彼女の理想に近づく為に、僕は何度でも繰返す

トン之助

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第9話 彼女はやっぱりよく食べる

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 僕のバイト先は定食屋だ。
 それも男子学生が喜びそうなタイプ。

 謳い文句はこう書いてある。

『ご飯のおかわり喜んで!  超盛りアリのマシマシよ!  我らに作れぬモノは無し!』

 なかなか豪快な文がデカデカと書かれている。

「クロエ、追加注文だ!  ピザトースト五枚にナポリタン大盛り、トッピングに半熟卵とチーズ。それと食後にレアチーズケーキとティラミスだ!」

「わかりました!」

 僕はこの定食屋で働いている。妹の料理の要望を叶える為には好都合だ。そして賄いや余った食材を分けてもらえるのは嬉しい。

「それにしても今日は随分注文が入りますね」
「おう!  なんでもホールの連中曰くスゲー食べる子達が居るみたいだ。それで追加注文の嵐って訳だ」

「なるほど……」
「クロエには厨房に張り付いて貰うことになるがよろしく頼む!」

「わかりました!  あっ店長、今度パエリアのレシピ教えて下さい!」
「ん?  パエリアか……わかった調べとく」


 一方店内では……


「スゲー」
「なんだあの姉ちゃん達」
「お姉ちゃん頑張れー」
「どっちも負けるなー」
「いいぞー」

 そこには金髪ポニーテールと黒髪ショートの学生服を着た二人の女学生が凌ぎを削っていた。

 いや……バトル……フードファイトを繰り広げていた。

「……なかなか……ングッ……やるわね……ゴクンッ」
「……そっちも……グビグビッ」

 そこには藤宮さんと知らない女子学生がいた。隣同士に座った彼女達はいつしか互いに睨み合い、いつしか食べる手を止めずにいた。

 そしてどちらから言った訳でもなくフードファイトが幕を開けていた。

「金髪姉ちゃんの分は俺が出す!」
「なら俺は黒髪姉ちゃんだ!」
「俺達も加勢するぜ!  二人の食べっぷりは最高だ!」
「お姉ちゃん達すごーい」

 ちびっ子も加わり、応援合戦の嵐!  そして二人に充てられて店内の人の食も進む!

 だってあんなに美味しそうに食べてたら、嫌でも食べてみたくなるもの。それからさらに一時間。

「今日の食材が尽きました。この勝負引き分け!」

 店長の一声

「「「「うぉぉぉぉぉぉ!!」」」」

 店内大歓声

「凄いぞ姉ちゃんズ!」
「感動した!」
「またやってくれ!!」
「お姉ちゃん達サインしてー」

 そんな中、二人は。

「まだ……余裕……ふぅふぅ」
「わた……し……もよ」

 どう見てもギリギリだった。
 それからCLOSEの看板を出し早めに閉店。

「いや~二人のお陰で過去最高の売り上げだったよ」
「よかったですね店長」
「あぁ!  できればまた来て欲しいものだ!」

 食器の片付けと翌日の仕込み、ホールスタッフは店内の清掃をしている。そんな中、僕はどんな人が来たのかと店長に聞いた。

「一人は黒髪ショートの女の子だったな……確か制服は白雪女学院だったかな。もう一人は金髪ポニーテールの子。そういえば黒江と同じ学生服を着てたぞ?」

 黒髪ショートの女の子は知らないけど、僕と同じ高校で金髪ポニーテールは彼女一人しかいない。

「金髪ポニーテールの子僕の彼女です」

 僕は躊躇いなく嘘をついた。

「なに?」
「マジか?」
「嘘だろ?  黒江に彼女?」

 掃除をしていた周りの目がギロりと僕をみる。

「まぁ冗談だよな!  お前にあんな綺麗な彼女なんてな」

 ガハハと笑う店長。

「嘘じゃないですよ?  僕は毎日告白してますし、彼女の意思がまだ決まってないだけで時間の問題です!」

 なんだ……そういう事か、と周りは納得し蜘蛛の子を散らすよう業務に戻っていった。

「まぁお前が女子に興味を持つのは珍しいからな。かれこれお前とは五年の付き合いか……」

 店長は懐かしむような…悲しいようなそんな顔をしている。

「まっいい傾向だ!  晴れて高校生になったんだ!  バイト代は弾ませてもらうぜ!」

 店長は僕の頭をガシガシ掴んでニコッと笑う。豪快な人だ…そしてゴツゴツした手。
 僕にお父さんがいたらこんな風にしてくれたのかな。

 作業が終わり賄いの食材をもらい帰路につく。愛する妹が待つ我が家へと。

「ただいま~さな……」

 僕はいつもの日課を始める。

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