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第2章
11.洞窟での戦い①
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(騙されたか……)
トロールたちがいるという洞窟に近づいたエイクはそう思った。
洞窟と思われる場所とその周辺に、妖魔らしきオドを40以上も感知したからだ。
その中には2つのオドが一組になって周辺を動き回っているものが5組ある。
偵察をしているようだった。
エイクはとりあえず、その中の1組に近づき正体を確認する事にした。
そして、そのオドの正体を知ったエイクは嫌悪感から顔をしかめた。
それは2体のコボルドだったのだ。
コボルドは最弱の妖魔といわれているが、同時に最低の妖魔とも呼ばれる存在だ。
身長は130cmほど。人の体に犬の頭と尻尾をつけたような姿をしているが、体毛はなく、尻尾は犬というよりも鼠のそれのように見える。
皮膚の色は灰色で、一部が鱗状になっているなど爬虫類的な要素もあり、そして魚が腐ったような不快な体臭を漂わせている。
その姿に生理的な嫌悪感を持つ者は多かった。
だが、コボルドが忌み嫌われるのはその容姿以上に性質による。
彼らは基本的に自分よりも強い者に歯向かう事はないが、弱い者を見つけると喜んで攻撃し、出来るだけ苦しめてから殺すという性質がある。
そして、コボルドはごく普通の成人よりも基本的に弱い。自然彼らが好んで攻撃する相手はほとんどが子供になる。
知らぬうちに人里近くに来ていたコボルドに子供が惨殺されるという事はさほど珍しい話ではない。
子供を好んで攻撃して惨殺するコボルドは、女性を嬲るオークと並んで、もっとも嫌われている妖魔と言える。
コボルドを見かけたら必ず殺す。それは光の担い手達の社会に共通する認識だった。
そんなコボルドだったが、とにかく弱い。
犬に似た頭部を持つにも拘らず特に臭いに敏感でもないし、毛ほどの忠誠心も持たず、不潔で不器用。
ゴブリンにおけるシャーマンやロードなどのような上位種にあたる存在もコボルドには確認されていない。
このようなコボルドは妖魔の中でも使えない存在とされていた。
恐らくエイクが尋問したゴブリンシャーマンは、コボルドを「仲間」とは考えていなかったのだろう。
ゴブリンシャーマンに騙されたというよりも、エイクの質問の仕方がいけなかったのだ。
ただコボルドにはその鳴き声がよく通るという特性があり、生きた警報として偵察役に使われる事はあった。
今もそのような効果を狙って2体一組で偵察に出されているのだろう。
エイクは錬生術を用いて完全に気配を消して近づき、不意打ちで1体を殺し、もう1体も反応する前に殺すという方法で、偵察に出ているコボルドたちを皆殺しにする事にした。
このような方法ではマナもかなり消費してしまう。効率だけを考えるなら、同じように気配を消して、気付かれないうちに洞窟に潜入した方が良い。だが、それではコボルドを取り逃がしてしまう事になりかねない。
エイクはたとえマナ多く消費する事になっても、この汚らわしい妖魔を出来るだけ殺しておくべきだと考えたのだった。
エイクの作戦は成功した。
彼は洞窟の外に出ていた5組10体のコボルドを、一吠えもさせずに皆殺しにする事が出来た。
更に洞窟の入り口で見張りに立っていた2体のコボルドも同じ方法で殺した。
こうしてエイクは、敵に気取られる事なく洞窟に侵入したのだった。
事前に聞いていたとおり洞窟内は比較的広く、概ね問題なくクレイモアを扱えた。
