13 / 50
第13話 デートをドタキャンするぐらい大事な用って、何ッ!?
しおりを挟む
ある晴れた日曜日。俺はいつも読んでいる漫画の新刊の発売日だったので、駅の近くにある書店に向かって自転車を走らせていた。
──赤信号で止まると、道路を挟んだ向かい側で口論をしている男女が目に入る。あれって……圭子、だよな……?
俺はとりあえず自転車から降り、青信号になると、ゆっくり歩いて近づいた。二人はまだ言い合っている。興奮し過ぎて、周りが見えていない様で、圭子は俺が横を通っても気が付かなかった。
「デートをドタキャンするぐらい大事な用って、何ッ!?」
「だからさっきから言ってんだろッ! バイトだって!」
いまは疎遠状態と言っても、圭子とは長い時間、共に過ごしてきた。だから見掛けが、ちょっとヤンチャっぽくて、口が悪くても、こんなに怒りを露わにすることは滅多にない優しい女の子だと知っている。
それだけに聞こえてきた内容も含め、大丈夫か心配になってしまう。それに……偏見になってしまうけど、男は金髪で、耳には複数のピアスをしていて、目つきが鋭いからキレたらヤバそうなタイプに見える。
喧嘩が発展して、もし男が手を出すような事があったら、どうしよう──俺が止めなきゃ……。
俺はドキドキしながら会話が聞こえるぐらい少し進んだところで自転車を止め、携帯を触りながら様子を見る事にした。
「嘘ッ! 前もそうやってドタキャンしたよね!? 私、知ってるんだよ、あの時、他の女と遊んでたのッ!!」
「な──それは……」
「それは!? それは何!? 誰だったの、あの女?」
「それは──バイトの先輩だよ。とにかく今日は無理だから、じゃ!」
男はそう言って、逃げる様に去っていく。圭子はそれを追うことなく、見送りながら涙を腕で拭っていた。
俺は携帯をズボンにしまい、圭子にバレない様に直ぐに、その場を後にする──あぁ……自分の事ではないけれど……凄く悲しい気分だ。
男の様子からして男は黒……個人的にはあんな男、もう別れてしまった方が良いと思う。
でも──手作りクッキーを彼に焼いてあげる程、好きなんだから、そうはいかないんだろうな……複雑。
──何かしてあげられる事ないかな? 俺はそんな事を考えながら、自転車を走らせていた。
「俺ならバレないから、ちょっと付けてみるか?」
俺はそう呟きながら自転車を止め、男が歩いて行った方へと向ける。もし証拠が掴めたら何か役に立つかもしれない! と、自転車を夢中で走らせた。
──数分して俺は男に追いつく。いまは自転車から降りて、男の後ろをゆっくり歩いていた。
少しして男は腕時計をチラッとみて、コンビニの前で立ち止まる。待ち合わせでもしてるのか?
俺は自転車を止め、コンビニの中で様子を見る事にした──10分程して、綺麗な女性が男に手を振りながら、近づく。俺は慌てず、ゆっくりズボンから携帯を取り出すと、写真を撮ってから、コンビニを出た。
「智也《ともや》、お待たせ」
「ったく、行き成り会いたいなんて言うなよな。予定をキャンセルするの大変だったんだぞ」
「ごめーん。だってぇ、突然、バイト休んで良いよって電話が来たんだもん。だから智也に会いたくなっちゃってぇ」
女性はそう言って、智也と手を繋ぐ。智也は険しい顔を崩して笑みを零した。あざとい女だな……。
「まぁ……良いけどよ。じゃあ行こうか?」
「うん」
二人は手を繋いだまま、歩き始める──俺も自転車を押しながら、後ろを付いていく。
それにしても……仲が良いな。終始笑顔が絶えない。これでバイトの先輩と後輩ってだけの関係?
「──智也。来週の日曜日も私、休みなんだ。今度は遠出しようよ」
「それはお泊り付き?」
「もう! 智也はエッチだなぁ。そう……だよ」
「えへへ、そいつは楽しみだな」
「決定ね! じゃあ朝8時、駅前で待ってて」
「オーケー」
残念だけど確定だな。女は智也に彼女が居るって事を知っているか分からないけど、智也は確実に浮気をしている。
一途な圭子の気持ちを踏み躙る様な事をしやがって……ぜってぇに許せねぇ!!! 怒りが沸々と沸いてきて、今すぐにでも智也の肩を掴んで文句を言ってやりたい気分だ。
だけど、これは本人たちの問題……圭子がどうしたいかが重要だ。でもどうやってこれを伝える? ストレートに言って良いものなのか? 何か……もっと何か良い方法は無いか?
俺はグルグルと頭を悩ませながら、その場を離れた──。
──赤信号で止まると、道路を挟んだ向かい側で口論をしている男女が目に入る。あれって……圭子、だよな……?
俺はとりあえず自転車から降り、青信号になると、ゆっくり歩いて近づいた。二人はまだ言い合っている。興奮し過ぎて、周りが見えていない様で、圭子は俺が横を通っても気が付かなかった。
「デートをドタキャンするぐらい大事な用って、何ッ!?」
「だからさっきから言ってんだろッ! バイトだって!」
いまは疎遠状態と言っても、圭子とは長い時間、共に過ごしてきた。だから見掛けが、ちょっとヤンチャっぽくて、口が悪くても、こんなに怒りを露わにすることは滅多にない優しい女の子だと知っている。
それだけに聞こえてきた内容も含め、大丈夫か心配になってしまう。それに……偏見になってしまうけど、男は金髪で、耳には複数のピアスをしていて、目つきが鋭いからキレたらヤバそうなタイプに見える。
喧嘩が発展して、もし男が手を出すような事があったら、どうしよう──俺が止めなきゃ……。
俺はドキドキしながら会話が聞こえるぐらい少し進んだところで自転車を止め、携帯を触りながら様子を見る事にした。
「嘘ッ! 前もそうやってドタキャンしたよね!? 私、知ってるんだよ、あの時、他の女と遊んでたのッ!!」
「な──それは……」
「それは!? それは何!? 誰だったの、あの女?」
「それは──バイトの先輩だよ。とにかく今日は無理だから、じゃ!」
男はそう言って、逃げる様に去っていく。圭子はそれを追うことなく、見送りながら涙を腕で拭っていた。
俺は携帯をズボンにしまい、圭子にバレない様に直ぐに、その場を後にする──あぁ……自分の事ではないけれど……凄く悲しい気分だ。
男の様子からして男は黒……個人的にはあんな男、もう別れてしまった方が良いと思う。
でも──手作りクッキーを彼に焼いてあげる程、好きなんだから、そうはいかないんだろうな……複雑。
──何かしてあげられる事ないかな? 俺はそんな事を考えながら、自転車を走らせていた。
「俺ならバレないから、ちょっと付けてみるか?」
俺はそう呟きながら自転車を止め、男が歩いて行った方へと向ける。もし証拠が掴めたら何か役に立つかもしれない! と、自転車を夢中で走らせた。
──数分して俺は男に追いつく。いまは自転車から降りて、男の後ろをゆっくり歩いていた。
少しして男は腕時計をチラッとみて、コンビニの前で立ち止まる。待ち合わせでもしてるのか?
俺は自転車を止め、コンビニの中で様子を見る事にした──10分程して、綺麗な女性が男に手を振りながら、近づく。俺は慌てず、ゆっくりズボンから携帯を取り出すと、写真を撮ってから、コンビニを出た。
「智也《ともや》、お待たせ」
「ったく、行き成り会いたいなんて言うなよな。予定をキャンセルするの大変だったんだぞ」
「ごめーん。だってぇ、突然、バイト休んで良いよって電話が来たんだもん。だから智也に会いたくなっちゃってぇ」
女性はそう言って、智也と手を繋ぐ。智也は険しい顔を崩して笑みを零した。あざとい女だな……。
「まぁ……良いけどよ。じゃあ行こうか?」
「うん」
二人は手を繋いだまま、歩き始める──俺も自転車を押しながら、後ろを付いていく。
それにしても……仲が良いな。終始笑顔が絶えない。これでバイトの先輩と後輩ってだけの関係?
「──智也。来週の日曜日も私、休みなんだ。今度は遠出しようよ」
「それはお泊り付き?」
「もう! 智也はエッチだなぁ。そう……だよ」
「えへへ、そいつは楽しみだな」
「決定ね! じゃあ朝8時、駅前で待ってて」
「オーケー」
残念だけど確定だな。女は智也に彼女が居るって事を知っているか分からないけど、智也は確実に浮気をしている。
一途な圭子の気持ちを踏み躙る様な事をしやがって……ぜってぇに許せねぇ!!! 怒りが沸々と沸いてきて、今すぐにでも智也の肩を掴んで文句を言ってやりたい気分だ。
だけど、これは本人たちの問題……圭子がどうしたいかが重要だ。でもどうやってこれを伝える? ストレートに言って良いものなのか? 何か……もっと何か良い方法は無いか?
俺はグルグルと頭を悩ませながら、その場を離れた──。
0
あなたにおすすめの小説
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています
藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。
結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。
聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。
侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。
※全11話 2万字程度の話です。
クラスのマドンナがなぜか俺のメイドになっていた件について
沢田美
恋愛
名家の御曹司として何不自由ない生活を送りながらも、内気で陰気な性格のせいで孤独に生きてきた裕貴真一郎(ゆうき しんいちろう)。
かつてのいじめが原因で、彼は1年間も学校から遠ざかっていた。
しかし、久しぶりに登校したその日――彼は運命の出会いを果たす。
現れたのは、まるで絵から飛び出してきたかのような美少女。
その瞳にはどこかミステリアスな輝きが宿り、真一郎の心をかき乱していく。
「今日から私、あなたのメイドになります!」
なんと彼女は、突然メイドとして彼の家で働くことに!?
謎めいた美少女と陰キャ御曹司の、予測不能な主従ラブコメが幕を開ける!
カクヨム、小説家になろうの方でも連載しています!
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
大好きな幼なじみが超イケメンの彼女になったので諦めたって話
家紋武範
青春
大好きな幼なじみの奈都(なつ)。
高校に入ったら告白してラブラブカップルになる予定だったのに、超イケメンのサッカー部の柊斗(シュート)の彼女になっちまった。
全く勝ち目がないこの恋。
潔く諦めることにした。
とっていただく責任などありません
まめきち
恋愛
騎士団で働くヘイゼルは魔物の討伐の際に、
団長のセルフイスを庇い、魔法陣を踏んでしまう。
この魔法陣は男性が踏むと女性に転換するもので、女性のヘイゼルにはほとんど影響のない物だった。だか国からは保証金が出たので、騎士を辞め、念願の田舎暮らしをしようとしたが!?
ヘイゼルの事をずっと男性だと思っていたセルフイスは自分のせいでヘイゼルが職を失っただと思って来まい。
責任を取らなければとセルフイスから、
追いかけられる羽目に。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる