クラスメイトに良く当たる占い師を紹介して貰ったら、可愛い彼女が出来ました

若葉結実(わかば ゆいみ)

文字の大きさ
25 / 50

第25話 キャ~、狼男に襲われる~

しおりを挟む
 十数分程して、ダイニングのドアが開き、俺はビックリしてビクッと体を震わせる。直ぐに立ち上がり後ろを向くと、星恵ちゃんがダイニングに入ってきた。

 星恵ちゃんは俺の顔を見るのが恥ずかしい様で、俯き加減で「ど、どうかな?」と聞いてくる。

 黒のトンガリ帽子に、黒のローブ。これは「──魔女のコスプレだね。凄く可愛いよ」と、正直に褒めてみた。
 
 なのに……何故か星恵ちゃんは俺の前で立ち止まり、頬を膨らませる。え、何か変な事言った?

「──これ、魔女じゃなくて、占い師!」
「え、あ、そうだったの?」
「そうだよ! 私といえば占いでしょ?」
「そうだね」
「まったく……まぁ、褒めてくれたから良いけど!」

 星恵ちゃんはそう言って、ソファに座ると、座れとポンポンとソファを軽く叩く。

「さぁて、御菓子を食べましょ! トリックオアトリート~!」

 そんな風にはしゃぐ星恵ちゃんが可愛くて、意地悪な俺は、何だか悪戯の方をされたくなる。

「──あ、ごめん。御菓子、忘れてきちゃった」
「え~……じゃあ悪戯するしかないなぁ」
「うん、そうして下さい」
「いきなり言われてもなぁ……」

 星恵ちゃんは人差し指を顎に当て、考え始める──指を顎から離すと「あ! じゃあ、とりあえず私の隣に座って、目を瞑ってよ」

「分かった」と俺は返事をして、星恵ちゃんの隣に座る。

「動かないでよ」
「うん」
「──ちゃんと目を閉じてる?」
「閉じてるよ」
「本当に?」

 星恵ちゃんは疑うようにそう言って、俺の目の上に手を乗せた。そこまでして何をしようとしているのだろう? ドキドキ……してくる。

「──ちょっと、恥ずかしいなぁ」と、ボソッと聞こえ、え!? 恥ずかしいって何!!? 何をする気なの!!? と、俺は更に速く心臓を高鳴らせた。

 ──そのままの姿勢で待っていると……俺のホッペに湿った柔らかいものが当たる。こ……これはッ!!!

「目……開けて良いよ」
「う、うん」

 目を開けると、そこには上目遣いで恥ずかしそうに俺を見つめる星恵ちゃんの姿があった。

「御菓子、忘れるからだぞ!」と、星恵ちゃんは言って、俺の腕で人差し指でツンツンと突く。

 ホッペにチューなんて、悪戯じゃなくて御褒美でしかないだろ!!!! 

 星恵ちゃんのあまりの可愛さにテンションがMAXになった俺は、「ガオォー……そんな可愛い事すると、食べちゃうぞ~」と調子に乗る。

 星恵ちゃんはソファから立ちあがり「キャ~、狼男に襲われる~」と逃げ出した。俺は「待て~」と、ゆっくり立ち上がり、星恵ちゃんを追いかける。

 小学生のようにキャッキャとダイニングのテーブルの周りを追いかけっこして、数分後に星恵ちゃんの肩を掴み「捕まえたぞ~」と、こちらに向けた。

「キャ~、捕まっちゃった。誰か助けて~」

「逃がさないぞ~」と、どさくさに紛れて俺も星恵ちゃんのホッペにキスをしようと顔を近づけた瞬間、ダイニングのドアが開く。

「え……?」

 何が起こったのか、状況が掴めなかった俺は、買い物袋をぶら下げて立っている女性を見つめ、固まる。

 女性は驚いた表情を見せていたが、すぐに表情を崩してニコッと微笑み「あらあら、まぁまぁ……お邪魔だったかしら?」とリビングの中に入った。

「お、お母さん、仕事は?」
「思ったより早く片付いた」
「そ、そう……」

 星恵ちゃんのお母さんかぁ……星恵ちゃんのお母さんだけあって、若くて綺麗だな。星恵ちゃんも大人になったら、こういう感じになるのかな──って、そうじゃない!

 俺は星恵ちゃんの肩から手を離し、お辞儀をすると「遅くなりまして、すみません! お、俺、星恵ちゃんのクラスメイトで、その……お付き合いさせて頂いている井上 光輝と言います」と自己紹介をした。

 星恵ちゃんのお母さんは買い物袋を床に下ろすと、俺に向かってお辞儀する。

「あなたが光輝君、星恵の母です。あなたの事はいつも娘から聞いていますよ。カッコ良くて優しい彼氏なんだってね」
「ちょ、お母さん! 余計な事は言わなくて良いの!」

 チラッと星恵ちゃんの方に視線を向けると、星恵ちゃんは恥ずかしそうに髪を撫でていた。照れている星恵ちゃんも本当、可愛い。お母さん、グッジョブ!