また、今のエイクには洞窟内で光を灯す必要がなかった。
これも彼が得た特殊能力の効果の一つだ。
そしてエイクは、他よりも大きいように感じられるオドが、七つ固まっている場所を把握していた。
恐らくそこにいるのがドルムドという名のトロール達だろう。
だがエイクは、そこへ向かう前に付近で行動しているコボルドを全て殺す事にした。
コボルドは出来るだけ殺すべきだという一般常識に従ったからだが、コボルドに全く見咎められないように慎重に動くよりも全て殺した方が早いと考えたからでもある。
洞窟内のコボルドは諸々の雑用をさせられているようで、単独で行動しており、オドを感知してその場所を把握しつつ、普通に身を隠して近づいて攻撃するという方法で、簡単に殺す事ができた。
やがて洞窟の中には、大き目のオド七つと奥のほうに更に10のオドを感知できるだけになった。
エイクは、さすがにわざわざ奥の方のオドを先に確認する事まではせずに、大きなオド七つを感知した場所へ向かった。
そこにいたのは、ゴブリンシャーマンから得た情報どおり、2体のトロールと5体のオークだった。
トロールは身の丈2m近くになり、体形は丸みを帯びて見えるが、そのほとんどは筋肉である。
顔つきは人に似ているが、目が小さく、口は大きめで、発達した犬歯がのぞいている。頭髪は一切ない。
体色は暗褐色で、どこで手に入れたのか、この場にいる2体はいずれも金属製の鎧を着ていた。
オークたちは体躯は人と同じくらいだが、体形は太く、こちらは脂肪も相当多そうだ。
顔は豚のそれと酷似しており、息をするたびに大きな呼吸音を響かせていた。
体色は白・黄色・茶色と様々な色がそろっている。
オークの内1体はローブをはおり杖を持っていた。
オークには古語魔法を使う者もいるという。ローブを着た者がそのような個体なのかもしれなかった。
他の4体のオークは皮鎧を着ていた。
どの鎧もそれなりに手入れをされており、中でも1体が身に着けているものは所々金属で補強もされている。その鎧を着た者が、他よりも強いオークだろう。そのオークは大きめの斧を持っていた。
残りの3体はいずれも短い槍を持っている。
その場所は洞窟内でも特に開けた空間になっていて、奥には台座のような物が作られ、その上に何かの像が設置されている。
台座の前にはグレートソードが置かれ、トロールの内1体はその像に向かって跪いて何やら祈りを捧げているように見えた。
ドルムドという名のトロールが、精霊魔法以外で傷を治す魔法、即ち神聖魔法を使うと思われる事を考えると、台座は祭壇であり、跪いて祈っているトロールがドルムドでまず間違いないだろう。
実際そのトロールこそが最も強者の雰囲気を漂わせていた。
もう1体のトロールは少し離れた場所でグレートソードを振るっている。
トロールの性別は他の種族の者には分かりにくいのだが、そのトロールは女のようだった。
杖を持ったオークはドルムドの近くに座っている。
他の4体のオークたちも、それぞれ武器を振るったり手入れをしたりしているようだった。
いずれも戦いの準備をしているように見えた。その様子からも、彼らが間もなくチムル村を襲おうと考えているのは間違いなさそうだ。
エイクが見る限り、トロールたちの戦士としての技量は相当に高いものの、自分にとって脅威になるほどではなさそうだった。
最も強者の雰囲気を漂わせているドルムドですら、戦士としての技量はテオドリックに及ばないくらいだろうと思われた。
だが魔法使いとしての技量を窺い知ることは出来ない。
(爆裂の魔石を使うか?)
