸一の富を誇る名門貴族――
ヴァン・バレンティン家の嫡男カイルとして転生していたのだ。
カイルに与えられたのは
・世界一とも言える圧倒的な財力
・財力に比例して増大する規格外の魔力
そして何より彼を驚かせたのは――
彼に仕える十人の専属メイド全員が、巨乳美少女だったことである。
献身的なエルフのメイド長リリア。
護衛騎士でありながら隙あらば誘惑してくる女騎士シルヴィア。
さらに個性豊かな巨乳メイドたち。
カイルは持ち前の財力で彼女たちの願いを叶え、最高級の装備や生活を与えていく。
すると彼女たちの忠誠心と愛情はどんどん加速していき――
「カイル様……今日は私が、お世話をさせてください」
領地を狙う貴族を金と魔力で圧倒し、
時にはメイドたちの愛が暴走して甘すぎる時間に巻き込まれながらも、
最強の御曹司カイルは
世界一幸せなハーレムを築いていく。
最後までお読みいただきありがとうございました。よろしければ応援をお願いいたします。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
落ちこぼれの貴族、現地の人達を味方に付けて頑張ります!
ユーリ
ファンタジー
気がつくと、見知らぬ部屋のベッドの上で、状況が理解できず混乱していた僕は、鏡の前に立って、あることを思い出した。
ここはリュカとして生きてきた異世界で、僕は“落ちこぼれ貴族の息子”だった。しかも最悪なことに、さっき行われた絶対失敗出来ない召喚の儀で、僕だけが失敗した。
そのせいで、貴族としての評価は確実に地に落ちる。けれど、両親は超が付くほど過保護だから、家から追い出される心配は……たぶん無い。
問題は一つ。
兄様との関係が、どうしようもなく悪い。
僕は両親に甘やかされ、勉強もサボり放題。その積み重ねのせいで、兄様との距離は遠く、話しかけるだけで気まずい空気に。
このまま兄様が家督を継いだら、屋敷から追い出されるかもしれない!
追い出されないように兄様との関係を改善し、いざ追い出されても生きていけるように勉強して強くなる!……のはずが、勉強をサボっていたせいで、一般常識すら分からないところからのスタートだった。
それでも、兄様との距離を縮めようと努力しているのに、なかなか縮まらない! むしろ避けられてる気さえする!!
それでもめげずに、今日も兄様との関係修復、頑張ります!
5/9から小説になろうでも掲載中
無能はいらないと追放された俺、配信始めました。神の使徒に覚醒し最強になったのでダンジョン配信で超人気配信者に!王女様も信者になってるようです
やのもと しん
ファンタジー
「カイリ、今日からもう来なくていいから」
ある日突然パーティーから追放された俺――カイリは途方に暮れていた。日本から異世界に転移させられて一年。追放された回数はもう五回になる。
あてもなく歩いていると、追放してきたパーティーのメンバーだった女の子、アリシアが付いて行きたいと申し出てきた。
元々パーティーに不満を持っていたアリシアと共に宿に泊まるも、積極的に誘惑してきて……
更に宿から出ると姿を隠した少女と出会い、その子も一緒に行動することに。元王女様で今は国に追われる身になった、ナナを助けようとカイリ達は追手から逃げる。
追いつめられたところでカイリの中にある「神の使徒」の力が覚醒――無能力から世界最強に!
「――わたし、あなたに運命を感じました!」
ナナが再び王女の座に返り咲くため、カイリは冒険者として名を上げる。「厄災」と呼ばれる魔物も、王国の兵士も、カイリを追放したパーティーも全員相手になりません
※他サイトでも投稿しています
【超速爆速レベルアップ】~俺だけ入れるダンジョンはゴールドメタルスライムの狩り場でした~
シオヤマ琴@『最強最速』発売中
ファンタジー
ダンジョンが出現し20年。
木崎賢吾、22歳は子どもの頃からダンジョンに憧れていた。
しかし、ダンジョンは最初に足を踏み入れた者の所有物となるため、もうこの世界にはどこを探しても未発見のダンジョンなどないと思われていた。
そんな矢先、バイト帰りに彼が目にしたものは――。
【自分だけのダンジョンを夢見ていた青年のレベリング冒険譚が今幕を開ける!】
天才女薬学者 聖徳晴子の異世界転生
西洋司
ファンタジー
妙齢の薬学者 聖徳晴子(せいとく・はるこ)は、絶世の美貌の持ち主だ。
彼女は思考の並列化作業を得意とする、いわゆる天才。
精力的にフィールドワークをこなし、ついにエリクサーの開発間際というところで、放火で殺されてしまった。
晴子は、権力者達から、その地位を脅かす存在、「敵」と見做されてしまったのだ。
死後、晴子は天界で女神様からこう提案された。
「あなたは生前7人分の活躍をしましたので、異世界行きのチケットが7枚もあるんですよ。もしよろしければ、一度に使い切ってみては如何ですか?」
晴子はその提案を受け容れ、異世界へと旅立った。
最弱スライムに転生した俺、捕食スキルで無限進化していたら魔王軍すら支配してました
チー牛Y
ファンタジー
残業中に倒れた俺が次に目を覚ました時、なぜか異世界で最弱モンスターのスライムになっていた。
完全に詰んだ、戦う力もない。そう思っていた時、俺には一つだけ、とんでもないスキルがあった。
【捕食】
それは、倒した相手を取り込み、能力・スキル・力のすべてを奪うチート能力だった。
ゴブリンを食べれば腕力を獲得。
魔物を食べれば新スキルを習得。
レベルは爆速で上がり、進化は止まらない。
森の魔物を支配し、ダンジョンを制圧し、気づけば俺は魔物たちの王になっていた。
やがてその力は魔王軍すら飲み込み、世界の勢力図を塗り替えていく。
これは――
最弱スライムから始まる、無限進化の成り上がり無双譚。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる