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第46話 そういう話は後でコッソリしてくれ
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──俺達は「お邪魔します」と中に入り、ダイニングへと進む。ダイニングテーブルには既に、ピザやチキン、オードブル盛り合わせ等がズラリと並んでいた。
「おぉ、美味そう!」
「でしょ! いま皿とか準備するから、あなた達は座って待ってて」
母さんがそう言って、キッチンに向かおうとした時、星恵は「あ、私も手伝います」
「良いの良いの」と、母さんが手をお辞儀させ、「私が手伝うから、星恵ちゃんは座ってて大丈夫だよ」と姉が動き出す。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
星恵、申し訳ないと思っているんだろうな。ありがとうございますと言いながらも、何だか表情が曇っていた。
「おぅ、光輝。ボサッとしてないで座れや」と、先に一番奥の席に座っていた父さんが声を掛けてくる。
「あ、うん。星恵、座ろ」
「うん」
──父さんの前だと気まずいかな? と、俺が父さんの前に座ろうとすると、父さんは「おい、光輝。星恵ちゃんが俺の正面だ」
「え? それだと気まずいだろ?」
「いいから」
「星恵、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
言われた通り、星恵が父さんの正面、俺はその隣に座る。
「星恵ちゃん、お酒は?」
「少しなら大丈夫です」
「そう。何が良い? ビールに缶チューハイ、ワインもあるよ」
「じゃあ……缶チューハイでお願いします」
「分かった。オレンジで良いかい?」
「はい」
父さんはオレンジの缶チューハイを開けると、星恵ちゃんに「コップを持って」
「あ、はい。ありがとうございます」
星恵がコップを持つと、父さんはお酒を注いでいく──注ぎ終わると、缶をテーブルに置いた。
「光輝、お前は?」
「俺はビールが良い」
「そうか」
父さんはそう言って、テーブルの上にあったビールを差し出し「お前は勝手に、自分で注げばいい」
「ひでぇ……まぁ、最初からそのつもりだったけど」
母さんが皿を持ってきて「はーい、お待たせ」と、配り始める。姉ちゃんはそれを受け取ると、「星恵ちゃん、オードブルが遠いから、こっちで先に取ってあげるね」
「あ、ありがとうございます」
「いーえ」
「──おい、姉ちゃん。肉やエビフライばかりじゃなくて、野菜も入れてあげて」
姉ちゃんは手を止めると「あら、光輝。そんな気遣い出来るようになったんだ」とニヤニヤする。そして皿に野菜を盛り始めると「まぁ、そうじゃなきゃ嫌われちゃうもんね~」
「うるさいなぁ」
「──さて、これで良いかしら?」と母さんが父さんの隣に座ると、姉ちゃんも母さんの隣に座り「大丈夫じゃない?」と答える。
「じゃあ、頂きますかね」
それぞれが飲み物の入ったコップを持ち、乾杯をしてから一口飲む。
「ねぇねぇ、星恵ちゃん。告白はどっちからしたの?」
「ブッ! ──ちょ、姉ちゃん。そういう話はまだ早いだろ!」
「え、まだって後なら良いの?」
「いや、そういう問題じゃ──まぁ、とにかく! そういう話は後でコッソリしてくれ」
「ちぇ……」
──姉ちゃんが行き成り恋バナから始めようとしたので、一瞬ヒヤッとしたが、その後は世間話だけで済み、和やかな雰囲気で食事会は進む──。
「星恵ちゃん、まだ料理は残っているけど、お腹の方はどう?」と母さんが聞く。
「お腹いっぱいです。ご馳走様でした」
「はい、お粗末様でした。皆は良いかしら?」
「うん、俺は大丈夫」
「私も」
「俺も大丈夫だ」
母さんは皆の返事を聞くと、何故か父さんの方に視線を送る。父さんはコクンと頷くとコホンっと咳払いをした。
「星恵ちゃん」
「はい」
「今日は息子の為に、わざわざ家に来てくれて、ありがとう」
父さんはそう言って、母さんと姉ちゃんと共に頭を下げる。星恵ちゃんは手を振り「いえ、そんな……本日は御招き頂き、ありがとうございました」と頭を下げた。
俺はワンテンポ遅れてしまったが、両親と姉に向かって頭を下げる──顔を上げると父さんはニッコリ微笑む。
「まぁ……見ての通り、口が悪くて気が利かない俺達だが、俺達は本音を言い合って、それを補っている。だから星恵ちゃんも遠慮なく、本音を言って来て欲しい。俺達はもう君を家族として認めているよ」
星恵は父さんの言葉でグッと来るものがあったのか、涙を浮かべながら両手で口を覆う。
そして「はい!」とハッキリと返事をした。
皆、温かな表情で星恵を見つめている──そんな表情をみて、俺は胸を撫で下ろした。
「さーて……おい、片付けて良いぞ」
「はい」
母さんは返事をして、動き出す。姉ちゃんも席を立ち、母さんの手伝いを始めた。星恵も黙って立ちあがり、食器を運び始める。今度は誰も、星恵ちゃんを止めなかった。
姉ちゃんがビール瓶を持つと、親父は何故か「おっと、それは置いといてくれ」と止める。
「あ、うん」と姉ちゃんは返事をして、残ったオードブルの盛り合わせを持っていった。
「光輝。向こうの両親も、もう認めてくれているんだろ?」
「うん」
「じゃあ──」
父さんはそう口にして、ビール瓶を持ち、俺に向かって傾けた。注いでくれると分かった俺は、コップを手にして、父さんに向かって傾ける。
