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弱いから
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次の日に、また“治療師”がマリーベルに声をかけて来た。
「この前は本当に助かった。おかげで、思った以上の収入になった。
どうだろう、お礼代わりに明日にでも夕食を共に出来ればと思うのだが」
「ありがとうございます。是非よろしくお願いします」
マリーベルは素直にそう答えた。
彼女は人と食事を共にするということが楽しいことだという感覚を、随分久しぶりに取り戻していた。
その日の翌日、ヘンリーたちが帰還した。
「お、お帰りなさい。ご無事でなによりです」
冒険者の店でそう言ってヘンリーたちを出迎えたマリーベルを、ヘンリーは一瞥だけすると声もかけずに通り過ぎ、カウンターで冒険成功の報告を始めてしまう。
(私はいつからヘンリーに向かって、こんな敬語を使うようになっていたのかしら)
マリーベルはそんなことを思った。
「おい」
報告を終えたヘンリーがマリーベルに声をかけた。
「は、はい。なんですか」
「今夜は祝いの宴にするが、お前を参加させるわけにはいかないからな。一緒に冒険したわけじゃあないんだから当然だ」
「わかりました」
マリーベルはそう答える。
彼女は安堵していた。今夜は“治療師”と夕食を共にする約束があったからだ。
「……何だと」
少し間を置いて、ヘンリーがそう言った。明らかに不機嫌になっている。
(どうして素直に言うことを聞いたのに怒っているの?)
マリーベルはその理由が分からなかった。
過去にもヘンリーが何かと理由をつけてマリーベルをのけ者にした事が何度もあった。
そんな時、マリーベルは必死になって自分も参加させて欲しいと懇願した。
最終的に、どうにか参加させてもらえることもあれば、結局のけ者にされてしまうこともあったのだが、どちらにしても、そう決まる前にヘンリーはマリーベルの懇願を何度も煩わしげに拒絶していたのだ。
(今回は素直に従ったのに、結局は怒られるのね)
そう思いつつも、怒りの表情を浮かべるヘンリーの顔を見て、マリーベルは恐怖を感じた。
見捨てられてしまうかもしれないという恐怖だ。
そして、暴力を振るわれるかも知れないという恐怖でもある。
ヘンリーはマリーベルに手を上げたり、足蹴にしたりすることすらあったからだ。
(でも、逆らっても怒られるし、従っても怒られるなら、いったいどうすればいいの?)
気持ちを整理できないでいるマリーベルにヘンリーが更に言った。
「いいか、お前は参加するな、と言っているんだぞ」
「分かりました。参加しません。失礼します」
マリーベルはそう言うと、直ぐに踵を返してその場を立ち去った。
これ以上余りにも理不尽なヘンリーと話したくないと思ったし、単純に暴力の恐怖から逃げたかったのである。
だからマリーベルは、彼女の返答を聞いて、呆けたような表情をするヘンリーを目にすることはなかった。
その晩、マリーベルは予定通り“治療師”と夕食を共にしていた。
フードをはずした“治療師”の顔は、マリーベルには品の良い老婆に見えた。
最初は、人と話すことに慣れていないマリーベルが“治療師”の話しを聞くのが主だった。
“治療師”は旅の途中でこの国に立ち寄ったのだそうで、マリーベルに異国の話をしてくれた。
それは、マリーベルにとってとても楽しいものだった。
いや、話の内容に限らず、マリーベルは楽しいと思って話を聞いただろう。
彼女はヘンリーたちの宴に参加させてもらえた時にも、ヘンリーから無駄口を叩くなといわれて、ずっと黙って重い気持ちで参加しているだけだったからだ。
だから彼女にとっては、誰かと共に自由に食事をとること自体が楽しかったのである。
やがて酒が入ったマリーベルは、日頃の愚痴を口にしてしまっていた。
「どうして、こんなことになってしまったのかしら……」
そして最後にそう呟いてしまう。
それはほとんど独り言だったが、“治療師”から返答があった。
「そなたが弱いからだ」
「え?」
「そうだろう? 弓使い殿はその男に縋らなければ生きていけない。少なくとも自分ではそう思っている。
なぜなら自分は1人で生きられるほど強くはないから。
だから、その男から離れられない。よって理不尽な振る舞いに耐えるしかない。違うか?
