クラスメイトに良く当たる占い師を紹介して貰ったら、可愛い彼女が出来ました

若葉結実(わかば ゆいみ)

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第8話 ポップコーンが吉

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 日曜日になり、俺は商店街の中にある小さな映画館で、星恵さんを待っていた。すると、携帯の着信音が鳴る。

 俺はズボンから携帯を取り出す。星子さんからのメールか。メールの内容は『ポップコーンが吉』とだけ書かれていた。

 映画といえばポップコーンだけど……買いなさいという意味なのかな? 

 ──少しして大きめの白いセーターに、赤のチェックのロングスカートを履いた星恵さんが小走りでやってくる。

 どうして白いセーターを着た女の子って、こうも可愛く見えるのだろう? 俺は一瞬で目を奪われてしまった。

 星恵さんは俺の前で立ち止まると、手グシで髪を整えながら「お待たせ」

「うぅん、大丈夫だよ」

 星恵さんは何だか分からないが、俺を見まわしながら「──へぇー……」と口にする。

「どうしたの?」
「いえね。いつもの光輝君って、アウトドア系の服装じゃない? だから今日、ジャケット着ているのが珍しいなって思って」
「変かな?」

 星恵さんは直ぐに首を横に振り「全然! 黒のジャケット、グッと引き締まって見えて、カッコいいと思うし、濃いめのジーンズはスラッとして見える!」

「あ、ありがとう」
「うん。ちょっと早いけど、もう中に入る?」
「そうだね」

 星恵さんに褒めて貰えるなんて思っていなかったから、頬が熱くなるぐらい照れ臭かったな。でも、すごく嬉しい。いつも通りで行こうと思ったけど、せっかくのデートだからと、この服を選んできて正解だった。

 俺達は並んで映画館の中へと入ると、受付でチケットを買う。

「ねぇ、光輝君。まだ時間があるし、売店に寄って行かない?」
「いいね、ジュース買おうか?」
「うん。あとポップコーンも食べようよ」
「いいね」

 別に俺から言い出さなくても、スムーズの流れでポップコーンを買うことになったな。これから、どんな感じで良い方向へと進むんだろ? 

 ──俺達は売店に着くと列に並ぶ。

「味は塩だけだけど、大きさを選べるみたい。LLからSサイズまであるけど、どうする?」と俺が聞くと、星恵さんは「もちろんLL」とノリノリで答える。

「一人で?」
「そ、そんな訳ないじゃん……一緒に食べよぉ」

 星恵さんは恥ずかしかったのか、俯き加減で後半をボソッと言った。なるほど……確かに吉だ。

「分かった。一緒に食べよう」
「うん!」

 シアターが入場可能になり、俺達は指定された番号の席に向かう──。

「奥にどうぞ」
「ありがとう」

 ヤキモチからか、なんとなく星恵さんの隣に、誰も座って欲しくなって、奥を勧める。俺は席に座ると、「楽しみだね」と星恵さんに声を掛けた。

「そうだね! ポップコーン、私が持ってる?」
「うぅん、大丈夫だよ」

 星恵さんは辺りを見渡すと「若い人が多いね」

「そうだね」
「女性が多いけど……やっぱりカップルも多いね」
「あぁ……確かに」
「──わ、私達もさぁ……」
「ん?」
「周りからしたら、カップルに見えるのかな?」
「──か、かもね」

 そこから意識しちゃって会話が途切れる。そうだったら嬉しい? なんて聞いたみたかったけど、それじゃ間接的に告白しているのと同じだ。さすがにそれは出来なくて、言葉を飲み込んだ。

 ──開演ブザーがなり、映画が始まる。また君と踊りたいは、高校生の翼と渚の物語。二人はクラスメイトだけど、まったく会話をする事なく過ごしている所から始まる──。

 話が進み、翔はダンススクールに通うことになる。そこで見たのは、いつも学校で静かに過ごす渚とは違う活き活きと踊る姿だった。

 翼はその姿に惹かれ、少しずつ渚と仲良くなっていく──そしてお互いが意識し合う仲へと発展していくのだった。

 そんなある日、渚は不慮の事故にあい、しばらく踊れなくなってしまう──時が流れ、怪我が治った渚だったが、また前のように踊れるか怖くて、ダンスから離れていく。

 そんな渚を、翼は心配していたが、また渚と踊りたい気持ちを必死に隠し、過ごすしか出来ない様子だった。
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