「しっかりやれよ」と、父さんが言いながら注いでくれた酒を、俺はグイグイ……と飲み干す。コップをテーブルに置くと「うん、分かった」と返事をした。
父さんは何も言わず、ニコッと微笑んだ。不思議だ……今日の酒はいつもより美味しい気がした。
「おぉ、美味そう!」
「でしょ! いま皿とか準備するから、あなた達は座って待ってて」
母さんがそう言って、キッチンに向かおうとした時、星恵は「あ、私も手伝います」
「良いの良いの」と、母さんが手をお辞儀させ、「私が手伝うから、星恵ちゃんは座ってて大丈夫だよ」と姉が動き出す。
「ありがとうございます」
「いえいえ」
星恵、申し訳ないと思っているんだろうな。ありがとうございますと言いながらも、何だか表情が曇っていた。
「おぅ、光輝。ボサッとしてないで座れや」と、先に一番奥の席に座っていた父さんが声を掛けてくる。
「あ、うん。星恵、座ろ」
「うん」
──父さんの前だと気まずいかな? と、俺が父さんの前に座ろうとすると、父さんは「おい、光輝。星恵ちゃんが俺の正面だ」
「え? それだと気まずいだろ?」
「いいから」
「星恵、大丈夫?」
「うん、大丈夫だよ」
言われた通り、星恵が父さんの正面、俺はその隣に座る。
「星恵ちゃん、お酒は?」
「少しなら大丈夫です」
「そう。何が良い? ビールに缶チューハイ、ワインもあるよ」
「じゃあ……缶チューハイでお願いします」
「分かった。オレンジで良いかい?」
「はい」
父さんはオレンジの缶チューハイを開けると、星恵ちゃんに「コップを持って」
「あ、はい。ありがとうございます」
星恵がコップを持つと、父さんはお酒を注いでいく──注ぎ終わると、缶をテーブルに置いた。
「光輝、お前は?」
「俺はビールが良い」
「そうか」
父さんはそう言って、テーブルの上にあったビールを差し出し「お前は勝手に、自分で注げばいい」
「ひでぇ……まぁ、最初からそのつもりだったけど」
母さんが皿を持ってきて「はーい、お待たせ」と、配り始める。姉ちゃんはそれを受け取ると、「星恵ちゃん、オードブルが遠いから、こっちで先に取ってあげるね」
「あ、ありがとうございます」
「いーえ」
「──おい、姉ちゃん。肉やエビフライばかりじゃなくて、野菜も入れてあげて」
姉ちゃんは手を止めると「あら、光輝。そんな気遣い出来るようになったんだ」とニヤニヤする。そして皿に野菜を盛り始めると「まぁ、そうじゃなきゃ嫌われちゃうもんね~」
「うるさいなぁ」
「──さて、これで良いかしら?」と母さんが父さんの隣に座ると、姉ちゃんも母さんの隣に座り「大丈夫じゃない?」と答える。
「じゃあ、頂きますかね」
それぞれが飲み物の入ったコップを持ち、乾杯をしてから一口飲む。
「ねぇねぇ、星恵ちゃん。告白はどっちからしたの?」
「ブッ! ──ちょ、姉ちゃん。そういう話はまだ早いだろ!」
「え、まだって後なら良いの?」
「いや、そういう問題じゃ──まぁ、とにかく! そういう話は後でコッソリしてくれ」
「ちぇ……」
──姉ちゃんが行き成り恋バナから始めようとしたので、一瞬ヒヤッとしたが、その後は世間話だけで済み、和やかな雰囲気で食事会は進む──。
「星恵ちゃん、まだ料理は残っているけど、お腹の方はどう?」と母さんが聞く。
「お腹いっぱいです。ご馳走様でした」
「はい、お粗末様でした。皆は良いかしら?」
「うん、俺は大丈夫」
「私も」
「俺も大丈夫だ」
母さんは皆の返事を聞くと、何故か父さんの方に視線を送る。父さんはコクンと頷くとコホンっと咳払いをした。
「星恵ちゃん」
「はい」
「今日は息子の為に、わざわざ家に来てくれて、ありがとう」
父さんはそう言って、母さんと姉ちゃんと共に頭を下げる。星恵ちゃんは手を振り「いえ、そんな……本日は御招き頂き、ありがとうございました」と頭を下げた。
俺はワンテンポ遅れてしまったが、両親と姉に向かって頭を下げる──顔を上げると父さんはニッコリ微笑む。
「まぁ……見ての通り、口が悪くて気が利かない俺達だが、俺達は本音を言い合って、それを補っている。だから星恵ちゃんも遠慮なく、本音を言って来て欲しい。俺達はもう君を家族として認めているよ」
星恵は父さんの言葉でグッと来るものがあったのか、涙を浮かべながら両手で口を覆う。
そして「はい!」とハッキリと返事をした。
皆、温かな表情で星恵を見つめている──そんな表情をみて、俺は胸を撫で下ろした。
「さーて……おい、片付けて良いぞ」
「はい」
母さんは返事をして、動き出す。姉ちゃんも席を立ち、母さんの手伝いを始めた。星恵も黙って立ちあがり、食器を運び始める。今度は誰も、星恵ちゃんを止めなかった。
姉ちゃんがビール瓶を持つと、親父は何故か「おっと、それは置いといてくれ」と止める。
「あ、うん」と姉ちゃんは返事をして、残ったオードブルの盛り合わせを持っていった。
「光輝。向こうの両親も、もう認めてくれているんだろ?」
「うん」
「じゃあ──」
父さんはそう口にして、ビール瓶を持ち、俺に向かって傾けた。注いでくれると分かった俺は、コップを手にして、父さんに向かって傾ける。
「しっかりやれよ」と、父さんが言いながら注いでくれた酒を、俺はグイグイ……と飲み干す。コップをテーブルに置くと「うん、分かった」と返事をした。
父さんは何も言わず、ニコッと微笑んだ。不思議だ……今日の酒はいつもより美味しい気がした。
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