「はいはい、もう邪魔しませんよ。じゃあ、光輝君。ごゆっくりどうぞ」

 星恵ちゃんのお母さんはそう言って、買い物袋を持ち上げると、キッチンの方へと歩いて行った──。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

敵に貞操を奪われて癒しの力を失うはずだった聖女ですが、なぜか前より漲っています

藤谷 要
恋愛
サルサン国の聖女たちは、隣国に征服される際に自国の王の命で殺されそうになった。ところが、侵略軍将帥のマトルヘル侯爵に助けられた。それから聖女たちは侵略国に仕えるようになったが、一か月後に筆頭聖女だったルミネラは命の恩人の侯爵へ嫁ぐように国王から命じられる。 結婚披露宴では、陛下に側妃として嫁いだ旧サルサン国王女が出席していたが、彼女は侯爵に腕を絡めて「陛下の手がつかなかったら一年後に妻にしてほしい」と頼んでいた。しかも、侯爵はその手を振り払いもしない。 聖女は愛のない交わりで神の加護を失うとされているので、当然白い結婚だと思っていたが、初夜に侯爵のメイアスから体の関係を迫られる。彼は命の恩人だったので、ルミネラはそのまま彼を受け入れた。 侯爵がかつての恋人に似ていたとはいえ、侯爵と孤児だった彼は全く別人。愛のない交わりだったので、当然力を失うと思っていたが、なぜか以前よりも力が漲っていた。 ※全11話 2万字程度の話です。

理想の男性(ヒト)は、お祖父さま

たつみ
恋愛
月代結奈は、ある日突然、見知らぬ場所に立っていた。 そこで行われていたのは「正妃選びの儀」正妃に側室? 王太子はまったく好みじゃない。 彼女は「これは夢だ」と思い、とっとと「正妃」を辞退してその場から去る。 彼女が思いこんだ「夢設定」の流れの中、帰った屋敷は超アウェイ。 そんな中、現れたまさしく「理想の男性」なんと、それは彼女のお祖父さまだった! 彼女を正妃にするのを諦めない王太子と側近魔術師サイラスの企み。 そんな2人から彼女守ろうとする理想の男性、お祖父さま。 恋愛よりも家族愛を優先する彼女の日常に否応なく訪れる試練。 この世界で彼女がくだす決断と、肝心な恋愛の結末は?  ◇◇◇◇◇設定はあくまでも「貴族風」なので、現実の貴族社会などとは異なります。 本物の貴族社会ではこんなこと通用しない、ということも多々あります。 R-Kingdom_1 他サイトでも掲載しています。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

最愛の番に殺された獣王妃

望月 或
恋愛
目の前には、最愛の人の憎しみと怒りに満ちた黄金色の瞳。 彼のすぐ後ろには、私の姿をした聖女が怯えた表情で口元に両手を当てこちらを見ている。 手で隠しているけれど、その唇が堪え切れず嘲笑っている事を私は知っている。 聖女の姿となった私の左胸を貫いた彼の愛剣が、ゆっくりと引き抜かれる。 哀しみと失意と諦めの中、私の身体は床に崩れ落ちて―― 突然彼から放たれた、狂気と絶望が入り混じった慟哭を聞きながら、私の思考は止まり、意識は閉ざされ永遠の眠りについた――はずだったのだけれど……? 「憐れなアンタに“選択”を与える。このままあの世に逝くか、別の“誰か”になって新たな人生を歩むか」 謎の人物の言葉に、私が選択したのは――

腹黒上司が実は激甘だった件について。

あさの紅茶
恋愛
私の上司、坪内さん。 彼はヤバいです。 サラサラヘアに甘いマスクで笑った顔はまさに王子様。 まわりからキャーキャー言われてるけど、仕事中の彼は腹黒悪魔だよ。 本当に厳しいんだから。 ことごとく女子を振って泣かせてきたくせに、ここにきて何故か私のことを好きだと言う。 マジで? 意味不明なんだけど。 めっちゃ意地悪なのに、かいま見える優しさにいつしか胸がぎゅっとなってしまうようになった。 素直に甘えたいとさえ思った。 だけど、私はその想いに応えられないよ。 どうしたらいいかわからない…。 ********** この作品は、他のサイトにも掲載しています。

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

『身長185cmの私が異世界転移したら、「ちっちゃくて可愛い」って言われました!? 〜女神ルミエール様の気まぐれ〜』

透子(とおるこ)
恋愛
身長185cmの女子大生・三浦ヨウコ。 「ちっちゃくて可愛い女の子に、私もなってみたい……」 そんな密かな願望を抱えながら、今日もバイト帰りにクタクタになっていた――はずが! 突然現れたテンションMAXの女神ルミエールに「今度はこの子に決〜めた☆」と宣言され、理由もなく異世界に強制転移!? 気づけば、森の中で虫に囲まれ、何もわからずパニック状態! けれど、そこは“3メートル超えの巨人たち”が暮らす世界で―― 「なんて可憐な子なんだ……!」 ……え、私が“ちっちゃくて可愛い”枠!? これは、背が高すぎて自信が持てなかった女子大生が、異世界でまさかのモテ無双(?)!? ちょっと変わった視点で描く、逆転系・異世界ラブコメ、ここに開幕☆

隣人の幼馴染にご飯を作るのは今日で終わり

鳥花風星
恋愛
高校二年生のひよりは、隣の家に住む幼馴染の高校三年生の蒼に片思いをしていた。蒼の両親が海外出張でいないため、ひよりは蒼のために毎日ご飯を作りに来ている。 でも、蒼とひよりにはもう一人、みさ姉という大学生の幼馴染がいた。蒼が好きなのはみさ姉だと思い、身を引くためにひよりはもうご飯を作りにこないと伝えるが……。

処理中です...