エイクは一瞬そう思ったが、直ぐにその考えを却下した。
ロアンから提供された爆裂の魔石をエイクは持って来ていた。
それは、合言葉を唱えて起動させた上で強い衝撃を与えれば、大きな爆発を起こす古代魔法王国製の使い捨ての魔道具だ。
この場からドルムドらに投げつければ、それなりのダメージを与える事ができるだろう。
だが、流石に一撃で致命傷を与えられる可能性は低い。
そしてその爆発は構造物にも深刻な被害を与える。この洞窟の強度がどの程度か分からないのに、そんなものを使って崩落でも起これば、自分自身が生き埋めになりかねない。
(やはり一当りして、やばかったら走って逃げるのが一番確実だな)
トロールやオークはそれほど足が速くはない。エイクが見た限り例外的に足の速い個体もいないようだ。
一度戦いを仕掛けて敵の力量を測り、もしも今のエイクに勝てないほどの相手だったら、走って逃げる。それは十分に可能だと思われた。
エイクは今まで歩いてきた洞窟の構造を思い出し、出口までの経路を確認した上で、改めて戦ってみることを決めた。
エイクは、洞窟が湾曲していて、妖魔たちから見えない場所まで退いてから、石ころを放ってあえて音を立てた。
「フガッ、何だッ」
音を聞きつけたオークの1体がそう声をかけて来た。
どうやらコボルトが近くに来て音を出したと思ったようだ。
エイクはその問いかけを無視してもう一度石を投げた。
オークの問いかけが無視された事に不審なものを感じたのか、妖魔たちの動きが止まる。
「見て来い」
祈りをやめて、グレートソードを手にして立ち上がったドルムドが、オークにそう命じた。
これを受け、2体のオークがエイクの方に向かった。
エイクは、2つのオドがこちらに向かってくるのを感知すると、そのオドが移動する経路を覚えた。そこには罠はないということだからだ。
エイクがいきなり敵に突っ込まなかったのは、出来るだけ敵を分散させたいと考えたからだが、同時に罠の存在を気にしていたからでもある。
オークたちは洞窟の湾曲部で一旦留まって、奥の様子を伺っているようだった。
エイクはオークたちが再び動き出すのを待たず、一気に躍り出た。
そして、全力の一撃で確実に1体のオークを屠った。
「フガガァァァ」
もう一体のオークはそんな叫びを上げながら、エイクに向かって槍を突き出す。
その叫びは、気合を入れるというよりも背後にいるドルムドたちに敵の存在を伝えようとするもののように思われた。
エイクは危なげなくその槍をかわし、そのオークも一撃で倒した。
敵の追撃はなかったが、代わりにドルムドの誰何の声が響いた。
「何者だぁ!!」
それは、洞窟を振るわせるような大声だった。
エイクはその声に応えるように、ドルムドたちのいる場所まで戻った。
相手が会話に応じるなら話してみたいと思ったからだ。
会話は情報収集の大きな糸口だし、エイクには確認したい事も出来ていた。
トロールたちがいるという洞窟に近づいたエイクはそう思った。
洞窟と思われる場所とその周辺に、妖魔らしきオドを40以上も感知したからだ。
その中には2つのオドが一組になって周辺を動き回っているものが5組ある。
偵察をしているようだった。
エイクはとりあえず、その中の1組に近づき正体を確認する事にした。
そして、そのオドの正体を知ったエイクは嫌悪感から顔をしかめた。
それは2体のコボルドだったのだ。
コボルドは最弱の妖魔といわれているが、同時に最低の妖魔とも呼ばれる存在だ。
身長は130cmほど。人の体に犬の頭と尻尾をつけたような姿をしているが、体毛はなく、尻尾は犬というよりも鼠のそれのように見える。
皮膚の色は灰色で、一部が鱗状になっているなど爬虫類的な要素もあり、そして魚が腐ったような不快な体臭を漂わせている。
その姿に生理的な嫌悪感を持つ者は多かった。
だが、コボルドが忌み嫌われるのはその容姿以上に性質による。
彼らは基本的に自分よりも強い者に歯向かう事はないが、弱い者を見つけると喜んで攻撃し、出来るだけ苦しめてから殺すという性質がある。
そして、コボルドはごく普通の成人よりも基本的に弱い。自然彼らが好んで攻撃する相手はほとんどが子供になる。
知らぬうちに人里近くに来ていたコボルドに子供が惨殺されるという事はさほど珍しい話ではない。
子供を好んで攻撃して惨殺するコボルドは、女性を嬲るオークと並んで、もっとも嫌われている妖魔と言える。
コボルドを見かけたら必ず殺す。それは光の担い手達の社会に共通する認識だった。
そんなコボルドだったが、とにかく弱い。
犬に似た頭部を持つにも拘らず特に臭いに敏感でもないし、毛ほどの忠誠心も持たず、不潔で不器用。
ゴブリンにおけるシャーマンやロードなどのような上位種にあたる存在もコボルドには確認されていない。
このようなコボルドは妖魔の中でも使えない存在とされていた。