「……」
マリーベルにはその言葉を否定することが出来なかった。
“治療師”は更に言葉を続ける。
「話しを聞く限り、弓使い殿は随分な努力をしているようだ。
だが、その努力は他人に縋りつく為の努力だ。己自身の力で生きていく為の努力ではない。
だから、自分自身の本当の強さを手に入れることは出来ていない。故に虐げられるしかない。
もしも弓使い殿が、自分自身の本当の強さを求めていれば、結果は違っただろう」
「ですが、私には1人で戦う術を身につけることは出来ませんでした。才能が無かったんです」
マリーベルも近接戦闘を行う為の技術を身につけようとしたことはあった。そうすれば戦闘でも役に立てると思ったからだ。だが、そのような才能は彼女には皆無だった。
だから、せめて知識と技術を高めようとしていたのである。
「そうだな。戦いの才能がない者も世の中にはいる。
代わりに知識や技術を高めるのは正しい選択だ。そして、知識や技術も強さのひとつの形でもある。
だが、弓使い殿はそれを他者に縋りつく術として身につけようとした。それが誤りだ。
己を高める、己1人を高める為にこそ身につけようと考えるべきだ。
最後に信頼できるのは己1人の強さのみなのだからな」
「……」
マリーベルは返す言葉を見つけ出せず俯いてしまった。
だから、思い悩むマリーベルを見る“治療師”の目に、怪しげな光が宿っているのに気付く事もなかった。
その後もう少し話をしてから、マリーベルは“治療師”と別れて自分が属する冒険者の店へと向かった。
その店の2階は冒険者用の宿になっていて、マリーベルもそこに自分の部屋を借りていたからだ。
その道中、彼女は“治療師”に言われたことを思い返した。
つまり、ヘンリー1人に縋りつこうとするのではなく、多くの者に必要とされる知識や技術を身につければ、そして、そのような形で活用できるようになれば、何も理不尽な環境に甘んじる必要はない。“治療師”の言わんとすることはそういうことなのだろう。
それは単純な事実のように思える。
そしてマリーベルは、改めて自分の心を見つめ直し、自分がヘンリーの側にいたい、見捨てられたくない、と思っている理由が、いつの間にか最初と違ってしまっていることに今更ながら気が付いた。
(最初は、私は彼のことが好きだった。それだけだった。だから一緒にいたかった。
そして彼も私のことを好いてくれていた。それはきっと間違いないわ)
彼女は幼い頃の、ヘンリーがまだ優しかった幸せな日々を思い出した。
(でも、今の彼の態度を見れば、私のことを嫌っているのは間違いない。
そして私も、彼に見捨てられたら生きていけないと思っているから縋りついている。少なくとも純粋に好きだからという理由だけで側にいたい訳ではないわ)
マリーベルは、見つめなおした己の心の中に、ヘンリーへの好意が思いのほか少ないことに驚いていた。
確かにこんな関係を続けることは健全とはいえないだろう。
今からでも、独り立ちすることを考えるべきなのではないだろうか。
マリーベルはそう思った。
その夜から、マリーベルは日課だったヘンリーの壮健と活躍を祈ることを止めた。
それはここ数年来で初めての事だった。
「この前は本当に助かった。おかげで、思った以上の収入になった。
どうだろう、お礼代わりに明日にでも夕食を共に出来ればと思うのだが」
「ありがとうございます。是非よろしくお願いします」
マリーベルは素直にそう答えた。
彼女は人と食事を共にするということが楽しいことだという感覚を、随分久しぶりに取り戻していた。
その日の翌日、ヘンリーたちが帰還した。
「お、お帰りなさい。ご無事でなによりです」
冒険者の店でそう言ってヘンリーたちを出迎えたマリーベルを、ヘンリーは一瞥だけすると声もかけずに通り過ぎ、カウンターで冒険成功の報告を始めてしまう。
(私はいつからヘンリーに向かって、こんな敬語を使うようになっていたのかしら)
マリーベルはそんなことを思った。
「おい」
報告を終えたヘンリーがマリーベルに声をかけた。
「は、はい。なんですか」
「今夜は祝いの宴にするが、お前を参加させるわけにはいかないからな。一緒に冒険したわけじゃあないんだから当然だ」
「わかりました」
マリーベルはそう答える。
彼女は安堵していた。今夜は“治療師”と夕食を共にする約束があったからだ。
「……何だと」
少し間を置いて、ヘンリーがそう言った。明らかに不機嫌になっている。
(どうして素直に言うことを聞いたのに怒っているの?)
マリーベルはその理由が分からなかった。
過去にもヘンリーが何かと理由をつけてマリーベルをのけ者にした事が何度もあった。
そんな時、マリーベルは必死になって自分も参加させて欲しいと懇願した。
最終的に、どうにか参加させてもらえることもあれば、結局のけ者にされてしまうこともあったのだが、どちらにしても、そう決まる前にヘンリーはマリーベルの懇願を何度も煩わしげに拒絶していたのだ。
(今回は素直に従ったのに、結局は怒られるのね)
そう思いつつも、怒りの表情を浮かべるヘンリーの顔を見て、マリーベルは恐怖を感じた。
見捨てられてしまうかもしれないという恐怖だ。
そして、暴力を振るわれるかも知れないという恐怖でもある。
ヘンリーはマリーベルに手を上げたり、足蹴にしたりすることすらあったからだ。
(でも、逆らっても怒られるし、従っても怒られるなら、いったいどうすればいいの?)
気持ちを整理できないでいるマリーベルにヘンリーが更に言った。
「いいか、お前は参加するな、と言っているんだぞ」
「分かりました。参加しません。失礼します」
マリーベルはそう言うと、直ぐに踵を返してその場を立ち去った。
これ以上余りにも理不尽なヘンリーと話したくないと思ったし、単純に暴力の恐怖から逃げたかったのである。
だからマリーベルは、彼女の返答を聞いて、呆けたような表情をするヘンリーを目にすることはなかった。
その晩、マリーベルは予定通り“治療師”と夕食を共にしていた。
フードをはずした“治療師”の顔は、マリーベルには品の良い老婆に見えた。
最初は、人と話すことに慣れていないマリーベルが“治療師”の話しを聞くのが主だった。
“治療師”は旅の途中でこの国に立ち寄ったのだそうで、マリーベルに異国の話をしてくれた。
それは、マリーベルにとってとても楽しいものだった。
いや、話の内容に限らず、マリーベルは楽しいと思って話を聞いただろう。
彼女はヘンリーたちの宴に参加させてもらえた時にも、ヘンリーから無駄口を叩くなといわれて、ずっと黙って重い気持ちで参加しているだけだったからだ。
だから彼女にとっては、誰かと共に自由に食事をとること自体が楽しかったのである。
やがて酒が入ったマリーベルは、日頃の愚痴を口にしてしまっていた。
「どうして、こんなことになってしまったのかしら……」
そして最後にそう呟いてしまう。
それはほとんど独り言だったが、“治療師”から返答があった。
「そなたが弱いからだ」
「え?」
「そうだろう? 弓使い殿はその男に縋らなければ生きていけない。少なくとも自分ではそう思っている。
なぜなら自分は1人で生きられるほど強くはないから。
だから、その男から離れられない。よって理不尽な振る舞いに耐えるしかない。違うか?
「……」
マリーベルにはその言葉を否定することが出来なかった。
“治療師”は更に言葉を続ける。
「話しを聞く限り、弓使い殿は随分な努力をしているようだ。
だが、その努力は他人に縋りつく為の努力だ。己自身の力で生きていく為の努力ではない。
だから、自分自身の本当の強さを手に入れることは出来ていない。故に虐げられるしかない。
もしも弓使い殿が、自分自身の本当の強さを求めていれば、結果は違っただろう」
「ですが、私には1人で戦う術を身につけることは出来ませんでした。才能が無かったんです」
マリーベルも近接戦闘を行う為の技術を身につけようとしたことはあった。そうすれば戦闘でも役に立てると思ったからだ。だが、そのような才能は彼女には皆無だった。
だから、せめて知識と技術を高めようとしていたのである。
「そうだな。戦いの才能がない者も世の中にはいる。
代わりに知識や技術を高めるのは正しい選択だ。そして、知識や技術も強さのひとつの形でもある。
だが、弓使い殿はそれを他者に縋りつく術として身につけようとした。それが誤りだ。
己を高める、己1人を高める為にこそ身につけようと考えるべきだ。
最後に信頼できるのは己1人の強さのみなのだからな」
「……」
マリーベルは返す言葉を見つけ出せず俯いてしまった。
だから、思い悩むマリーベルを見る“治療師”の目に、怪しげな光が宿っているのに気付く事もなかった。
その後もう少し話をしてから、マリーベルは“治療師”と別れて自分が属する冒険者の店へと向かった。
その店の2階は冒険者用の宿になっていて、マリーベルもそこに自分の部屋を借りていたからだ。
その道中、彼女は“治療師”に言われたことを思い返した。
つまり、ヘンリー1人に縋りつこうとするのではなく、多くの者に必要とされる知識や技術を身につければ、そして、そのような形で活用できるようになれば、何も理不尽な環境に甘んじる必要はない。“治療師”の言わんとすることはそういうことなのだろう。
それは単純な事実のように思える。
そしてマリーベルは、改めて自分の心を見つめ直し、自分がヘンリーの側にいたい、見捨てられたくない、と思っている理由が、いつの間にか最初と違ってしまっていることに今更ながら気が付いた。
(最初は、私は彼のことが好きだった。それだけだった。だから一緒にいたかった。
そして彼も私のことを好いてくれていた。それはきっと間違いないわ)
彼女は幼い頃の、ヘンリーがまだ優しかった幸せな日々を思い出した。
(でも、今の彼の態度を見れば、私のことを嫌っているのは間違いない。
そして私も、彼に見捨てられたら生きていけないと思っているから縋りついている。少なくとも純粋に好きだからという理由だけで側にいたい訳ではないわ)
マリーベルは、見つめなおした己の心の中に、ヘンリーへの好意が思いのほか少ないことに驚いていた。
確かにこんな関係を続けることは健全とはいえないだろう。
今からでも、独り立ちすることを考えるべきなのではないだろうか。
マリーベルはそう思った。
その夜から、マリーベルは日課だったヘンリーの壮健と活躍を祈ることを止めた。
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