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監獄要塞
ガコンと船がとまる音がして揺れる。
ガチャンと乱暴に扉を開けられ一言だけ告げられる。
「出ろ」
告げられた女二人は素直に立ち上がり、迎えにきた騎士について行く。
港には、人の良さそうな小太りの男と痩せた背の高い神経質そうな眼鏡の男が待っていた。
「罪人の収容を頼みます」
迎えにきたのとは別の騎士が書類を二人に渡した。
受け取ったのは小太りの男。
「シェリル・ワーグナー。義妹への虐待に殺人未遂に機密漏洩に、ほぉ、横領まで・・・これはまた豪気ですなぁ」
ほっほっほと笑いながら、書類にサラサラと署名をする小太りの男。
「はい、受け入れました。帰っていいよ」
と、署名した書類のうち一枚を騎士に渡す。
「いえ、牢まで見届けろと命を受けておりますのでこのまま同行させていただきます」
「ん?聞こえなかったのかな?帰っていいよ」
「っですが!」
「帰 っ て い い よ」
眼光は鋭く騎士は一瞬怯む。
小太りの男が神経質そうな男に目配せし、神経質そうな男はひとつ頷いた。
「お嬢様方、さぁさこちらでございます」
神経質そうな男は恭しく頭を下げ女二人を導いて行く。
「見届けたって報告しなよ。それじゃあね」
それだけ言うと小太りの男も背中を見せた。
騎士は動けなかった。
圧倒的に上に立つ者のオーラ。
剣も抜かずに屈服させる眼力。
監獄要塞の番人とはこれほど恐ろしいのか。
騎士は身震いしもう何も言わずに船に乗った。
シェリルとアンナ、そして出迎えた男二人。
前後に挟まれるようにして要塞まで歩く。
鉄の重そうな大きな扉に辿り着き、前を歩く神経質そうな男が扉を開く。
ギギギと不快な音をさせ、人一人通れる分だけ開く。
入ると真っ直ぐな通路になっており、一定間隔で橙色の灯りが仄かに灯っていた。
石の通路をカツンカツンと音を響かせながら歩く。
誰も口は開かない。
五分ほど歩いただろうか、今度は木の扉があり神経質そうな男が扉を開け頭を下げた。
思わずシェリルの足が止まる。
もっと手酷く扱われるかと思ったのに、なぜ自分なんかに頭を下げるのだ、と。
「さぁ、お嬢様どうぞ」
小太りの男が手を指し示す。
意を決したように歩くシェリル達。
扉の向こうには───
『ようこそ!フレア島へ!!』
の横断幕を持った人々。
「・・・・・・・・・は?」
たっぷり10秒ほど固まったシェリルの口から出たのはたった一言。
「ようこそ!フレア島へ!20年振り4人目の追放令嬢様!!」
横断幕の中央にいる女が大きな声で歓迎の意を告げる。
それに反応して集まっていた人々が歓声をあげ拍手をした。
舞い降りる雪がまるで花吹雪のようで。
人々の顔は皆笑顔で。
呆気にとられるシェリルとアンナ。
思わず振り向くと小太りの男も神経質そうな男も笑顔で拍手していた。
そして、もう一度横断幕を見る。
中央にいた女が横断幕を潜り走ってきて・・・飛びついた。
「歓迎するわ!」
とぎゅうっと抱きしめられるシェリルとアンナ。
二人の頭はもう真っ白でされるがままになるしかなかった。
ガチャンと乱暴に扉を開けられ一言だけ告げられる。
「出ろ」
告げられた女二人は素直に立ち上がり、迎えにきた騎士について行く。
港には、人の良さそうな小太りの男と痩せた背の高い神経質そうな眼鏡の男が待っていた。
「罪人の収容を頼みます」
迎えにきたのとは別の騎士が書類を二人に渡した。
受け取ったのは小太りの男。
「シェリル・ワーグナー。義妹への虐待に殺人未遂に機密漏洩に、ほぉ、横領まで・・・これはまた豪気ですなぁ」
ほっほっほと笑いながら、書類にサラサラと署名をする小太りの男。
「はい、受け入れました。帰っていいよ」
と、署名した書類のうち一枚を騎士に渡す。
「いえ、牢まで見届けろと命を受けておりますのでこのまま同行させていただきます」
「ん?聞こえなかったのかな?帰っていいよ」
「っですが!」
「帰 っ て い い よ」
眼光は鋭く騎士は一瞬怯む。
小太りの男が神経質そうな男に目配せし、神経質そうな男はひとつ頷いた。
「お嬢様方、さぁさこちらでございます」
神経質そうな男は恭しく頭を下げ女二人を導いて行く。
「見届けたって報告しなよ。それじゃあね」
それだけ言うと小太りの男も背中を見せた。
騎士は動けなかった。
圧倒的に上に立つ者のオーラ。
剣も抜かずに屈服させる眼力。
監獄要塞の番人とはこれほど恐ろしいのか。
騎士は身震いしもう何も言わずに船に乗った。
シェリルとアンナ、そして出迎えた男二人。
前後に挟まれるようにして要塞まで歩く。
鉄の重そうな大きな扉に辿り着き、前を歩く神経質そうな男が扉を開く。
ギギギと不快な音をさせ、人一人通れる分だけ開く。
入ると真っ直ぐな通路になっており、一定間隔で橙色の灯りが仄かに灯っていた。
石の通路をカツンカツンと音を響かせながら歩く。
誰も口は開かない。
五分ほど歩いただろうか、今度は木の扉があり神経質そうな男が扉を開け頭を下げた。
思わずシェリルの足が止まる。
もっと手酷く扱われるかと思ったのに、なぜ自分なんかに頭を下げるのだ、と。
「さぁ、お嬢様どうぞ」
小太りの男が手を指し示す。
意を決したように歩くシェリル達。
扉の向こうには───
『ようこそ!フレア島へ!!』
の横断幕を持った人々。
「・・・・・・・・・は?」
たっぷり10秒ほど固まったシェリルの口から出たのはたった一言。
「ようこそ!フレア島へ!20年振り4人目の追放令嬢様!!」
横断幕の中央にいる女が大きな声で歓迎の意を告げる。
それに反応して集まっていた人々が歓声をあげ拍手をした。
舞い降りる雪がまるで花吹雪のようで。
人々の顔は皆笑顔で。
呆気にとられるシェリルとアンナ。
思わず振り向くと小太りの男も神経質そうな男も笑顔で拍手していた。
そして、もう一度横断幕を見る。
中央にいた女が横断幕を潜り走ってきて・・・飛びついた。
「歓迎するわ!」
とぎゅうっと抱きしめられるシェリルとアンナ。
二人の頭はもう真っ白でされるがままになるしかなかった。
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