恐らくエイクが尋問したゴブリンシャーマンは、コボルドを「仲間」とは考えていなかったのだろう。
ゴブリンシャーマンに騙されたというよりも、エイクの質問の仕方がいけなかったのだ。
ただコボルドにはその鳴き声がよく通るという特性があり、生きた警報として偵察役に使われる事はあった。
今もそのような効果を狙って2体一組で偵察に出されているのだろう。
エイクは錬生術を用いて完全に気配を消して近づき、不意打ちで1体を殺し、もう1体も反応する前に殺すという方法で、偵察に出ているコボルドたちを皆殺しにする事にした。
このような方法ではマナもかなり消費してしまう。効率だけを考えるなら、同じように気配を消して、気付かれないうちに洞窟に潜入した方が良い。だが、それではコボルドを取り逃がしてしまう事になりかねない。
エイクはたとえマナ多く消費する事になっても、この汚らわしい妖魔を出来るだけ殺しておくべきだと考えたのだった。
エイクの作戦は成功した。
彼は洞窟の外に出ていた5組10体のコボルドを、一吠えもさせずに皆殺しにする事が出来た。
更に洞窟の入り口で見張りに立っていた2体のコボルドも同じ方法で殺した。
こうしてエイクは、敵に気取られる事なく洞窟に侵入したのだった。
事前に聞いていたとおり洞窟内は比較的広く、概ね問題なくクレイモアを扱えた。
また、今のエイクには洞窟内で光を灯す必要がなかった。
これも彼が得た特殊能力の効果の一つだ。
そしてエイクは、他よりも大きいように感じられるオドが、七つ固まっている場所を把握していた。
恐らくそこにいるのがドルムドという名のトロール達だろう。
だがエイクは、そこへ向かう前に付近で行動しているコボルドを全て殺す事にした。
コボルドは出来るだけ殺すべきだという一般常識に従ったからだが、コボルドに全く見咎められないように慎重に動くよりも全て殺した方が早いと考えたからでもある。
洞窟内のコボルドは諸々の雑用をさせられているようで、単独で行動しており、オドを感知してその場所を把握しつつ、普通に身を隠して近づいて攻撃するという方法で、簡単に殺す事ができた。
やがて洞窟の中には、大き目のオド七つと奥のほうに更に10のオドを感知できるだけになった。
エイクは、さすがにわざわざ奥の方のオドを先に確認する事まではせずに、大きなオド七つを感知した場所へ向かった。
そこにいたのは、ゴブリンシャーマンから得た情報どおり、2体のトロールと5体のオークだった。
トロールは身の丈2m近くになり、体形は丸みを帯びて見えるが、そのほとんどは筋肉である。
顔つきは人に似ているが、目が小さく、口は大きめで、発達した犬歯がのぞいている。頭髪は一切ない。
体色は暗褐色で、どこで手に入れたのか、この場にいる2体はいずれも金属製の鎧を着ていた。
オークたちは体躯は人と同じくらいだが、体形は太く、こちらは脂肪も相当多そうだ。
顔は豚のそれと酷似しており、息をするたびに大きな呼吸音を響かせていた。
体色は白・黄色・茶色と様々な色がそろっている。
オークの内1体はローブをはおり杖を持っていた。
オークには古語魔法を使う者もいるという。ローブを着た者がそのような個体なのかもしれなかった。
他の4体のオークは皮鎧を着ていた。
どの鎧もそれなりに手入れをされており、中でも1体が身に着けているものは所々金属で補強もされている。その鎧を着た者が、他よりも強いオークだろう。そのオークは大きめの斧を持っていた。
残りの3体はいずれも短い槍を持っている。
その場所は洞窟内でも特に開けた空間になっていて、奥には台座のような物が作られ、その上に何かの像が設置されている。
台座の前にはグレートソードが置かれ、トロールの内1体はその像に向かって跪いて何やら祈りを捧げているように見えた。
ドルムドという名のトロールが、精霊魔法以外で傷を治す魔法、即ち神聖魔法を使うと思われる事を考えると、台座は祭壇であり、跪いて祈っているトロールがドルムドでまず間違いないだろう。
実際そのトロールこそが最も強者の雰囲気を漂わせていた。
もう1体のトロールは少し離れた場所でグレートソードを振るっている。
トロールの性別は他の種族の者には分かりにくいのだが、そのトロールは女のようだった。
杖を持ったオークはドルムドの近くに座っている。
他の4体のオークたちも、それぞれ武器を振るったり手入れをしたりしているようだった。
いずれも戦いの準備をしているように見えた。その様子からも、彼らが間もなくチムル村を襲おうと考えているのは間違いなさそうだ。
エイクが見る限り、トロールたちの戦士としての技量は相当に高いものの、自分にとって脅威になるほどではなさそうだった。
最も強者の雰囲気を漂わせているドルムドですら、戦士としての技量はテオドリックに及ばないくらいだろうと思われた。
だが魔法使いとしての技量を窺い知ることは出来ない。
(爆裂の魔石を使うか?)
エイクは一瞬そう思ったが、直ぐにその考えを却下した。
ロアンから提供された爆裂の魔石をエイクは持って来ていた。
それは、合言葉を唱えて起動させた上で強い衝撃を与えれば、大きな爆発を起こす古代魔法王国製の使い捨ての魔道具だ。
この場からドルムドらに投げつければ、それなりのダメージを与える事ができるだろう。
だが、流石に一撃で致命傷を与えられる可能性は低い。
そしてその爆発は構造物にも深刻な被害を与える。この洞窟の強度がどの程度か分からないのに、そんなものを使って崩落でも起これば、自分自身が生き埋めになりかねない。
(やはり一当りして、やばかったら走って逃げるのが一番確実だな)
トロールやオークはそれほど足が速くはない。エイクが見た限り例外的に足の速い個体もいないようだ。
一度戦いを仕掛けて敵の力量を測り、もしも今のエイクに勝てないほどの相手だったら、走って逃げる。それは十分に可能だと思われた。
エイクは今まで歩いてきた洞窟の構造を思い出し、出口までの経路を確認した上で、改めて戦ってみることを決めた。
エイクは、洞窟が湾曲していて、妖魔たちから見えない場所まで退いてから、石ころを放ってあえて音を立てた。
「フガッ、何だッ」
音を聞きつけたオークの1体がそう声をかけて来た。
どうやらコボルトが近くに来て音を出したと思ったようだ。
エイクはその問いかけを無視してもう一度石を投げた。
オークの問いかけが無視された事に不審なものを感じたのか、妖魔たちの動きが止まる。
「見て来い」
祈りをやめて、グレートソードを手にして立ち上がったドルムドが、オークにそう命じた。
これを受け、2体のオークがエイクの方に向かった。
エイクは、2つのオドがこちらに向かってくるのを感知すると、そのオドが移動する経路を覚えた。そこには罠はないということだからだ。
エイクがいきなり敵に突っ込まなかったのは、出来るだけ敵を分散させたいと考えたからだが、同時に罠の存在を気にしていたからでもある。
オークたちは洞窟の湾曲部で一旦留まって、奥の様子を伺っているようだった。
エイクはオークたちが再び動き出すのを待たず、一気に躍り出た。
そして、全力の一撃で確実に1体のオークを屠った。
「フガガァァァ」
もう一体のオークはそんな叫びを上げながら、エイクに向かって槍を突き出す。
その叫びは、気合を入れるというよりも背後にいるドルムドたちに敵の存在を伝えようとするもののように思われた。
エイクは危なげなくその槍をかわし、そのオークも一撃で倒した。
敵の追撃はなかったが、代わりにドルムドの誰何の声が響いた。
「何者だぁ!!」
それは、洞窟を振るわせるような大声だった。
エイクはその声に応えるように、ドルムドたちのいる場所まで戻った。
相手が会話に応じるなら話してみたいと思ったからだ。
会話は情報収集の大きな糸口だし、エイクには確認したい事も出来ていた。
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